ポップンミュージック Best Hits!

【ぽっぷんみゅーじっく べすとひっつ!】

ジャンル 音楽シミュレーション
対応機種 プレイステーション2
発売元 コナミ
開発元 コナミコンピュータエンタテインメントスタジオ
発売日 2003年2月27日
定価 5800円
判定 なし
ポイント ボリューム不足
前作(CS7)との重複が多い上に、総曲数自体も少ない
ゲームシステムや内容そのものに不備は無く、遊ぶ分には問題ない
ポップンミュージックシリーズ


概要

長らくプレイステーションを中心にリリースされ続けたポップンミュージック(以下、アーケード版を「AC」、家庭用作品を「CS」と称する)シリーズであったが、シリーズが進むにつれ曲数やモード数などが多彩化し、後期になるとPS1の性能では完全収録するのは厳しい現状であった*1
すでにPS2がメインハードになりつつある時期だった事もあり、PS2でのCS作品の登場を期待するプレーヤーは多かった。

そして、遂に念願のPS2のデビュー作であるCS7が登場。PS1時代のポップンを大幅に超える出来で、多くのプレーヤーを喜ばせた。
その後CS7人気も覚めやらぬまま、「PS1版CS1~6の曲を厳選収録」という触れ込みで登場したのが本作『Best Hits!』である。
その謳い文句から、CS7と同様のボリュームを求めるプレーヤーからは大きな期待が寄せられたのだが、評価は芳しいものではなかった。


問題点

  • 総楽曲数の少なさ。
    • 過去曲の再収録がメインであるので新曲数が少ないのは致し方ないにしても、CS6、CS7に比べ、収録曲数が全55曲(デフォルト44曲・隠し11曲)と極端に少ない。CS7に馴れたプレーヤーにとっては、「いくらなんでもこの曲数はケチりすぎ」との声も多かった。
    • しかもCS7との重複曲が14曲*2もあり、CS7を持っているプレーヤーからして見ると、さらにガッカリする結果に。
    • 隠しで本作収録曲のリミックス曲が7曲存在するが、それらも全て過去のリミックスの再収録な上、さらにそのうち4曲がポプ7収録曲の再収録(上記の重複)である。
    • 上記の他に本作オリジナルの新規リミックスが3曲存在するが、何故か原曲の方は未収録。
      • リミックスのみを収録するのは他のナンバリング作品でもよくあることなのだが、ベスト盤を謳う本作で新規リミックス製作した曲の原曲を収録しない意図が読めない*3
    • そもそも「ユーザーからの人気投票」で厳選収録されているはずなのだが、選曲が本当に人気順で選ばれたのか疑わしいラインナップで、出来選曲との噂がある。
      • なお、人気投票の結果はこれだが、実際にはTOP10が全て収録された以外は「ランクインしているのに未収録」の曲もいくつかある。
      • 逆に、31位以下だが「スタッフおすすめの曲」として収録されている曲が存在する…のだがなぜかそこにCS7にも入っていた曲があったりする。
  • PS1時代には存在しなかった新譜面が微少に追加されているが、ほとんどが当時アーケードで稼動していたAC9の先行収録でしかなく、アケ版プレーヤーからして見れば新鮮味はない。
    • ただし、この時の譜面はのちに発売されたCS9には再録されず、後のCS作品でも収録されていない譜面もあるので、希少価値はある。
      • 「アイドルガール」のHYPER譜面、「フューチャー」のHYPER・EX譜面、「ヴィジュアル2」のHYPER・EX譜面は家庭用では本作のみ。「J-テクノ2」はCS11に再録された。*4
    • 唯一の本作オリジナルの新規追加譜面は「キャンディポップ」のHYPERだが、これはCS10に再収録。
  • CS7では存在していたバトルモードが何故か非搭載。対人戦が熱いこのモードを何故入れないのか?
    • さらに、CS7では初プレーヤーのためにゲームの基本ルールをレクチャーしてくれたスタディモードまでも非搭載。新規ユーザーにとっては不親切である。
  • 熟練向けであるエキスパートモードはコースが4つしかなく、隠しも存在しない(CS6、7では10以上ものコースが存在)。
    • また、中でも「ポップン5&6コース」の構成が極端で、本作のレベル表記で表すと「シンパシーH(Lv16)→J-テクノ2H(Lv24)→トランス(Lv32)→オイパンクEX(Lv41)」という1コース内で非常にレベル差の激しい内容になっている。
    • ただし、これまでと同様にオリジナルコース作成機能は搭載しているため、コースを自分で作ることはできる。
  • システムは先に出たCS7を使いまわしているため、オプション関連も7のまま(青:Hi-SPEEDx2~4、黄:HIDDEN、緑:MIRROR、白:RANDOM)。つまり、当時のアーケード最新作だったAC9で使えたBEAT-POP、S-RANDOM、HS6速、SUDDENなどは使えない(ビートポップ君や高速HSは7同様にオジャマで擬似的に可能だが)。
    • グルーヴゲージが細かったCS7とは違い、ゲージの見た目そのものは他作品同様の粒状になっているのだが、比率自体はCS7と同じものを使っているため「24:8」で他作品よりやや厳し目になっている。
      • また、外見は粒状態でも内部データそのものはCS7同様に細かくなっているらしく、終盤でBADを少し出してクリアすると見た目はフルゲージクリアなのに実際にはフルゲージにはなっていないのかキャラがFEVER WINではなく通常WINポーズになることがある。
  • 他のPS2ポプシリーズはDVD-ROM供給だが、本作は容量の少ないCD-ROM供給(盤面裏が青)になっている。曲数が少ないのはCD媒体による容量制限のためかもしれないが、その割には当時のポプ7より定価が1000円程度安いだけ。ボリュームは大幅半減しているのに…。
    • 媒体がCD-ROMのため仕方ないが、DVDの他作品よりも読み込み音が若干うるさい。
    • さらに今はCS7、8、9、10はベスト化により価格が税込2940円まで下がっているのに、CS7~8の間にリリースされたはずの本作だけは再販されず、未だに当時の定価のままである。CS11以降もベスト化されていないが、こちらはどれも総100曲オーバーの驚愕ボリュームなので、本作と比べると割高感は無に等しい。*5
      • 後述のベストヒッツモードにおいて、後に騒動を起こしてポップンから干されたアーティストの新堂敦士が上位曲のインタビューで堂々とトークしていたのが原因かもしれない。(廉価版が出た他作品にも彼の曲自体は入っているのだが)

