戦国BASARA3 宴

【せんごくばさらすりー うたげ】

ジャンル スタイリッシュ英雄(HERO)アクション

対応機種 プレイステーション3
Wii
発売・開発元 カプコン
発売日 2011年11月10日
定価 【PS3】5,880円
【Wii】4,990円(税込)
レーティング CERO:C(15才以上対象)
判定 なし
戦国BASARAシリーズ



乱世の宴ここに開幕!



概要

約1年後に発売された『3』の拡張版ディスク。
NPC及びリストラキャラクターのプレイアブル化、新規ステージの追加などが主な変更点。
キャッチコピーは「戦国英雄(ヒーロー)暴れ咲き!


特徴

  • 『3』で未参戦・NPCであったキャラクターのプレイアブル化と新規ステージの追加
    • 地方領主を除く『3』のNPC12人と、『3』では未参戦であった2人の計14人がプレイアブルキャラクターとして追加され、プレイアブルキャラクターは全30人となった。
      • 新規参戦(『英雄外伝』より復活):松永久秀・武田信玄*1
      • 『3』NPC(『英雄外伝』より復活):片倉小十郎・猿飛佐助・上杉謙信・かすが・北条氏政・前田利家・まつ
      • 『3』NPC(『3』より参戦):最上義光・大友宗麟・立花宗茂・小早川秀秋・天海*2
    • キャラクターの追加やストーリーモードの展開に合わせて8つのステージが追加され、ステージ数は計46となった。
  • 難易度「婆裟羅」の追加
    • 前作までは、難易度は基本的に「普通」「難しい」「究極」の3段階であったが、本作では「究極」の更に上の難易度として「婆裟羅」が追加されている。
      • 敵の全体的な攻撃頻度や攻撃力上昇はもちろん、敵武将との戦闘では「敵武将がバサラ技を使ってくるのは1回の戦闘につき1度のみ」という制限が解除される。
        「バサラ技発動後は一定時間再発動不可」という制限は存在するが、ゲージが溜まれば何度でもバサラ技を使ってくるようになるため、他の難易度以上に弾き返しや回避で的確に対処する必要がある。
      • この難易度では、敵武将もプレイヤーキャラクターもスーパーアーマーが付きにくくなっている。
        そのためアーマーによるゴリ押しが通じなくなるかわりに、低い攻撃力の連続攻撃技でも普通に仰け反ってくれる。
  • 戦極ドライブの復活
    • 『3』では、『2』及び『英雄外伝』で搭載されていた戦極ドライブの代わりとして前述の戦刻ブーストが採用されていたが、『宴』では戦極ドライブと戦刻ブーストの両方が使用可能になり、事前にどちらを使用するか選択する方式となった。
      • ベースは『3』ブーストなので、『2』と違いバサラ技中は制限時間の減少が無い。
      • ドライブ発動時の台詞は、ブースト発動時の台詞とは別に新録されている。
  • 「ストーリー」モードの仕様変更と「天下統一」モードの復活
    • 本作では、松永久秀・片倉小十郎・猿飛佐助の3名と、『3』から参戦し本作でプレイアブル化された5名の計8人にストーリーが用意されている。
    • 『3』では、『英雄外伝』までのシリーズ作に搭載されていた「天下統一」モードが「ストーリー」モードに吸収される形で削除されていたが、『宴』では「天下統一」が復活し、「ストーリー」も全3章のステージ固定となり、『英雄外伝』までに近い仕様に戻った。
      また、「天下統一」には「通常制覇」と「戦国ドリームチャンス」という2つの形式が存在する。
      • 「通常制覇」は『英雄外伝』までと同じく、最終的に全領地を自軍のものとし天下統一を目指すのみのモード。
      • 「戦国ドリームチャンス」は、「通常制覇」にギャンブル要素が加わったモード。
        最後まで勝ち残る(最終戦で自軍と対戦する)軍勢を予想して小判を賭け、当たれば倍率に応じた配当金を獲得できる。
        賭ける軍勢は最大3つまで選択可能であり、賭けた軍勢を天下統一前に自分で倒した場合は途中獲得として配当金の一部を受け取ることができる。
      • また、「ルーレットつづら兵」というシステムが追加された。
        進軍画面でつづら兵のいる合戦場に進軍した場合、陣を1つ占領する度にルーレットが行われるようになる。
        大当たりを引くと小判を持ったつづら兵が大量発生するため一攫千金のチャンスだが、はずれを引くと爆弾が降ってくる。
  • 「決戦」モード及び「日本遊戯」モードの追加
    • 「決戦」モードは、『英雄外伝』に搭載されていた「対戦」モードに近いもの。2人プレイで対人戦を楽しむことができるほか、1人プレイでもCPUを相手に戦うことができる。
      スタータス・武器は初期状態、装具は装備不可、戦刻ブースト及び戦極ドライブは使用不可となる。
