聖闘士星矢 聖域十二宮編
【せいんとせいや さんくちゅありじゅうにきゅうへん】
ジャンル
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小宇宙対戦アクション
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対応機種
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プレイステーション2
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メディア
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DVD-ROM 1枚
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発売元
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バンダイ
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開発元
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ディンプス
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発売日
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2005年4月7日
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定価
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6,800円(税別)
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判定
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なし
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ポイント
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良くも悪くも星矢らしさ満載 配下使いが荒すぎる沙織お嬢様 ファンディスクとしては高評価 青銅5人が初代キャストである最終作
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聖闘士星矢シリーズ
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概要
シリーズ屈指の人気編・黄金聖闘士編を題材にした格闘アクション。開発は『ドラゴンボールZシリーズ』を手掛けたディンプス。
据え置き機としてはFC『聖闘士星矢 黄金伝説完結編』以来、実に17年ぶりの新作となる。
OPムービーはTVアニメの初代OP『ペガサス幻想』をフルポリゴンで再現したものとなっており、ストーリーモードも極力原作を再現している。
完結編と違い、アニメ基準の設定となっている。
基本システム
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ストーリーモードである「黄金十二宮」、対戦モードの「千日戦争」、設定資料やボイス再生が可能の「星矢の休日」、そして教皇になって青銅聖闘士の進入を防ぐ「幻朧魔皇拳」の4つのモードが選択可能。
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黄金十二宮編は原作まま、各宮を踏破していく。導入ムービーのあと、強大な黄金聖闘士と1対1の戦いが始まる。
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ここでのシステムは3D対戦ゲームとなり、プレイヤーは「ガード」「弱攻撃」「強攻撃」「スペシャル」の4つのボタンを駆使して戦う。
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前述のDBZのように各キャラクターには専用のコンボが数種類のほか、特殊技と必殺技がありこれらを駆使して戦う。
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特殊技と必殺技を使うには一定量のコスモゲージが必要。特殊技はゲージが足りないと貧弱な効果になり、必殺技は放てない。
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ライフゲージを0にすると一応の勝利となるが、普通に倒してしまうと原作でもよくあった根性的なノリで復活してくる。
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これは味方サイドにもあり、たとえ倒されてもアテナの呼びかけで何度でも立ち上がるという独自なシステムがある。
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これを回避するためには「ビッグバンアタック」と呼ばれる各キャラクターの必殺技でKOをする必要がある。
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コスモゲージが一定量ある場合に○ボタンをホールドするとゲージが輝きだし、離すと攻撃が発動。HIT時は各キャラクターの必殺技が発動する。
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KOできなくても大ダメージを狙えるため常時狙っていきたいところだが、相手も「ビッグバンカウンター」と呼ばれる反撃が可能。
ビッグバンカウンターが発動すると、千日戦争の如く両者の中間で小宇宙が激突する演出が起こり、ボタン連打の優劣で勝利が決まる。連打に押し勝った方が一方的にダメージを与えられる。
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相手を撃破するとリザルト画面で戦闘評価されステージクリアとなる。
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黄金聖闘士戦で好成績を出すと、次回開始前に「雑兵戦」が挿入される。
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雑兵犇めく宮殿への道を無双シリーズのようになぎ倒して進んで行き、宮殿の入り口までたどり着くのが目的。
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ただし失敗しても何事もなく次回に進む。説明書によると「ボーナスゲーム」とのこと。
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幻朧魔皇拳モードは、各宮に黄金聖闘士を配置して迫りくる青銅5人を排除するというモード。
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これについては賛否がある(後述)が、悪側についてタワーディフェンス的なゲームが楽しめる。
評価点
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ものすごく高い原作再現度
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まず前述の通り、OPはTVアニメ当時のものをフルポリゴンで再現しているが、ファンから見ても気持ち悪いぐらい再現していると評された。
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またストーリーモードでも必ずアニメのアバンの下りから始まり、タイトルが表示されるというアニメイメージを忠実に再現。
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田中秀幸氏によるナレーションは元より、アバンの部分やタイトル表記のBGMもTVアニメ版のままという徹底ぶり。
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ムービーは演出がしっかりしていてなかなか見ごたえがある。モーションやカメラワークに留まらず、車田漫画特有の炭をぶちまけたような吹き出しを使うなど漫画的なものも。
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コンティニュー選択時は仲間達が励ましてくれる。
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2周目以降はIFストーリーを選択することができる。数は全5話と少々少な目なのが残念。
最後に出現する「出現!新たなる宮!!」は原作の続編『NEXT DIMENSION 冥王神話』の要素を僅かながら先取りしている。
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守護星座の型をなぞる必殺技の構えも忠実に再現。
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フルポリゴンでヌルヌル動くキグナスダンスはもはや笑いすら誘う。
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通常技は基本的にオリジナルだが、中には蠍座のミロがアニメで披露した
蠍を象る蹴り
を放つなど原作再現ネタがある。
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アニメと全く同じ演出の必殺技は当時を知る方なら胸熱モノだが、吹き飛んだ相手は必ず頭からグワシャアと落ちる車田落ちを披露するため、原作ファンのツボもしっかりと押さえている。
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ビッグバンカウンターを発動するには、ビッグバンアタックの演出中に特定のタイミングで○ボタンを押す必要がある。
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タイミングは技によって異なるが、技ごとのタイミングは常に固定。また、2回目以降は受付猶予が長くなる。まさに聖闘士に同じ技は通用しない!
