ウィザードリィV 災渦の中心

【うぃざーどりぃふぁいぶ めいるすとろーむのちゅうしん】

ジャンル RPG
対応機種 スーパーファミコン
発売元 アスキー
開発元 ゲームスタジオ
発売日 1992年11月20日
定価 9,800円
判定 良作
Wizardryシリーズ


概要

シナリオ5『Heart of the Maelstrom』の移植。『I』『II』『III』と同様にゲームスタジオ担当。
本作ではハードがスーパーファミコンとなり、本体スペックが上昇している。
これまでと比べるとアレンジ要素は少なく、ほぼ原典通りの移植となっている。

  • サブタイトルはPS版の「災禍(わざわい)」とは違い「災渦(うず)」。原題の「Maelstrom」にかけたネーミングとなっている。
  • なおゲームスタジオは『シナリオ4』の移植を行っていないため、FC版/SFC版の『IV』は存在しない。

ストーリー

ブラザーフット寺院の地下深くに封印されていた災いの渦は、今や世界を呑み込まんとしていた。
しかも、この状況を打破できる大魔法使いゲートキーパーは、弟子ソーンの裏切りにより、渦の中心に捕らわれてしまっている。
ソーンを打ち破り、ゲートキーパーを救出し、渦の災いを鎮めんがために、冒険者達が呼び集められた。

システム

  • 基本的なゲームシステムは『I』に準じる…が、本作では原典においても様々な試みが追加されている。
    • 最大6名のパーティーで、一人称視点の3D迷宮を攻略していくのは従来通り。
  • 原典(移植元)におけるVの新システム
    • 迷宮が正方形ではなくなった
      • 従来作では1階層ごとに20×20の正方形内に詰め込まれていた*1が、本作ではその制限が無くなった。
      • カンディ(仲間の死体の位置を捜す呪文)での位置表示はフロアの大まかな位置ではなく「自分達から見てどの方角にいるか」を指し示すようになり、多少性能が上がった。それでもかなり大雑把である*2
    • 迷宮内にNPCが登場するようになった
      • 会話で交渉したり、金銭やアイテムを渡したり売買したりできる。中には重要なキーワード・キーアイテムが含まれている事もある。こっそりNPCのアイテムを盗むことも可能。逆にこちらのアイテムを盗んでくるNPCも存在する。
      • 戦いを仕掛けることも可能。こちらが負ければ死亡やロストはそのままの結果になる。勝てば相手は固定キャラの場合は死亡するが、カント寺院で復活させることが可能。いずれにせよ戦いになれば当然ながら再登場後の反応が悪化するので注意。
    • 潜水要素の追加
      • 迷宮の各所にある深い水たまりは、潜ることが出来る。潜る深さを決めて潜ると、水たまりの種類と深さに応じて回復・状態異常・能力値の変動など様々な効果が起きる。
      • 但し無理に深い所に潜ると溺れて死亡してしまうことがある。各キャラクターには安全に潜れる深さを示す「Swim」というパラメーターが追加されており、潜ることによって鍛えられる。
      • 水たまりの底には、キーアイテムを守る固定モンスターが潜んでいることが多い。
    • セーブ方式の一部変更
      • 城でのセーブは従来作と同様の自動セーブだが、迷宮内では手動でセーブする方式に変更。
