DESIRE 背徳の螺旋
【でざいあ はいとくのらせん】
ジャンル
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コマンド選択式アドベンチャー
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対応機種
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PC-9801 PC-9821/FM TOWNS
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開発・発売元
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シーズウェア
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発売日
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1994年7月22日(PC-9801) 1994年11月25日(PC-9821/FM TOWNS)
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定価
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7,800円(PC-9801) 8,800円(PC-9821/FM TOWNS)
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レーティング
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アダルトゲーム
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判定
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賛否両論
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ポイント
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アルバート編と???編については高評価 一方でマコト編は大きく評価が割れる
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概要
後に『EVE burst error』や『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』などの名作を生み出す剣乃ゆきひろ(後の菅野ひろゆき)氏の初期作品。
本作と『EVE』『YU-NO』を合わせて剣乃三部作と呼ばれることも。
剣乃氏はシナリオデビュー作『悦楽の学園』での低評価にショックを受け、本作はその反省から生まれた作品とされている。
3つのシナリオで構成されたマルチサイトシステムとなっている。
「アルバート」と「マコト」の2人の主人公のシナリオを切り替え可能となっている。
それぞれのシナリオで謎になっているそれぞれの行動についてや、事件の本質等が切り替えによって明らかになっていく。
そして2人をクリアするとすべての謎が解明される「???」編が解放される。
ストーリー
南洋の孤島に浮かぶ外界から隔離された研究所「デザイア」
そこでの研究は一切が謎のベールに包まれて、外部からは一切窺い知ることも出来ない状態だった。
まったく別々の視点からデザイアの謎に迫って行く「アルバート」と「マコト」
デザイアの真の姿とは一体?
(公式サイト紹介文引用)
評価点
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絶海の孤島にある研究施設の謎
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二人の主人公のシナリオでデザイアの秘密が徐々に明らかになっていく展開は評価が高い。
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科学や軍事の面も強いシナリオになっており、そういった点も魅力になっている。
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螺旋で繋がるシナリオ
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2人の主人公により謎が解かれていった後の最終章となる「???編」のエンディングはプレイヤーの印象に強く残る物になっている。
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序盤に張られた伏線等も多く、終わってからもう一度プレイしてみると気づく点などもある。
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魅力的なヒロイン
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アダルトゲームという事もあって女性キャラが多く登場するが、主にアルバート編でどのキャラも魅力的に描かれている。
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露骨に敵対していたキャラと和解していく展開等もあり、こういった点は菅野氏のシナリオの魅力が発揮されている。
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おふざけな選択肢
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総当り特有のおふざけ選択肢も健在。シリアスな本編の良い塩梅となっている。
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BGM
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梅本竜によるBGMは後のEVE等と同様に今作でも高評価。
賛否両論点
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マコト編全体の内容について
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もう1人の主人公であるアルバートの恋人であるマコトだが、マコト編の内容は「アルバートとすれ違っている間に、話術とセックスの上手いカイルに肉体的に堕とされていく」という内容であり、所謂NTR物の内容。
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そういったシナリオを評価する人もいる一方で、やはり主人公の恋人が寝取られる展開には拒否感が強いプレイヤーもおり、マコト編だけを大きく評価を落とす人もいる。
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アルバートへの言い訳描写も多く、シナリオ展開に納得はするがマコト編はウザいと言われる事もある。
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カイルについても終始嫌な奴として描写されており、その点ではプレイヤーの認識とも一致しているのだが、マコト編終盤で悲しい過去が少し語られマコトが完全にカイルに惚れてしまってからは頼りになる男としての描写ばかりとなる。
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最終的には普通に格好よく活躍して死んで行くのだが、今までのカイルの言動との齟齬が強くいいやつ扱いで死ぬ扱いに逆に戸惑ったプレイヤーもいる。
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シナリオのオチについて
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凄く印象的ではあるがかなり救われないオチにもなっており、これでこそと評価する人も多い一方で、やはり救われないで終わるオチには否定的な声もある。
問題点
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マコト編の問題
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シナリオの根幹部分に対してアルバート編と???編が主軸になっており、マコト編は上記のNTR的内容も含め浮いてしまっている。
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アルバート編のようなおふざけ選択肢もなく、会話の選択肢も「話す→○○」ではなく、「話す」でシナリオを進める人物に勝手に話す等、ゲーム進行においても簡略化されている場面がほとんど。シナリオもアルバート編と比べて短めで、2人の主人公というには扱いが弱い。
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キャラクターの掘り下げ
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キャラクターのバックボーンの説明が少なく、主人公であるアルバートやマコトの過去もほとんど掘り下げられないまま終わってしまう。
