親子で遊べるDS絵本 うっかりペネロペ

【おやこであそべるでぃーえすえほん うっかりぺねろぺ】

ジャンル タッチ絵本
対応機種 ニンテンドーDS
メディア DSカード
発売・開発元 テクモ
発売日 2008年4月24日
定価 4,410円(税5%込)
プレイ人数 1人
セーブデータ 1箇所
レーティング CERO:A(全年齢対象)
判定 クソゲー
ポイント 雰囲気の再現度は高め
擁護できない薄さ
絵本ではない


概要

フランスで生まれた児童絵本『Pénélope』は、コアラのうっかり屋さんの少女ペネロペが主人公のほんわかした日常劇である。
日本ではNHKにより『うっかりペネロペ』のタイトルでアニメ化されており、本作は知育要素をこめたミニゲーム集として改変したものである。

特徴

  • 全編タッチで操作するゲームであり、プレイヤーはペネロペをタッチペンで移動させながら、部屋にあるものを調べたりミニゲームしたりする。
  • 季節
    • ゲームを終了してリロードするたびに季節が順番に変化していく。おにわではその変化を楽しむことができる。
  • 登場人物
    • ペネロペをはじめ、その両親がゲームの主な登場人物。
    • 電話で友人のセザリーヌ、リリーローズ、アラジン、ストロンボリを呼んで遊ぶこともできる。

ロケーション

  • 本作では、ペネロペの家が行動範囲。ペネロペの自室、リビング、キッチン、おふろ、おにわの5つのロケーションに分かれている。
  • それぞれの部屋には出口となる扉が描かれており、タッチすれば別のロケーションへ移動できる。
  • ペネロペのへや
    • おもちゃ箱、ドゥドゥ*1が入っているカゴ、お絵描き帳が地面に散乱している。
  • リビング
    • お父さんがいすに座っており、話しかければシールブック(後述)を開いて、ゲームの進捗状況を教えてくれる。
    • 友達を電話で呼び、一緒に遊ぶ名目でミニゲームもできる。
  • キッチン
    • お母さんが常駐する場所。お菓子作りや食事に関するクイズが出題される。
  • おにわ
    • 季節の影響をもっとも受ける場所。枯葉や雪が積もったり、飛んでいる虫が変化する。

ゲームの進め方、終わり方

  • シールブック
    • ゲームの進捗はペネロペのお父さんが持つシールブックで管理される。ペネロペが遊んだミニゲームの履歴に応じて、お父さんが対応したシールを張っていく仕組み。2ページ構成。
    • 1ページ目では、いままでに遊んだことのあるミニゲームが表示される。また、最近遊んだものはハイライトされる。
    • 2ページ目はミニゲームをクリア(ほとんどクリアできずに終わった場合はカウントされない)した回数が押される。同じミニゲームを反復してもOK。
    • 7回ミニゲームを遊んでシールブックの2ページ目を開くたびに、ペネロペの絵日記のようなものがみられる。
      • なお、おじいちゃんといとこの双子といった絵日記にだけ登場する人物もいる。
    • ペネロペの絵日記は12個のパターンがあり、順番も決まっている。ひととおり見終わるとまた絵日記の内容が最初からやり直しになる。
    • きちんとゲームを終わるコマンドをせずに、唐突に電源を切ったりするとシールブックに遊んだ分が反映されない。(季節は一応変化する。)

ミニゲーム

  • 全部で12種類(+1種類)。制限時間があるタイプとないタイプがある。
    • お絵かき系統、料理、なわとび、演奏会のミニゲームには制限時間がなく、プレイヤーの好きなタイミングで終了できる。
    • 物を動かす、物や人を探す系統、クイズには制限時間がある。制限時間内にほとんど何もできないと、遊んだカウントにならない。
    • 遊ぶ前にナレーションが遊び方を毎度説明してくれる(スキップ可能)。
    • ミニゲームを始める前に、アニメの時と同じようなスタイルでミニゲームのタイトルコールがなされる。
+ ミニゲームに関しては細かい説明になるため格納
  • 自室(3種)
    • おかたづけ:部屋に散乱するおもちゃをタッチで拾い、つづいておもちゃ箱をタッチして入れていく。
    • ドゥドゥさがし:ドゥドゥが入っているカゴをタッチするとゲーム開始。いくつかある座布団の下埋もれるドゥドゥをタッチするとクリア。
    • ぬりえ:落ちているスケッチブックを調べると、まっさらなところにお絵描きをしたり、塗り絵ができる。前者は1枚限りだがDSカードに保存できる。
  • リビング(4種)
    • からだを洗う:机においてあるドーナツを食べて口を汚したペネロペは、お風呂に連れて行かれる。汚れた部分をスポンジでこすってきれいにするミニゲームに移行する。
    • 友達4人のうちから1人選んで電話をすることにより「友達とかくれんぼ」「演奏会」「なわとび」ができる。
  • キッチン(クイズ2種、ミニゲーム2種)
    • ママに話しかけると、買い物の手伝いという名目で、8問ある選択式クイズをすることになる。問われる内容は主に野菜やキャンディの色、形など。
    • テーブルを調べると家族でごはんを食べるお話になり、そこでお父さんが8問の選択式クイズを出してくる。問われる内容はパンの形、食器の用途など。
    • 台所を調べると「ケーキの盛り付け」「クッキーづくり」(型抜き)というミニゲームができる。
  • お風呂(鏡のお絵描きの1種。)
    • 鏡のお絵描き:湯気でくもった鏡に絵かきできる。マイク息を吹きかけると、再びくもって書きなおせる。
  • じつはもう1つ、特定の日限定のイベントとミニゲームもある(後述)。