評価点

  • 他のCS作品ならば隠し扱いのEX譜面が初めから全て選べる。これまではエクストラステージでプレーしなければ解禁されない仕様だった。
  • 完全オリジナルの新曲が2曲存在する。「エレクトロ」の難易度はそれほどでもないが、隠し曲「スクリーン」のHYPER、EX譜面の難易度は常軌を逸している内容*6で、本作最大のボス曲として恐れられている。*7
+ スクリーンEXプレー動画
  • ※動画はアーケード版「pop'n music 19 TUNE STREET」でのもの。
  • 新キャラクター「ニコ」「リデル」が登場。また、REMIX担当の「プリティ」「ボーイ」「アンズ」も、衣装とアクションも含めて書き下ろされている(その内、ボーイのアクション自体は過去のものの流用だが)
    • また、イメージキャラクターの「ミミ」と「ニャミ」も本作独自の新衣装で描かれている。ただし、タイトルのムービー等で登場するのみで、残念ながらプレーヤーキャラとしては使用できない。
  • PS1時代のシリーズで収録されていた楽曲が再録されたことにより、過去の曲を高音質で楽しめる。
    • 特にPS1のポップン6で収録された曲は楽曲大量収録の代わりに音質がやや犠牲となっていたため、改めて本作で高音質で再収録された事は評価できる。
  • 総集編のため、曲だけでなく過去の人気キャラも多数再録。このため過去作のキャラを使って別シリーズの曲をプレーできる。
    • このため、中にはその曲の担当キャラを主眼にして収録されたと思われる楽曲もある。
  • プレーしたステージのリプレー(1曲丸々のプレー動画)を記録・保存して、再生(鑑賞)する事ができる。これはすべての家庭用ポプにおいて、本作だけのシステムにあたる。
    • このシステムについては評価が高く、他のナンバリングシリーズへ実装されなかった事を惜しむ声もある。
  • ベストヒッツモードの存在。青ポップ君(CV:すわひでお)と赤ポップ君(CV:新谷さなえ)が漫才トーク風味で人気投票曲ベスト10を紹介し、その曲をプレーできるというもの。(何故か投票とは関係無い新曲が混ざっているが)あくまで曲紹介がメインのモードで、全曲クリアすると番組終了のような演出になる。
    • 「BEMANIの漢担当」とも呼ばれる熱血のすわひでおと「コナミの歌姫」こと新谷さなえの漫才は一見の価値あり。
  • PS1版ポップン6当時は収録が漏れていたAC6版権曲の一部が収録。独自REMIX曲を含む以下の8曲は家庭用では本作でしかプレーできない。
    • ちなみに現行のアーケードでは以下8曲は全てプレー不可(6当時の版権曲は削除、REMIXも未移植のため)。
+ リスト
ジャンル名 曲名 アーティスト 担当キャラクター
ポップン6からの版権曲
ショウテン 笑点のテーマ インスト曲 ニャミ
キャンディキャンディ キャンディ・キャンディ 中山マミ ミミ
フランダース よあけのみち 新谷さなえ ニャミ
ヤッターマン ヤッターマンの歌 山本正之と森の木児童合唱団 ミミ
ルパン ルパン三世のテーマ'78 インスト曲 ミミ
新規REMIX
J-ポップREMIX Life Haya-P&Maru プリティ
キュートREMIX 取り返してやる!~Again my lovery day~ Akko's アンズ
テクノ'80REMIX Water Melon Woman NAKATEK ボゥイ

