オーディンスフィア レイヴスラシル
【おーでぃんすふぃあ れいう゛すらしる】
ジャンル
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2DアクションRPG
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対応機種
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プレイステーション4 プレイステーション3 プレイステーション・ヴィータ
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発売元
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アトラス
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開発元
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ヴァニラウェア
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発売日
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2016年1月14日
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定価
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7,980円(税別)
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備考
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クロスセーブ対応
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判定
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良作
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概要
2007年にPS2で発売された『オーディンスフィア』のリメイク作品。
グラフィックのHD化に加え、基本的なゲームシステムにもほぼ別物レベルに大幅な改修が行われている。操作感覚はオリジナル版の後に開発されアクション面も好評だった『朧村正』に寄せられており、アクションRPGとしての快適性およびゲーム性は大いに増した。
また、今作のシステムである「リファインモード」に対して、オリジナル版のシステムを搭載した「クラシックモード」も同時収録されている。
いずれもストーリー部分には手が加えられていないため、ストーリーについてはオリジナル版のページを参照。
オリジナル版との変更点
基本システム
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キャラクターの選択順は固定であるが、各シナリオのクリア後はシナリオラスボス直前の状態となる。そのためわざわざシナリオを初めからやり直す必要はなくなった。
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また、ワールドマップから章を変更でき、クリア済みのラウンドに再挑戦することも可能。
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ラウンドの構成が、従来の円形ステージがバトルステージ・ボスステージとして扱われるのに対し、円形でないフリーステージや、敵が出現せずショップや後述のアイテムボックス、出張レストラン等の登場するレストステージが追加された。
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また、ラウンドの各所にチェックポイントが追加され、スタートボタンで通過済みのチェックポイントにワープできるようになった。
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加えて木箱や壺など、攻撃によって破壊可能なオブジェクトや、鍵や特定のアイテムで開く扉などのギミックが追加された。
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雪山、炎の国における継続ダメージがなくなった。
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これに伴って「ウォーマー」「クーラー」の効果がそれぞれ一定時間凍結、炎上の状態異常を防ぎ、それぞれが発動する攻撃のダメージを半減する効果に変更された。
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サイファーのレベルが廃止されたことでレベルはキャラクターのものに一本化され、それに伴ってレベルアップにより上昇するステータスとして、STR、CON、DEX、LUCといった基礎値が実装された。
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状態異常で呪いが削除された。これにより「キラークラウド」の効果も変更された。
戦闘
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メルセデスを除き、通常攻撃にPOWゲージを消費しなくなり、サイファーゲージがサイファーポイント(PP)に変更された。
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POWゲージについては一部サイファースキルの使用で消費され、スキルを使用しなければ自動で回復する。
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PPはフォゾンを1つ吸収すると1回復するほか、魔法薬で回復することも可能。
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メルセデスはPOWゲージを全消費しなくてもリロード行動を行えるうえ、クリティカルでもPPを回復できる。
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オズワルドのバーサークは専用のゲージが用意され、満タンのとき発動できる。任意での解除も可能。
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相手に攻撃を与えると増加するほか、下記の溜め攻撃やスキルの使用でさらに増やすことができる。
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また、PPを使用した簡易バーサークを発動できるスキルも存在。
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自身の使用した魔法薬はスキルでダメージを受けなくなったため、自滅の心配がなくなった。
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全キャラでガードが可能となったほか、回避行動が可能となり、敵の攻撃に対する対抗手段が増加した。
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また、スライディング攻撃や溜め攻撃のほか、落下攻撃、ダッシュ攻撃等の共通アクションや、各キャラ固有の攻撃行動が追加された。
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対する敵の行動も全て調整が為されたほか、一部的には新たなアクションが追加された。中にはオリジナル版とまるで異なる行動を取る敵も。
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ボスのHPが一本のゲージから複数のゲージに変更され、一定量削ると行動をキャンセルしたり、フォゾンやアイテムを放出したりするようになった。
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敵の行動および各攻撃の威力についても見直しがなされた。
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ステージクリア時の評価もクリア時間と被ダメージ量に加え、スキル発動数、最大チェイン数、魔法薬使用数などの評価基準が追加された。
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評価基準が追加されたため、キャリーオーバーが廃止された。
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敵が落とす宝箱が自動で開くようになったため、時間経過による消滅がなくなった。
