モンスターハンターポータブル 2nd G
【もんすたーはんたーぽーたぶるせかんどじー】
ジャンル
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ハンティングアクション
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対応機種
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プレイステーション・ポータブル
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発売元・開発元
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カプコン
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発売日
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2008年3月27日
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定価
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4,800円
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廉価版
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PSP the Best 2008年10月30日/2,990円 2009年12月24日/2,000円 2012年7月19日/1,715円
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配信
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PS Store:2010年3月18日/1,388円
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レーティング
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CERO:C(15才以上対象)
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判定
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日本ゲーム大賞2008年度大賞受賞
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判定
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良作
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ポイント
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『MHP2』のアップグレード版 ポータブルシリーズ最高峰のボリューム ナルガクルガも人気モンスターに 記録的なヒットを叩き出す 狩りゲーが社会現象となった
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モンスターハンターシリーズ
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概要
『モンスターハンターポータブル 2nd』(以下『MHP2』)に追加要素を加えたアップグレード版。略称は『MHP2G』。
『MHP2』までに登場したすべての装備やモンスターを実装している。
『MHP2』のセーブデータがあれば、キャラクター単位で引き継ぎ(データコンバート)を行うことができる。
原則として武器・防具・アイテムは全て引き継げるが、能力に調整の入った装備もある。
『MHP2』からの追加点・改善点及び評価点
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「快適さ」の面での多くの改善
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『MHP2』で採用されたBGロードに加えて、メディアインストール機能を併用する事で、読み込み時間がかなり短縮されている。
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UMDを使用しないダウンロード版でもインストールすることでロード時間短縮になる場合もある。
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農場やアイルーキッチンといった、快適な狩り生活をサポートする施設は本作でも健在。シリーズの中では比較的親切設計であり、初心者でも遊びやすい。
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倉庫関連の利便性が大幅に向上。倉庫の容量が増加、スタック数が共通で99個になるなど保管面での進化はもちろん、村やクエスト報酬での取得アイテムを直接倉庫に送ることができるようになった。
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村長上位と、G級クエストの追加
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これに伴い、G級モンスターの素材から作成できる、より強力な武器と防具(Xシリーズ、Zシリーズ)を追加。
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Xシリーズ、Zシリーズ防具は一部カラーをカスタマイズできる。リストからの選択に限らず詳細な色調整が出来るようになったのは本作から。
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新フィールドの追加
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『モンスターハンターフロンティア』(以下『MHF』)から「樹海」マップを輸入。
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ヴォルガノス(『MHF』で一足先に実装)登場により、「火山」に新エリアが追加。
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『MHP』までに登場していた「旧フィールド」が復活(『MH2』以降はマップが一新されたため消滅していた)。
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「水上闘技場」、ウカムルバス戦の専用ステージ「雪山深奥」が追加。
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武具の調整・既存モンスターの新規武器
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特に前作で圧倒的な性能だったレラカムトルムはタメレベルが2までになるという大胆すぎる調整で大幅に弱体化。
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一応、強化してスキルを整えれば十分使えるので決して弱すぎるわけではない。G級まで強化してスキルを整えることで『MHP2』のレラカムトルムくらいになると言えば、『MHP2』のレラカムトルムのバランスブレイカーっぷりがわかるだろう。
