ツキビト
【つきびと】
ジャンル
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アドベンチャー
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対応機種
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ニンテンドーDS
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発売・開発元
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SNKプレイモア
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発売日
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2009年08月06日
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定価
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4,800円(税別)
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レーティング
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CERO:B (12歳以上対象)
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セーブデータ
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3個
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判定
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なし
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ストーリー
自分にだけ見える、人にツク奇妙なモノ。
でも誰をそれを信じてはくれない。少女は悩み、世界を諦めようと決意する。
人生の最期と決めた日、少女は記憶をなくした少年と出会った。
不思議な存在「ツキビト」の力を借りて少女は歩き出す。
少年が失った記憶、そして少女が失った世界を取り戻すために…。
(公式HPより)
概要
「キモカワイイ」のブームに乗ろうとした様に見受けられる、オリジナルのADVゲーム。
監督兼シナリオは『女神転生シリーズ』の鈴木一也、監修は「新耳袋」の著者の一人である木原浩勝。
なお、ゲーム中に「怪談おじさんミスターキハラ」という人物が登場する。
用語
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気モチ
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ツキビト
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人にツキ、人の気モチを糧に生きている。十分な気モチを得ると、ツイている人に影響を与える。
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ココロウツルシ
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フタバエル
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御ツキ神社の境内に祀られている。主人公らが神社に行くとカガミにツク。
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ツキビト界の重鎮らしい。
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ツキムシ
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ツキビトになりかけている未熟な状態の気モチの塊。影響力は弱い。
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ツキビト見
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コマリゴト主
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神楽町
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主人公たちが住む街。
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住民たちには北関東のような訛りがある。
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寂れているという人もいるが映画館もあり、そこそこの規模の地方都市のようだ。
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神楽町裏情報サイト
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ネット掲示板なのだが、新着書き込みがあると主人公の携帯にその内容が通知される。
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裏サイトというだけあり、主人公の悪口まで書かれている。
システム
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2Dマップを歩きまわるコマンド選択ADV。
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神社に奉納された絵馬からフタバエルが選んだ悩み事を主人公が解決するお使いが主体。
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コマリゴトはコマリゴト主にツイているツキビトを説得することで解決する。
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ADVパートで詰まることはほぼ無いが、後述するミニゲーム踊るをクリアしないと先に進めない箇所がある。
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踊る
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他の人についているツキビトと主人公のココロウツルシが踊ることでそのツキビトと仲良くなれる。
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具体的にはリズムゲーのようなミニゲームを行う。
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BGMは同じ繰り返しなのにタイミングのパターンは毎ターン異なる。
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判定はシビアで、不安定と言われても仕方のない難易度である。
評価点
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登場人物の数は多い
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ストーリーの惹きはある
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記憶喪失の少年の謎や、町内で様々な異変が起こることにより、ついつい先を読み進めたくなる。
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演出も力が入っている
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冒頭の白黒のムービーはその後のゲームの雰囲気と全く異なり、異様である。
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ミスターキハラの怪談部分も前後のパートと違うタッチのCGおよびフォントを用いている。
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肝試しパートは他の部分と移動方法も背景の画風も異なる。
問題点
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バックログ機能がない
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メモや用語集もなく、独特の世界観かつ独自用語が多いのに不便である。
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神楽町裏情報サイトの過去ログも、新着書き込みがあった時についでに見ることしか出来ない。
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セーブしたい時にセーブ出来ない
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イベントが発生すると、その時点からセーブ画面が呼び出せないため、ミニゲーム前にセーブ出来ない。
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ミニゲームが成功するまでその先に進めないが、ミニゲームを失敗しても再チャレンジかゲーム終了しか選べず、やはりセーブ出来ない。
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鬱要素
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主人公がいじめられっ子で自殺を考えていたというプロローグからも分かるように鬱要素は多く、エンディング直前の鬱攻撃ラッシュは、せっかく奔走したプレーヤーの心も挫き、人を選ぶどころか、誰得?と言いたくなる展開である。
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よくよく考えると、終盤に無気力になったJK3人組やランナー等は、結局救われていないのではないか。
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回収されなかった伏線がある
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口裂け女呼ばわりされている人物は誰だったのか? など、語られなかったエピソードがある。
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後半になってからの急展開
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夏休み中だというのに唐突に転校生登場、パッケージに登場しているキャラも全く活躍せず終わりなど、「打ち切りが決まって無理やり風呂敷をたたむ漫画」を読まされている感覚。
賛否両論点
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町内の移動が面倒
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自宅およびカガミの家の中は目的地に直接移動できる。
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町内の移動は目的地が決まっていても、1マスごとしか移動できない。
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ただし、これは町内の人々にふれあうことで、誰にどんなツキビトがツイているかを覚えさせる目的があったのではないかと推測される。
誰にどんなツキビトがツイていたかを覚えていないと、終盤の混乱がイマイチ楽しめないだろう。
総評
中盤までは良ゲーの雰囲気があったが、ミニゲームの難易度が急激に上がるためストレスが溜まりだし、終盤の超展開と鬱攻撃でガッカリするという流れのゲームである。
また、メッセージスキップやバックログなど、DSのADVには搭載されていて当然レベルの機能がなく不便である。
様々な設定は凝っているのにゲーム内で十分に使いこなせているとは言い難く、例えば、登場人物が多く、寄り道することで色々な奇人変人と触れ合えるが、欲を言えばもうちょっとストーリーに絡めて個別にピックアップして欲しかった。
このように、魅力のある素材はあるのに上手く料理できなかった感が強い、残念な作品と言える。
余談
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公式HPに当たる「ツキビト研究所」では、発売の半年以上前から『女神転生』の原作者である西谷史による小説「ツキビト文学」が連載されていた。
なお、現在は閲覧できなくなっている。
最終更新:2021年08月09日 19:43