セプテントリオン ~Out of the blue~
【せぷてんとりおん あうと おぶ ざ ぶるー】
ジャンル
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アクションアドベンチャー
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 高解像度で見る
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対応機種
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プレイステーション
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発売元
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ヒューマン
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発売日
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1999年3月11日
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定価
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5,800円(税別)
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配信
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ゲームアーカイブス 2007年5月31日/600円
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判定
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クソゲー
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劣化ゲー
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シリーズファンから不評
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ポイント
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どうしてこうなった? 無意味なポリゴン化 緊迫感のない演出と乗客ども 劣悪な操作性 ある意味で衝撃的なラスト
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セプテントリオンシリーズ SFC / ~Out of the blue~
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概要
映画の迫力と臨場感をゲームに持たせることを目的とした、シネマティックライブシリーズの第1弾『セプテントリオン』のリメイク。
……と銘打っているが、ストーリーは完全に別物であり、謎の3D化やリアリティとは程遠い演出に加え、誰得な追加シナリオがあるわりにはアクション面は退化とSFC版の良さをことごとくなくしてしまっておりファンからなかったことにされている。
問題点
緊迫感のない演出
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まず、冒頭のOPムービーで船が謎の爆発を起こして沈没しそうという描写があった後、プレイヤーはいきなり浸水した船内にほっぽり出される。
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SFCでは豪華客船が高波を受け転覆。転覆前にも主人公やその親友たちとのやり取りなど丁寧な描写があったのだが,それがなくなった事で唐突感を覚えてしまうだろう。
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SFCでは状況に応じていろいろな操作・挙動があったのに比べ、本作では足がつかないほど浸水しない限りはほぼ直立で動く。このため、首付近まで浸水してるのに全力疾走するなどシュールな光景が延々と続く。
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船が傾いた際には前作同様四つん這いになるが、膝まで浸水していようと少しでも傾いたら四つん這いになり、放っておくとそのまま溺死してしまう。
早急なエリア移動が求められるが四つん這いなのでそれも不可能。
「何故そんなところを再現した…」「これぐらいなら立てるだろ…」とツッコミたくなること請け合いである。
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SFCでは浸水した通路に面した部屋は浸水していたが、本作では何故か浸水していない。
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このため、完全浸水したエリアでも部屋の中は安全という緊張感のないものになっている。
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一定以上の浸水が起きるとボタン連打で泳いで息継ぎをしながら進む必要があるが、なぜか浮き上がったらまた底まで沈むという謎の挙動を繰り返す。リアリティの面でも違和感しかなく、「ずっと水面で立ち泳ぎしろよ」と思いたくなることうけあいである。
時間制限の廃止
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SFCでは「現実時間で60分」という限られた時間でのプレイが緊迫感を生み、刻一刻と迫る沈没への恐怖を生み出していたが、本作では時間制限がないため、どんなにチンタラ探索していても船は沈没しない
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後述の遭難者の行動も合わさり、原作で存在していた沈没するという緊迫感がまるで伝わらないだろう。
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一応、船の傾きにより転落死することはあるが、これも稀である。
とにかく悪い操作性
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SFC版もリアリティを求めるが故、操作性はかなり癖があったが、3D化に伴う操作性の複雑さにより、余計に癖が強くなっている。
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コントローラーの上下で移動、左右で旋回という所謂ラジコン操作なので左右に移動するにはいちいち旋回して前進しなければならない。
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一応アナログスティックに対応しているので、アーカイブスなどでもアナログスイッチ設定をすれば自由に動ける。
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救出ボタンの挙動が遅くなったのでタイミングが合わないと救出できない。
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穴に落ちた救出者を助けるには、飛ぶ瞬間ぐらいに押さないといつまでやっても救出できない。
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3Dになったため視点の変更が出来るようになったが、なぜか他のゲームで見られるようなL・Rボタンで左右回転ではなく規定された位置に動くという意味不明なものになっている。
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このため、通路によっては扉が見づらかったり、曲がり角さえ把握困難という事態が起きる。
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船内の通路にはところどころ穴が開いてある箇所があるが、そこに操作キャラが落ちると傾き具合では脱出不可になる。
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傾きが緩い場合はジャンプ最高点でタイミングよく○ボタンを押せば脱出可能だが、判定が妙にシビア
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傾きがきつい場合はちょうどよい角度になるまで待つしか脱出手段がない。
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アクション要素の排除
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狭い箇所を飛びつつ移動することなどがなくなり、純粋な探索ゲームになっている。
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下記の事も考えれば妥当といえば妥当だが、協力しあうというドラマ性が薄れてしまった。
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会話テキストが見にくい
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テキストウインドウが右側で固定なので、人数が集まってくると誰が喋っているのかわからなくなる
救出関連
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SFC版と違い一本のストーリとして展開しているため、仲間の救出を必ずやらされることになる。
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SFC版では一人でも脱出できたのに本作では
原作でも面倒だった仲間引率を絶対に行わなければならない。
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この仕様により救出させられている感が強くなり、よけいにドラマ性が削がれるハメになった。
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しかも乗客は発見したものの「忘れ物がある」「友達を探したい」などといってすぐに勝手な行動を取りはぐれる。船が沈没しそうなのに危機感を感じていないのだろうか?