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漫画にあってもアニメでは使われなかったセリフやシーンも再現されている。
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特にデスマスクが顕著であり、「うびゃあ!!」や「あじゃぱァーッ!!」もしゃべる。
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教皇モードでも原作で絡みが深い黄金聖闘士を別の宮に配置すると対戦前のイントロで専用のセリフが出る。
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例を挙げれば、デスマスクを双魚宮、アフロディーテを巨蟹宮に配置するとお互い専用のセリフを言うなど。
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特に絡みのない宮だと汎用セリフになるが、ちゃんと配置された宮の名前を呼ぶので、セリフは全12種類と言ってもよい。
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対戦モードの2Pカラーは暗黒聖衣や冥衣を意識した黒で統一されている。
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非常に充実しているデータベース
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星矢の休日で見れるデータベースはキャラクターの設定はもちろん、当時のカードダスや玩具データまで網羅。
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さらにセリフはゲーム音声は元よりゲームに登場しないセリフも収録。王道な物からマニアックなものまで完備している。
賛否両論点
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戦闘自体は大味。格闘ゲームとしてのデキは今一つ
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前述の通り、通常技で倒すと何度でも立ち上がってくるため、基本はビッグバンアタックでのKOが前提となる。
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これを見越してか通常技の威力はかなり控えめであり、コンボのみで相手を倒すのは少々厳しい。
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ディンプス製DBZシリーズにも言えることだが、コンボルートが決まっているうえ種類が少なくできることは限られる。
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しかし、これに関しては原作が必殺技のみで戦うノリなので仕方がないとの声も多い。
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寧ろ空手のようなモーションの星矢、中国拳法で戦う紫龍、踊るように戦う氷河など差別化できている点を評価する声もある。
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リスクの少ない喰らいぬけ
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一定以上の小宇宙があれば「小宇宙バースト」で何度でも喰らいぬけできる。こういうシステムにありがちな体力の消費やクールタイムなどの制限はない。
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初心者の救済要素と見れば悪い物ではない。しかし連発するとただでさえモッサリした戦闘がさらに冗長になってしまう。
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キャラゲーなので下手に格ゲー部分に拘らなかったのも評価されているが、それを差し引いてもやはり雑なイメージは強い。
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ただし通常技はダッシュでキャンセルできる、強攻撃コンボには必ずジャストガード可能なタイミングがあるなど意外と深い仕様もある。
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あまりに漫画・アニメに忠実すぎる演出
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ストーリーモードのムービーでは、冒頭に必ずOP曲「ペガサス幻想」が流れる。
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このため、12宮+アテナの間と13回もOPが流れる。カット可能だが、さすがにクドイとの声も多い。
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対戦モードでは復帰時の呼びかけにアテナが1P2P問わず現れる。どっちの味方なんだ沙織さん。
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なお、ストーリーの敵と幻朧魔皇拳の味方は教皇が、ラスボスにはラスボスの別人格が呼びかける。
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教皇モードの難易度
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青銅聖闘士5人組が異常に強化されているのに対して、黄金側は聖衣はメッキか何かと疑いたくなるほど弱い。
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黄金の必殺技を当てても数センチしか青銅のライフが減らないのに、黄金側は青銅のコンボ2~3セットで死ぬ。
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もちろん起き上がることは可能だが、流石にこんなノリでは起き上がった所で瞬殺されてしまう。
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したがって、ある程度プレイ→全滅を繰り返して教皇を育成しないとゲームにならない。
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一部キャストの変更
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黄金聖闘士の一部は2003年発のOVA『冥王ハーデス十二宮編』のキャストに変更されている。
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ただし、TVアニメ版キャストはゲーム発売時点で故人や声優業を引退した人も含まれているので、完全再現はもともと不可能である。
問題点