      • 「真剣勝負」は、その名の通り小細工なしの一対一で戦うモード。
        「個人戦(純粋な一対一)」「団体戦(三対三もしくは五対五の戦い。一回の対戦が終わったら勝ち負けに関係なく次の武将に交代する)」「勝ち抜き戦(一対一~五対五までの任意の人数で、勝った方が体力とバサラゲージを引き継いだ状態で次に進む勝ち抜き形式)」の3つの形式から選ぶことができる。
        対戦一回当たりのラウンド数も「1」「3」「5」から選択可能。
      • 「波乱万丈戦」は、一定時間経過ごとに様々なアイテムが降ってくる状態で対戦するモード。
        降ってくるアイテムは、体力やバサラゲージを回復させる通常アイテムのほか、ダメージを与えたりガードを不能にするトラップアイテムなど、種類豊富。
      • 「三十人組手」は、プレイヤー武将全30人と次々に戦っていくモード。
        30人全員を倒すと、ゲージ類を引き継いだままもう一度30人と戦う「六十人組手」に進むことができる。
    • 「日本遊技」は、特定のテーマで作られた短いミッションをクリアしていくモード。
      ミッションクリアごとに仲間武将が解放されるようになっており、『3』からセーブデータを引き継いでいない場合はこのモードのクリアで仲間武将を解放していくこととなる。
      • 本作で新規追加された仲間武将もいるため、『3』で仲間武将を全員開放している場合でも本作で仲間武将を全員解放するには指定のミッションをクリアする必要がある。
  • 装具システム及びバサラ屋の仕様変更と、バサラくじ(バサラ富くじ)の復活
    • 『3』のバサラ屋は、ご当地資源や実績資源を組み合わせて装具を作るという仕様であったが、本作では『英雄外伝』までとほぼ同じものへと変更された。
      • この変更に伴い、ご当地資源は『英雄外伝』でのステータスアップアイテムと同じ役割となり、実績資源は単体で武器のステータスをアップさせる効果へと変更された。
        実績資源でのステータス強化は、武器そのものの攻撃力や装具での強化とは別枠で加算されるようになっている。
    • 『3』では重複装備可能な装具の最大所持数は99個であったが、本作では6個となった。
      『3』では装具の所持数は全武器共通で管理されていたが、本作ではこの変更に合わせ、武器ごとに所持数が管理されるようになった。
      • 例えば、所持数が6個の装具を全て武器に装備させた場合、『3』では所持数が0個となるため他の武器にはその装具を装備することができなかった。
        本作では、所持数6個の装具を全て武器に装備させた場合でも、他の武器の装備画面にはその武器に対する装備状況しか反映されず、所持数が0個にはならない。
        この変更のおかげで、同じ装具を複数使う際の付け替えの手間が減少した。
    • 『英雄外伝』に存在した「バサラくじ」が、「バサラ富くじ」として復活した。
      • 基本的な仕様は『英雄外伝』と同様だが、商品割引や小判の他に、大当たりでご当地資源を直接手に入れることができるようになった。
  • 兵種の追加・調整
    • 本作における追加ステージのみの登場ではあるが、特殊攻撃を行う兵種がいくつか追加され、雑兵の攻撃のバリエーションが更に豊かになった。
      • 『1』に存在した、大凧に乗って浮遊しつつ爆弾を投下してくる「凧忍者」が復活した。
      • 独楽のように高速回転しつつ突っ込んでくる「平蜘蛛」や、手にした瓢箪に敵味方問わず吸い込んで花火として打ち上げる「花火兵」など、新規で追加された兵種もどれも個性的。
    • 新規兵種の追加と共に、既存の兵種にも細かな調整が加えられている。
      • 「忍頭領」は火遁(火炎弾)・水遁(氷柱)・風遁(竜巻)という特殊攻撃を使っていたが、本作では雷遁(放電)が追加された。
        また、本作では扱う術の種類によって頭部の色などが変化するため、どの術で攻撃してくるかが一目で分かるようになり、『3』で「多段ヒットで抜け出しづらく対処が難しい」という意見があった風遁は弱体化されている。
      • 「騎馬兵」は、『3』までは突進攻撃の軌道が一直線ですぐに動きが止まるため、一度回避してしまえばただの的も同然であったが、本作では突進を開始してから一定時間、ある程度プレイヤーを追うように方向転換しながら走るように変更された。
  • タッグモードの追加
    • 既存の2人プレイのほかに、1人プレイ時でも2人の武将を切り替えて遊ぶことができるタッグモードが追加された。
      • プレイアブル武将のみ、仲間武将の設定画面で「普通に仲間武将として連れて行く」か「タッグパートナーとして連れて行く」かを選べるようになっている。
      • 邪魔なパートナーを消すためにタッグにするといった用途で使用することも。