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ボリュームが少なめ
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全て終えて10時間程度と、発売当時のPCゲーでも少し短さが気になるシナリオ。上記のようなキャラ描写の薄さもあり、もう少しシナリオが欲しかったという声も聞かれる。
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とはいえ、物語の展開としては上手く盛り上がっているので、あまりそちらの描写を増やしても本題に対して冗長になってしまう可能性もあるが。
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シナリオを進めづらい
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行動範囲がそれなりに広く、次にどこへ行けばシナリオが進むのかが分かりづらい時がある。
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そういった際は選択肢の総当たりをする羽目になるので、少々面倒。
総評
孤島の研究施設を舞台とし複数主人公によって明かされていく物語は良質なBGMもあって物語にのめりこみやすい。
特に最後に明かされるシナリオは強くプレイヤーの印象に残る物となったが、物凄く人を選ぶマコト編の存在や、キャラの掘り下げの少なさからくるシナリオの薄さ等、評価の落ちる点も目立つ。
オチも含め、かなり評価の割れるゲームである。
その後の展開
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ある種の続編である『EVE burst error』が発売された。
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本作と同じく男女2人の主人公で事件の謎を解いていくシナリオであり、引き続きマルチサイトシステムを採用。
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マルチサイトシステムの魅力を強く引き出したシナリオになっている為、非常に評価が高い。
移植版
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SS版(1997年9月11日)
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グラフィックやシナリオをリメイク。18禁要素を廃し、声優によるボイスが追加されている。
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18禁要素ありきだったマコト編は根幹部分が大きく変更されており、原作と比べるとかなり違和感のある展開になってしまっている。
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アニメが追加された他、セリフ枠の右に話しているキャラの顔アイコンが映るのが特徴である(SS版・DESIRE 完全版・リマスター版)。
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Win版
『DESIRE 完全版』(CD-ROM版:1998年6月5日/DVD-ROM版:1999年7月16日)
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SS版をベースにPC-98版のアダルト要素を復活しグラフィックとエンディングを追加。18禁版のため声優が変更されている。
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PS2版(2004年9月30日/ベスト版:2005年10月27日)
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サターン版ベースでグラフィックを刷新してエンディングを追加した。
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リマスター版
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PSV/Winで発売。詳細は下記。
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Win版は全年齢版販売後にアダルトバージョンの『DESIRE remaster A ver.』も販売された。
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『A ver.』でも上記旧Win版ではPC-98版基準だったティーナの一部イベントシーンのグラフィックが全年齢と同じものに差し替えられている。
DESIRE
【でざいあ】
ジャンル
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コマンド選択式アドベンチャー
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対応機種
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セガサターン
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開発・発売元
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シーズウェア
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発売日
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1997年9月11日
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定価
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6,800円
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レーティング
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18歳以上推奨
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判定
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賛否両論
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劣化ゲー
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ポイント
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ボイスやムービーの追加 無理のある全年齢化
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概要(SS)
タイトルを「DESIRE」のみにした、家庭用ハードへの移植版。
変更点(SS)
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マコト編がアルバート編クリアまでプレイできない形式に変更
評価点(SS)
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キャラクターボイスの追加
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どのキャラもキャラにあった声が追加されており、違和感は感じられない。
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アニメーションの追加
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度々使われるティーナの体当たりシーン等、印象的なシーンに追加されており、概ね好評。
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シーズウェアが独自開発したムービーフォーマットである「ルシッドモーション」により、セガサターンのゲームの中でも群を抜いて高画質となっている。
賛否両論点(SS)
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グラフィックの一新
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「やさまたしやみ」から「田島直」へと変更され、ライターの菅野作品である「EVE burst error」とも共通となった。
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グラフィックは変更後も十分出来は良く、後からこちらに触れた人にとっては、菅野作品共通のイラストになった事でこちらの方が良いという声もあるが、やはり大分絵柄が変わった事にはPC版プレイヤーからの反発もあった。