  • 原典(移植元)における戦闘システムの変化
    • 武器に射程の概念が追加され、武器によっては後衛からも通常の「攻撃」が出来るようになった。
      • その一方で、敵の後列に対しても攻撃が届きにくくなった。射程が最短の「C(Close range)」の武器を持った場合、攻撃に参加できるのは前衛メンバーのみ、敵4グループのうち攻撃対象に出来るのは上2グループだけ。
    • 盗賊・忍者は「隠れる」ことができ、次ターン以降に「待ち伏せる」で後衛からでも大ダメージを与えられるようになった。但し待ち伏せに失敗すると姿を現してしまい、再度隠れる必要がある。
    • 呪文体系の一新
      • 召喚呪文が登場。戦闘中に限り、「7番目のパーティーメンバー」としてモンスターを召喚できる。呼び出される存在は幾つかの候補の中からランダムに選ばれ、強さもまちまち。
      • その他にも、自分達に呪文無効化能力を付与できる「コルツ」や、NPCの反応を友好的にする「カツ」等、今までにない効果の新呪文が色々と追加されている。
      • なお一部の攻撃系の呪文はFC版『III』にも導入されているので、そちらの記事も参照のこと。
      • その一方で、使いどころの少なかった呪文は削除されたり、レベルが引き下げられたりしている。
  • SFC版では『I』『II』『III』からキャラクターを転生させることが可能(外部機器ターボファイルが必要)。
    • なんと、FCからSFCへのキャラクター転送が可能となっている。これらの2機種間でデータ連動が行われた唯一のケースである。
      • 但し、ターボファイルをSFCに取り付けるための専用アダブタ(ターボファイルアダプター)も必要になる。
      • また、残念ながらSFC用の「スーパーターボファイル」だと、FCに取り付ける手段が用意されていないため転送には使用できない。
  • キーワードの処理方式の変更
    • FC版『II』『III』とは違い、キーワードによる謎解きは内容を改変せずに導入されている。
    • 但し、NPCとの会話はキーワード入力する移植元と違って、その単語をどこかで聞いていれば自動で会話が進むフラグ制に変わっている。
      • 複数のキーワードのフラグを立てていれば自動的に全部質問する。
      • ちなみに後のPS版でもフラグ制に変更されているが、自動会話ではなく質問する単語を選択する方式になっている。
  • その他、SFC版独自のシステム
    • 特性上限値の変更
      • FC版『III』に引き続き、従来は特性値の上限が一律18だったものを、「種族基本値+10」に変更。成長後も種族毎の個性が出るようになった。
      • またそれに関連して忍者の転職条件能力値も少し易しくなった。
    • オートマッピングの搭載
      • 実際に歩いた場所が記憶され、デュマピック(自分の現在位置を座標で表示する呪文)を唱えた際に地図も表示されるようになった。
    • #5にはなかった不確定グラフィックをモザイクという形で導入
      • FC版『I』『II』『III』では不確定名専用のグラフィックが用意されていたが、不確定名専用グラフィックはなくなり、通常のグラフィックにモザイクをかけたものになった。