評価点

「乱世の梟雄」松永久秀の復活

  • 『英雄外伝』で強烈なインパクトを残した松永久秀が遂にプレイアブルの武将として登場。
    • 今作は天下分け目の戦に興味を示さず、自身の欲望の赴くまま立ち回る。因縁のある片倉小十郎や前田慶次、魔王化した織田信長と対峙しても平然としており異質な存在として描かれている。
      • プレイアブル化に伴い台詞が増加。対峙した相手の本心や心に抱える闇を見抜き、相手を追い詰めていく戦闘中台詞や興味の無い事にはとことん興味が無い様子が窺える汎用台詞がある。
    • 戦闘スタイルは火薬を使った爆破をメインに立ち回る。そのためなのか扱いにくいキャラになっている。詳しくは後述。
      • 逆に演出面は優遇されている。『英雄外伝』の固有モーションの「瞬間移動」が回避ステップに採用。
        また、専用特技として「歩く」事が可能だがこちらは演出重視。もちろん普通に走る事も可能。

更に練り込まれたアクション

  • 戦極ドライブ及びタッグモードの追加、装備アイテムの復活・追加などによる戦術の多様化
    • コンボ稼ぎに有用な戦刻ブーストと、火力の底上げに便利な戦極ドライブを使用武将・ステージによって使い分けることができるため、戦術の幅が大きく広がった。
    • タッグモードも、2人の武将の固有技・固有奥義を組み合わせることで今までになかったコンボを作ることが可能であるため好評。
      • 設置技は交代しても消えずに残るため、コンボだけでなく戦術の幅が広がっている。また移動速度の高い武将を付けてタクシー代わりにすることも可能。
    • 装具は『英雄外伝』の装備アイテムが復活したり、新たなものが追加されており、こちらも戦術の幅を広げるとして概ね好評。
      • 後述の「威力変化鏡」のように問題点を孕んだ装具もあるが、移動速度上昇アイテムの「韋駄天抄」や、強制的に瀕死状態になるのと引き換えにゲージが溜まっていなくてもブーストorドライブを発動可能となる「鬼火の蝋燭」、仲間武将がプレイヤー武将を追ってこなくなる「暗君の陣幕」、撃破数に応じて攻撃力が上昇する「復讐の妖刀」などの復活は喜ばれた。
    • 『3』では発動後にヒット数が途切れる技があったが、本作では本来のヒット数が途切れる時間を延長してヒット数が持続するようになった。
  • 各キャラクター専用装具(専用装備)の一枠化・強化
    • 『3』では装備枠を4つも潰すために無用の長物と化していた専用装具が1つに纏められ、弱かったり役に立たなかった一部の専用装具は効果が強化・変更された。
      • 例として元親の専用装具は「"一触"(碇槍の先端を分離させて飛ばし、敵を釣り上げる技)で釣られた敵が小判を落とす」という効果だったが、「一触」自体がお世辞にも使いやすい技とは言えず、利用価値は皆無であった。
        そのため本作では、「"四縛"(網を出現させて敵を拘束する技)で拘束した敵に追加ダメージを与えられるようになり、通常では拘束できない一部の敵武将(主に重量級の武将)も拘束できるようになる」というかなり実用的な効果に変更された。
      • 天海など一部のキャラクターについては、「常時強化状態となる上に時間制限がなくなる(本来は、固有奥義を使って一定時間だけ強化状態へ移行できる)」という、強化固有奥義の存在意義をなくしてしまいかねない強力な効果であるが、爽快感的にはプラスであるため概ね好評である。
  • 本作からプレイアブル化された武将のアクションはどれも個性的で手が込んでいる。
    • 最上義光は、固有技の見た目こそジャンプして着地地点で土下座(通称:ジャンピング土下座)したりとコミカルなものばかりだが、その性能は強力な当て身技であったり特殊なキャンセルポイントを持っていたりと、戦い方次第で敵を翻弄することが可能。