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また、宝箱も複数回攻撃する必要がなく、1回の攻撃で開くようになった。
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ステージクリア後に、リトライすることができるようになった。
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オリジナル版ではリトライは戦闘中にしか行えないうえステージの外に出てしまうため、専らスキルや魔法薬で自殺するという手法が用いられた。
サイファー
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サイファーの成長システムが変更され、吸収したフォゾンを一定数消費することでサイファーの強化およびスキルのレベル上げができるようになった。
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フォゾンは吸収行動を行わなくても自動で吸収されるが、吸収行動を行うと早く吸収できる。
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また、吸収したフォゾンは放出することができ、あらかじめ戦闘前に種を植えておかなくてもよくなった。そのためホームポイント等での種育ても可能となった。
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スキルは先述のようにPOWゲージを消費するものと、PPを消費するものの二つが存在。
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スキルの習得には特定のラウンド中に存在するフォゾンプリズムを入手する必要がある。一部のフォゾンプリズムは隠し部屋に存在することもあり、スキル画面に場所のヒントが書かれている。
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スキルのレベルを上げるとスキル自体の効果が増すほか、キャラクターの攻撃力やPPの最大値が増加する。
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スキルの発動についてはオリジナル版同様の発動法に加え、ショートカットを登録でき、用意かつ瞬時に発動できるようになった。
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加えて奥義技というスキルは、レベルが一切上げられないうえ必要なポイントも多いが、高威力かつ範囲が広い等、その名に恥じぬ性能である。何より演出も凝っているため、一見の価値あり。
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なおオリジナル版で存在したスキルの一部は、魔法薬で発動することができる。
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また、キャラクターのレベルを上げるとアビリティを習得できるポイントが入手できる。アビリティは強化できないが、共通のものからキャラクターそれぞれの個性が増すものまで多く用意されている。
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例を挙げると、共通のものでは敵撃破時にPOWが回復する「パワーサプライ」や、メルセデス固有のものではリロード時間が短縮される「クイックリロード」といったものがある。
アイテム・合成
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アイテムリングがアイテムの種別に分かれるようになった。
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種とマンドラゴラは各種類ごとに9個までスタックされるようになり、アイテムの最大所持数に加算されないため入手しやすくなった。
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オプションで表示形式をリングとカバンで切り替えることができ、後者では画面から見切れることがないという利点がある。
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カバンウィンドウが廃止された代わりにアイテムボックスが追加されたため、余剰のアイテムを保管しておくことが可能となった。
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使用できるのはホームポイントか、各ステージのアイテムボックスが置いてある場所のみ。
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また、最終章解放後は全キャラクターのアイテムボックスをそれぞれのキャラで使用可能。つまりキャラ同士のアイテムの受け渡しができるようになる。
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なお特定のステージで入手できるカバンに関しては、入手時に最大所持数が増加する。
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複数回使用できるアイテムは食べ物だけになった。
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また、食べ物と種については使用に際してまとめ食べ、まとめ植えが行えるようになり、逐一アイテムリングを開かなくてもよくなった。
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マジックミックスに関する仕様が大幅に変更された。
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マテリアルと対応する素材があればそれだけで合成が可能となり、レシピが不要となった。
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完成する魔法薬も一新され、効果が追加されたものから全く新しいものまで登場した。
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例えば「シャイン」は冥界の闇を照らす効果に加えて、近くの敵をめまい状態にできるようになった。
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「メタモルフォーズ」はカエル状態を解除するほか、前方に敵味方問わずカエル状態にする霧を発生させることができる(ボス等には無効)。
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「ウォーマー」「クーラー」「ウーズ」については合成以外での入手アイテムとなった。
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先述のようにそれぞれ効果が変更されたほか、「ウーズ」によるボスのハメは不可能になった。
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なおオリジナル版の「ブリザード」等のオミットされた魔法薬は、一部がサイファースキルとして習得される。
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また、マテリアルを使用しなくても、素材のみでもあらゆる魔法薬から別の魔法薬が合成できる。
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加えて魔法薬にはランクが存在し、素材以外のアイテムを合成することでランクが上昇、効果が強力なものとなる。
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例えば「ヒール」はランク1では回復量は100と、オリジナル版の半分しか回復できないが、ランク9になると1度で7000も回復できるようになる。
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装備品はオリジナル版とほぼ共通であるが、一部効果が変更されているほか、装備すると防御力が上昇する。
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また、装備品に「+1」等の数値が付随しているものがあり、それらは防御力が元の装備より高く、効果が追加されている。
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高い数値のアイテムは後述の「XTRA MODE」でしか入手できない。
通貨