総評

曲数のボリュームの低さで不評を買ってしまった一方で、ゲームシステム自体は他のCS作品となんら変わりはなく、安定した面白さはきちんと保っている。Wii版『ポップンミュージック』のような、操作性やゲームバランスの不備があるわけではない。そのため、新規ユーザーからの評価は決して悪くはない。
PS1時代の曲がPS2の良音質でプレーできる、ここでしかプレーできない曲や譜面がいくつか存在する、ベストヒッツモードの存在などの他シリーズにはない魅力的な部分もある。特に、ここでしか遊べないオリジナルのREMIX曲3つは、サントラ未収録ではあるものの隠れた人気がある。

上記の通り、低ボリュームゆえに発売意義があまり感じられないのも否定はできないが、音ゲーのベスト盤はむしろ新規ユーザーを取り込むための総集編の意味合いが強いため、既にシリーズを揃えたコアなファンが物足りないのはある程度は仕方のない事かもしれない。


その他

  • 本作以前にもPS1で『ビートマニア BEST HITS』『ダンスダンスレボリューション BEST HITS』といったソフトが登場しているが、これらも同様に新規ユーザー向け総集編の意味合いが強く、コアユーザーからの評判が乏しいという共通点がある。
  • CS12、CS13には、本作とはまた別で集計された人気投票にて選ばれた曲を紹介する「ポップンリクエスト」という本作のコンセプトに近いモードが存在する。ただし、こちらはメインではなく、あくまでおまけ的なモードである。

余談

  • 今作の発売を記念して2003年3月1日、アソビットシティにてポップン初の公式ゲーム大会が開催された。さらに人気アーティストのSana、すわひでお、ミッキーマサシのミニライブ、トークショーも行われ、ファン達は大いに盛り上がった。
    • ちなみにチケットは本作を予約購入することで入手できた。
  • 本作初出の新曲である「スクリーン」と「エレクトロ」は、長らく本家シリーズのサントラに未収録でVレアサウンドトラックでのみLONGが聞けたレア音源であったが、ポップン20作目到達記念としてリリースされた復刻版サウンドトラック 「pop'n music SUPER BEST BOX」 にて、両者ともにLONG音源が収録された。ゲームサイズは未収録だが、一般サントラへの収録はこれが初。
  • 今作で青ポップ君&赤ポップちゃんの声を担当したすわひでお&Sanaの二人は、その後『ポップン対戦ぱずるだまONLINE』でも引き続き赤ポップ君と青ポップちゃんとして共演し、実況というより漫才を行っている。*8
  • 再録曲の「ポップスREMIX」は、アーケードでは『5』以降担当キャラがMZDに変更されているが、今作では担当キャラクターに『4』当時のリエちゃんを起用しつつも新規の固有背景を使用している事から、後のシリーズ作品にも存在しない希少価値のある存在としてファンに知られているとか無いとか。

おまけ

+ ...

【人気投票で30位以内に入ったが収録されていない楽曲】

ジャンル名 収録作品 曲名 アーティスト 担当キャラクター 順位
パワーフォーク7 CS6 Shake!-Game Ver.- 新堂敦士 アッシュ 16位
パワーフォーク AC3 なんか変だ! 新堂敦士 アッシュ 22位
パワアコ AC5 君が好きだよ~守って守ってあげるから …Folky Version 新堂敦士 マコト 23位
コケティッシュ AC4 恋は天然 ナチュラルベア リエちゃん 25位
パワーフォーク3 AC5 君が好きだよ~守って守ってあげるから 新堂敦士 アッシュ 28位
J-テクノ AC1 Quick Master act deft ショルキー 29位

