ミラーズエッジ
【みらーずえっじ】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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プレイステーション3 Xbox 360 Windows XP~8
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発売元
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エレクトロニック・アーツ
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開発元
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EA Digital Illusions CE(EA DICE)
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発売日
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【PS3/360】2008年12月11日 【Win】2009年1月22日
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定価
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【PS3/360】7,665円 【Win】オープン価格
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レーティング
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CERO:C(15才以上対象)
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配信
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【360】2011年1月11日/1,200円 【Win】1,500円(Origin価格)
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判定
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なし
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ポイント
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優れたビジュアル 激しい3D酔い
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概要
『バトルフィールド』シリーズで知られるEA DICEが製作した、エクストリームスポーツ「パルクール」を題材にしたアクションゲーム。
パルクールとは別名フリーランニングとも呼ばれ、有名どころでは『ASSASSIN'S CREED』でも採用されている、建物を自由自在に駆け上がり飛び越えていく競技のことである。
『ASSASSIN'S CREED』が三人称視点の3Dアクションであるのに対して本作は一人称視点形式のアクションとなっており、主人公の目線でビルを渡り、駆けていくゲームとなっている。
ストーリー
政府により厳しい監視と情報統制が施された近未来都市。人々は「ランナー」と呼ばれる運び屋を使って手渡しで情報を交換していた。
ランナーの1人であるフェイスはある日、双子の妹のケイトが何者かに嵌められ、殺人事件の容疑者となってしまったことを知る。
同じく容疑者となった彼女は仲間の助力を受けつつ事件の真相を探るため、白が支配する街へと飛び出していくのだった。
特徴
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前述の通り一人称視点形式で進む。
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このため、コンシューマーやゲームパッドでのプレイは左スティックでの移動と右スティックでの視点移動をしつつ各種アクションをスムーズに繰り出せるよう、主なアクションをL、Rに割り振る独特な操作スタイルとなっている。
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例えばジャンプはLB(L1)、背後を振り向くターンはRB(R1)、LT(L2)でしゃがみやスライディング、といった形である。
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特定の操作を連続で繰り出すことで違ったアクションも繰り出せる。例えば壁に向かってジャンプ、ターン、ジャンプと連続で操作すると壁を蹴って背後に高く跳ぶことができる。
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ランナービジョンというシステムが搭載されており、移動ルートのオブジェクトが赤くなるシステムがある。行く先の方向性をある程度示してくれるためスムーズに次の移動経路を把握できる。
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また、B(○ボタン)を押しつづけると目標地点を注視することができる。
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フィールドには距離を短縮するためのルートもあるのだが、こちらは赤くならないためまさに経験が物を言うシステムとなっている。このルートの開拓も魅力の1つである
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戦闘は一人称視点ながら格闘戦をメインとしている。
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パンチやキックがメインだが、敵を武装解除する事で武器を奪うことも可能。奪った武器はそのまま使用できるが、リロードできないため使い捨てとなる。
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もっとも、本作の敵は重武装でこちらは軽装なので戦闘せずに逃げないと危険な状況の方が多い。
評価点
白と青を基準とした美しいビジュアル。
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プレイした人からは「芸術」とも称されるほどに本作は絵作りに力を入れており、非常に美しい世界が描かれている。
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白いビル群は無機質だが、陰影まで青の成分が入っており何とも言えない美しさがある。ぜひ自分の目で確かめていただきたい。
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白と青が支配する中、武装した敵の存在やランナービジョンにより赤くなったオブジェクトが非常に映える。見た目にも分かりやすく、ゲーム性ともマッチした絵作りと言えよう。
一人称視点なこともあってリアリティが高い。
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ビルの合間を跳び移っていく本作との相性は抜群で高所をジャンプするスリルを味わえる。上手く跳び越えられた時の安堵感と爽快感も高い。
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うまく跳べずにビルなどから落下した際の「どすん」という効果音は印象的であり、強い恐怖感をプレイヤーにもたらせてくれる。高所恐怖症の人はプレイを躊躇うかもしれない。
日本語版の翻訳の高さ
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洋ゲーにありがちな不自然な翻訳が皆無。
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吹替えの声優も主役のフェイスに甲斐田裕子氏、フェイスの協力者であるミラーに立木文彦氏と言った実力のある声優を起用しており、棒読みなども存在しない。
タイムトライアル、スピードランといったRTA要素のやり込み度