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全体的に動きが遅い
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ボタンを押してからワンテンポ遅れて攻撃が出るようなモッサリ感。とても音速を超えた戦士とは思えない。モーションが長い技が多いのが原因か。
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雑兵戦の難易度が妙に高い
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モッサリ感激しいモーションで多数の敵と戦わなければならない。雑兵の性能は高くないとはいえ、なかなか厳しい。
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技性能などもタイマン時と同様。当然無双シリーズのように多数の敵をなぎ倒すなど不可能で、一体一体地道に倒していくしかない。
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その他、ステップで避けてくる、地味に攻撃力が高いなどとにかく鬱陶しい。
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難易度を「やさしい」にすると雑兵の動きが最高難度並みになるというバグに限りなく近い仕様もある。
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プラクティスモードとCPU戦がない
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格闘ゲームとしては致命的にマイナス。したがって練習したい場合は対戦モードで悠長にゲージ貯めなども行う必要がある。
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ビッグバンアタックの使いづらさ
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コマンドが○ボタンを長押しして離すなので出しづらい。しかも高威力のものほど長時間必要であり、最大の技になると10秒以上は押し続けなければならない。
その間は当然特殊技・必殺技は使えない。
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始動技は全キャラ共通で突進技だが、
移動距離が短い
うえに無敵なしでガード可能と異様に低性能。発生はそこそこ速いのが救いか。
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こんな性能なのに始動技を出した時点で全小宇宙消費なのがなにより痛い。
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おまけに苦労して当ててもビッグバンカウンターがあるため安定しない。
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連打ゲーになりやすい
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起き上がる際やビッグバンカウンター時など、連打を要求される点が非常に多い。
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特にKO時の復帰と一撃KOされるか否かという重要な所で要求されるので始末が悪い。
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したがって最終的には連打が速い方が強いという結論になりがち。
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こんな状況でありながらCPUは一切手を抜かず連打をする。対抗するには聖闘士並みの連打力が必要である。
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当然常人に勝ち目はなく、CPU戦でビッグバンアタックやカウンターを使われたら敗北必至。
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妙な人選
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作中で亡くなっているからと言われればそれまでだが、本作では射手座のアイオロスは不参加。
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黄金聖闘士編では最重要なキャラなので、この点を不満に上げた人は多い。
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代わりにファンサービス的にOVAに先行して天秤座の童虎が参戦している。
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しかし、白銀聖闘士の魔鈴とシャイナは妥当としても、蜥蜴座のミスティと鋼鉄聖闘士3人は謎である。
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しかも鋼鉄聖闘士3人はモデルが違うだけで、何もかもが同じ性能なので、キャラのかさましと非難された。
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そのうえご丁寧にキャストは当時のまま。「そこに金使うなら青銅2軍の邪武でも出せ」とまで言われた。
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「星矢の休日」は隠しコマンドを入力しなければ収集率100%にならない
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幻朧魔皇拳モードで青銅と鋼鉄聖闘士を使用することで手に入るコレクションがあるが、青銅・鋼鉄は隠しコマンドを入力しなければ使用不可能。
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隠しコマンドは公式HPで公開されていた。だがゲーム内ヒントは一切なし。せめてプレイ時間や周回で出てくれれば…。
総評
ゲーム自体はだいぶ大味だが、再現度の高さとデータベースの膨大さで、ファンディスクとしては非常に出来が良い。
星矢ファンなら間違いなく楽しめる内容なので、当時を懐かしみたいプレイヤーにオススメの一本である。
余談
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初代ドラゴン紫龍を演じた鈴置洋孝氏は本作の1年後に急逝したため、鈴置氏が演じる紫龍の事実上の遺作となる。
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予約購入者特典に「聖衣箱メモリーカードケース」(フィギュア「聖闘士聖衣神話」に背負わせることが可能)、同封特典に聖闘士聖衣神話「教皇シオン」の購入券があった。
最終更新:2024年06月30日 16:24