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ラグナ銀貨、タイタン金貨がショップでそれぞれ1G、10Gとして扱われ、所持数および使用硬貨の指定等のシステムは廃止された。
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一方の3種の記念硬貨はオリジナル版同様所持数が分かれており、料理施設での使用限定となった。
食事
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「プーカキッチン&カフェ」は素材の持ち込みが不要で、3種の記念硬貨をそれぞれ一定数消費することで対応する料理を食べられる、というものとなった。
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レシピはキャラごとにストーリーを進めることで追加され、高い経験値が得られるものは終盤まで進めなければ選択できない。
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加えて各ラウンド中のレストステージにおいて、「モーリィの出張レストラン」が利用できるようになった。
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こちらは各地で入手したレシピと、対応する素材を持ち込むことで、料理を食べることができる。こちらは硬貨の消費は不要。
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レシピはラウンド中で入手したりショップから購入したりするほか、特定の料理を複数回食べることで追加されることもある。
その他
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クリア後はステータスやスキルのレベル・習得状況等を引き継いでの「XTRA MODE」がプレイ可能となる。
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「XTRA MODE」では敵の攻撃力が増加するうえ仰け反りや各種状態異常に対する耐性が上がっているため、同じ難易度であっても一筋縄ではいかない。
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また、オリジナル版同様難易度選択に最高難易度「HELL」が追加される。HPが初期値から増加しないことに加えて、難易度の途中変更が不可能となった。
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また、各キャラクターで「渦巻く世界の狭間」が追加される。いわゆるボスラッシュで、アイテムボックスも存在しないため、アイテムの使いどころやそれぞれのキャラのスキルを考えながら挑まなければならない。
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全キャラで「XTRA MODE」かつ「HELL」でこれをクリアできたなら、このゲームを真に極めたと言っていい。かもしれない。
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ゲーム内でオリジナル版のアートワークを閲覧できる。
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元々予約特典で入手困難なものであったため、実にありがたいご褒美だといえる。
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ただしヴィータ版では拡大することができないという問題点がある。
評価点
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オリジナル版の時点で高評価だったグラフィックが、HD化したことでより美しいものとなった。
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ステージの構成が一新されたため背景やBGMも多く追加され、オリジナル版共々評価は高い。
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攻守ともに多彩な行動が追加されたうえ、装備による防御力の概念が追加されたため、オリジナル版の問題点である死にやすい、ということは少なくなった。
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魔法薬や自身のスキルによる自滅がなくなったのも大きい。加えて攻撃が通らない敵等は存在しないため、詰むようなこともない。
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しかし骨がないわけではなく、高難度では各キャラの性能を知っていなければやられてしまうことも少なくない。
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キャラクターの性能差についても、浮遊行動やダッシュ攻撃、回避等の共通アクションが増えたため比較的縮まったといえるが、キャラごとに大きく異なるスキルやアビリティによって、いい意味で差が楽しめるようになったといえる。
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特にメルセデスについては一人だけ通常攻撃にPOWゲージを消費するという特徴を持つが、それを十分補えるスキルやアビリティがあるため他キャラと遜色なく戦えることだろう。
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むしろ飛行に関するシステムが整備されたことにより、空中での定点攻撃で右に出るものはいないといえる。
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オリジナル版で見られた長いロードや処理落ちといったハードの問題点は改善された。
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「クラシックモード」についても、マンドラゴラの出現率増加、自身のスキルによるダメージ無効といった特殊なオプションが多く追加されたことで、オリジナル版よりも快適なプレイが可能となった。
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無論、オプションを解除することでオリジナル版と同様のプレイも可能。
問題点
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好きなキャラクターからプレイできない、同じボスと何度も戦うといった問題点はオリジナル版から継続されている。
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種やマンドラゴラ以外のアイテムはスタックされない。また魔法薬はすべて一回で使い切りのため、非常に嵩張る。
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アイテムボックスも大容量とはいえ限度が存在し、逐一整理が必要となる。
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アビリティはツリー状になっているため、下のものを習得するには必ず上のものを習得しなければならず、振り直しもできないため、順序を間違えると辛い。
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スキルについては、習得に必要なフォゾンプリズムの入手がストーリーの進行によって決まっているが、レベル上げに必要なフォゾン数はどのタイミングで習得したものでも同じであるため、どの順番でレベルを上げても構わないし、フォゾンの入手方法も容易であるため取り返しのつかないことにはならない。
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明らかにゲームバランスを崩すものではないが、一部の魔法薬が強力であることに変わりはなく、とにかく魔法薬を投げていれば何とかなる、といった場面が多々見られる。
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ただし高難易度や先述の「XTRA MODE」ではその限りではない。むしろアイテムを有効活用しなければ、クリアは難しいだろう。
総評
完成されたシナリオに相応しい、快適なアクション要素が追加されたことで、ゲームとしてはより高品質なものとなったといえる。
また、クロスセーブに対応しているため、自宅では据え置き機で、外出先では携帯機で、といった風にプレイすることも可能。
オリジナル版をプレイしたプレイヤーも、今作を新たにプレイするプレイヤーも、どちらでも楽しめるような作品であろう。
最終更新:2022年03月05日 20:20