    • 小早川秀秋は、「固有技を使ってつまみ食いをすることで満腹度が上がり、他の固有技が強化される」「通常技全段で決められたタイミングでのつまみ食いに成功すると、強化状態が長時間持続する」という仕様により、鍋で戦うコミカルな姿とは裏腹にテクニカルなキャラクターとなっている。
  • 既存の武将にも大幅に調整が加わっており、今まで□ボタン長押しに何も割り振られていなかったキャラクターに固有技や新アクションが追加されたり、空中発動可能な固有技・固有奥義が増やされている。
    • キャンセル可能な動作の追加や細かな仕様変更が行われており、総合的に見ると全武将が何かしらの強化を受けている。
      • 特に家康と風魔は大幅な上方修正を受け、『3』とは別キャラクターと言えるほどの強化を受けている。
    • バグ技(隠し仕様)なので賛否が分かれるが、バグによってキャラクターを面白く動かせるといったものも多い*3
  • ダッシュジャンプ中にダッシュの先行入力が効くようになった。
    • この変更で、ダッシュジャンプの使い勝手が更に増した。
  • 全体的に武将の仰け反りが非常に強くなったため、コンボを繋げやすくなった。
    • 浮かないのでランダム受身を取れない忠勝はサンドバッグにできるほど。
      全体の約2/3のキャラクターは忠勝に対する実用性のあるハメを持っており、条件が厳しくあまり実用性がないものまで含めれば、ほぼ全てのキャラクターでハメができる。
      • ただし、この点については「これでは"戦国最強"が形無しだ」「忠勝はもっと反則的な強さにしてもいいのでは」という批判もある。
    • 同技補正も難易度「普通」ならば非常に緩いため、コンボの自由度を制限し過ぎているということもない。
    • 一定時間コンボを繋げた後に通常技を当てると強制的に剣劇(拒否は可能だがコンボは途切れる)に入ったり、多段ヒットする攻撃がカス当たりしかしないようになっているなど、一応ループコンボ対策はされている。
      もっとも、通常技を使用しなければ剣劇に入ることもないのだが。
      • また剣劇後の失神を利用して発生の遅い技を繋げる、剣劇を〆に持ってくるといった点でコンボに使えるため、単にコンボを邪魔するためだけの仕様ではない。

その他

  • ストーリーモードのシナリオ開始前の前説が全武将専用の物になっている。シリアス重視の武将は簡素で真面目なものだがギャグ重視の武将は非常に凝っている。
    • ポップな文字が踊る小早川、紙芝居みたいな最上、実写映像が使われる宗茂、可愛らしい人形劇の宗麟など。
  • 本作で復活した「天下統一」モードだが、全領地獲得を目指して戦い続けるのみだった過去作に比べると演出面が向上している。
    • 一定条件を満たすと、「隠し合戦場」と呼ばれる特殊なステージが発生するようになった。
      「隠し合戦場」発生時のミニムービーはどれも凝っており、特殊な会話イベントが発生する場合もあるため一見の価値あり。
    • 「戦国ドリームチャンス」の場合、1戦ごとに実況中継風のナレーションが挿入され、天下統一時に予想を的中させていれば対応する軍勢や獲得賞金額に応じたメッセージ(基本的に各軍勢につき3パターン)が表示される。
  • 『3』で増えた「奇妙奇天烈な乗馬スタイル」は本作にも受け継がれ、更におバカさが増した。
    • 特に、乗馬した瞬間馬が2頭に増え、その間を跨ぐように仁王立ちするという信玄の乗馬スタイルには多くのファンが突っ込みを入れた*4
  • 「おたずねもの」退治の報酬は敵武将が落とすものと同様の武具に変更され、単なるボーナス要素に。また、『3』よりは幾分か倒しやすくなった。
    • 前作で特に不評だった時間制限についても、「一旦発見してしまえば時間経過で逃げることはないが、発見から一定時間内に退治することができれば報酬の武具が豪華武具にグレードアップする」という形となり、事実上緩和された。