問題点

  • ボリューム不足が否めない
    • いくら幼児向けとはいえやれることが少なすぎる。ゲーム中にあるギミックやミニゲームをやりきるのに数時間もいらない。
    • 大きな変化が見込めるのはシールブックの2ページ目における、ペネロペの絵日記程度であり、このシールを集めるための作業ゲーと化す。
      • この絵日記自体もいくつか集めればゲームに変化が訪れるかというとそうでもない。上述のとおり12とおりの絵日記を開いたところで、エンドロールがあるわけでもなくなにごともなかったかのようにゲームが続行される。
    • アニメでのエピソード1話分はミニゲームに相当しさらに圧縮されてしまっている。またテレビアニメ版と違って、複数のキャラが同時に動く機会もやたら少なくさびしい。
    • ミニゲーム前説明における、ナレーションの語り口も毎回同じもの。
  • プレイヤーの活動範囲がお世辞にも広いとはいえない
    • ペネロペの部屋もリビングといった本作で登場するあらゆる部屋が、DSの下画面2つ分の広さしかない。5つのロケーションがそれぞれ2画面分なので、合計10画面分。さすがに狭い。
    • ミニゲームの配置にも偏りがある。特に「おにわ」はギミックこそあれど、一切ミニゲームが用意されていない。
      • 一応「おにわ」は、電話で呼んだ友達と遊ぶ舞台になっており、ギミックも季節の変化を大きく受けるため、体感的なボリュームが他と比べてそう少ないわけでもないが…。
  • 全体的に挙動がもっさり気味
    • ミニゲーム前の遊び方説明はスキップできるが、5秒ほどのタイトルコールはスキップ不可能。さっきやったようなミニゲームを連続で遊ぶこともあるので、何度もタイトルコールされるのは少し気になる。
    • ソファーやベッドを調べるとゆっくりよじ登り、上でうれしそうに数回飛び跳ねた後またゆっくりと降りてくるという動作が入る(10秒程度)。その間操作が不能で中断もできない。
  • スケッチブックの仕様
    • お絵描きで保存できる絵は1つだけなので、ここだけを見るとわざわざ本作を買ってまでやる意義は薄い。
    • お絵描きとは異なり、塗り絵はうっかりペネロペのキャラを塗り絵できる個性があるかもしれないが、こちらは絵を保存できない。
  • DS絵本ではない
    • ゲームタイトルからすれば、本作には物語が用意されていてプレイヤーがページをめくって読み進めるものだと考えたプレイヤーもいただろうが、実際はミニゲームそのものが物語を担っている。
    • ミニゲーム自体、大したストーリーを含んでいるわけでもない。友達を呼んで遊ぶ、お菓子を作る、買い物を手伝う程度であり、2回目以降も内容が変わらない。

評価点

  • 本編再現を意識したゲーム展開
    • テキスト自体が多いわけではないが全編フルボイス。ナレーターの能登麻美子も含めて原作アニメと同じキャスト。
    • しゃべらない人物はシールブックにて、回想で登場する人物のみ。
    • ただ部屋にあるギミックを処理するだけではなく、リビングで読んだ友達とお庭で遊んだり、ドーナツを食べて汚れた口をお風呂で掃除するなど、ゲーム中に動きを取り入れるケースがある。
    • 本作に登場する施設や背景はすべて絵本のようなタッチで再現されている。
  • 子供の知的好奇心をあおる設計
    • 原作アニメと同様にナレーターがプレイヤーに対してよびかけてくる
    • 部屋の様子が訪れるたびに若干変化することもある。ナレーターの発言もそれを加味したものになっており、ミニゲームへの誘導になっていることも。
    • ニューゲーム時に、ゲームの遊び方(ロケーション移動、ギミックやミニゲームへの干渉の仕方等)をナレーションが丁寧にしてくれる。発話はゆっくりであり、聞き逃した場合には何度でも説明をしてくれる。
  • 保護者モードも充実*2
    • 難易度(かんたん/ふつう)や、チュートリアルの有無を設定可能。
    • プレイ時間を10~60分の間で設定可能(設定しないことも可能)。ゲームは一日一時間。
      • 設定時間になるとアラームが鳴り、ゲーム画面でも終了をうながされる。
    • 誕生日を設定できる。
      + そして誕生日になると…
      • そして誕生日になると、ペネロペとパパとママがハッピーバースデーを歌ってお祝いしてくれる。お誕生日ケーキのロウソクを息を吹きかけて消すミニゲームも。

総評

キャラゲーとしてボイスや絵柄の再現に本格的にかかった事は、たしかに大きな長所である。
しかし子供用のゲームだということを加味しても、初見時にほぼ全て遊び尽くせてしまうミニゲーム集、それを継続してシールブックを完成させていくという構造は、ゲームのボリューム感という面で大きな問題といえる。
安価のDLゲームでもないため、少なくともコストパフォーマンスは悪い。飽きずにプレイを続けられるお子さんは非常に限られていただろう。

最終更新:2021年06月20日 11:20

*1 ペネロペが大切にしているうさぎのぬいぐるみ

*2 公式サイトでこのように謳っている。