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ストーリークリア後に挑戦できるスピードランや、チェックポイントごとにタイムを計っていくタイムトライアルのやり込みが充実
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前述のルート探索要素と相まって、ハマる人にはとことんはまる他に類を見ないゲーム性となっている。
賛否両論点
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ストーリーはいわゆるB級映画的な内容なので好みが分かれる。
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それでも中盤までは意外な展開などもありそれなりに楽しめる人もいるだろうが、ラストはかなり「投げっぱなし」のようなオチになってしまっている。
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解決すべき問題が複数ある中で、「緊急ではあるが成功してもそこまで事態を好転させるわけではないミッション」がゲーム上の最終目的である。
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一応、事態の黒幕と言えなくもない人物との決着はつくが、顛末がはっきりしないキャラクターが複数いるなど全体的にすっきりと大団円を迎えた感は希薄。
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続編『ミラーズエッジ カタリスト』は本作と地続きではなく半ばリブートのような設定となっているため、そこでの解決も望めない。
問題点
非常に酔いやすい。
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一人称視点なので当たり前なのだが、本作の場合は一般的なFPSに増して激しく画面が揺れ動くため普段3D酔いしないような人でも酔ってしまう可能性がある。
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また、一人称視点はリアリティを高めるのに一役買ってはいるものの、慣れないとジャンプのタイミングなどの感覚が掴みづらい。最初のうちは足元を確認しながらジャンプすることになるだろう。
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ゲーム冒頭のトレーニングはチャプターセレクトで何度でもプレイできるので、慣れるまでプレイしつづけるのもアリ。ここだけでも一通りの操作を覚えられる。
システム面に粗が多い。
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前述のように目標地点を注視するシステムがあるが、本当に注視するだけなので使いづらい。
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ランナービジョンもあるにはあるが、結局はプレイヤーが自力でルートを探したり謎解きをする必要があり、仲間からはろくなヒントも貰えないので迷いやすい。
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とはいえ、自分が進むべき道を創意工夫して開拓していくのがこのゲームの醍醐味であり面白いポイントでもある
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独特なボタン設定に慣れるまでが難しい。
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キーコンフィグはいくつかの候補から選ぶだけなので、嫌でもこの操作を強要される。
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上記のような問題点もあって、難易度が高い。
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戦闘の難易度選択はできるが、マップの構造自体が複雑なため進行ルートが分からず迷って立ち往生してしまうことも多い。
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さらにシビアな操作を要求される場面もあり、「進行ルートを見つけるのに一苦労、その進行ルートをきちんと進むのにもう一苦労」となりがち。
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リトライポイントが多いのですぐやり直せるのは良心的だが。
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そこだけあまり出来がよいとは言えない凡庸なFPSとなってしまう銃撃戦には不評が多い。
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そもそもパルクールによる縦横無尽な移動が特長の本作にとって、足を止めて撃ち合うというゲーム性はかなりミスマッチである。
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制作陣にもそれは伝わったのか、続編ではプレイヤーが銃を使うという要素そのものが廃止された。
その他の不評点
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ストーリーの所々でアニメーションによるムービーが流れるが、出来はフラッシュアニメ並で微妙。
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これは製作期間の都合でカットシーンを外注に依頼したためとのこと。
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フェイスのビジュアルが典型的な東洋人顔の為に不評。
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これに不満を抱いた海外のゲーマーたちがこぞって修正画像を作成したが、これにキャラデザインの担当者が激怒するという事態に発展した(参照)。
総評
美しいグラフィックと一人称視点でのパルクールアクションのスリル・爽快感の評価は高い。
一方で、操作性や一人称視点で激しいアクションをする必要があるゆえの難易度の高さ等が評価を下げてしまった。
しかしながら独特の世界観とビジュアル、独特のアクションに魅了されたファンも多い。中々の魅力を持った一作である。
後年になって続編が発売されるが、本作の純粋なアップグレードというよりは変更された要素も多く、あまり望んでいた形にならなかったと初代を好むファンもいるようだ。
余談
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本作は「Unreal Engine 3」ベースで作られているが、これは「開発が始まった時は自社のエンジンであるFrostbiteがまだ完成していなかった」というシンプルな理由によるもの。
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なお、完成したFrostbiteは主に『バトルフィールド』シリーズの開発で使用されている。
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実際にプレイしたユーザーからの評判は上々だったが、売り上げとしてはメーカー側の期待を下回ってしまったらしく、すぐに制作される予定であった続編がキャンセルされてしまったという報道も発売当時には存在した。
その後の展開
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ビジュアルに魅了されたファンからシステムを改善した続編を望む声も多かったため、7年の歳月を経て2016年に6月9日に続編である『ミラーズエッジ カタリスト』がPS4/One/Winで発売された。
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『カタリスト』では『バトルフィールド4』でも使われた「Frostbite 3」がゲームエンジンとして採用されている。
しかし、主人公のビジュアルは相変わらずであった。
最終更新:2024年02月25日 15:00