桃太郎電鉄16 北海道大移動の巻!
【ももたろうでんてつじゅうろく ほっかいどうだいいどうのまき】
桃太郎電鉄16 GOLD
【ももたろうでんてつじゅうろく ごーるど】
ジャンル
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ボードゲーム
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対応機種
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プレイステーション2 Wii Xbox 360
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発売・開発元
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ハドソン
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発売日
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【PS2】2006年12月7日 【Wii】2007年7月19日 【360】2007年12月6日
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定価
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【PS2】6,800円 【Wii/360】5,800円(各税別)
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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判定
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良作
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ポイント
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北海道が移動するダイナミックなマップ変化イベント シリーズ最後となる「安心して遊べるいつもの桃鉄」
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桃太郎シリーズ
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概要
ボードゲームの定番ソフト『桃太郎電鉄』シリーズの第16作。PS2で発売された最後の作品でもある。
PS2版発売の翌年にはWii/360版が発売された。
主な変更点・特徴・評価点
基本ルールは従来のシリーズ通りなので、『スーパー桃太郎電鉄II』及びシリーズ作品のページを参照。
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北海道移動イベント
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20年目以降に、サブタイトルにもなっている北海道大移動という大型イベントが発生する。
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猛烈な大寒波に見舞われて大規模凍結してしまった北海道を救うべく人為的に島を丸ごと四国の南に移動させるというもの。
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16~18年の間に予備段階となるイベントが発生し、20年目以降に誰かが北海道内に到達したもしくは滞在していた時点でイベントが開始となり、北海道全域が凍結してしまう。
凍結の際に北海道にいたプレイヤーは移動が終了するまで一切動けなくなり、外部から北海道に入った場合も凍結する。さらに北海道の全物件からの収益が入らなくなり、総資産にも計上されなくなる。
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イベント発生の翌年に、北海道を四国に人為的に移動させるというイベントが発生し、7月に移動が終了すると解凍して全物件とプレイヤーが元に戻る。更に年数が経過したのちに北海道が元の位置に戻り、イベントは終了する。
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移動後はこれまで北の最果てであった稚内駅に行きやすくなるなど、新鮮な感覚でプレイ可能。
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新ボンビー
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本作の貧乏神の変身は、前作に登場した「キングボンビー」「ハリケーンボンビー」「ミニボンビー」「ボンビーモンキー」の他、「イレーザーボンビー」「ゾンビボンビー」「ハピネスボンビー」が追加された。
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イレーザーボンビーは消しゴムの姿をしており、とりつかれたプレイヤーの所持している最も高額な物件を1つ消してしまう。
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ハリケーンボンビーと違って被害は1件で済むが、高額物件をピンポイントで狙われるため独占が崩れやすい(そんなに1駅に何件も高額物件がある駅は多くないだろう)。さすがに桃太郎ランドは優先順位は他の全物件を消した最後に消すシステムだが、幕張のネズミーランド系は真っ先に消える。他にも工場系がターゲットか。
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年数が10年経過しないと出現しない仕様である。年数が進んでいる分、所有物件の値段の相場も上がっているので一瞬で下位に転落してしまう可能性がある。
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ソンビボンビーはとりつかれたプレイヤーのカードを一定期間使用禁止にし、さらに毎ターンカードを「キングデビルカード」や「ゾンビカード」といったマイナスカードに変えてしまう。
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ゾンビカードは持っているだけで毎ターン所持金が半分になってしまうという凶悪な効果。カードも使えなくなるので他のプレイヤーになすりつけるのも難しいという嫌らしさを持つ。猛攻に耐えるかカード売り場に駆け込んで全部売るかの究極の選択。
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ハピネスボンビーは変身時にとりついたプレイヤーの便利系カードをすべて捨てさせる。さらに毎ターン、所持金やカードや物件をとりつかれてない他のプレイヤーに分け与えてしまう。
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とりつかれていない他のプレイヤーがメリットを受ける、やや毛色の違う効果のボンビー。
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MY☆売り場
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60年目以降でカード売り場に止まった際、一定の所持金を支払うことによってそのカード売り場を「MY☆売り場」として登録することができる。購入に必要な金額は、場所によって100億~5000億と幅がある。
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以降、ターン開始時にメニューから選択することで、いつでも登録したMY☆売り場に飛ぶことができる。さらに飛んだ先でカードを売り買いすることも可能。使用回数の制限などはなく、登録できる売り場の数も無制限。
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目的地に近づいたり、貧乏神から遠ざかったりしつつカードまで補充できるため、有効に使うことで非常に有利にゲームを進められる。
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特別カード売り場
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前作『桃太郎電鉄15 五大ボンビー登場!の巻』から追加された要素。36年目以降、秋田と山形に「特別カード売り場」が追加される(本荘・象潟・酒田の3ヶ所)。
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この売り場で買えるのは、1ターンに2回行動可能な「二刀流カード」・敵のカードを奪える「刀狩りカード」・高額物件を奪って逆転をねらえる「乗っ取りカード」・全員を1ターン休みにできる「だじゃれカード」・そして様々な強力カードに変化させて使える「カスタマイズカード」など強力なものばかり。
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普通のカード売り場と違って枚数制限が設けられており、1ターンにつきそれぞれカードは1枚ずつしか買えない。
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100倍乗っ取り
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50年目以降、物件駅で「100倍!」コマンドを使うと、他のプレイヤーの物件を本来の100倍の金額を支払って乗っ取ることができるようになった。
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コストパフォーマンスは非常に悪いが、独走した終盤に全物件制覇を目指す場合などに役立つ。
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いけますよ!
