Hook
【ふっく】
| ジャンル | アクション |  
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| 対応機種 | スーパーファミコン | 
| メディア | 8MbitROMカートリッジ | 
| 発売元 | エピック・ソニーレコード | 
| 開発元 | 浮世亭 | 
| 発売日 | 1992年7月17日 | 
| 定価 | 8,500円 | 
| 判定 | なし | 
| ポイント | もっさりした動きのピーターパン | 
 
概要
有名な童話のキャラクターである永遠の少年ピーターパンを題材として1992年に公開されたロビン・ウィリアムズ主演のファンタジー映画『フック』のゲーム化作品。
ジャンルはアクションゲームとなっており、大人になったピーターパンことピーター・バニングを操作して子供をさらったフックに戦いを挑む。
ストーリー
冴えない中年男のピーター・バニングは、実はかつてネバーランドで名を馳せた永遠の少年ピーター・パンその人だった。
今ではパンであることを止めて大人になり、二人の子供に恵まれていたが、大人になったことで今の彼からは
ピーターパンだった頃の記憶は失われていた…。
ある夜、ピーターパンの宿敵だったフック船長が彼の子供たちをさらってしまう。
困惑する彼の前に現れたピーターパンの相棒の妖精ティンカーベルに導かれ、
ピーターは再びピーターパンとなって子供たちを取り戻すための冒険にでるのであった。
ゲーム内容
オーソドックスな面クリア型横スクロール2Dアクションゲーム。
ステージ開始時にはワールドマップが表示されるが、一本道でクリア済みのステージには戻れず、順番にステージをクリアしていく。
ライフ制+残機制。ダメージを受けるとライフが減り、0になると1ミス。残機0でゲームオーバー。コンティニュー回数は無制限。
基本操作
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十字ボタン
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左右への移動。Yボタンを押しながら移動すると徐々に加速して走り出す。
 
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Yボタン
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ナイフを振って攻撃。
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ピーターパンの剣を入手するとリーチが伸び、振ると同時に衝撃波を放って遠距離攻撃できる。
 ダメージを受けると剣を失い、固定の位置に配置されている剣を取ることで再び使えるようになる。
 
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Bボタン。
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ジャンプ。ダッシュ中にジャンプすると横方向へ大ジャンプする。落下中にボタンを押しっぱなしにすると落下速度を若干だが緩めることが可能。
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水中では水に入ってからそのまま放置しておくと下へ沈んでいくようになっており、Bボタンの押しっぱなしでキャラの位置を固定して十字ボタンで移動する。
 
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飛行アクション
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ステージ内の要所要所に妖精ウェンディが待機しており、彼女が振りまく妖精の粉を浴びることで飛行ゲージが溜まっていく。
 この状態でジャンプ中にBボタンを再入力すると宙に滞空して飛行モードに移行する(飛行中にBボタンで解除)
 滞空中に十字ボタンを押すことで自由に空中を移動できYボタンで加速する。
 時間経過でゲージが減っていき空になると飛行モードが解除されてしまう。
 
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体力値は木のマークで表され、ロストボーイたちが落としていくフルーツアイテムを取ると体力が回復する。
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体力値は特定のアイテムを取ることで最大値が増える。
 
賛否両論点
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原作でのストーリー展開が変更もしくは端折られている部分が多く、原作の再現性は低め。
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原作ではピーターがピーターパン時代の過去の記憶を取り戻すのは終盤近くになってからだが、本作では映画版においてロストボーイたちがピーターに空を飛ぶためのトレーニングを施すシーンに当たる1面クリア後のクリアデモの時点でさっさと思い出してしまう。
 また「大人になったピーターは子供の心を忘れた猛烈な仕事人間」という設定で「子供の心を思い出すことで家族との間に生まれた溝を乗り越える」というのが映画版の筋であったが、やはり割愛されている。
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ステージ構成もオリジナル色が強く、洞窟や雪原などのオリジナルステージや、原作に存在しないオリジナルの敵なども多い。
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原作の世界観をゲームとして再構築するための都合もあり、2Dのアクションゲームということでそこまでストーリー性自体が重視されるわけではないとはいえ、
 原作付きゲームだけに、映画を視聴したプレイヤーにとっては違和感と感じられやすい。
 
