This Is the Police
【でぃす いず ざ ぽりす】
| ジャンル | ADV + ストラテジー | imageプラグインエラー : 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 | 
| 対応機種 | Windows XP~10 Mac(Intel Macのみ)
 Linux
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| 発売元 | THQ Nordic | 
| 開発元 | Weappy Studio | 
| 発売日 | GOG: 2016年8月2日 Steam: 2016年8月3日
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| 定価 | 1,480円 | 
| 参考 | Unityゲームエンジン使用 | 
| 判定 | バカゲー | 
| ポイント | 現在は日本語対応 金は命より重い
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概要
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"This is the Police"とは、警察に電話がかかってきた時の「こちらは警察です」もしくは、犯人に対して叫ぶ「警察だ!」という言葉である。
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ベラルーシの新興デベロッパー、Weappy Studioにとっての処女作であり、「Kickstarter」にて本作の開発資金を募って制作された。
ストーリー
フリーバーグ市の警察署長であるジャック・ボイドは、新聞報道で市長が180日後に自分を退職させると言ったことを知る。
折しも旧知の副署長がギャングとの癒着を暴露されている最中であり、さらにジャック・ボイドは家庭の問題も抱えていた。
ジャック・ボイドはタダでは転ばないと発起し、退職までの180日間で退職金代わりに計$500,000を手にすると決意した。
システム
ADVパートとRTSパートに分かれており、RTSパートは2日目からほぼ毎日あるが、ADVパートがない日もある。
また、実際にRTSパートをプレイする日にちは180日もない。
ADVパート
普通の選択肢型ADVではあるが、そもそも選択の場面は数回しか無く、検察局の聴取を受けた場合以外のほとんどがYesかNoかを選ぶような分かりやすい2択となっている。
なお、検察局の聴取を受けた日にはストラテジーパートはない。
ストラテジーパート
通報に対して、警官及び刑事をアサインするのがメインの作業となる。
一見RTSのようだが、ウインドウが開いている間は時間が止まるため、厳密にはRTSではない。
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シフトの編成
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1日交代の2グループに分かれているため、警官や刑事の能力が偏らないように分ける。
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問題のある警官を解雇したり、新たに採用したりする。
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ただし、解雇するには相応の理由が必要であり、そうでない場合は労働組合から訴えられ、最悪、減給となることがある。
 
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警官及び刑事の員数の枠の増員を市役所に要請する事もできるが、市長と折り合いが悪いと通りにくい。
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市長の要請を無視したり、事件の解決率が低かったり、市民に被害者が出るとペナルティと称して刑事もしくは警官の人数枠が削られる。
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職員らは休暇を取ることがある。無断欠勤の場合は問答無用で即日解雇できる。
 
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勤務
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クオータービューのフリーバーグ市のMapがあり、通報が入った場所に、その通報の対処の期限までの残り時間が示された吹き出しがマッピングされる。
 その吹き出しをクリックすると、通報の詳細がウインドウ表示され、その内容に適していると思われる警官をアサインする。
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送り出した職員は現場から次の現場へ直行は出来ず、一旦帰還するまで次の任務に当たれない。
 
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送り出した警官は重大事件の場合、現場から指示を仰いでくることがある。選択次第では殉職者が出る。
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任務を無事遂行すると担当の職員に経験値が貯まる。経験値が高いほど、職務実行能力が上がる。
 逆に失敗すると経験値が減る。
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任務には向き不向きがある場合がある。
 例えば、黒人を絶対派遣してはいけない事件などがある。
 
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現場に駆けつける事件とは別に、事後に犯人を割り出す刑事事件も起こる。
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刑事事件には刑事を割り当て、聞き込みに当たらせる。
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聞き込みにより情報が集まると、プレイヤーが事件の写真を時系列に並べることで解決となる。ただし、刑事の能力が十分ではない場合、間違った写真が集まることがある。
 また、『逆転裁判シリーズ』並に目撃証言があやふやで、この点が解決の難易度を上げている。
 なお、写真の並べ替えのやり直しはペナルティがなく、総当たりが可能。
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解決したら、刑事は警官を伴って逮捕に向かう。SWATや護送車などを付けることも出来る。それらを付けないと逃げられることもある。
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ギャングの事件の捜査中の刑事が殺されることがある。
 
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市役所からの警備の要請などは猶予時間がなく、ウインドウが開いたときのみ対応可能である。
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市役所や知人からの要請に派遣させる警官のレベルは低くても感謝してもらえる。
 それどころか、「美しい男声(たぶん誤字)を」という要請に婦警を送っても文句を言われない。
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市役所の要請で警官を派遣しても経験値はつかないが、逆に死ぬこともない。
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知人の要請への派遣で、ごくまれに大量の経験値がつくことがある。
 
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事件はランダムに起こるわけではなく、駆けつけ対応のものは起こる日時が決まっている。刑事事件はストーリーの進行次第で順番がある程度決まっている。
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また、一部の事件の対処方法の正解は、ストーリーがどのルートを通っているかによって異なってくる。
 