賛否両論点

  • 追加キャラクターの仕様
    • 本作で追加されたキャラクターのうち、『英雄外伝』から復活したストーリーモードのない6人は第弐衣装がなく、武器のグラフィックもエフェクトの違いを除けばすべて第一武器と同じである。バサラ技の台詞も『3』の流用(究極バサラ技は新録)。
      『英雄外伝』からの復活といっても、『3』の項目で述べたようにPS3への移行でモデリングが一新されていることもあり流用されたのは一部のモーション程度で、全員固有技の大幅な追加・変更などが行われているため、一概に手抜きと言えるものでもないのだが、「過去作のデザイン流用で構わないから、武器や衣装の種類を増やしてほしかった」という意見も多い。そもそもが他武将でも既存武器の色違いである「山吹」や「無銘」すら第一武器と全く同じグラフィックである。
    • 小十郎は既存の固有技から二刀目を使った新技に派生できるようになり、佐助はほぼ全てのモーション・固有技が新規作成されたものに差し替えられている。
    • 前述した「ストーリーも第弐衣装も第一以外の武器もない」という6人も固有奥義こそ1種類しか持たないが、同時に6つの技を使うことができる点は他のキャラクターと同様。
      モーション変更や新技・新仕様の追加により『英雄外伝』までとは大きく操作感が変わっており、アクション面では一切の手抜きを感じさせない。
      • 例えば、北条氏政は自己強化の固有奥義が追加され、強化状態ではモーションや固有技の性能が一変するようになった。
        氏政は『英雄外伝』では固有技が2つしかなかったこともあり、ほとんど新規キャラクター同然に操作感が変わっている。
      • 前田利家は固有技のモーションこそ『英雄外伝』までとほぼ同様だが、タメ動作可能になった固有技を特定のタイミングで発動することで、技の性能が大幅に強化されるようになっている。
      • 上杉謙信は石田三成と同じく居合を駆使する武将だが、その操作感は全くの別物。スピード、技性能、火力の全てにおいて隙がなく、いささかやり過ぎに思えるほど強い。
        しかし、それだけに味わえる爽快感もかなりのもの。モーションや固有技は従来作を踏襲しながらも、それとはまるで別次元の高速アクションが堪能できる。
      • なお、『英雄外伝』において追加されたストーリーなしのキャラクターたちは、「衣装も武器も他のキャラクターと同じ数用意されているが、固有技は2つしかない」という扱いであった。
        その点を踏まえると、本作で固有技の充実と引き換えに衣装と武器が減らされた点を不満に思うかどうかは、アクション性とキャラクター性のどちらに比重を置くかによって判断が分かれるところでもある。
        もちろん、他のキャラクターと同じように衣装・武器と固有技の双方が充実している状態が理想的であるのは言うまでもないが。
  • ストーリーについては「ギャグ担当の武将はとことんおバカに、シリアス担当の武将はとことんシリアスに」という傾向が強まり、おバカ要素が増えた一方で人によっては前作よりも鬱要素が濃いと感じるストーリーもあるため、賛否両論。一応比率としてはシリアス4人にギャグ4人とバランス自体は取れている。
    • 特に松永ストーリーの第二章は「これが原因でCEROのレーティングが上がったのでは」と言われるほどに残酷な内容となっている。
      • 今までのシリーズ作品のレーティングは全てCERO:B(12歳以上対象)であったが、本作ではCERO:C(15歳以上対象)となっている*5
    • 一方、小早川秀秋などコミカル寄りのシナリオについては概ね好評。前述のシナリオ前の前説を含め様々なネタでプレイヤーを笑わせてくれる。
+ (以下ストーリーのネタバレと鬱要素注意)
  • 松永のストーリーは「己の欲望のままに生きる松永が、"宝"を奪うために武将たちを蹂躙する」という内容である。
    • 第二章のあらすじとしては「関ヶ原の戦いに乱入した松永が家康と三成を叩き伏せる」というものなのだが、最終的に松永は「復讐のみを生きる支えとしている三成の目の前で、その復讐対象である家康を焼き殺す」という行動に走る。
      • この行動については、「松永の外道さがよく表れている」と好意的に見る意見もあれば「わざわざムービーで描写するのは残虐過ぎて不快」という意見も多く、賛否両論となっている。
  • 天海のストーリーは「天海=明智光秀」という事実が初めて明言され、「"明智光秀"が"天海"となるまで」を描いている。
    • 今まで「殺戮を何よりの快楽とする狂人」として描かれていた光秀だが、このストーリーでは「殺戮を楽しみながらも、そんな嗜好を持つ己を"人間"ではないと思っており、まともな"人間"として誰かに慕われ愛されることに憧れている」という複雑な内面を持つ人間として描かれている。
      • 殺戮嗜好を捨てて「人間」になるために信長を裏切り、「本能寺の変」を起こした光秀が、その意図を誰からも理解されずに壊れていき、「天海」として小早川秀秋と出会うまでの過程を描いており、その内容は非常に陰鬱。
        「本能寺の変」のあとの光秀は信長の兜の前立てを手に放浪しており、それを失くしてしまったことがきっかけで崩壊が加速していくが、実はこの前立てはレーティング上差し替えられているだけで本当は信長の生首であり、「本能寺の変」の直後にそれを見せられたお市が精神崩壊してしまうというシーンがある。
  • バサラ技の台詞が上記の6人を除き全キャラ変更された。好みの問題もあるが、あまり評価が良くなく『3』のほうが良かったという意見も見られる。
    • お市は能登氏の面影が無いほどにボイスが加工されている。不気味さは出ているがこれは評価が悪い。『4』では加工した台詞と能登氏の台詞を同時に再生するようになった。
  • 『英雄外伝』と比較して引継ぎ要素に乏しい。
    • 英雄外伝では殆どの要素を引き継げたが、本作ではレベル、『3』で4つ集めた場合に限り専用装具、仲間のアンロック(友好度は引き継がれない)、小判が少々と、武器や装具関連は引き継がれない。
      • 裏を返せば引き継ぎにあまりこだわらず進められるともいえるが。
    • 本作から『3』への引き継ぎはレベルと仲間の開放に限られる。無いよりマシぐらいか。

