こびとづかん こびとの不思議 実験セット
【こびとづかん こびとのふしぎ じっけんせっと】
| ジャンル | こびと実験シミュレーション |  
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| 対応機種 | ニンテンドー3DS | 
| メディア | 3DSカード | 
| 発売元 | 日本コロムビア | 
| 開発元 | ラクジン | 
| 発売日 | 2013年12月12日 | 
| 定価 | 5,040円(税5%込) | 
| プレイ人数 | 1人 | 
| セーブデータ | 1個 | 
| レーティング | CERO:A(全年齢対象) | 
| 判定 | ゲームバランスが不安定 | 
| ポイント | 狭いながらも探索は最低限できる こびとをすべて発見しきるのは苦行
 テンポの悪さはあまり改善されていない
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| こびとづかんシリーズ 観察セット / 実験セット / ゲーム大全
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あらすじ
こびとを調べるために、親戚のおじさんを訪ねて遠い田舎の村にやってきたあなた
おじさんは昼間は畑仕事で忙しく家を空けているので、好き放題にこびとを探せる
手始めにおじさんが紹介してくれた、この村にいるこびと博士を訪ねることに
概要・特徴
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2010年あたりで大ヒットした、架空の生き物「こびと」の観察方法や生態を題材にした絵本シリーズ「こびとづかん」をゲーム化した作品。
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端的に言えば、少年少女のキャラクターを、3人称視点で動きまわらせてAボタンで調べまわるゲーム。日数経過や制限時間は存在しない。
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前作とうってかわって僅かではあるがストーリー要素がある。
 
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主人公
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性別と名前を設定できるが、外見は2パターンのみで固定。
 
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ゲームの進め方
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村人との会話や周囲の自然を探索することで、こびとの手がかりを入手できる。次にこの情報をはかせに報告して彼の指示に従いながらこびとに出会うというのが、本作の基本的な攻略の流れ。
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自然下では、怪しいところに近づくとさまざまなマークのアイコンが立つので、Aで調べてみるとこびとの実験に必要なアイテムや売ってお金にできる消耗品が拾えたり、こびとの痕跡に出会えたりする。
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はかせはこびとに出会うための準備を指示してくれるので、それにしたがってアイテムを準備したりミニゲームをこなしてこびとに出会うことになる。無事こびとに出会って写真を撮ることができればスタンプをくれる。このスタンプの個数によって、新しい地区を探せるようになったり、村人がこびとの新しい目撃情報をくれるようになる。
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一度こびとの捜索が開始されると中断して別のこびとを探すといったことはできない。「こびと」の噂も同時に受けることはできず、別のこびととの発見フラグを立てたいなら、きちんと現在進行形の「こびと」を発見して、はかせからこびと発見記念のスタンプを対応したスタンプをもらわなくてはならない。
 
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虫捕りと魚釣り
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本作では虫や魚を捕まえられる。
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採集ポイントでAボタンを押すと小さなミニゲーム画面に移行する。
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虫捕りは虫の動きが止まったところにカーソルを合わせて、カーソルが緑になるときにAを押すと捕獲可能。時間をかけすぎたり、カーソルが緑でないときにAを押したりすると逃げられる。
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魚釣りはスライドパッドを倒した逆の方向に餌を投げる。魚が食いついたら3DSを傾けて魚アイコンをゲージの中央に維持し続ける必要がある。魚の体力が0になると釣れる。
 
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魚釣りには餌が必要。また虫取りにも餌が必要な場合がある。
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場所や使った餌によって採取できるものが変わってくる。
 
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図鑑
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今までに出会った生き物を記録してくれる。こびと50種 昆虫25種 魚37種を収録。
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一度会ったこびとにもう一度会いたい場合は、図鑑の該当ページを開いて「思い出す」を選択することで、当時のイベントをもう一度こなせる。
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タイトルにある「実験」は一部のこびとに対して行える。こちらも図鑑を開くことで行える。特定のアイテムをこびとに与えて、彼らの反応を見る生態観察といったものができる。
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ニューゲームをしても図鑑の内容や記録は絶対に消されることはない。昆虫や魚の大きさで村のこどもと勝負することがあるが、図鑑の記録が使用されるため、2周目以降はなにもせずとも勝利することができる。
 
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メモとセーブ
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イベントが起こるたびに自動でセーブされる。手動のセーブも可能。
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アバウトではあるがメモにこれから何をすべきかが書かれている。
 
評価点
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こびと
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公式ホームページに載っているこびとがすべて収録されており、それらをすべて発見、撮影、図鑑登録までできる。前作に比べて大幅に会えるこびとが増加しており、図鑑の内容も設定に反していない。
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本作では新たにこびとを使って実験できる。置いたアイテムに対して、彼らの思いもよらない反応を楽しめることもある。
 