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これまではサイコロを振った後、止まりたいマスを選択し移動できるかどうかを判断した上で自動的に移動ができる「いけるかな?」システムがあったが、本作ではそれが「いけますよ!」システムとして進化し、サイコロの出目によって止まることができるマスが最初から光って表示されるため、より便利になった。
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ただし移動によって貧乏神がついてしまう可能性があるので、近くに貧乏神がいる場合は慎重に手動でルート計算したほうが良い場合もある。一応、貧乏神がついてしまう場合は確認の選択肢は出る。
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従来は99年までだった最大年数が、今作から年数設定時に00と決定すると最大100年まで遊べるようになる。これにより、従来より少しだけ長く遊べるようになった。
問題点
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新ボンビーの出現確率が偏っている
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前作『15』と同じ問題点。出現しやすい新ボンビーは基本的にハピネスだけであり、イレーザーやゾンビは100年プレイして1回出るか出ないかレベル。
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結果的にキングやハリケーンなどといった基本似たような顔ぶれになりがちであり、マンネリ化しやすい。
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強力なMY☆売り場
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それなりに高い金額を払う必要はあるものの、一度買ってしまえば回数制限無し・デメリット無し・確定で同じ場所にワープできるというのは強力。
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ただ、序盤は流石に購入費・使用費が重いので、短期間のプレイではあまり使わない。また、長期間プレイでは「(順調ならば)強力な移動系カードがふんだんに使えるので必要性が薄い」「到着場所がカード駅なので、物件は買えないしスリの銀次判定も行われる」と言った理由から、最終的には移動目的としては使わなくなる(移動系カードで物件駅を乗り継いでいった方が遥かに強い)。
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とはいえ、「好きな時にカードを買いに行ける」と言う本来の用途だけでも十二分に強力である。特に……(下に続く)。
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強すぎる特別カード売り場
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そもそも『15』の時点で(枚数制限があるとはいえ)これまでイベントでしか入手できなかった強力なカードが店売り、というバランスブレイカーになりかねない危険な要素であった。が、今作では特別カード売り場もMY☆売り場として購入可になったため「わざわざ購入のために出向かなければならない」と言う手間がなくなってしまった。
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お手軽な永久コンボ
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特別カード売り場をMY☆売り場に登録すると、自分だけが永久に行動できる様になる無限ループを形成する事ができる。
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具体的な方法。長くなるので折りたたみ
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例えば、他のプレイヤーを1回休みにできる「だじゃれカード」が売っている本荘駅を登録し、だじゃれカード使用→MY☆売り場で本荘に飛ぶ→だじゃれカード購入を繰り返す、という単純な方法で他のプレイヤーを永久に行動不能にできてしまう。
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他のプレイヤーは何もすることができずに年数だけが経過し、ゲーム終了まで無限ループすることが可能。だじゃれカードは他の攻撃系カードのように外れることもなく防御の方法もないので、トップのプレイヤーが行えばその時点で勝利がほぼ確定する。もちろんだじゃれカードを毎ターン購入する資金が必要になるが、それほど法外な金額でもないので必要な条件はさほど厳しくない。
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二刀流カードを使うことで永遠に行動し続けることも可能。
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象潟をMY☆売り場に設定し、二刀流カードとカスタマイズカードを購入する。次のターンでまず二刀流カードを使い、1回目は自由に行動、2回目にカスタマイズカードを二刀流カードに変えて使用するとさらに2回行動できるようになるので、3回目にMY☆売り場で再び象潟に飛び二刀流カードとカスタマイズカードを購入、4回目にまた二刀流カードを使い、1回目に戻る…という手順。絶好調になっている状態ならばさらに安定する。
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こちらの方法では高額なカスタマイズカードを買う必要があるため資金面のハードルが高いが、持ち金が余る最終盤では可能。また、「となりの芝生カード」などを用いて資金を補うコンボもあり、完全なソリティアになる。
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本荘でだじゃれカードとカスタマイズカードを同時に購入するパターンもある。だじゃれと二刀流を使い、1回目は普通に行動、2回目にMY☆売り場→本庄でカードを補充する。こちらは自由に行動しながらターンを経過させることができる。
