ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団
【はりー・ぽったーとふしちょうのきしだん】
ジャンル
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パズル/アドベンチャー
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対応機種
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ニンテンドーDS
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メディア
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512MbitDSカード
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発売元
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エレクトロニック・アーツ
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開発元
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EA Bright Light
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発売日
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2007年11月22日
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定価
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4,800円(税別)
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プレイ人数
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1~2人
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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判定
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なし
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ポイント
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ハマりやすいミニゲーム群 手軽だが自由度は高くない
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ハリー・ポッターシリーズ
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概要
J.K.ローリング作のファンタジー小説である『ハリー・ポッター』シリーズの第5作『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』の映画版をDSでゲーム化した作品。
システム
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本作はタッチパネル(と一部マイク)をふんだんに用いたミニゲームが主になっている。
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ハリーは十字キーで動かすことができ、イベントや対象物と遭遇したり調べたりすると、ミニゲーム画面に移行するというのが主な流れ。
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シナリオは1本道であり、ホグワーツ内を歩き回ってイベントを起こしていく。DS画面左下には方位磁針のように回転する指のアイコンが存在し、ハリーたちが行くべき道を常に指し示してくれる。
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ミニゲーム
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日常的な物体に呪文をかける、授業をこなす、いずれも制限時間があり、所定内に決められたタッチペン操作をこなせばクリア。
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日常的な呪文一覧
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このミニゲームはクリアできないとできるまでやり直しとなる。
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レパロ(壊れたものを直す呪文)
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渦巻き模様が回転するので、その四隅にある点が光ったらすばやくタッチしていく。
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タッチが成功すると、渦巻きの回転が速くなっていく。この速度を一定時間保つことが目標となる。
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デパルソ(整頓の呪文)
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円形の図形の円周部分を「○」マークがまわるので、そこをタッチペンでなぞりつづける。
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一定時間なぞりつづけることが目標。
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アクシオ(物体を引き寄せる呪文)
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DS下画面を縦横無尽に飛び回る小さい魔法陣を制限時間内に、必要回数タッチする。
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ウィンガーディアム・レヴィオーサ(浮遊呪文)
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画面中央の竜巻から飛び出す白い球をすばやくタッチする。
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白い球は放置していると画面外側に飛んでいってしまう。
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インセンディオ(火をともす呪文)
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炎の魔法陣の中を行き来する火の玉が、魔法陣の端にたどり着いたところをタッチしていく。
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授業のミニゲーム一覧
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授業ミニゲーム
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制限時間とノルマが課せられている。失敗してもいいが、ひどい成績をつけられてしまう。
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魔法薬
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制限時間内に、鍋に適切な材料を適切な数だけ取って入れていく。時折DSマイクを息で吹く必要がある。
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変身術
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制限時間内に決められた図形を塗りつぶす。線を大幅にはみ出したりすると失敗。
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天文学
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DS上画面に表示される星座と同じになるように、DS下画面に表示される星を線で結び星座をつくる。
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薬草学
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植物が植わった鉢が3個程度置いてある。植木鉢はランダムに数字を表示してくる。
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この数字の回数どおりに植木鉢をたたくと植物が生長する。(たたきすぎると成長しない)。
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戦闘ミニゲーム
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シナリオ進行中は、ちょくちょくスリザリン寮生と戦闘になる。
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システム自体はターン制のRPGといったところ。先手にハリー側のひとりが行動。後手にスリザリン側のひとりが行動といったところ。
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先に敵側の全員のHPを0にできればクリア。MPの概念もあり、高度で強力な魔法を使うほどMPの消費は多い。
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こちらの攻撃時には、DSが指し示す図形を正しく描かなくては成らない。変な図形を描くと魔法の効果が減ってしまう。
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シナリオを進めることで、「必要の部屋」に立ち寄りより強力な魔法を身につけていける。
