漂流記
【ひょうりゅうき】
ジャンル
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サバイバルライフ・シミュレーション |

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対応機種
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プレイステーション
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発売元
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ケイエスエス、ハムスター(廉価版) ガンホー・オンライン・エンターテイメント(アーカイブス)
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開発元
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メディアミューズ
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発売日
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1999年10月28日
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廉価版
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MajorWaveシリーズ:2003年3月20日/1,575円(税5%込)
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定価
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5,800円(税別)
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配信
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ゲームアーカイブス:2011年7月6日/600円(税5%込)
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判定
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ゲームバランスが不安定
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ポイント
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前作から大幅に進化したリメイク、恋愛要素が追加 難易度上昇
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無人島物語シリーズ
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概要
『無人島物語』をリメイクした『無人島物語4』の移植作。
グラフィックやシステムを大幅に改良、より強化されたサバイバルシミュレーションになった。
前々から「無人島じゃないだろ」と突っ込まれてきた為か、『漂流記』にタイトルが変更された。
特徴
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飛行機事故に遭った主人公が流れ着いた島から、共に遭難した仲間達と共に脱出することを目的としたサバイバルゲーム。
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プレイヤーは6人の登場人物を2人1組として指示を出しながら、少しずつ生活の基盤を築き、脱出手段を考案していく。
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SFC版は各グループの1日~3日の行動を決定して、自動で行動が終了して結果が出たが、今回はプレイヤー自身が3グループを同じ時間進行の間で動かす形式になった。
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2組はAIで任せることができ、調査・探索・休憩などを指示できる。
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グループ内には仲が悪く組み合わせ、仲が良い組み合わせがあり中間管理職のような気分も味わえる。
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島に点在する多種多様なアイテムを収集してそれらを材料に様々なアイテムや施設を作り、最終的にはこの無人島から脱出するための道具を作っていく。
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制作には材料の他に設備や文明度と呼ばれるパラメーターも上げなくてはならない。
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生活する上で必要不可欠な食料や水の調達もきちんと行わなくてはならず、作成に偏るだけでは生活できなくなっている。
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パラメーター
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キャラにはパラメーターがありこの数値で工作の時間や作成が変化する。
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また運べる量も変化する。
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伝言板
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伝言板にはキャラクター達の書き込みや島の情報などが記入されており、プラントに置いてある。
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また重要なアイテムは材料を教えてくれる。
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『無人島物語4』からの変更点
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バグの修正
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会議が廃止され、代わりに掲示板が設置された。
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マウス移動型からコントローラ操作に変更。操作性は向上した。
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画面に対するキャラの大きさが大きくなった
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一部アイテムの名前の変更
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照明器具1→たいまつ、照明器具2→ろうそく、精密ドライバーセット→精密工具セット、等。
評価点
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SFC時代から正当進化した高グラフィック、ドット絵が島の内部が丁寧で描かれている。
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キャンプや洞窟なども立体的になり、より没入感が増した。
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一枚絵も以前は粗いグラフィックだったが、今作はイラストになっている。
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300種類のアイテムが登場するが、全てに絵がついている。
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恋愛要素
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前回とは違い、女性キャラクターと主人公に恋愛描写がある。
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3パーティーの指示
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3パーティーをどのように指示するか、どのアイテムを作るか、誰を探索するか考えるのは戦略要素があり評価されている。
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またどんどんアイテムが作れて、どんどん探索すると中毒性があり、止め時が分からなくなる。
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システム
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今回からキャラを自由に動かせることが出来て、島中に探索できてよりサバイバル感が増した。
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動物が登場しており、銃や弓または素手でも倒せる。倒したら材料や食料にできる。
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また道具を作成したらキャラに持たせて、探索を有利に進めることができる。
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マップ