問題点
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主人公のアクションが重くもっさりしている。
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ジャンプは非常に重くゆったりとしており、落下速度も遅い。
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Yボタンダッシュ中は慣性が働いているため方向転換するにも動きが鈍く隙が大きい。
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ダッシュ中は急には止まれず、ダッシュをやめると速度を緩めて数歩早歩きしてから停止。
 ダッシュしながら攻撃するとそのまま前方に向かって滑るように動き、武器を振る動作中に大きな隙が生まれてしまう。
 この癖のある動きゆえに敵と不意に衝突してしまいやすく、動きの鈍さもあって軽快な立ち回りができないのでストレスが溜まり易い。
 
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初期装備のナイフもリーチが短いため慎重に間合いを図らなくてはならず、上記のダッシュ中の動きの癖にも注意しなくてはならない。
 
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ピーターパンの象徴とも言うべき「飛行アクション」が非常に難しい。
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飛行ゲージの減少速度が速く何も考えずに自由に飛び回っているとあっというまにゲージが尽きてしまうため、無駄な動きは命取りとなる。
 故に常に慎重な操作が必要とされるため、せっかくの飛行アクションなのに爽快感が薄い。
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通常のジャンプと飛行でBボタンを使い分けなくてはならないため、注意しないと不注意の飛行解除で落下死という事態が起きがち。
 
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難易度が高い
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もっさり感満載の動きや飛行アクションの難しさが大きな要因である。
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2面のボスからして、両端が足場、中央が一面のダメージ床となっているステージいっぱいを占拠する敵の戦艦や戦艦からばらまかれる爆弾を飛行でかわしつつ攻撃するというテクニカルな攻略を要求され、非常に難しい。
 このボス戦では縦に2画面分広くなっているため、画面上部に飛ぶことで大きくかわすことができるようになっているのだが、ダメージ判定のある戦艦の乗組員は横からだけでなく下からも顔を出してくる上に通常武器のリーチが短いため、遠距離攻撃ができるピーターパンの剣を持っていないと攻略に難儀する。画面上部に広く空間が空いているということ自体にも気付き難い。
 
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飛行ゲージを途中で補充しながら足場のない空中を進んでいく強制横スクロールステージ等もある。
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前述の通り、ピーターパンの剣は一回のダメージで失ってしまう上に、入手機会も多くないので、余程うまいプレイヤーでもない限りゲームの大半をナイフで戦うことになってしまう。
 
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中間地点が一部のステージにしか存在しない。
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比較的長いステージには中間地点があるが、短いステージではないため途中でミスした場合ステージ冒頭からやり直しとなる。
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またステージの長さに応じて複数の中間地点が用意されてる面もあるが、コンティニューした場合はやはりステージ冒頭からやり直しであり、難易度の高さも相まってストレスが溜まり易い。
 
評価点
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ゲーム向けにアレンジされた箇所は多いが、原作の世界観を著しく逸脱するといえるほどではなく、原作の明るい雰囲気や無国籍調溢れるファンタジー世界を再現している。
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ロストボーイのリーダー・ルフィオとの戦いと彼の死、フック船長の最後等の原作での見せ場も再現している。
 
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世界観にマッチした明るく大らかなBGM
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原作で使われていたメインテーマや主題歌等もアレンジの上で使用されている。
 
総評
世界観やストーリーにおいて原作からかけ離れたイメージが目立つが、原作映画の明るい世界観はしっかり尊重した上でアレンジされている。
一方で、ゲーム的な面ではもっさりとした動きの癖を熟知した上での計算された動きと慎重なプレイが要求される作りになっている故にストレスが溜まり易い。
大空を自由に飛ぶピーターパンがテーマなだけに、爽快感のない仕上がりになってしまっているのは残念なところである。
余談
本作は海外SNES版の他にGenesis(海外メガドライブ)やSEGA-CD(海外メガCD)、ゲームギアにも移植されている。
全て日本未発売。FC/GB版は題材が同じなだけの別ゲーである。
GenesisとSEGA-CDはグラフィックの色数が少なめなことを除いてほぼそっくりに作られておりゲーム内容にほとんど差がない。開発はCore Design。
ゲームギア版はさすがにそのままとはいかなかったためか、マップ構成が微妙に違っていたりと様々なサイズダウンが施されている。開発はSpidersoft。
いずれの機種もサウンドはSFC版をベースに各機種用にアレンジされているが、SEGA-CD版のみOPにCGアニメーションやCD-DAによるボイスパートが追加、BGMは原作サウンドトラックの生演奏音源が使用されている。
実はアイレムからも同テーマ同タイトルのAC用ゲームが出ている。こちらは同社のお家芸とも言うべきベルトスクロールアクション。
最終更新:2023年10月23日 13:07