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グラフィック
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人を選ぶ内容かもしれないが、こびどづかんらしさを生かした世界作りに徹している。
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こびと探しができる自然のバリエーション自体は豊かである。
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小学生の頃に読んでいた絵本を髣髴とさせる、素朴ながらも力強さのあるデザインは健在。
 
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博士とのやり取り
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博士の発言にちょくちょく彼の好きなお酒が登場する、博士が指示するおつかいに対して主人公の後ろ向きな本音をぶつけられる、など人間臭い会話が楽しめる。
 
賛否両論点
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ニューゲームした際の図鑑仕様について
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セーブデータは1個だけだがシステムにある通り、ニューゲームをしても図鑑の内容は消去できない。よって中古品でニューゲームしても、前の人の履歴が図鑑に残ってしまう。
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ネタバレを気にする人には嫌な部分かもしれないが、逆にこびとの名前と出現場所や生態を閲覧できることから、こびと探しのヒントとして受け取れる場合もある。
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過去に入手した虫と魚の記録もそのまま残るため、ナツとツヨシと魚や虫のサイズで勝負をするくだりでは、図鑑に該当データさえあれば「一切何も捕獲していなくても」勝ててしまう。
 
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こびとを発見した時に撮れる写真の内容は固定。シャッターはプレイヤーが推すことになるが、写真はすでに用意されているイラストと置き換えられてしまう。
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イラストの出来自体はそこそこ良いため、これも人によって感じ方が異なる部分か。
 
 
問題点
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こびとを発見するまで
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本作の肝となっている部分だが、以下の要素から総じて自由度が低い。
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原作に対して多少の知識があったとしても、どこにどんなこびとがいるのかが見当つかない場合も多い。探し出せるこびとがあちこちにいる最序盤こそよいが、ゲームを進めて未発見のこびとの数が減ってくると、手がかりを求めて村中を右往左往することになる。
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プレイヤーが能動的に動き回って発見できるこびとばかりではない。ゲーム中の半数近くは村人の目撃証言があってはじめて捜索を開始する。そのため、ここにこびとが隠れているだろうという見当がプレイヤーにはついても、目撃証言がないため何もできないといったもどかしい事態にも陥りやすい。
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その目撃証言やこびとの手がかりを得るための条件も非常に難解。発見したこびとの数やプレイ時間が関係している模様。気付いたら唐突にイベントがはじまることもままある。
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また、イベント進行中は「その他こびとが一切見つけられなくなる」という仕様も特に説明がない。
 
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もっともゲーム内のはかせでも発見できなかったこびとも複数いるため、苦労は必然的なのかもしれないが、こびと全種発見を急ぐ場合は確実にネットなどの外部情報のお世話になることになる。
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こびと発見以外のやりこみ要素も、上記の無駄な時間を埋められるほど楽しいものかというと微妙なところ。
 
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こびとの目撃情報を得て探し出すとなると、博士が的確にこびとの探し方やおびき寄せ方を指示してくるため、急激におつかいゲーに変わる。
 
    
    
        | + | 発見しにくいこびとの例 | 
オオナツノツマミ…ナツノツマミ発見後に、もう一度畑を調べてソラマメを入手する必要がある。ナツが軽く存在をにおわす発言をするのだが、期間限定なうえに非常にさりげないので気付かない場合が殆ど。
ツチノコビト…出会うにはツチノコの目撃証言を村人から聞く必要があるが、この証言を手に入れるための条件が非常に難解。出現場所は固定だが、はかせが教えてくれる所在地も「人里離れた山の中」とアバウトなので探すのに苦労する。
タカラコガネ…捜索のきっかけとなる証言を得るのは比較的楽だが、すごい金属探知機を渡されてから特定のアイテム(所在地およびどんなアイテムを見つけるべきかがノーヒント)を発見し、博士のところにみせてまた特定の場所(こちらもほぼノーヒント)に埋める必要がある。
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マップに関して
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自然の中分け入るコンセプトを持っている作品だが、探索できるマップが非常に限られている。
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上記の狭さがあるため、特に問題になるわけでもないかもしれないが、好き勝手に地区や村人の住居をワープ移動することはできない。探索可能な地区から出るには入口まで歩いて戻る必要がある。
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詳細なマップがゲーム内で閲覧できない。ゲーム内のマップは地区名分かるのみであり、村人が明確に物やこびとの所在に言及しなかった場合を乗り切るには、どの地区にどのような場所があるかについて多少は覚えておく必要がある。
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Aボタンで調べるためのポイントが密集していたり、配置がおかしい場面がちらほら。特にこびとの発見に必要なアイテムを取得する場合の障害となる。
 