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他にも一部の武具に調整が行われている。
また、初期の『MHF』で追加されたオリジナル武器がデザインそのままで実装されるといったケースも。
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例えば『MHF』で登場した「ハートレスバンデージ」が、本作ではG級において「ハートフルギプス」として登場する。
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新モンスターの追加、モンスターの追加モーション
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完全新規の3種(ナルガクルガ、ウカムルバス、クイーンランゴスタ)
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特にナルガクルガはトリッキーなモーションや装備の強さ・ビジュアル、専用戦闘BGMから非常に人気が高く、後の作品でも派生種が生まれるなど一躍常連モンスターとなった。
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既存モンスターの亜種(ババコンガ亜種、ダイミョウザザミ亜種、ショウグンギザミ亜種、ドドブランゴ亜種)
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既存モンスターの特殊な個体(激昂したラージャン、傷ついたイャンガルルガ)
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激昂したラージャンは常に怒り状態で、激昂状態に移行するとスパークを纏いさらに攻撃力が上昇する。傷ついたイャンガルルガは、本作で「(新規グラフィックの無傷の)イャンガルルガ」が登場したのに対する「(従来グラフィックの)傷ついたイャンガルルガ」だが、モーション等が改められている。
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『MHF』に登場した2種(ヒプノック、ヴォルガノス)
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『MHP2』でリストラされていたヤマツカミ。『MH2』における問題点を大幅に改善して再登場となった。
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外見と剥ぎ取り素材以外に差異が見られなかったキングチャチャブーが、大幅な手が加えられボスモンスターに昇格。
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ほぼすべてのモンスターの攻撃方法の追加、調整
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多くはG級における追加モーションだが、中には上位の時点で手が加えられたものもある。
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アイルーという猫のようなキャラクターを狩りに連れて行ける「オトモアイルー」システムの追加
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シリーズ初の味方NPCであり、武器や爆弾による攻撃、罠によるサポート、採取などを行ってくれる。
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モンスターの攻撃対象が分散されるのが最大の利点。特にモンスターの隙を狙って攻撃するのが基本のガンナーには重宝される。
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本作ではまだ戦力及びサポート的なメリットは薄かったが、次回作以降もオトモアイルー(及びそれに類するオトモNPC)は続投され、定番化。作品を追うごとにサポート性能が強化されていった。
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基本的にどのクエストにも連れて行けるが、ラオシャンロンのような巨大モンスターの狩猟クエストには連れて行けない。
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見た目や仕草も愛らしく、殺伐とした狩場でアイルーのかわいらしい挙動に癒されるプレイヤーが続出した。
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音楽
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一部の汎用戦闘BGMが『MHF』の物に差し替えられている。
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小闘技場やヤマツカミ戦のBGMが復活。
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数は少ないが、新規のBGMも追加されている。
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評価も上々で、特にナルガクルガ戦の「闇に走る赤い残光/ナルガクルガ」とウカムルバス戦の「絶対零度」の人気が高い。
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多くのコラボレーションや催し
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各メディアとのコラボクエストや装備品を用意し、発売後約半年間にわたってクエスト配信を行った。
他にも公式大会やオフ会・SNS設置など、ユーザーと連結した催しを長期間にわたり行った点が長い人気を支えた。
賛否両論点
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ストイックな面があるため、もともと人を選ぶゲームである。
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倒されても倒されても立ち向かって弱点を探し出し、地道に攻撃を叩き込む戦闘や、同じモンスターを繰り返し倒したりマメに採取したりといった積み重ねが必要。
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素材等の問題で地道な作業を繰り返さないと武具が強化できないのでマンネリに陥りやすい。この辺は多少の運も絡む。
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マルチプレイのできる環境がある場合はこれらの問題をある程度緩和できるが、ソロプレイでは逆に先鋭化。合わない人には徹底的に合わない。
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今作は爆発的な売上(DL込みで380万本)を記録したこともあり、「人を選ぶ」という部分が問題点として挙げられやすい部分もあるだろう。
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雑魚モンスターの配置や無限湧き設定などが変わった事で、高台などの安全地帯の利用価値が下がった(全く使用できない訳ではない)。