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警官狩り
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市民が怒って警官を襲うようになり、出動中に危害を加えられ、死ぬこともある。
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ストラテジーパートに慣れてきた、ちょうどいい頃合いで難易度が増す。
 
 
バカゲー要素
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正義の味方ではない
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「今やあなたはマフィアの一員と言っても過言ではない」ということになる(不可避)。
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事件を無視して小遣い稼ぎをしないと目標額に届かないが、事件を疎かにしすぎるとそれはそれで自分の首を絞める事になる。
 
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市長も無茶苦茶
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事の発端を作った市長は主人公に対して、知人を次の警察署長にしたいから、とあっけらかんと言い放つ。
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市長から「黒人の職員を全員クビにしろ」という要請がある。従うかどうかはプレイヤー次第だが。
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なお、クビにするより殉職させた方がペナルティが軽いが、やるかどうかもまたプレイヤー次第。
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非合法な解雇に対するペナルティを回避する方法もあるが、やるかどうかも(略)。
 
 
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新しい副所長は主人公いわく「使えるヤツ」
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「判事はフェミニストらしいので、それを利用して○○(ネタバレに付き伏せ字)に不利な証拠をでっち上げましょう」と持ちかけてくる。
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マフィアの抗争中に「○○(ネタバレに付き伏せ字)が有利になるように肩入れしましょう」と助言してくる。
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結局彼は「○○(ネタバレに付き伏せ字)」を陥れたいのか手助けしたいのか…。
 
 
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署員も無茶苦茶
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二日酔いのまま出勤する者や、無断欠勤する者、「今朝、洗面台の鏡が割れて縁起が悪いので」という理由で休もうとする職員も。
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一度も休みたいと言ってこなかった刑事が突然「家族と過ごす時間がない!」といって辞職するイベントもある。
 
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事件対応も馬鹿馬鹿しい
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「逃走犯にダッチワイフを投げつけろ」で解決したりする。
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誤情報による通報があり、無駄足を踏まされる。
 
評価点
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ストーリー
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メインストーリーだけでなく、市長の無茶な要求イベントも、その達成の厄介さとその後のペナルティなど、丁寧に作り込まれている。
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ストラテジーパートの通報も、ランダムではなくメインストーリーの進行に合わせてちゃんと作り込まれているため、単調さは回避されている。
 
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日本語対応
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開発元直々の日本語対応であり、新聞の見出しまで日本語化されている。
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ただし、日本人が翻訳したなら絶対に間違わないであろう日本語としておかしいレベルの誤訳(「至上最低」「美しい男声が好み」など)も散見される。
 
 
問題点
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映像表現が非常にそっけない
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イベントの描写は紙芝居レベルの演出。
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『シルバー事件』レベルまで頑張れとは言わないが、もっと見せ方に凝って欲しかった。
 
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シミュレーション部分のゲーム画面も飾り気がなく殺風景である。
 
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セーブの問題
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システムによるオートセーブのみである
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プレイヤーが手動でセーブすることは出来ない。
 各日の終わりに「チェックポイント」と表示されている間にオートセーブされる。
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再開方法には「ロード」と「コンティニュー」がある。
 コンティニュー
 オートセーブによる、最後の「チェックポイント」から再開する。
 ロード
 カレンダー表示された日付から選ぶ。ただし、特定の日からしか再開できない。
 「ロード」にて再開した場合、ロードした日付以降のセーブデータは削除される。
 
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「ニューゲーム」を選んで始めた場合、すべてのセーブデータは削除される。
 
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これらの制約により非常に使い勝手が悪く、ほんの数日やり直したいだけなのに、1週間近くやり直さなければならなくなってしまうことも。
 セーブファイルを手動で退避させるという回避策が無いわけではないが…。
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テンポが悪い
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出勤時に主人公が愛車のエンジンキーを回すムービーが毎日あるが飛ばせない。
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勤務前に必ずBGM選択画面になる。
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BGMは勤務中にも変えられるので、毎日BGM選択画面を見せられる意味がわからない。
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なお、BGM選択画面で何も選ばないと無音になる。
 
 
総評
数あるクライムゲームの中でも、汚職警官が主人公というかなり踏み込んだというか一線を越えてしまった感のある設定にはさすがの全米もびっくり。
この男、叩き上げの警察署長にもかかわらず、退職金が出ないなら自分で稼いでやるという清々しいまでの私利私欲ぶりである。
モラルがぶっ壊れているのは他の登場人物も同様で、市長は「金が無い? 今まで何してたんだ?」と汚職は当然だという立場だったりする。
ゲームシステム自体はそこまで斬新ではなく、グラフィックもデザイン的には洗練されているものの、演出が前世紀レベルで安っぽい。
舞台設定のイカレ具合で勝負を賭けたバカゲーである。
後の展開
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2018年8月に『THIS IS POLICE 2』が発売された
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前作とは主人公も舞台も変わっているが、結局汚い金を集めるゲームであるのはそのままである。
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現場に向かわせた警官を操作して事件解決を行う、『Door Kickers』や『XCOM』に似たターンベースのストラテジーパートが追加されている。
 
最終更新:2019年01月06日 23:15