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船長指示で船内報告をしていないからともとれるが、どんなに傾いていようが、浸水していようが、火災で煙が充満していようがこんなノリ。
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さらに、そのあとは決まって後を追わされるハメになる。一応ヒントはくれるのだが、あまりにも大雑把でわかりにくい。
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例を挙げれば、この階のどこかに母親がいる。と言われるが階層には40部屋以上あり、しらみつぶしに探すことになる
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○号室に~何番フロアに~などと言われるが勿論番号無しなのでやっぱりしらみつぶしに探す事に…。
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しかも忘れ物などはキャラと接触してからフラグが発生してとれるようになるため、事前にとることはできない。
長い通路を抜けて、フロアを移動して乗客を見つけた後忘れ物を取りに来た道を戻らされるなどザラであり、ここまでくると救出というよりはもはやお使いの域である。
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仲間が死んだ場合は救出失敗という事になりED評価に影響が出るのだが、SFCと違い事故で死ぬ以外にも別の遭難者を見つけた際に何らかの理由(通路に引っかかる・穴に落ちている・指示コマンドの出し忘れなど)でそのエリアに合流した遭難者をつれていけないと何故か強制的に死亡扱いにされてしまうなど理不尽な点も多い。
余りに謎すぎるシナリオのオチ
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ネタバレ
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本作の船の沈没の裏にある目的は研究の末に生まれた殺人寄生虫を生み出し世界に流そうというモノ。
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しかも機関室に危険を感じて現場の判断で補強された事で沈没が非常に遅れた点以外は何もかも黒幕の計画通み、最終的には予定通り船も沈没するのだが、寄生虫の事は最後まで有耶無耶という始末。
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最後は犯人である船長を撃ち殺し、船は沈没して終了となる。それで解決する(=寄生虫は海水に弱い)なら目的が最初から破綻しているとしか思えないのだが…。
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3D化されたことや操作性といい完全に『バイオハザード』を意識していることがうかがえてしまう。
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そもそもOP映像の時点で「これは事故なのか?それとも誰かの策略か?」と、沈没が人為的である可能性を示唆する字幕が出ているのもどうなのか。
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評価点
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遭難者に操作変更ができるようになった。
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これにより繊細な操作が求められる時はプレイヤーを安置に逃がして遭難者を細かく動かせるように。
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前述の通り、妙にルーチンが悪く引っかかったまま事故死もありうるのでこのあたりは嬉しい点
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ただ残念ながらこの操作変更は30度に傾いたとき限定と妙に不親切なので評価点としては微妙だろうか…
総評
ポセイドンアドベンチャーのオマージュとして、SFCという制限の多いハードにおいても映画さながらのドラマ性と緊迫感を生み出した傑作だった前作。
恐らくはそれをPSという次世代機移行に合わせたリメイクを行おうとしたのだと思われるが、安易な3D化によりアクション性やグラフィックは大幅劣化。
シナリオもツッコミどころ満載と誰も望んでいないリメイクとなり、期待していた原作ファンの希望を粉々に打ち砕いた迷作というに尽きるだろう。
余談
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SFC版が版権問題で移植が絶望的ゆえか、不人気作品のこちらがアーカイブスで発売されるという誰得なことが起こった。
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本作を知らずに購入したりSFC版が名作と知って購入した人もおり、新たな被害者を生み出している。
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人気声優がゲーム実況を行う「つれゲー」においてこのゲームが取り上げられたが、内容が内容だったため同放送にてプレイした金元寿子氏と赤崎千夏氏から「ラスボスは開発元」だの「こんなのゲームじゃない」だのと散々にこき下ろされる事となった。
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SFC版のオマージュ元である映画『ポセイドンアドベンチャー』も2006年にリメイク版が公開されたのだが、グラフィックや演出こそ賞を受賞するほど高い評価を得たものの、対照的に人間ドラマの省略化などの改悪点でその年のゴールデンラズベリー賞の最低リメイク賞にもノミネートされると言う、本作のような皮肉な結果となった。
最終更新:2024年12月15日 15:07