INFAMOUS ~悪名高き男~
【いんふぁますあくみょうたかきおとこ】
ジャンル
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オープンワールド&フリースタイルアクション
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対応機種
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プレイステーション3
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発売元
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ソニー・コンピュータエンタテインメント
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開発元
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Sucker Punch Productions
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発売日
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2009年11月5日
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定価
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5,696円(税別)
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廉価版
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PlayStation 3 the Best 2011年5月26日/2,838円(税別)
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レーティング
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CERO:Z(18才以上のみ対象)
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判定
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良作
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ポイント
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超能力で暴れまわるオープンワールドアクション 選んだ選択肢で能力が変化する超電磁砲 誰でもアメコミのスーパーヒーローになれる 『ゴルゴ13』並みの超遠距離射撃を見せる雑魚
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PlayStation Studios作品
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概要
とある事件をきっかけに一切の秩序や道徳が失われ、暴力・殺人・略奪が蔓延る無法地帯になった荒廃した街エンパイアシティ。
時を同じくして、超人的な能力を身に付けた主人公コールがこの街のオープンワールドマップを舞台に繰り広げる物語。
攻撃手段は全てコールが持つ電気の超能力である。
広大な街を縦横無尽に駆け抜け巡り、手から放たれる電磁派や雷で敵をなぎ倒せる。
消費したエネルギーは街中にある電気を帯びた物体(電灯や車など)から吸収できる。
特徴
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フィールド
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舞台となる「エンパイアシティ」は広大なエリアで、3つの区間に分かれる。シナリオを進めると序々にエリアが解放される仕組みになっている。
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また超高層ビルなどの建築物には、全てよじ登れる。縦・横方向の自由度が楽しめる。
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荒廃した雰囲気が全体に出ており、通行人もバッタバタ倒れ、ゴミが散乱している。
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バッテリー・コア
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「バッテリー・コア」というケージがあり、これは電気能力の弾装とも言える物で、能力を使用すれば下がる。回復には街中の電気を吸う必要がある。
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当初の数は10個だが、街中に落ちている「光る破片」を一定数集めると最大値が上昇していく。
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体力
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体力ゲージという物は無く、敵からダメージを受けると画面が汚れる。
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自動回復もするが速度は遅め。バッテリー・コア同様街中のオブジェクトから電気を吸うと瞬時に回復する。
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善悪の選択
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プレイヤーの行動によって正義の味方と危険な悪党どちらにでもなれる自由度の高さが特徴。エネルギーメーターの横にはカルマゲージが表示され、コールの行動によって善と悪のどちらかに傾いていく。善人と悪人で扱う特殊能力が異なり、受諾できるミッションも変化する。どちらに進むかはプレイヤーの自由。
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またどちらかに一方に加担するとそれぞれ称号を得られる。善はボランティア、プロテクター、ヒーローで、悪はチンピラ、アウトロー、ネメシスという称号が贈られる。
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難易度的には余り変わらないが、悪は吸命という即全回復技が気軽に使えるので多少初心者向け。善も吸命はできるが、悪に傾いてしまうため頻繁には使用できない。
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スキル
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手に入れた経験値を振り分けるとスキルが身につく。さらに善悪の傾きによって取得する技が変化する。
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例えばライトニングボルトは「ヒーロー」なら敵に攻撃を当てるとエネルギーが大幅に回復し、ヘッドショットが命中すると体力が回復し、「ネメシス」ならヘッドショットが命中すると爆発を引き起こす…といった具合に分かれている。
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スキルの種類は様々で、攻撃に使用するものから線路や電線を滑走するもの、短時間だけ滑空するもの、敵から生命力を奪うもの、高所から雷を纏って落下するものなどがある。
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ミッション