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マコト編の解禁方式
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上記の通り、元は「EVE burst error」のように二人のシナリオを切り替えながら進める形式だったが、「アルバート編」→「マコト編」→「???」編と順に解禁される形式に変更され、マルチサイトらしさはなくなった。
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「あの場面はどういう事なんだろう?」というのがすぐ確認できなくなったが、それぞれのシナリオを一貫して読み進める形式に変わった事で話の理解がしやすくもなっている。
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「EVE burst error」程マルチサイト要素が強くない事もあってか、以降の移植・リメイク作は一貫してこの形式への変更となった。
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アダルトな恋愛関係
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元が18禁のゲームという事もあり、直接的なシーンはカットされても大人向けの恋愛要素が強く、家庭用ハードのソフトとしては人を選ぶような展開が続く。
問題点(SS)
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マコト編のシナリオ変更
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元のシナリオがアダルトゲームでしか出来ない内容である為、家庭用ハードへの移植に辺り、大幅にシナリオが変更された。
+
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変更後のシナリオ
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マコトがカイルに惹かれていく展開が催眠術による物に変更された。
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元がいわゆる寝取られ展開としてマコトが堕ちていくのがメインの話だった為、流石にそれを家庭用ハードへそのまま持ってくるのは無理があったが、催眠術で操られて惚れていくという展開は流石に無理があると原作プレイヤーから突っ込まれまくった。
SS版で初めて触れたプレイヤーからも無理があると言われやすい。催眠術の方法も紐を通したコインを揺らして暗示にかけるというベタすぎるやり方で最早ギャグシーンのように見えてしまうのがさらに追い打ちを掛けている。ちなみに無駄にこのシーンはアニメーションが採用されている。
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また、この変更のせいで一部に辻褄が合わないようなシナリオになっている箇所もあり、かなり強引な変更だったのが窺える。
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ボリュームが少ない
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元のPC版でもシナリオの短さを指摘する声はあったが、18禁シーンがカットされた事もありシナリオがさらに短くなった。特にマコト編は18禁シーンが物語の主軸になっていたこともあり、かなり薄いシナリオになってしまっている。
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また、SSソフトが発売される頃にはかなり長いADVが増えていた事もあってこういった指摘が増えた。
総評(SS)
家庭用ハードへの移植に当たり、グラフィックの変更、ボイスやムービーの追加と、当時のSSソフトらしく作られた移植作。
キャラデザやシナリオ形式の変更については意見が割れるが、概ね原作ファンからも好意的に受け止められている。
一方でマコト編のシナリオ変更については、変更自体はやむを得ないとしてもこれはないと原作プレイヤーからは大きく評価を落としている。
DESIRE 完全版
【でざいあ かんぜんばん】
ジャンル
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コマンド選択式アドベンチャー
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対応機種
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Windows 95 Windwos XP(ダウンロード版)
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開発・発売元
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シーズウェア
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発売日
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【CD-ROM】1998年6月5日 【DVD-ROM】1999年7月16日 【ダウンロード版】2008年2月17日
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定価
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【CD-ROM】7,800円 【DVD-ROM】8,800円 【ダウンロード版】3,300円
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レーティング
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アダルトゲーム
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判定
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賛否両論
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ポイント
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エロゲーへと戻しEDを追加
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概要(完全版)
サターン版をベースにPC-98版のアダルト要素を復活しグラフィックとエンディングを追加した移植版。
18禁版のため声優が変更されている。
評価点(完全版)
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マコト編の復帰
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SS版の無理のある展開から元のPC版に沿った物へと戻っている為、(マコト編の好みは別として)元に戻したことは好評。
賛否両論点(完全版)
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最後に追加されたエンディング
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元が救われない終わり方だった物にシナリオを追加してハッピーエンドとしている事は賛否分かれている。
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原作の感想として救われて欲しいという声が強くあった上での追加という事もあり、そういったプレイヤーからは救われてよかったという声が出ている。
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一方で余韻を壊す蛇足とする原作ファンも多く、追加EDについては原作のライターである菅野氏が一切関わっていない事もあって、余計な事をするなと言われる事も多い。
問題点(完全版)
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声優の変更
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18禁になったことで、当然ながら声がアダルトの声優に変更された。
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決してボイスの出来が悪いという事はないのだが、やはりSS版の声優陣が豪華で演技も良く、一度印象が決まってしまっている事もあって声が変わる事には違和感を感じたプレイヤーもいた。
総評(完全版)
SS版のシナリオを元にマコト編を原作準拠に戻し、エンディングを追加した完全版。
とはいえ、その追加シナリオについては原作の良さを潰しているという声も多く、それを完全版と題する事に対しても否定的な声も聞かれる。
DESIRE remaster ver.