ボウガンや弓を使用するガンナーは安全に攻撃できなくなり、高台に依存していたガンナーは立ち回りを考え直す必要が出てきた。
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高台が使えない方が緊張感のある戦闘が出来るという意見がある一方で、一部の不自然な修正に対しては不満の声もある。
なお、高台の利用は救済措置という側面が大きく、高台を利用しない方が早く狩猟できる場合がほとんど。
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追加された新行動には、今までに存在した隙を消すものが多い。
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G級モンスターは一撃のダメージが大きいので緊張感がプラスされるともいえるが、ひたすら耐え忍ぶだけで反撃に転じる事が困難な展開に冗長さを感じる人は多い。
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新システム「大連続狩猟クエスト」は、通常のクエストと勝手が異なる点が多い。
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複数の異なる種類のモンスターを補給なしで連続で狩猟する、という今までにないシステムのクエスト。「複数モンスターに対応した適切な装備を考えなければならない」「難易度面でもやりごたえがある」とユニークなシステムを評価する声も多いが「単純に長くてダレる」「ガンナーだと弾切れしやすい」など、問題点もある。
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また、「剥ぎ取りで素材が一切手に入らず、代わりに回復薬グレートが入手できる」という特殊仕様もある。剥ぎ取り報酬がない代わりにクリア報酬が通常クエストより豪華になる傾向があるとはいえ、「尻尾切断のメリットがほぼなくなる」「捕獲報酬がもらえない」など、プレイヤー目線からは報酬面ではデメリットが目立つ。
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「ソロは難しく、マルチは簡単」という極端なバランス。
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シリーズの中では低難易度と評価する上級者も多いが、あくまで当時の据置機向け作品と比較した場合の話。
本作で追加されたG級クエストを除いても前作より純粋に難しくなった部分もあり、初心者が何も考えずにソロクリア出来るほど簡単ではない。
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追加クエストではほぼ多人数前提の高難度クエストは配信されているが、ソロ向けのものはあまり用意されていない。
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もっとも、初心者救済措置としての意味合いも持つため「仕方が無い」「ソロもマルチも同難易度である方が、仲間の心強さを一番実感できる」という意見もある。
ちなみに、追加配信も含めた全てのクエストはソロでもクリアできるように調整されている。
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シリーズを通して見ても、プレイ人数に応じてクエスト自体の難易度が変化する例は長らく存在しなかった。
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ちなみにマルチプレイ時のモンスターの強化は『MHW』で初めて導入された。
問題点
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『モンスターハンター2』(以下、MH2)から引き継がれてしまった、マップ構成の難点や武器バランスの悪さ。
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ベースとなった『MH2』は不評要素も多い作品。『MHP2』からさらに改善を施したとはいえ、ある程度引き継がれてしまっている。
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カメラワークの悪さ。
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『MHP2』からの改善は特になし。特に木や茂みの多いマップでは、携帯機の画面の小ささも合いまってモンスターの視認が厳しい。
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新スキルの一部がバランスブレイカー気味。
元々のゲームデザインとして「使いやすい武器」「使いづらい武器」がある程度存在すること自体は問題とまでは言えないが、以下の新スキル+特定武器の組み合わせに関しては「バランスブレイカー」とされやすい。
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スキル「抜刀術」+「低会心率高攻撃力大剣」
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抜刀術は「抜刀攻撃限定で、100%クリティカルヒット」というもの。
抜刀攻撃の火力に優れ、納刀も速い大剣との相性が非常に良く、瞬く間に大剣の最重要スキルとして認知されるようになった。
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「元々の会心率を無視して強制的にクリティカルヒット」という仕様も強力で、高い攻撃力の代償に会心率が低く設定された武器であればを完全に無視できる。
そのようなこともあり、高い会心率で攻撃力が低い大剣は相対的に評価を落とす要因にもなっていた。
このタイプの大剣の代表格である「角王剣アーティラート」に抜刀術、斬れ味レベル+1、集中を付けた構築は実質的な大剣装備の完成形となっていた。
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スキル「自動装填」+老山龍砲・極+属性弾
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自動装填は、「一度装填した弾丸を以降リロードなしで使えるが、反動が大きくなる」というもの。一般的に使用される貫通弾などでも反動が発生してしまうため、通常のボウガンの構築では非常に使いづらいが、「高い攻撃力の代わりに装填速度が非常に遅い」武器である老山龍砲・極に、自動装填でも反動が発生しない属性弾を組み合わせると、お手軽に高火力が実現してしまう。
老山龍砲・極との組み合わせが有名だが、下位種の武器と組み合わせても十分な火力を発揮できると言われている。
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通常のガンナーなら重要視される射程管理やリロード隙管理などのスキルが身につかないのも問題で、「お手軽に強すぎる」と非難されがち。
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これらは初心者救済措置という面もあるが、実質的な装備の固定化を招いたためか、抜刀術に関しては後のシリーズでは繰り返し調整を重ねられている。一方、自動装填の方は調整しようもなかったためか、本作限りの登場となっている。
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G級訓練の評判がいまひとつ。