問題点

  • コンボを阻害するランダム受け身の存在
    • 本作では、高難易度において空中で攻撃を受けている敵武将が完全ランダムで受け身を取る(強制的にコンボを抜ける)ようになった。
      空中コンボを抜けられて、避けられない状態でバサラ技を発動されてそのまま死ぬといった理不尽な現象も起こり得る。
      • また、プレイヤーでは受身を取れないタイミングでも受身を取ってくる。非常に限定的ではあるが、酷い場合は浮いていなくても受身を取って避けてくる。
      • 前述のように、『3』の敵武将戦は(キャラクターによっては相手が死ぬまで)ひたすらコンボを叩き込むことができる点が魅力であり、この調整は爽快感を大きく削ぐとして批判の的となった。
        そもそも、コンボや戦法の単調化を防ぐための調整としては後述する「同技補正」が既にあり、難易度調整という意味でも「敵が問答無用でコンボを抜けてくる」というのはあまりに安易かつ理不尽過ぎる。
      • 『3』と本作では、敵武将に対する攻撃に「同技補正」と通称される制限が設けられている。
        「短い時間内に同じ技を何度も出すと、相手にガードされたり弾かれる」というものであり、この制限によって様々な固有技を組み合わせることを促している。
        『宴』では技を空振りしても同技補正がかかるようになっているため、移動時間短縮に突進技を使っていた場合は、敵武将との交戦前に一旦別の固有技を使用しておかなければ容赦なく弾き返される。
        更に、難易度「婆裟羅」では同技補正も非常に厳しくなっており、同じ固有技を短時間で2回使ったらガードもしくは受身、3回使ったら弾き返されるため、ランダム受身抜きでもコンボの縛りとしては充分なはずである。
    • 難易度「普通」ならば頻度が非常に少ないので、魅せコンボを完遂することも充分可能。
      装具の組み合わせによって武器の攻撃力を最小値にまで落とすことができるので、「難易度低下に伴う敵体力減少でコンボを楽しむ間もなく撃破してしまう」という心配もない。
      • ただし、あくまで「非常に少ない」だけで受け身を取られる可能性が消えたわけではない。
        また、敵の反応速度なども難易度相応に弱くなるため、「歯ごたえのある難易度でコンボを楽しみたい」という層にとって物足りないことには変わりない。
  • 相変わらず崩壊しているパワーバランス
    + 1人プレイならばさほど問題はないが、対戦要素が復活したことによりキャラクター間の格差がよりはっきりすることとなった。
    • 特に多いのが、「闇属性が強過ぎて光属性が弱過ぎる」「スピードタイプが強過ぎ、パワータイプが弱過ぎる」という意見である。
    • 闇属性は追加ダメージに加えて「攻撃を当てた際に相手の体力の一部を吸い取る」という特殊効果があるため、抜群の安定感を誇る。
      対する光属性は、『3』の時点で『英雄外伝』までの「敵のガードを崩しやすい」という特殊効果がなぜか削除されており、追加ダメージの数値も高くないために一気に弱体化してしまった。
    • スピードタイプとパワータイプの格差については、同じく対戦要素が盛り込まれていた『英雄外伝』でもスピードタイプ有利と言われていたが、本作では武器の仕様変更などで余計に悪化している。
      特に影響が大きいのが、「"無銘武器"(第六武器)の仕様変更」と「"威力変化鏡"の復活」。
      「無銘武器」は『3』では「攻撃力は低いが、最初から装具枠が全て解放されている」という役に立たない仕様であったが、本作では「攻撃力は低いが、タッグモードか2Pプレイの場合、2人とも無銘武器を装備していると攻撃力2倍」という効果になった。
      一方「威力変化鏡」は、過去作では『英雄外伝』でのみ使うことができた、「装備中の武器の攻撃力が、所持している中で一番攻撃力が高い武器と同じ数値になる」というアイテム。
      この2つを組み合わせ、タッグモードで2人の武将に「威力変化鏡」をセットした無銘武器を装備させると、攻撃力は「最も攻撃力が高い武器の攻撃力×2」となる。
      武器の攻撃力を上げるのに手間がかかるという欠点はあるが、装具枠を1つしか潰さずに桁違いの攻撃力を得られるという利点はその欠点を補って余りある。
      • 本来、「スピードタイプは手数が多い代わりに攻撃力が低い」「パワータイプは動きが鈍重な代わりに攻撃力が高い」というメリット・デメリットによりバランスが取られるはずなのだが、この仕様によってスピードタイプでも手軽に高い攻撃力が得られるため、パワータイプのメリットがほぼなくなってしまっている*6
        本作では移動速度上昇アイテムの「韋駄天抄」も復活しているのだが、韋駄天抄を装備しても攻撃の手数を増やすことはできないため、パワータイプへの救済としては機能していない。
        しかもパワータイプは大抵ダッシュジャンプ連打のほうが速い。