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マップも全9ステージと以前より大きくなった。次のフィールドに行くためにはアイテムを作る必要があり謎解き要素もある。
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ワープ
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条件が揃うと旗が作れて、特定の場所に立てると、どこからでも立てた旗の元に行ける。
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時間も経過しないで行けるのでとても便利。
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AI機能
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今作ではアドベンチャー要素が強化されて、独立したキャラクターを動かせる。
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3つのパーティーに分けてその中の1パーティーを自分で操作するわけだが、他の2パーティーにはAI機能を使って無人島を探索したりアイテムを調達してもらったりでき、めんどくさい水汲みや資材調達がAIに任せられる点は評価されている。
賛否両論
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主人公の性格変更
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以前は名無しで名前をプレイヤーが設定できたが今回は名前が「トオル」で固定されており、キャラ付けされている。
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小学生の少女に「使えない奴」と言うなど少々口が悪い。以前の紳士的な主人公とは違った性格である。
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また作業終了時には敬語になるなど、設定にブレがある。
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とんでも部分も強化された
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グラフィックが強化された為、前回から続くとんでも描写がさらに増した。例えば小学生と建築家志望の青年が、いきなり流木で豪華な茅葺き屋根の木造建築を作るなど。
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ただし流木といっても丸木ではなく、都合よく大量の挽き材が浜辺に流れ着いてる。
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石油が池のように湧いているなど、ツッコミどころ満載。
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これら素材の都合が良さには隠された理由があり、主人公や仲間も疑問を持つようになっている。
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自分で情報を集めるゲーム性はそのまま
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アイテム作成において、「素材を集めて、文明度条件を満たす」と、今作れるアイテムが分かるという形式は引き継いでいる。その為、「こんなアイテムがあれば進めるんだろうけど…」と思っても、探索して素材を見つけてくるまでは何が必要なのか分からないし、素材があっても文明度不足であれば作れないし文明度不足も教えてはくれない。
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この点は「探索して見つけたもので出来る事をする」というゲーム性部分ではあるのだが、発売時期のクリエイト系のゲームに慣れていると不便に感じやすい。
問題点
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必須アイテムがマップの順番通りではない
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その為、「先に進んだにもかかわらず装備不足で無駄足」ということが頻発する。
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特に「懐中電灯」は終盤に製作出来るのに対して、懐中電灯を必要とするエリアが先に見つかる為勘違いするユーザーが多い。
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EDについて
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EDパターンが『無人島物語』では11種類あったのが8パターンに減っている。
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『無人島物語』時点での問題も引き継いだままである。
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ED描写に使いまわしが多い点や、エンド分岐条件がゲーム中に示されない為に分かりにくい点はそのままである。
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EDの時間制限が厳しい
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元々『無人島物語』時点でより良いEDを見る為にはクリアまでの日数を出来るだけ早める必要があり、真EDを見ようとするとあまり余裕のないゲームだったが、出来る事がそこまで多くなかったのでまだ効率化もしやすかった。今回は色々と出来る事が増え、やる事が少々複雑化した割には、日数が厳しいのもそのままで、さらに「文明度と日数でEDが分岐」していたのが、「脱出アイテムごとに日数条件が設定」された。
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例えば高度な技術が必要な立派な脱出手段であれば、「80日以内でBest、90日以内でGood、91日以上でBad」と分岐するのだが、一番簡単なカヌーだと、「40日以内でBest、60日以内Good、61日以上でBad」となる。
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その為、物資調達とアイテム作成に手間取ってのんびりしていると、どんどんEDが悪化していく。
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AIがあまり思うように動いてくれない。
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パーティは建物から出ないしマップ移動もしないので、プレイヤーが一々移動させなければならない。
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ベースキャンプ内ではまったく動かず、マップで放って置くと延々と近場のアイテムを手当たり次第に集め続ける。
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ダッシュがなく、時間自体を速めるだけ。
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AIは持ち物の配置をまったく考えない。
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操作を預けた直後に、かさばるラワン材やパイン材を持てるだけ持ってしまい身動きが取れなくなる…というのは日常茶飯事。
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アイテムが捨てられない
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キャラクターが持てる重さを超えている場合は「重くてもう持てないよ!」と怒るのだが、こういったアドベンチャーゲームには必須のアイテムを捨てるコマンドが存在しない。並べ替えは出来るが、根本的な解決にならない。
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持ち物がいっぱいなら小屋に帰り再び戻らなくてはならない。旗ワープが出来るようになるまではおちおち遠出も出来ず、ストレスが溜まる。
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イベントも少ない
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以前は多くのイベントがあったが今回色々と削除されている。
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恋愛要素が増えたが、仲間の交流のイベントが無くなっている(特に絵里奈や鈴音)。
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バグが直った結果、プレイがきつくなった
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『4』ではバグも多かったが、中にはアイテムの無限増殖、一部アイテムを取り放題、アイテム作成時間の短縮等便利な物もあり、これらが直ってしまった結果、時間がシビアになった。そのため旗の扱いが重要になった。
総評
『無人島物語』からゲーム性を変更し、原作にはないゲーム性を作れた事は良いのだが、ゲームバランスはうまく調整できておらず、ゲームクリアの為の日数制限は厳しい。
グラフィックやシステムは正当に進化したが、以前よりアイテム作成やクリア条件が厳しくなってしまった。
最終更新:2019年02月11日 18:43