燃えろ!!プロ野球2016
【もえろ ぷろやきゅうにせんじゅうろく】
ジャンル
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スポーツ
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対応機種
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プレイステーション4 ニンテンドー3DS
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メディア
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ダウンロード専売
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発売・開発元
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メビウス
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発売日
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【PS4】2016年4月8日 【3DS】2016年11月16日
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定価
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【PS4】880円 【3DS】432円
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プレイ人数
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1人~2人
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レーティング
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CERO:A (全年齢対象)
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判定
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なし
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ポイント
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2016年、突如として復活した『燃えプロ』 原作にあった問題点を改善し遊びやすく オプションにて「燃えプロならではルール」をON/OFF可能 溢れんばかりのジャレコ愛
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燃えろ!!シリーズ
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概要
1987年に発売され、リアルさを追求しながらも肝心のゲーム性や数々のバグによりクソゲーとしてその名を残した『燃えろ!!プロ野球』。
本作は2016年4月にプレイステーション4で配信されまさかの復活となった『燃えプロ』シリーズ完全新作である。なお、同年11月にはニンテンドー3DSでも配信されている。
販売、開発元はメビウス。ジャレコの版権を保有しているシティコネクションは「CLARICE GAMES」名義でクレジットされている。
「バントでホームラン」、「ファウルになった後はどんなボールでもストライクとなる」といった「燃えプロならではのルール」を再現しつつ、原作の問題点を解消し遊びやすく仕上がっている。
特徴・システム
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ゲーム内容やルールは原作『燃えろ!!プロ野球』に準拠している。
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ピッチャーは球を上下左右にコントロールして投げる事ができる、バッターは8方向にスイングを調節できる、走者に紐づいた十字キーを押して進塁もしくは帰塁する、代打を出す場合、ポジションが違う選手を出すと次の守備に入るとき、該当ポジションの選手と強制的に交代させられる、等。
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画面比率は16:9で制作。ゲーム中のグラフィックは原作に準拠したファミコン風のものになっている。
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「ペナント」や「VSモード」で選べる球団は、原作と同じセ・パ12球団とOB球団「St」の13球団に加え、後述の「JACLUB」が追加されており、更に「チームエディット」で自分で作成したチームも選択する事ができる。
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「ペナント」は1人用のゲーム。試合数を「30試合」「60試合」「130試合」の3つから選ぶ事ができ、それぞれ「18勝」「36勝」「80勝」すると優勝パレードが行われる。ゲームの進行状況は試合終了後にセーブする事で保存できる。
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「VSモード」は2人対戦用のモード。イニング数を「3」「6」「9」の中から選ぶ事ができる。
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本作の追加要素として「センシュエディット」の項目にて自分だけの選手を作れる事が挙げられる。
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まず選手名、背番号、ポジション、バッタータイプ(日本人タイプか外国人タイプかなど、またはバットの持ち方などを変えられる)、左打席か右打席か、作る選手がピッチャーなら投げ方や利き腕、肌の色、髪型、髭、髪の色などを自由に変更し、自分好みの選手を作る。
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選手を作り上げたら今度は能力設定、スロットを回すような感覚で打率や走力、ピッチャーなら防御率やスタミナ、ボールの変化具合といった能力をランダムで決定される。なお、結果が気に入らなければ何回でも能力設定を行う事が可能。