【でざいあ りますたー ばーじょん】
ジャンル
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コマンド選択式アドベンチャー
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対応機種
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プレイステーション・ヴィータ Windows Vista~10 Nintendo Switch
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開発・発売元
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El Dia
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発売日
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【PSV/Win】 2017年4月27日 【Switch】 2019年12月27日
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レーティング
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【PSV/Switch】CERO:C(15才以上対象) 【Win】一般(15歳以上推奨)
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アダルトゲーム
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定価
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【PSV/Win】パッケージ版:4,468円 【PSV/Win】ダウンロード版:5,800円 【Switch】ダウンロード版:1,980円
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判定
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賛否両論
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ポイント
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グラフィックを一新 アニメーションと顔アイコンはそのまま
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概要(リマスター)
『EVE burst error』のリメイク『EVE burst error R』を開発したEl Diaによるリメイクバージョン。
2017年12月22日に本作にアダルト要素を加えた『DESIRE remaster ver. A』が販売された。
2019年12月27日にNintendo Switchでダウンロード専売開始。
特徴・評価点(リマスター)
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イラストやキャラ絵はSS版を高解像度でリマスターしたものが用いられ、新規CGも追加され、現代でも古臭さを感じないようになっている。
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システム等はADVとしてはかなりユーザー思いの設定である。
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ヒント機能も搭載されている。
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ヒント機能をONにすると、話を進めるためにどのコマンドを選べばよいかが分かる為、次にどこへ行けば話が進むか分からないといった事はなくなった。
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声優
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リマスター版も以前の声優がキャスティングされている。往年のファンとしては嬉しい限り。
問題点(リマスター)
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SS版準拠のシナリオ
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家庭用ハードへの移植となった事で、やはりマコト編はSS版準拠の違和感のあるシナリオになってしまっている。
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顔アイコン
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グラフィックを一新したが、セリフ枠の右に出る、キャラクターの顔は変更されておらず、使い回しであり、一新されたCGと比べると多少違和感を覚える。
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とはいえ、画面全体からするとアイコンが小さく、下記のムービー程には目立たない。
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アニメーション
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こちらは一切手をつけられておらず、SS時代の物がそのまま流用されている。PS2当時としても出来の悪いアニメであり、こちらも新規CGと合わない。
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またシステムでボイスオフができるのだが、アニメはオフできない。
総評(リマスター)
20年以上前の作品を現在のプレイでも耐え得るようにグラフィックやシステムを一新した文字通りのリマスター作品。
ヒント機能の追加もあって、総当たりしないとシナリオが行き詰まるという事もなくなった。
ただ、ムービー等の使いまわし部分はリマスターされておらず、かなり悪目立ちしてしまっている。
こちらもリマスターされていれば手放しで褒められるリマスターになっていたのだが…。
移植(リマスター)
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Switch/PS4で販売された『EVE ghost enemies』のクリア後にゲーム内で『DESIRE remaster ver.』を遊べる。
最終更新:2023年07月09日 16:05