    
    
        | + | 例 | 
やまびこ地区の倒木のある場所では、調べられるきのこや金属が埋まっているポイント、昆虫採集ができる場所、アイテムが拾えるポイントが密集しているため、ミスが多い。
やまびこ地区の「林道」から「倒木のあるエリア」へ移動するためのポイントが微妙なところにある。「林道」のマップの最奥部でAボタンを連打しても何も起こらず、エリアチェンジしたいなら少し手前に戻る必要がある。
ののはな地区は「地区の出入り口」のすぐ横に川へと下るエリアチェンジポイントがある。
ふれあい地区の公園は、調べても特に意味のないタイヤや鉄棒といった遊具のすぐそばに、昆虫採集ポイントや、とあるこびとの発見に必要な空き缶が埋まっていたりする。
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はかせ以外のNPCの発言
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彼らの台詞は時期によって変化するが、豆知識になる場合のほかどうでもいい話を聞かされることもしばしば。
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NPCが未発見のこびとを匂わせる発言をすることがあるが、必ずしも有用なヒントになっているとは言い難い。
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はかせ以外の登場人物はいわゆるネタキャラとして設計された背景もあるだろうしそれが面白いという人もいるかもしれないが、ワンパターンの会話することや奇天烈な喋り方をすることからあまり人間性を感じられない。
 
 
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3DSの機能があまり役立てられていない
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ジャイロセンサやマイクを使う場面は多い反面、3DSによる立体視できるシーンが一切ない。
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またゲーム中は下画面に大きなボタンが頻繁に現れるにもかかわらず、タッチによる操作を受け付けない。
 
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プレイ方法の説明文を再確認できない
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一瞬しか表示されない文章もある。うっかりAを連打して文章を送ってしまうことも起こりがち。
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メモをとってくれるので次に何をすればいいのかはおおまかに見当がつくが、こびと探しに必要なアイテムの取り方が基本的にメモされないので、注意深く村人の話を聞く必要がある。
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また虫取りの方法を忘れてしまうと、確認する術がニューゲーム以外にない。
 
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その他こびと関連
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こびとを発見した時に、はかせがすぐにスタンプを押してくれる場合と、報告に行ってはじめて押してくれる場合とがある。スタンプをもらわないと次のこびとの捜索フラグが立たないので、後者のケースで報告を忘れてしまい、無意味にこびとをさがし続ける羽目になることもある。
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本作から追加のこびとがいる。発見できる50種以上いるのは確かに魅力で、それ専用のイラストもきちんとあるのだが、ナツノツマミの別種だったり、キノコビトの別種であるため、発見方法は基本的に同じなので事実上の使い回しともいえる。
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追加のキノコビトのネーミングがやたらと投げやりであり、未発見の新種というロマンよりも手抜きな印象を受けやすい。キノコビトだけで10種近くいってしまうので水増し感がある。
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こびと実験のテンポが異常に悪い。置いたアイテムに対する反応を見るという内容なのだが、こびとがもっさり動く上に、一度に複数のアイテムを試せないことも多い。
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一応回数の制限がないのは救いであり、また別のアイテムを試せばいいのだが、その際は長いロード時間が壁となる。
 
 
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その他アイテム関連
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持ち物を閲覧するときや、昆虫採集・釣りの待ち時間、生き物やこびとの観察画面などに移行するときに2~3秒のロードが入る。頻度はそこそこ高いためうっとうしい。
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Aボタンのアイコンが密集しているところでは、間違えて昆虫採集ポイントを調べてしまってタイムロスになることも。
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目玉要素の一つであるこびとの実験にもアイテムを選んで実験することになるが、このアイテムを一度にたくさん選べないケースが多い。さらに実験画面への切り替えでロードが起こるほか、こびとが何も反応しないのでただ時間を無駄にした感覚に襲われる場合も。
 
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アイテムは一度に1種類しか売買できない。一応、金銭・所持数の許す限りであれば、個数に対する制限はないのは救い。魚、虫、がらくたは売る以外に用途が基本ないので、一括で売れないのは不便。
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すごい釣竿と、すごい虫取り網はそれぞれたくさん釣りや虫取りをすることで入手できる一方で、すごい金属探知機のみ、最後のこびとのイベントで入手することになる。すごい金属探知機目当てに、無駄に金属掘りに明け暮れたプレイヤーは結構の数いたのではないだろうか。
 
総評
ボリュームに関しては前作よりも相当改善されており、肝心のこびとづかん本来の世界観を楽しむことができる。原作のファンの期待を大きく裏切る内容ではないと思われる。しかしフラグの難解さやワープ移動の乏しさから、決してゲーム単品としての出来が良いとは言えず、効率の良いゲーム攻略を好む人には特にすすめられない。
最終更新:2022年03月13日 16:18