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作った選手は100人まで登録可能。後述のチームエディットにて使用できる。
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「チームエディット」の項目では、自分だけのチームを作る事ができる。
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まずチーム名、チームの頭文字、ユニフォームのカラー(ユニフォームの上、ユニフォームの下、キャップ&アンダーシャツ&シューズの色をかなり細かく設定できる)を決める。
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その後、デフォルト選手やエディットで作った選手を選んで、試合に出る先発の設定、先発の打順、チーム内のピッチャーの編成、代打の編成(代打の内野、外野、キャッチャーといったポジションの変更もここで行う)といった事を決めてチームを作る。
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作ったチームは10まで登録可能。ペナントやVSモードで使用できる。
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その他、「センシュメイヘンコウ」では、デフォルト選手を含む全選手の名前を変える事ができる。
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本作の特徴として原作の『燃えプロ』にあった挙動(所謂「燃えプロルール」)を「ルールヘンコウ」の項目でON/OFFと変更する事ができるようになった。
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様々なジャレコゲームのキャラクターを集めたジャレコチーム、その名も「JACLUB」の登場。一般選手と同じような外見ではなく、全選手きちんと固有グラフィックを持っている。
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JACLUB全選手一覧とその元ネタ
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スタメン
代打
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リット(『妖精物語ロッドランド』『ソルダム』より、リット)
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タム(『妖精物語ロッドランド』『ソルダム』より、タム)
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ルウミィ(『プラスアルファ』より、ルゥミィ)
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ユキ(『ゲーム天国』より、伊藤由紀)
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ローシュ(FC版『ザ・ロードオブキング』より、ローシュ)
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サクラヒメ(『忍者じゃじゃ丸くん』シリーズより、さくら姫)
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ガマ(『忍者じゃじゃ丸くん』シリーズより、ガマパックン)
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ジェイナス(『ゲーム天国』より、ジェイナス=スターマイン(更なる元ネタは『エクセリオン』))
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シン(『風雲少林拳』シリーズより、シン)
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フラッグ(エレメカ『キャプテンフラッグ』より、フラッグ)
投手
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ジャジャ(『忍者じゃじゃ丸くん』シリーズより、じゃじゃ丸)
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ナマズD(『忍者じゃじゃ丸くん』シリーズより、なまず太夫)
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オユキ(『忍者じゃじゃ丸くん』シリーズより、おゆき)
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ピグ(『ゲーム天国』より、ぴぐ(更なる元ネタは『ぶたさん』))
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ヤッチャン(『銀河任侠伝』より、やっちゃん)
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ジーニアス(『ゲーム天国』より、ジーニアス山田)
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ノーティB(『ノーティボーイ』より、自機の腕白坊主)
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アキラ(『妖怪倶楽部』より、あきら)
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ファンタズ(『ファンタズム』より、主人公)
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スーチー(『アイドル雀士スーチーパイ』シリーズより、スーチーパイ)
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キララ(『流星雀士キララ☆スター』より、キララ)
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ミナセ(『VS雀士ブランニュースターズ』より、水奈瀬 愛生)
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評価点
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原作の問題点をいくつも解消し遊びやすくなっている。