      • また、上杉謙信のようにスピードタイプでありながら元々の攻撃力が高めなキャラクターもいる。
        謙信の場合、特定の技をキャンセルで繋げると「神域」という状態になり、ブースト発動時のように周囲がスローになるという固有技能が追加されるなど、火力だけでなく技性能も狂っており、「爽快感は抜群だが、明らかにバランスが崩壊している」という意見が多い。
  • 下記の通り上方修正を受けたキャラクターも多いが、何故か元就だけ主力である通称「壁サンド」と呼ばれる戦法が使いづらくなり弱体化されている。
    一応、「抜き手"烈"」に敵を吸い込む効果が追加されたりと上方修正された部分もあるのだが、「壁サンド」弱体化の穴を埋めるには微妙。
    • 元就の場合、『英雄外伝』では固有技が万遍なく高性能だったのだが、『3』以降は「弾き手"壁"」以外の固有技が軒並み弱体化され、「壁サンド」に特化したかなり尖った性能となっていた。
    • 『3』の場合、「壁サンド」は(ある程度の攻撃力さえ確保できていれば)一旦決まってしまえばあとは敵が死ぬのを待つだけ、という非常に強力な戦法であり、弱体化したこと自体は一概に問題とは言えないのだが、「壁サンドを弱体化するなら、他の固有技の性能をもう少し上方修正してくれ」という不満が噴出することとなった。なお次回作以降は『3』の仕様に戻っている。
  • 『英雄外伝』で衝撃的な初登場を果たし、初のプレイアブル化としてプレイヤーからの期待が大きかった松永だが、その性能は微妙。
    • 火薬によるガード崩しなどを駆使するテクニカルなキャラクターであり、弱いとまでは言えないが設定や『英雄外伝』と比較するとどうしても見劣りする。
  • 謙信の「神域」や松永の「焔界」といったエフェクトが強い状態になると、敵出現数が極端に下がる。ブーストやドライブを併用すると悲惨なことに。
    • 2人とも、その状態を維持しないと立ち回りが大きく制限されてしまうため、撃破数を稼ぐことができない。
      既定時間内に一定数の敵を倒す必要がある「復活!!武田道場」等では恩賞を取得することが非常に難しくなっている。
  • バサラ富くじには「ボタン連打によって大当たりが出やすくなる」という仕様が追加されたのだが、それと引き換えにくじを引く際の演出がカット不可になったため、テンポが悪くなった。
    • それほど長い演出ではないとはいえ、くじをまとめて引きたい場合には地味に面倒である。
  • ステータスの上昇は批判の多かった「おたずねもの」退治ではなく、「ご当地資源」や「実績資源」の入手で行うようになった。
    入手方法は店売りの購入、バサラ富くじの景品、仲間からの献上の3パターンで、どれも「おたずねもの」を倒しに行くよりは遥かに楽。
    • ただし、バサラ富くじの大当たりや仲間からの献上による「ご当地資源」がどの程度入手できたかを確認する手段はない。
      数値を確認できる攻撃力や防御力であれば自分で計算するという手もあるが、「運」のパラメーターは表示がないため計算もできず、どうしても確認したければゲーム開始時からこまめにメモを取っておくしかない。
      • 前作では「どのステージの"おたずねもの"が退治済みなのか」を確認することができたため、ステータスの上がり具合は分かりやすかった。
    • 武器のステータス強化についてはこつこつ実績資源を積み重ねるしかないため、「作業になりがちで面倒」という不満意見もある。
      • ステータス上昇の効果自体は高く、ブーストやバサラゲージ増加量を100%にすると違いか明らかに分かるほど溜まり易くなるため、見返りも多いが。
  • 1ステージで稼げる小判の上限が99999両のまま。
    • 本作では、バサラ屋の仕様変更によって1度に使う小判の量が大幅に増加しており、この上限はあまりに少な過ぎる。
      例えば、専用装具などは50万両、ステータスアップはすべて合わせれば100万両を超す小判が必要となる。
      • 装具を小判稼ぎに特化させれば、99999両はステージの途中で達成できてしまうため、小判稼ぎだけを目的とすると結果的に時間をロスしてしまう。
        「戦国ドリームチャンス」で高額配当を得るための手順が判明しており、大量の小判を手に入れたければ小判を稼ぎやすいステージを繰り返すよりもそちらの方が効率が良い。
        結果として、ステージ中でコンボを繋げて獲得小判を増やす意義が若干薄れた。
  • 『3』と比較して若干敵兵が増加している。しかし、同時に『3』ではあまり見られなかったステルスの発生頻度が増えた。
    • ここで挙げる「ステルス」とは、「処理落ちのため敵の姿が画面上に表示されなかったり、酷いと当たり判定すら消えてしまう」という現象のことである。
      そのため、「陣大将が消えてしまい陣制圧がなかなかできない」「見えない騎馬兵が突進してきてダメージを受ける」といった理不尽な現象が起きやすい。