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その他
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透明マントで移動する際に、足音を立てないようにタイミングよく足跡マークをタッチするゲーム。
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橋の欄干を綱渡りする際に、落ちないように左右でバランスをとるゲーム。
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スネイプから閉心術を教わる際に、ハリーの脳内から思考(青い球)が逃げていかないようにタッチペンで引きとどめるゲーム。
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などがある。
評価点
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グラフィック
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キャラの立絵グラが映画のものに準拠している。当人さながらとまではいかないものの、表情や口パクのモーションもきちんと用意されてある。
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ホグワーツの大階段、談話室、トイレなど映画に出てきた名所が再現されている。
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シナリオのテンポ
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ゲーム中にプレイヤーに課される課題が簡単なものが多く、サクサクシナリオを進めることが出来る。
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マップが広大だがそれに対してロード時間が殆どない。
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手軽にできるミニゲーム
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校内の探索や移動に応じて様々なミニゲームが課される。
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クリアしてしまうと再挑戦できないが、ジャンルが多岐にわたり熱中度は高い。
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呪文詠唱やO.W.L.の試験、閉心術、校舎を探索するためのアクションといった様々なシチュエーションをミニゲームでこなすことに。またそのミニゲームがシナリオとがなかなかうまくかみ合っている。
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O.W.Lのミニゲームはきちんと成績も付けてくれる。
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画面が探索用のものとミニゲームようのものと、頻繁に入れ替わることになるがロード時間は短い。
問題点
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日常シーンにて、呪文を唱えるのが面倒臭い
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校舎にあるしかけを動かすために呪文を唱えようとすると、クリアまで30秒ほどかかるミニゲームをこなさなくてはならない。
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このミニゲームはタッチパネルを使ったものであり最初こそ面白いのだが、ゲームに慣れてくると段々と鬱陶しく感じるようになる。
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該当する仕掛けを無視することも可能。ただしこのような仕掛けは絨毯を敷き直すといった「掃除・整頓」の類が多いので、効率を重視しかつ校内の景観も気になる人にとってはジレンマに。
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シナリオ再現度
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強引なシナリオ改変はあまり存在しないが、相変わらず攻略のテンポを優先したために説明不足となっており、原作小説もしくは映画を知らない人にとっては意味不明になる。
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イベントはフォトショットがスライドしていくという技法が多用されている。
このショット自体は綺麗なのだが、本来の流れを知らない人にとっては何が起きているのかわかりにくい。
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原作の流れを変える改変
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スネイプはヴォルデモートの干渉に備えて閉心術をレクチャーするのだが、原作ではハリーがとったとある行動が原因で彼を怒らせてしまい中止される。このレクチャーの中止がとある人物の死の一因となっている。
しかしそれがゲーム内では特に理由も説明されないまま、スネイプの意向で唐突に中止させられてしまう。これでは彼に同情するどころか悪印象を抱いてしまう。
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ミニゲームの説明
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ミニゲームのルール説明が不親切に感じられるものもある。
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忍び足をしてアンブリッジの手下どもをかいくぐるるため「タイミングよく」タッチ、細い足場をバランスを取って渡るために「スライド」する操作にはクセがありてこずる人がいると思われる。
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無理矢理挟んだ戦闘
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原作でもゲームでも、ヴォルデモートの勢力が拡大しているのに戦闘準備をさせてくれない教育制度にハリー達は嫌気がさし、必要の部屋という修業場所を見つけて対人戦の練習を行うことになる。
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しかしこの練習の成果を生かすためなのか、ゲーム本編ではマルフォイと戦闘することがやたら多く、少しシュールに感じられる。
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そもそも映画でハリーとマルフォイが直接戦火を交えるのは、必要の部屋の場所がアンブリッジに知られた時ぐらい。
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肝心な戦闘のところも作業ゲーとしての一面が強く、ゲーム終盤になると難易度が上がるというわけでもない為飽きが来やすい。
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終盤でダンブルドアとヴォルデモートが戦火を交えるシーンももちろん戦闘化してあるが、仕様がハリーたちが行っていた戦闘のものと全くもって変わらない(呪文もハリーたちの使い回しである)為盛り上がりに欠ける。
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クリア後にすることがなさすぎる
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ラスボス戦を終えると自由時間が与えられるのだが、やることが全くと言っていいほどない。
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広大なホグワーツ敷地内を散策できるが生徒は殆ど誰もいない、地図も存在しないので散策も思うようにできず、呪文を唱えるような仕掛けが転がっているわけでもない。
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ロード不要を維持しながらかなり広めのマップを作ったのにもかかわらず、このマップを活かせていないので勿体ない。
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強いてできることを挙げるなら、シェーマス・フィネガンとコブストーンという遊びができるぐらい。
なぜかクリア後の彼はハリーにぴったりくっついてきているようで、校舎内のどこでもゲームが可能。
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シナリオで登場したミニゲーム群を特典として遊べるようにする機能も搭載していない。せめてO.W.L.関連のミニゲームはあっても良かったのではないか。
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評価点の裏返しになるのだが、本編自体もかなりあっさりと終わってしまうことで、クリア後に物足りなさを感じるプレイヤーが多いと考えられる。
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このあっさり加減はニューゲームしやすいという手軽さにも繋がってはいるだろうが、したところで何か特典が用意されているわけではない。
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マルチ対戦モードでこれらのミニゲームのうち一部、さらに新規にクィディッチが行えるが、ゲームを2つ揃える労力に見合っているかは疑問。
総評
ハリーの目線で繰り広げられるミニゲーム自体はかなり面白く、魔法使いの世界で冒険する楽しみは十分味わえる。
しかしストーリーや完成度の高いホグワーツの世界を堪能することはできず、ファンアイテムとしては痒い所に手が届かない。
とにかく単調なつくりがネックになってしまった一作。ストーリーは期待せず、あくまで「自由度の低めなミニゲーム群」だと思ってプレイすることになるだろうか。
最終更新:2024年07月13日 22:55