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外野の自動守備能力が上がっており、きちんと打ち上げられたボールに反応し追いついて捕ってくれる。そのため、何て事のないフライ球を拾えずヒットになるという事が少なくなった。
内野の守備能力も同様に上がっており、ボテボテのゴロを処理できずにヒットという事が比較的少なくなったため、守備時のストレスや掛かる時間が軽減、短縮されている。
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プレイ中の各種演出をスキップできるようになり、試合のテンポが良くなった。
上述の選手の守備能力の向上と合わせて全体的な試合時間が短縮され、原作では50分は掛かっていた試合時間が、(試合内容にもよるが)30分前後で終わるようになり、遊びやすくなっている。
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原作にあった『燃えプロ』特有の挙動、「燃えプロルール」をオプションでON/OFFできるようになった。
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バントでホームランが打てる『燃えプロ』の代名詞と言える現象はもちろん、ファウルの後はどんなボールでもストライクになる、ファウルの判定が出る前にホームインするとそのまま点数が入る、スリーバントに失敗すると打順が1つ抜かされるといった謎な現象の数々、果ては満塁時に三振した時に野次が飛ぶといったルールと関係ない事までON/OFF可能。
まともな野球ルールで遊びたいというユーザーのニーズに答えるのと同時に、「燃えプロ独自のルール」で遊びたい、または愛着を持っているユーザーにも対応している。
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原作のネタにされた不具合点を単に削除、変更するのではなく、両ユーザーの納得のいく形にした点は『燃えプロ』への愛がある証左とも言える。
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「センシュエディット」「チームエディット」で好きな選手、チームを作る事ができる。自分の作った選手でチームを組みペナント優勝を目指すもよし、各チームのスター選手を引き抜いて夢のチームを作るもよし。選手の見た目やユニフォームのカラーを細かく設定でき愛着も高まる。
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デフォルト選手も含め全選手「センシュメイヘンコウ」で名前を変えられるので、選手名を実在の選手に変えてプレイするなんて遊び方もやろうと思えばできる。
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ジャレコオールスターチーム、「JACLUB」の存在。
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「JACLUB」のキャラクターは全員固有グラフィック持ち。打席に立つ姿はもちろん、守備時の小さいキャラクターの表示の際も固有のグラフィックをもつ。
どのキャラクターも原作をよく再現した見た目をしており、キャラクターによっては「移動するごとに
クラリスカーに変身するクラリス
」、「移動するごとに空中形態に変形するイクスペル」など細かな動きを見せてくれる。
また、ホームランを打った際のグラフィック、投手の場合は逆にホームランを打たれてうなだれるグラフィックもきちんと用意されている。
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打席に立つ姿も千差万別。得物に持つバットも、フラッグを持つクラリス、でかいハンマーを持つアキオ、シーサノモの杖をバット代わりにするリット&タム、斧を持つローシュ、ドスを持つヤッチャン、点棒を持つスーチー、カラカッサをバット代わりに持つジャジャなど思わず突っ込みたくなるものも。
得物のバット以外にも、打席であぐらをかきどう見てもバットが空中に浮いているジーニアス、正体不明の謎の選手に憑りつき野球をしているファンタズなど、まさに何でもあり。
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人選も、『忍者じゃじゃ丸くん』シリーズや『ゲーム天国』といった割とメジャーなタイトルから、『妖怪倶楽部』『風雲少林拳』といったややマイナーよりな作品、『ファンタズム』といった隠れた名作、エレメカの『キャプテンフラッグ』、ジャレコの初オリジナルタイトルといわれる『ノーティボーイ』といったかなりマニアックな作品も含まれており、幅広いキャラクターが揃っている。
「どう考えても野球すること自体無理だろ!」と思ってしまうガマパックンのようなサブキャラクターも登場(しかも結構な強打者)。
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さらにはピッチャーのリリーフに現れるリリーフカーもJACLUBの場合はクラリスカーに変化。グラフィック、選手層、演出と、何をとってもジャレコとジャレコキャラクターへの愛を感じ取れるものへと仕上がっている。
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ゲームを起動する時間によって、空が快晴、夕焼け、夜と変化する。こういう細かな演出も見逃せない。
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PS4版のみの評価点となるが、原作であった挙動をトロフィーでネタとして昇華している。
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無死満塁で三振し野次を飛ばされるトロフィー「屈辱…」など。トロフィー名もホームランを打った際のトロフィー「例の演出」、バントホームランを撃った際のトロフィー「燃えプロの代名詞」と面白い物も多く、もっとも秀逸なのはスリーバントに失敗して打順を1つ抜かされた際のトロフィー「何かがおかしい…」だろうか。
問題点
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スタッフロールを拝むとなると原作同様かなりの長丁場となる。
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ペナントの130試合モードにて優勝する事で、エンディング+スタッフロールが流れるのだが、そのためには原作同様に80勝しなければならず、試合のテンポが良くなったとはいえ、かなりの長期戦になり忍耐を要する。