評価点

  • 更に向上したグラフィック、BGM
    • ハードのスペック上昇の恩恵もあり、グラフィック、BGMのクオリティはさらに高くなった。
      • 例えば迷宮の壁も、本作では階ごとに違うグラフィックが用意されている。
      • モンスターに関しても、#5の日本語PC版用の絵*3だけでなく、新規に描き起こされた絵が追加されている。
  • 変わらぬ操作性
    • 手動セーブや新規システム等、変わったところもあるが、操作性についてはおおむねFC版のものを継承している。FC版『I』~『III』のプレイ経験がある人はあまり違和感なく操作できるだろう。
  • 様々な新システム
    • これに関しては原典譲りの要素であるが、「迷宮内NPC」「射程」「召還呪文」などの様々な要素が、ゲームに新たな彩りを添えている。
      • 外伝シリーズ等の後作にも軒並み取り入れられているところからも、これらの要素の影響力の高さが窺える。

賛否両論点

  • 射程による武器格差
    • 剣や斧などの射程が短い武器は後列の敵を狙えないため、敵グループが少ない序盤はともかく、後半には使い勝手が悪くなっていく。シリーズおなじみの村正や本作最強の剣オーディンソードでさえ例外ではなく、これらの剣よりも射程の長い長柄武器や弓を使うことになりがち。
  • 全滅時の処理の変更
    • 全滅すると死体がその場に放置されアイテムが一部なくなるのは従来通りだが、キャラロストが無くなった代わりに死体が別の場所へ運ばれるようになった。
      • カンディの性能が上がったとはいえ、パーティーメンバーがバラバラになってしまい探索が二度手間、三度手間になる。
      • 全滅した位置よりも下のフロアに運ばれることもあり、探索が余計困難になる。
      • どういうわけか物理的に行けない位置(壁の向こうや石の中など)に運ばれることもあり、こうなるともうその場所を特定できても救出は不可能である。そのキャラは訓練場でプレイヤー自らの手で消すしかない。
    • マロールやテレポーターで石の中に飛び込むと全員ロスト。全滅して城に返されるだけだったFC版よりも厳しい措置になった。

問題点

  • 自動会話の弊害
    • 単語の類推が可能なものでも、特定のNPCから単語を聞かなければならない。
    • この影響により、最後の謎解きに関わる単語の1つ「王国」が、複数のNPCからヒントを教わらないと質問できなくなってしまっている。
      • この質問ができないと、最後の謎解きのうち3つのキーワード入力が会話の文章から考察する超難問と化す。
      • またその前のロウソク選びも、「王国」について聞くと直接的な答えが得られる箇所があり、分からなければ組み合わせをしらみ潰しに調べていく作業と化す。(一応、「本質」についての回答から類推は可能)
  • V原典から始まったシステムである、敵の「盗み」
    • キーアイテムでも遠慮なく盗んでくる。盗まれても元の場所から再度入手は可能だが、手順が相当面倒なものも多い。盗賊のいるエリアではクイックセーブを頻繁にし、盗まれたらロードした方が速いというのが実情である。
    • 雑魚敵でも気が抜けない緊張感、盗みという行為の悪辣さを表現するには良いが、やられた側は実に手間がかかる。
      • ただし盗みに失敗することもある。装備している物は盗まれない。また前衛キャラしか盗まれないため、キーアイテムを後衛に持たせておくことで対処できる。
  • 原典の問題である新システムの潜水
    • ダンジョンに点在する「泉」に潜ることができるが、Swim値が十分でないと溺れて死亡してしまう。
    • Swim値は新規キャラは最低値のため、死亡リスクを覚悟しつつ鍛えることになる。数十回でようやく1上がる。潜る前にクイックセーブ、溺れたらクイックロードが速い。
      • 「装備するとswim値に補正をかける」という便利な装飾品「ゴムのアヒル」がある。これを装備して潜ればいきなり相当深い湖に潜らない限り安心が保障されるためSwim値を安全に鍛えられるが、今度はSwim値の意味がほぼなくなってしまう。このアイテムはストーリー中必須ではないが、あると楽にイベントが進むので大抵入手することになる。入手イベントの対応次第で2つ入手が可能で、片方をイベントで使ってしまっても1つをずっと手元に残しておける。
      • 慣れてない人にとっては危険に耐えつつの単純作業、知っている人にとっては間違えなければデメリットなしのただの手間のかかる作業である。
      • 泉の効果には「金が無限に拾える」「MPが限界を超えて回復する」「ロストからでも確実に蘇生」などのバランスをぶち壊すようなものもある。
    • 新システムに「やり直しが面倒なものが多く、ロードを封印することによる達成感もそれほど感じられないために失敗したらリセットが手っ取り早い」作業が多いのが問題という感はある。

総評

ハードのスペック向上により、ほぼ原典通りの移植となった今作。
従来作の移植と違いアレンジ要素は少なめだが、FC時代の移植ノウハウを生かした良移植といえよう。

最終更新:2022年05月27日 15:10

*1 東の端(19, **)から枠外に出ると西の端(00, **)に抜け出るというループ方式。

*2 自分達から見て真北にいる場合でも「北東」や「北西」などを示す。

*3 #5については、日本語PC版でもモンスターイラストを末弥純氏が担当している