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一言でいえば、面倒な要素が目立つ。訓練は、指定の武器種・指定の装備(その相手に対しては性能の低い事が多い)で挑むのだが、従来より敵モンスターが強いG級訓練は「難行」「苦行」「精神修行」などと揶揄された。
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全武器種でクリアすると報酬もあるが、正直入手できるほどのプレイヤーならいくらでも代用策がとれる。
勲章も貰えるので、やりこみプレイヤーとっては避けて通ることが出来ない。
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高難易度ではあるが、アイテムをキッチリ採取する、モンスターの行動を把握する、無理な攻撃はしない、ダメージを喰らったら回復する等を心がければ、理不尽すぎる程の難易度ではない。
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G級訓練を攻略することで隠しモンスターのG級クエストが解禁されるという相応の見返りもある。
こちらは各モンスターを1回ずつクリアするだけなので、そこまで難しくはない。(個人差はあるかもしれないが)
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改造対策が不十分
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いわゆる「悪魔アイルー」と呼ばれる、チートによって不正なパラメータを持ったオトモアイルーの横行が問題視された。
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単なるチートならば行う方が悪いと片づけられるのだが、オトモアイルーは他のプレイヤーに配布(手元からは消えないので実質コピー)が可能な仕様。受け取った側がさらに再配布することも可能なので、チートを理解していないプレイヤー層にまで拡散していた。
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チート対策には限度があるとしても、せめて配布時などに本来のパラメータ上限を上回った場合は弾く等の仕組みがあれば大きな問題にはならなかったものと思われる。
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また、これと関連して「悪魔アイルー」に任せっぱなしの結果、自力でモンスターを倒せないプレイヤーも問題視されていた。
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あるクエストでは、条件を満たすとモンスターが永遠に空から降りてこなくなり、絶対にクリアできなくなるバグが存在している。
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もっとも、その条件は「そのクエストのクリア条件には一切関わらない運搬アイテムを掘り出して所持している」という通常ならばほぼ遭遇することが考えられないもの。『MHP』の同様のバグと違いプレイヤーの行動で回避できるためまだマシである。
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ダウンロードクエストが多数配信されているが、6個までしか登録できない。
総評
遊びやすさを重視してシリーズの持つハードルを大幅に下げると同時にローディングを始めとするストレス要素を削減、「協力して強敵を倒す楽しさ」をより多くのユーザーが楽しめる作りとなった。
ナルガクルガを始めとする新要素も概ね高評価を得ており、ボリューム面もポータブルシリーズでは最高峰である。
改造対策や一部武器のバランス面などで粗があるとはいえ、当時は「シリーズ最高傑作」の声も多く聞かれた。
携帯機というプラットフォームとの相性も非常によく、結果として約400万本(BEST版含む)という記録的なセールスを叩き出した。
老若男女問わず遊ばれる社会現象にもなり、昨年の『MHP2』に引き続き日本ゲーム大賞で大賞を受賞している。
総合的に考えると、シリーズとしても単体の作品として見ても良作といって過言ではないだろう。
本作で改善された多くの要素は続編にも引き継がれており、シリーズのターニングポイントとなった作品といえる。
余談
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後にヒプノックやヴォルガノスなどは『MHF』の開発チームと共同で開発されていた事が明かされている。
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2014年5月8日にはヘキサドライブが移植を担当したiOS(iPhone,iPad)版『モンスターハンターポータブル 2nd G for iOS』が配信された。高精細度化や読み込みの高速化に加え、『MH3G』以降の作品で導入されているターゲットカメラや、自動追尾などの機能が追加されているほか、タッチパネルおよびコントローラでの操作に対応。Wi-Fi通信による4人までの協力プレイが可能。
また、UIのレイアウト調整、アイコンをベクタ形式に変換した上で高解像度化、減色前のテクスチャデータが使用されている。
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一方で、コラボクエストが削除されているため、素材集めの難易度が若干だが上がっている。
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2019年9月1日をもって販売を終了。残念ながらiOSのアップデートにも対応していない。
インストール済の端末でもiOSを最新のものにアップデートすると起動不可能になるので事実上遊ぶことはできない。
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『メタルギアソリッド ピースウォーカー』とのコラボが行われた。
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なんと本作の登場人物であるトレニャー、モンスターのリオレウスとティガレックスやランポスが登場し、関連するシーンではBGMも流用されている。
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なお、リオレウスとティガレックスやランポスとは実際に戦うこともできる。
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ファミ通などでも大々的な特集記事が組まれ、人気シリーズの意外なコラボに当時は大きな話題となった。
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口コミによって新聞や週刊誌も巻き込み、ゲームとは縁遠い層もPSPに手を伸ばすほどの大ヒットになった。
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発売から長期間経っているが、未だに根強い人気を誇っている。
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発売から10年以上経った2018年に、本作を尋常ではない程にやり込こんでいる猛者が話題となった。詳細はこちら。
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2024年現在もプレイ動画を配信するストリーマーが見受けられる。
最終更新:2025年03月07日 09:41