ゲーム内容も原作と同じく、ただひたすら試合をこなして勝利数を伸ばしていくだけなので、そういった意味でも忍耐力を試される。
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一応30試合モードでは18勝、60試合モードでは36勝すれば優勝になるのだが、30試合モードで優勝した場合、エンディング曲の流れる中でバックスクリーンに先ほどの試合結果と「ユウショウ」の文字が表示される…だけ、60試合モードで優勝した場合、エンディングは流れるがスタッフロールは流れない、とどれも不完全なエンディングとなっている。
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PS4版にてペナントで優勝すると取れるトロフィー「振り返ると父が泣いていた」は、30試合モードで優勝しても取れるのが救いか。
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敵のAIがあまり賢くない。
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敵は基本、複数の走者がいる場合は後ろの塁へボールを投げてアウトを取ろうとしてくる。このため、1、2塁にボールを投げればアウトが取れるような場面でも、3塁やホームベースに送球してこちらの得点を許す事になる。そのためこちらに得点が入りやすく、場合によっては10点以上の得点を得る事もでき、ゲームの難易度は原作に比べ低くなっている。
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こちらの負ける確率の低さのため、あまり緊張感のないまま試合をこなしていく事になり、先に述べた試合数の多さ、やる事の代わり映えの無さも相まって、単調さを感じる作りとなっている。
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デフォルト選手の能力を確認しづらい。
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デフォルト選手の能力は、「チームエディット」の項目を選んで、試合に出る先発の設定、先発の打順、チーム内のピッチャーの編成、代打の編成といった事を決める際に確認できる。
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しかし予めチームを作っておかないと、チーム名、チームの頭文字、ユニフォームのカラーといった事を決める工程が入ってしまうため、煩わしい。
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一度チームを作ってしまえば比較的楽にデフォルト選手の能力を確認できるが、それでも複数の項目を選択し目当ての選手の能力を確認しに行くには若干時間が掛かる。走力、投手の球速、投手のスタミナ、投手の球の変化具合といったここでしか見られないデフォルト選手の重要な情報もあるので、それらの情報を閲覧するのに時間と手間が掛かるのはマイナスポイントだと言える。
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なお、エディット選手に関しては、「センシュエディット」の項目を選ぶ事ですぐに能力を確認可能。
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エディット選手の能力は一見完全にランダムに決められているように思えるが、実は複数のパターンの内から一つを選んでいるに過ぎず、延々とスロットと回し続けていると同じパラメータの選手が出てくる、という事がままある。そのため選手作成の自由度は思ったより高くない。
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なお、JACLUBには女性キャラクターが何人も在籍しているが、エディットで女性キャラクターを作る事はできない。
ちょっと残念。
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投手にはスタミナが設定されており、ある程度の球を投げるとスタミナが切れてボールの球速、変化具合が著しく下がる。
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こうなったらピッチャーを交代させるのだが、「ピッチャーに代打を出して下がらせる→攻撃が終わり次の守備に入るとき、次のピッチャーを選ぶ」というプロセスを踏んだ場合、交代したピッチャーがすぐスタミナ切れを起こしてしまう。どうやらスタミナ切れが次のピッチャーに引き継がれてしまうようでバグの模様。
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すぐに別のピッチャーに交代させればいいだけなのだが、抑えに使用していた投手をすぐ交代させるのはやはりあまりいい気分のするものではない。
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PS4版のみの問題点であるが、一部トロフィーが獲得しづらい。
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特に牽制球でランナーをアウトに取るトロフィー「けん制アウト」、ランニングホームランを打つトロフィー「駆け抜けるモノ」は、コントローラーを2つ用意して1人でVSモードをして取るか、リモートプレイかシェアプレイで協力者を募るかしなければかなり難しい。
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その他も、3打席連続ホームランを打つ「新たな伝説の幕開け」、走者を1人も出さずに勝利する「完全試合!」、一連のプレイでアウトを3つ取る「三重殺!」など、獲得難易度が高いと思われるトロフィーは複数ある。
総評
2016年、突如復活した『燃えプロ』。
原作の問題点を解決し遊びやすくなっており、また『燃えプロ』独特の挙動をON/OFFできるようにする事で、普通に遊ぶ分にもネタとして遊ぶ分にも対応し、更に選手やチームをエディットする事で新しい遊び方も提供している。
一方で、スタッフロールを拝むとなれば原作同様のかなりの長丁場を強いられるペナントモードに、肝心の野球部分もやや問題点があるのは否めない。
しかしながら、『燃えプロ』独自の挙動を忠実に再現し搭載した『燃えプロ』への愛、そしてグラフィック、挙動、人選、演出と何をとっても感じられるジャレコへの愛、これが本作最大の見どころではないだろうか。
かつての『燃えプロ』プレイヤーや往年のジャレコ作品のファンならば文句なしにオススメできる、そんな作品だと言えるだろう。
余談
最終更新:2025年05月28日 00:23