ティル・ナ・ノーグ ダーナの末裔
【てぃるなのーぐ だーなのまつえい】
| ジャンル | RPG |  | 
| 対応機種 | PC-9801VM/UV | 
| 発売・開発元 | システムソフト | 
| 発売日 | 1988年1月 | 
| 定価 | 9,500円 | 
| 判定 | 良作 | 
 
概要
ケルト神話を下敷きにしたRPGで、シナリオジェネレータを搭載し無限の冒険を売りとしている。
システム
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シナリオジェネレータを搭載。ランダムもしくは10桁のシナリオコードを入力することでシナリオが生成される。
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加入する仲間は4人まで。しかし同じシナリオでも同じ仲間が加入してくるとは限らない。
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仲間は町の酒場で募集することができるほか、イベントや冒険中の遭遇で仲間を加入させることもある。
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また、イベントやシナリオによっては仲間が冒険中に勝手に離脱することもある。
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なお、仲間の名前も自動生成されるが、名前の変更は可能。
 
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死亡したキャラを蘇生させることはできない。また主人公が死亡すると、仲間が全員無傷でもゲームオーバーになる。
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地上マップはすべて見えているが、ダンジョンでは未踏破部分はブラックアウトされており踏破することでマップが見えてくるようになる。
 
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時間や暦の概念もある。
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町で使える施設は営業している時間が決まっているものもある。
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キャンプ中に体力と魔力を回復させる休息は1日に1回だけしか行うことができない。
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体力は移動で自然回復するが、魔力は自然回復しないため上記の制約も考えて戦闘を行う必要がある。
 さらに、休息中に敵が奇襲してくることもあるため油断は禁物。
 
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また、時間や暦の概念がシナリオの謎解きにかかわるケースもある。
 
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戦闘は戦闘マップに移行しての簡易SLG。ただし仲間はすべてAIで行動し、こちらからは主人公を含め大まかな指示のみしか出せない。
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行動方針は種族によって異なり、真っ先に敵に突撃するもの、ひたすら逃げ回るもの、固有呪文を連発するものなど様々。
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なお、初めて遭遇した敵についてはステータスが隠されているが、一度倒すとその敵種族についてはステータスが判明するようになる。
 
評価点
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シナリオジェネレータによる多種多様なシナリオ展開。
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同じシナリオであったとしても加入する仲間は一定ではないため、プレイスタイルは千差万別。
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多種多様な種族を仲間にすることができ、種族ごとに性格や行動方針も異なるため、やりこみがいは十分。
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出会える種族のバリエーションも多く、それらを見つけていく楽しみもある。
 
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エンディングではパーティメンバーやそれまで出会った人物のその後も語られるため、感慨深さもひとしお。
 
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入手できるアイテム・呪文のバリエーションも豊富で、アイテムを集める楽しみもある。
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装備についても依存能力値によって武具の性能が左右されるため、レベルアップの状況によっては最適な装備が変わることもある。
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武器についても近接系のほかにも飛び道具系もあるため、戦闘スタイルも様々。
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種族によっては固有魔法や特技を備えている者もいるため、自然と種族探しにも熱が入るようになる。
 
問題点
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シナリオジェネレートと言っても登場人物とマップが変わるぐらいで、基本的なパターンは数種類のみ。期待し過ぎると肩透かしを食らう。
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ゲーム的な内容も「ダンジョンの最深部で鍵を拾い、次のダンジョンに向かう」といった展開はどのシナリオでも同じ。
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実はダンジョンを一瞬で攻略できる裏技も存在する。なおダンジョンには鍵を拾う以外の固定イベントは存在しない。
 
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生成されるシナリオによっては、ごくまれに進行不能状態になることもある。
 
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敵味方ともにAIがあまり賢いとは言えず、種族によってはたびたび指示を送らなければならないケースもザラ。
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敵のレベルは主人公のレベルに応じて上昇する。これだけなら賛否両論かもしれないが…。
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序盤から登場する敵であるダークエルフが魔法を使えるレベルになると、全員で主人公に魔法(飛び道具)を撃ちこんで瞬殺してくれる(=ゲームオーバー)。なお「敵の飛び道具は全て主人公を狙う」AIになっている為、仲間が何人居ようとも囮にすらならず、対処法はダークエルフの集団に遭遇しない事を祈るのみである。
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しかもこのダークエルフ、仲間を呼ぶという特性まで備えている上に、更にレベルが上がると回復魔法まで使うため長期戦になりやすく、ゲーム全般を通じて非常に厄介な敵である。
 
 
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BGMが流れるのはオープニング・シナリオメイキング/ゲームオーバー・エンディングのみでゲーム中はBGMは全く流れず、画面も地味目。
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発売当時のPC98ではFM音源がオプション扱いであるケースも多かったため、仕方がない側面もある。
 
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シナリオ作成にはかなりの時間がかかる。
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作成までには発売当時のPC98主要機種においては大体10~15分前後かかる。ロード時間もそこそこ長め。
 
総評
ローグライクな自動生成されたマップを冒険するゲームながら、シナリオまでも自動生成されるRPGは当時としてはかなり革新的な作品。
反面、自動生成ゆえに展開はほぼ似たようなものになるのは否めないものの、当時としては理論上無限に近い冒険ができるというプレイバリューの高さは特筆ものであった。
その後の展開
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本作の直接の続編として同年12月に『ティル・ナ・ノーグII カオスの警鐘』が発売されている。
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本作のクリア済みシナリオを複数引き継いで進めることも可能。また、イベントの種類も増えた。
 
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PC-8801およびMSX2移植版として『ティル・ナ・ノーグ 禁断の塔』が1990年に発売された。
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基本的に『I』の移植版だが、『II』より後発なせいか『II』のBGMが入っている。
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16bit機のPC-98より低性能な8bit機ゆえに、シナリオジェネレートには30分~1時間程度かかる。
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PC-98版とPC-88版のキャラグラはリアル頭身だったが、MSX2版はドットの粗さからデフォルメ調になっている。
 
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2001年にはWindows用にリメイクされた。
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Windows版へのリメイクに伴い、BGMの追加、出会った種族の事典などが追加された。
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Win版の続編として『III』『IV~紡がれし勇者たち~』『V~悠久の仁~』も発売された。『V』はPS2にも移植されている。
 
最終更新:2023年08月26日 22:26