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青色のシンボル(メインミッション)と、黄色のシンボル(サブミッション)があり、これに触れるとイベントが発生する。
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サブミッションをクリアすると、その地域一帯が安全地帯になり、敵が出現しなくなるため、メインミッション攻略時の難易度を下げられる。
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難易度について
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ゲーム中に存在する難易度は、「イージー」「ノーマル」「ハード」の3種類のみで、どれも初期の状態から選択する事ができる。
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「ハード」では、入手できる経験値が「イージー」「ノーマル」に比べて約7割に減少しているので、パワーアップの経験値の振り分けが大切になってくる。ただし「イージー」でプレイしても全てのスキルを覚えようとした場合、かなり意識して雑魚を倒し経験値稼ぎをしないと必要分が不足する。
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もちろん、出現する敵も強化されているので油断はできない。
評価点
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誰でもアメコミヒーローになれるアクション
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電気を自在に使いこなす超能力者、コールを操作して広大な街を縦横無尽に駆け巡ることができる。
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ストーリーイベント時はアメコミ調のイラストで表現され、世界観やストーリー展開、コールの能力も相まって、正にアメコミの主人公になった気分を味わえる。
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ストーリー展開もダークで、電気能力を得るも街の人々からはテロ扱い、恋人には恨まれたりと散々なことが多い。それでも先が気になって進めてしまう魅力がある。特にラストの展開は衝撃的。
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電気能力の爽快感
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ロッククライマーの如く身軽に建物を登ったり、電線や線路の上を滑るように移動したり、高所から一気に地上に飛び降りたり、能力で空を滑空したりと移動手段も豊富でまたオリジナリティがある。
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戦闘も様々なスキルを会得し、徐々に強くなっていきスキルが使用できる。
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車や分電盤、発電機や街灯、様々なところから電気を補充しつつ戦ったり、放電によって電車を走らせたり、機械に充電したりと、電気人間ならではの回復方法などアイディアも良い。
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水に入ると漏電してダメージを受けてしまうところなどもユーモアがある。
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善と悪のシナリオ
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プレイヤーの行動によって、善にも悪にもどちらにもなることができ、最終的に善ルート、悪ルート二つの結末が用意されている。
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その為周回プレイが最初と違うが部分多く苦にならない。ムービーも悪と善と変化する。
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また善と悪で覚えるスキルが違う為バトルも飽きがこない。
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舞台設定
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広い街中を自由に走り回れる。先述通り建物があれば壁を登ったり、電線があれば滑ったり、電車や車の上に乗ったり…と、とにかく自由に街中を回れるのが楽しい。
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能力を使いながらブラついても結構時間が潰せる。
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親切なシステム
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チェックポイントも細かく、青がベント、黄色がサブイベント。ミニマップはマーカーを付けられるので目的地が分りやすい
問題点
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雑魚が非常にうっとうしい
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雑魚敵は超遠距離から確実に当ててくるゴルゴ13並みの射撃を見せる。どこから来たのかと探すとかなり遠くから攻撃されることがしばしば。その癖、こちらの攻撃は届かない。
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また電車や移動していてもバシバシ当ててくる。''特にビルに登っている時に狙われるとかなり鬱陶しい。
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中でも中盤以降に出てくるダストマンは、スナイプでヘッドショットを2発当てても死なない耐久性の高さも相まって厄介。
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さらに最後は装甲車、リロード不要のチート機銃が全方位に搭載されている。
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ハードモードでは街を移動中にレーダーの死角からいきなり撃たれて瀕死になることもしばしば。
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ステルス要素が無い
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敵の範囲内に入ったら後ろを見ていようが攻撃してくるので、当たらずにやり過ごす方法が無い。
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そのため戦闘になると四方八方撃たれまくり、あっという間に死ぬ。
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街で雑魚を倒していると増援が出てきて、もたつくと囲まれ十字砲火ですぐ死んでしまう。
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実質地上にいるとすぐに敵がボコスカ撃ってきて安住の地がない。
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超人だがわりと虚弱体質
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コールは超人という設定のため他のオープンワールドゲームにありがちな高所からの転落によるダメージは一切受けない反面、ゲームバランス上仕方ないとはいえ