上記のうち、J-テクノ(CS12に収録)以外はその後もPS2版に再収録されなかった。


【人気投票ランク外だがスタッフおすすめとして再録された楽曲】

ジャンル名 収録作品 曲名 アーティスト 担当キャラクター 備考
ラップ AC1 YOUNG DREAM Little Fingers ジャムおじさん
ディスコキング AC1 FUNKY TOWN '75 JV & THE SEXY MACHINE GUN バンブー
キャンディポップ CS2 Give me your pain Haya-P & Maru シンディ 追加H譜面あり
セクシーガールズ CS2 淋しくてLoneliness ワンダース メイファ
カントン AC3 和你一起走 Cathy Lau リンリン
ドリーミー CS3 penguin NAKATEK ボウイ
ラテンロック CS4 ヤバイオンナ ラジカル・ツグ&ミッキー・マサシ アントニオ
クラシック4 CS4 Concertare Waldeus vön Dovjak ハマノフ
ネオGS AC5 Shock of Love Kiddy & Sunshine Lovers ワッキー
アニメヒロイン AC5 魔法の扉(スペース@マコのテーマ) a.s.a. スペース@マコ
メロコア AC6 H@ppy Choice good-cool feat. すわひでお おとこマン
スピリチャル CS6 lasting Shaker Boo アゲハ
オイパンク CS6 悲しいね ブタパンチ ウオヲ

【PS2ポップンシリーズ曲数、及び9ボタンモード譜面数の比較】

タイトル 曲数 5ボタン/
NORMAL
HYPER EX
7 97曲 97 87 32
Best Hits! 55曲 55 37 13
8 104曲 104 100 50
9 111曲 111 107 61
10 103曲 103 102 72
11 100曲 113 113 86
12 いろは 102曲 102 102 79
13 カーニバル 114曲 114 113 102
14 FEVER! 112曲 112 112 88

以上は通常のアーケード&フリーモードで遊べる曲のみをカウントし、スタディモードの練習専用曲やバトル用譜面などは含まない。
ポプ11の曲数は公式では113曲だが、曲自体は全く同じで譜面のみ完全一新した「ウラ譜面」が13曲分重複しているので、厳密には100曲である。

ちなみに、7・10・11・12には基礎プレーを学べる独立したモード(スタディモードやスタディランド)、
8・12・13・14は一部の通常曲の譜面を簡単にして遊べるモード(スタディチャンネルやエンジョイモード)があるが、
PS2版では本作と9のみ初心者向けのモードが搭載されていない。

最終更新:2022年12月08日 15:33

*1 実際、PS1最後のポプであるCS6は収録曲こそ100曲オーバーとPS1にしてはかなりのボリュームであったが、その代償として、音質の低下やロードの長さ、アーケードにあったバトルモードの削除、曲・譜面の一部未収録と質的に劣化された部分が多かった。

*2 「カントン」「アンビエント」「フューチャー」「パーカッシヴ」「ネオGS」「ドリーミー」「クラシック4」「ハート」「スピリチャル」「オイパンク」「J-ガラージポップREMIX」「ナイトアウトREMIX」「ヴィジュアル2REMIX」「ソフトロックLONG」

*3 これらのリミックスの原曲のうち、ポプ7には「テクノ'80」のみ再録されていた。また、後の12いろはには「J-ポップ」が再録されたが、PS2版では「キュート」のみ再録されていない

*4 また、「ヴィジュアル2」は携帯機版portable2の有料DLCとしても移植されている。

*5 ちなみに11以降の作品は流通量が少なく店頭価格が新品・中古共に高騰している。

*6 初出時はHYPER=37、EX=42という詐称難度だったが、AC移植の際に修正され、現在はそれぞれ46(旧基準で40)、EXに至っては49(旧43)という高難度を誇る。

*7 ちなみにAC版ではAC16のトイコンテンポラリーまでAC出身のLv43は存在しなかった。現在はレベル修正により、LV42のAC楽曲の中からかなりの数がLV43に昇格されたことで曲数は増加している。現在、AC21作目でレベル基準が50段階に引き上げられたこともあり、旧LV43の曲はすべて、LV49もしくは最高のAC50へ昇格した。

*8 実況の例:「今だ!必殺!16連射ぁぁ!!」『回転するだけだから…』、「えー、本日のゲストは…」『来ないから。』、「あー、ダルっ」『返す言葉もないわ。』、『現場の赤ポップさん、如何ですか?』「そうですね、どちらとも…ってやらすなっ!!」など。