総評

プレイアブルキャラクターの大量追加や細かな調整などにより、『3』の爽快感溢れるアクションは更に改良されている。
惜しむらくは、ランダム受け身によってせっかく改良されたアクションの爽快感を削いでしまっている点であろう。ただ低難度であれば頻度が非常に少ない。
対戦要素を復活させた割には、「対戦要素を入れるにはあまりに崩壊し過ぎたパワーバランス」という『英雄外伝』の時点で指摘されていた問題点が解決できていない点も少々残念ではある。
ただし、パワータイプは攻撃力が高めでアーマーが付きやすいという『英雄外伝』よりはマシな調整を受けてはいる。あくまでマシというレベルだが。

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最終更新:2021年11月17日 23:17

*1 ただし、信玄のグラフィックモデルは『3』の時点で存在していた。

*2 基本モーションは『英雄外伝』までの明智光秀とほぼ同じだが、新キャラクターとして扱われているため『3』からの参戦として扱う。ちなみに、明智と違って味方を攻撃できない。

*3 次回作の『4』ではこれらのバグは軒並み修正されたが、キャラクターによっては面白味がなくなってしまった。

*4 幸村と信玄の乗馬スタイルは『2』及び『英雄外伝』での登場ムービーを元にしているのだが、そちらでは馬を歩かせていることやゲーム中の乗馬スタイルが普通であったこともありそれほどネタにはされていなかった。

*5 以降のシリーズ作品でもレーティングはCERO:Bの為、結果的にシリーズでCERO:Cの作品は本作のみである。

*6 典型的なパワータイプの島津は同じ装備でも与ダメージが高いので、何かしらの補正が入っている模様。問題なのはパワータイプでありながら火力が低過ぎる官兵衛や忠勝など。