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上記にあるよう雑魚に数発撃たれただけで瀕死になる
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耐久力が低い初期は線路移動中に列車にはねられれば死ぬ
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電気人間という特性上、浅瀬以上の水に落ちるのはほぼ即死につながる
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といった点で爽快感をそぐ仕様となっている
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悪ルートで進めてもわりと善人
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評価点にあるように明確に善悪の選択肢があるミッションや、悪専用ミッションでは自分の利益のために市民を殺害、依頼を反故にするといった非人道的行動が取れるが選択肢のない中立ミッションでは至って普通に依頼をこなす。
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特に顕著なのがクリニック関連のミッションで成功すれば復活ポイントにつながるため、悪のコールでも占拠されたクリニックの敵を一掃したり物資を取り戻す、回収するという善人の行動しかとれない。
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街でやる事が少ない
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歩き回っていても天候や昼夜が変化せず、市民のAIは単純、街でやれる事はとても少ない
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車や銃火器を使えず、社会機構がマヒしているのでお金や店という概念も無い。
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はっきり言ってミッションをこなすか、隠しアイテムを探すか、湧いて出る敵と戦ったり市民を助けて経験値を稼ぐか、の四つくらいしかない。
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また多くのビルや建物があるのだが、中に入ることは出来ない。
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選択肢の自由度が少ない
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選んだ選択肢が直接能力取得に関わるため、一周目ならひたすら善の選択肢、二周目なら悪の選択肢といったようにあらかじめ決めてプレイするのが基本となってしまっている。
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その時々で善を選んだり悪を選んだりするプレイもやろうと思えば可能だが、どうしても能力が中途半端になる。
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日本語音声は収録されていない。また、一部の字幕が抜けている。
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高難易度のミッションや激しい戦闘中は字幕が追えないという意見が多い。
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各所にあるTVの前で△ボタンを押すと進行状況に応じたニュースや主人公を中傷する謎の人物の映像が出て、英語で音声が流れるが、この部分の字幕が一切無い。
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『2』以降の作品では日本語音声が収録されるようになった。
総評
オープンワールドで超能力を持った主人公で自由に暴れまわるという一点に特化した、『GTA』シリーズとはまた違ったゲームデザインを持った本作。
誰でも憧れるヒーローになれるという点や、善悪の選択肢によって変化する能力という点も、アイデアとしてはとても良い。
オリジナリティ溢れるゲームデザインはプレイヤーを満足させる作りとなっており、十分に良作といえよう。
余談
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本作のレーティングは海外だとESRB:T(13歳以上対象)やPEGI:16(16歳以上対象)だが、日本ではCERO:Z(18歳以上のみ対象)となっている。
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日本におけるレーティングが突出して高いのは、おそらく一般人を自由に殺害することが出来るからだと考えられる。
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後述する『Second Son』以降は途絶えている『inFAMOUS』シリーズだが、2022年7月に残念ながら新作の計画はないことがSucker Punchから公式に明かされている。
続編・派生作品
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『inFAMOUS 2』(PS3 2011年7月7日発売)
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シリーズナンバリング第2作。本作に引き続きコールが主人公で、新たな街「ニューマレイ」で戦いを繰り広げる。
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『inFAMOUS Festival of Blood』(PS3 2011年10月25日発売)
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日本未発売。ダウンロード専売のスピンオフ。『2』とは独立したストーリーで、コール自身を含むヴァンパイア化したニューマレイの住民を救う為に戦う。
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『inFAMOUS Second Son』(PS4 2014年5月22日発売)
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シリーズ3作目。PS4のマシンパワーを活かした美麗なグラフィックが特徴。舞台は開発元であるSucker Punch Productionsのスタジオがあることで知られるシアトル。
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新たな主人公であるデルシン・ロウが「スモーク」「ネオン」「ビデオ」の3つの力を使い、反コンジットを掲げる統一保護局「D.U.P.」の最高責任者であるブルック・オーグスティンに戦いを挑む。
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『inFAMOUS First Light』(PS4 2014年9月11日発売)
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ダウンロード専売のスピンオフ。『Second Son』の前日譚で、本編にも登場した「ネオン」のコンジットであるフェッチが主人公。
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フェッチが本編に至るまでを描くストーリーモードの他に、本編と連動する「バトルアリーナ」モードが収録されている。
最終更新:2024年11月18日 06:10