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カスタマイズカードが変化できるカードにはいくつかのグループがあるが、どのグループにも二刀流カードは存在するので確実に変化させることが可能。
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どのループも最大限に活用すれば、その時点で事実上ゲームが終わる。
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とはいえ、対人戦なら縛るのは容易である(と言うか縛らないとゲームにならない)。そして、COMはMY☆売り場を使用せず特別カード売り場を積極的に狙う事もない(移動の際たまたま寄る事はある)。
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実際のところ、インパクトが強いだけで実プレイにおいてはそこまで問題にはならない要素ではある。むしろ、1人でCOM相手にプレイする際は、プレイヤーが好きなことを試すことができる、一種のチートモードとしての役割も果たしていると言える。
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なお、以後のシリーズでは「MY☆売り場」「特別カード売り場」共に廃止されている。もっとも、別のバランス崩壊要素も増えたので、本作だけが特筆してバランスが悪いと言う訳ではない。
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名産怪獣のバランスも悪い
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前作『15』より「名産怪獣」として、特定の駅に止まった際その街にちなんだキャラクターが登場するイベントが存在する。内容はプレイヤーにとってメリットになるものからそうでないものまで様々。
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その中でも特に凶悪なデメリットキャラクターなのが、2月に東北地方のどこかにプレイヤーがいると秋田に登場する可能性がある「男鹿半島怪獣ナマハーゲン」。ナマハーゲンは急行系カードを使って移動し、重なったマスにいるプレイヤーの物件・所持金・カードをランダムで没収するというどえらい悪行を行う。
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問題は貧乏神と違ってデメリットを被らない戦略が通用しづらいこと。同じマスに重ならなければいいのだが、ナマハーゲンは毎ターン新幹線・のぞみカードを連発して正確に追尾してくるため普通に逃げても大抵すぐ追いつかれてしまう。しかもうんちを貫通するため、袋小路とうんちを組み合わせても全く追い詰めたことになっていない。ぶっとびで遠い場所まで逃げれば安全…と思いきや、近くにプレイヤーがいない場合はぴったりカードやサミットカードを使って強襲してくるため、確実に逃げる方法はほとんど存在しない。誰が狙われるのかもランダムなため、プレイヤーの介入の余地のない理不尽なストレス要素となってしまっている。一応物件もカードもなく借金持ちのプレイヤーには何もしないが、あまり解決策とは言えない。
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このナマハーゲンの強さは話題性に挙がるものとなっており、以後の作品にも引き続き登場しており、もはや名物と化している。『ワールド』に至っては専用のカードも登場し、プレイヤーが直接呼び出すことが可能となってしまった。
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他にも、ぶっ飛び周遊カードの強化版で飛ぶ地方を限定出来る「地方へ!カード」を貰える可能性があるなにわ怪獣タコヤキング(大阪)、持っている物件を複数破壊されるハサミ怪獣タラバガーニ(北海道)あたりは効果が大きく、ゲーム展開を大味にする一因となっている。
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強力過ぎるカードやイベントによるゲーム進行のインフレ傾向は本作以前からしばしば指摘されていたが、上述のカード関連の強さの行き過ぎも含め、全面に出すぎてしまっている。
総評
サイコロを振って日本中を旅する面白さ、戦略と運によって資産を増やしていく快感、凶悪なボンビーによる一挙転落のスリル、カードを駆使した貧乏神の激しいなすりつけあいなど、パーティーゲームとしてのシリーズの魅力は健在。
MY☆売り場を除けば全体のバランス等に大きな問題はなく、「いけますよ!」など便利なシステムも追加された安定した出来である。
総じて「安定して遊べるいつもの桃鉄」であると言えよう。
他機種版
Wii版
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「桃鉄10年トライアル!」モードが追加され、10年間のプレイの総資産をWi-Fiのオンラインランキングで競うことができた。
360版
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『桃太郎電鉄16GOLD』のタイトルで発売され、前作『15』にあった日本列島分断イベント等が追加されている。HD画質にも対応。
余談
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本作以降に発売された続編はいずれも無視できない問題点が存在しており、安定した出来を保っていた作品が本作で最後となったため、『桃鉄』をプレイする際に本作(もしくはインフレ傾向の低い『12』など)が選ばれる事が少なくない。
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かなり細かいことだが、サブタイトルの「!」の場所が他のシリーズ作品と微妙に異なる。
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横浜の物件「自動車会社」を所持していると、「タンス・ニ・ゴーン社長」というキャラが現れるイベントが発生することがある。
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最終更新:2024年07月16日 17:03