時空戦記ムー
【じくうせんきむー】
ジャンル
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RPG
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対応機種
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ゲームボーイ
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発売・開発元
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ハドソン
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発売日
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1991年9月13日
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定価
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4,500円
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セーブデータ
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1箇所
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判定
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なし
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ポイント
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タイトルが本編とあまり関係ない 投げっぱなしストーリー 「こんな所に人間が…犬もかっ!?」
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概要
ハドソンから発売されたRPG。
キャラクターデザインは、漫画家・おちよしひこ氏が担当している。
ただしイラストはパッケージ・ソフトのラベル・説明書に描かれているもののみで、ゲーム中には一切登場しない。
ストーリー
かつて、ムーと呼ばれる大陸があった。人々はそこにプリナという国をつくり、その国王が同時にムー大陸の王として君臨していた。
プリナ王ラルス2世は、突然国教としていたニール教を、邪教として禁じ、かわりにマックス教を国教の座につけた。
ニール教が聖地を追われて間もなくのこと――。プリナの王妃が姿を消し、それと前後してラルス2世の生まれたばかりの赤ん坊も、行方知れずとなってしまった。
そして16年の月日が流れた。
王の改宗以来勢力をのばし始めた魔物たちは、ついにプリナの城門を突破。
今まさに、ラルス王のもとに迫りつつあった――。
特徴
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仲間になるキャラクターは、主人公以外に20人いる(但しそのうち2人は択一式)。
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パーティは4人までだが、それ以上の仲間を加えると「新たなパーティを作った」と表示され、最大5つのパーティを動かす事になる。
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仲間の職業は決まっているが、イベントをこなすか、特定の武器を装備する事で「クラスチェンジ」し、能力が底上げされる者もいる。
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主人公の性別が選べる。この時代のGBのRPGでは珍しい。
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各キャラが装備できるものは、武器と体防具の2種類のみ。またレベルはメンバー全員が共通であり、経験値を貯めると全員が一斉にレベルアップする。
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キャラごとのレベルアップが不要なため、評価点とも言える。
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どういうわけかゲーム開始時に顔のパーツを組み合わせて主人公の顔を自由に設定できる。パーツの組み合わせによって最初の能力値が変化する。
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これは「ふくわらいシステム」と呼ばれており、TVCMや広告などでもプッシュされていた。
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なぜかブサイクなほうが初期能力が高くなる場合が多い。
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因みに他の仲間は顔自体が設定されていない。
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イベントアイテム以外が入っている宝箱は「セーブ→リセット」で復活する。
評価点
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仲間が20人とは当時のFCのRPGでも類を見ないもので、職業も戦士や魔法使いから医者や土建屋まで、個性的なものが揃っている。
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とはいえ性能のみならずイベント上での扱いでも、格差は激しいのだが。
問題点
システム面
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BGMの出来自体は悪くないのだが、音源が酷い。
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ザコ戦のBGMだけ、妙にループも短い。
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ボス戦のBGMは割と人気が高い。
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敵とのエンカウントの頻度が不安定。一歩エンカウントが多発する事も。
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さらに一部地域ではエンカウント率が非常に高く設定されているところもある。
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戦闘画面になると、アンデッドの敵は画面の下から這い出してきたり、鳥型の敵は上から降ってきたりと凝ったアニメーションが入るのだが、4体などの大勢で出てこられるとテンポが悪くなる。
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殆どの町は魔物に占領されており、中ボスを倒さないと店を利用できない。故にザコとの戦いに傷付いてようやく町を見付けて入っても、宿屋で休む事も出来ずにまずはボスを倒さなければならない。
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『ドラクエ』のルーラに当たる移動魔法もあるのだが、その地域のボスを倒した町でないと行き先に登録されない為、「一度別の町に戻って回復してボスだけ倒しに来る」という手段も使えない。
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実は他の町にいるパーティとメンバーチェンジが行えるため、宿屋の使える町に別のパーティを待機させておくという手もある。しかし説明書には「同じ町にいないとチェンジできない」と記述されているため、これはどうやらバグ技である模様。
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また主人公だけは1番目のパーティに固定で入れ替えができないため、この手で回復させることはできない。
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パーティ間のアイテムの受け渡しは、預かり所を経由しないとできない。
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複数のパーティを使い分けるよりも、強いメンバーを揃えた1パーティだけでズンズン進めた方が手っ取り早い。複数のパーティを動かす必然性のあるイベントが、中盤の1つのみというのも寂しい。
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仲間キャラの扱いに隔たりがある。魔法を使えない戦士系だというのに、強くもない武器1種類しか装備できず、しかもクラスチェンジしても能力が変化しない者までいる。
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巫女の仲間に至っては、クラスチェンジ・イベントでの出番・仲間にいると変化する会話などが一切なく、しかも能力も他の仲間と被り気味という、異様な冷遇を受けている。
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仲間のうち、「踊り子」と「お嬢様」は仲が悪いので、どちらかしか加えられないのだが、前者は町を解放した途端仲間にできるのに、後者は更にイベントをこなさないと仲間にできない。故に恐らく初見の人は、択一式である事自体に気付かないまま踊り子を仲間にしてしまうだろう。
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もっとも、お嬢様は実質戦力外なので、それが救いと言えるかもしれない。
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回復魔法の回復量が(完全回復のものを除き)、移動中・戦闘中で異なる。
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例として、「ヒール」は戦闘中では40回復するが、移動中はたったの20しか回復しない。こんな所で個性を出されても…。
シナリオ面
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ムー大陸が舞台である必然性が全くない。登場する国の名は「ムー帝国」ではなく「プリナ王国」だし、王の名もラ・ムーではない。アレフガルドの様に、オリジナルの世界で十分だったのでは?
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以下、主人公やラスボスなどのネタバレ
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実は主人公は王子(王女)であり、最初親とされている人物は義父である。最初に城を訪れたときはまだ分からないが、シナリオを進めると分かる。
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王は「その者はあなたの子です」とどう見ても村娘の王妃に言われるとあっさり信じる。
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敵の連中が何をしたかったのかがいまいちわからない。要するに宗教の姿を借りて侵略を行おうとした宇宙人らしいのだが…既に世界は実質支配済みなのに、その上モンスターを暴れさせてどうしたかったんだろうか?
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ラスボスのキャラ立ちも弱い。ラストダンジョンで名前を含めて唐突に登場する。また、「お前達の信じる教団の真の姿を知らずに死ねる事を光栄に思え!」と意味深な台詞をのたまうが、この辺もまったく掘り下げられなかった。
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総評
GB初期作品の割にはボリュームもあり、レベル共有制など斬新なシステム。
しかし粗が目立ったり、容量不足故か掘り下げが足りない面も見受けられる。
意欲作ではあるが、名作とまでは行かない作品。
最終更新:2021年05月01日 20:41