学校のコワイうわさ 花子さんがきた!! みんなの花子さん
【がっこうのこわいうわさ はなこさんがきた みんなのはなこさん】
ジャンル
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子供向けコワイおはなし
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対応機種
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ニンテンドーDS
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メディア
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DSカード
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発売元
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アークシステムワークス
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開発元
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ワークジャム
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発売日
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2008年8月7日
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定価
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3,300円(税5%込)
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プレイ人数
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1人
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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セーブデータ
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1個(+クイックセーブ1個)
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判定
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なし
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ポイント
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25の短編から成りボリュームは十分 怖さがだいぶ犠牲になっている
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学校のコワイうわさ 花子さんがきた!! PS / SS / DS
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概要
ポンキッキーズのワンコーナーとして放映されていた短編アニメをゲーム化した作品。
本作は第2弾であり、アクションせいのあった前作とは打って変わって短編シナリオを読むというスタイルである。
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この作品の世界の花子さんの活動範囲はトイレに限らない。子供をお化けから守るいわば守護神的な存在。子供が危険に身を突っ込まないように、教唆的な話をしていくこともある。
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スカートに備えた妖怪縛りアップリケ(外見はチューリップ型のワッペン)を命中させ、有害な妖怪を冥界に強制的に連れ戻す能力も持つ。
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ゲーム構造
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エンディングに分岐のある25の短編集とミニゲームで構成されている。
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短編集の開めと閉めには必ず花子さんが教訓的な語りを入れる。中盤は学生や幼児を主人公とした怪談が繰り広げられる。
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この怪談はちょくちょく選択肢が発生し、どれを選んだかによって結末も少しずつ変化する。
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ゲーム開始時に読める短編は3つ。この3つを読み終えると新たに3つの短編が追加されていく。
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エンディング(バッドエンドも可)をどれか一つでも見ておけば、読んだことにカウントされる。
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25番目のシナリオを見るにはパスワードを正しく入力しなくてはならない。パスワードのヒントは、それまでの24つのシナリオのエンディングのうち決められたものを見ると解放される。
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シナリオをひとつ読み終えるごとに自動セーブされるほか、中断セーブも1つまで作れる。DSの電源を落としてもこのセーブデータは消えない。
収録ミニゲーム
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花子さんをさがせ!!
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いわゆるカップシャッフルクイズ。4つ並んだ電話ボックスのうちどれか一つに花子さんが隠れたのち、その電話ボックスがシャッフルされる。シャッフル終了時に、どの電話ボックスに花子さんがいるかを当てる。一回でも失敗すると終了。正解し続けるとどんどん難易度が上がっていく。
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ごわごわたたき
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学校の空っぽのロッカー(4行7列)を舞台に繰り広げられるモグラたたきゲーム。制限時間制。
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赤い毛玉の妖怪ごわごわをタッチペンでたたくと5点。ただし、ごわごわが出現してから時間がたつと得られる点は次第に減っていく。
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花子さんのパートナーの白い毛玉妖怪ホワホワも出現することがあり、これをたたくと-10点。
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恐怖のシンケイスイジャク
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一人用であり、記憶クイズのようなゲーム。
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花子さんの世界に出てくるキャラクターが描かれたカードを制限時間内にそろえていく。
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ゲーム開始前に、全てのカードが表に返されており、5秒ほどの制限時間で記憶する。
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お手つきは何度もしてよい。シャッフルしてしまうカード、制限時間を減らしてしまうカードが紛れ込んでいることがある。
評価点
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ボリューム
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原作のアニメの規模やゲームの定価を考えればなかなかボリュームがある。速読するつもりでも1話分読み終えるのに5分はかかるくらいにはなっているし、シナリオ分岐が7つ前後と多め。
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詰みの無いゲーム性
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シナリオの分岐は子供がプレイするにはほどよい複雑さ。どれかのエンディングを見ておけば、そのほかのエンディングを見るためのヒント(というかほぼ答えを言っている)を閲覧可能。
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絵や演出
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ボイスなしではあるが、シナリオの間は原作と同様の漫画が常に紙芝居のように表示される。
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お化けが出てきた時もきちんとおどろおどろしい演出は入れてくれる。
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ゲーム前半に読めるシナリオは、進め方次第で登場人物が残酷な結末を迎えたりするので、良い意味で容赦がない。原作アニメも子供向けにしては怖いイベント盛りだくさんだったため、原作の雰囲気を再現できている。
賛否両論点
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後半の短編シナリオがホラーゲーではない場合あり
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最低限怪談の体は保っているのかもしれないが、終盤に近づくにつれ幽霊や廃墟を全く怖がらず普通に会話してしまうシナリオが増加していく。BGMや効果音はおどろおどろしいままで、ミスマッチな雰囲気にもなっている。
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幽霊を怖さの演出に使わない怪談自体はあるにはある(大好きだった亡き家族が幽霊として出てくる等)のだが、問題のシナリオでは幽霊が育成される対象だったり何の変哲も無い登場人物だったりと扱いがかなり異質。もはや「学校のコワイうわさ」ではない。
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怪談に整合性を求めるのは野暮なのかもしれないが、シナリオの都合を優先するあまり、怖いイベントが単にゲームオーバーの為にギミックに不自然に登場するために全く怖がれなかったり感動できないシナリオがある。
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読み物のゲームにRPGやパズルが取り込まれているのは斬新で面白いという意見もあるにはあるが。
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具体例(ネタバレ)
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夏休み40日分を使ってひたすら街の周りの人に聞き込んでパズルを集めるシナリオ
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短編を担当させるにはもったいないほどに相当なボリュームを誇る。幼児向けの謎解きゲームと見れば高く評価できるかもしれない。
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しかしいろいろな人に聞き込まなくてはならないのだが、誰にどんな話が聞いたかが矛盾していたりなどフラグ管理があまり緻密ではない。
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ヒントも若干不親切なので、分からないと無為に街をさまようだけのゲームになる。また期限も40日と無駄に長いし、バッドエンドになるにしてもこの40日を過ごさなくてはならない。
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魂が宿ったランドセルを育成してRPGをするシナリオ
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クイズゲームに正解し続けることで必殺技を覚えていくのだが、ハレー彗星の周期が76年で固定されていたり、Showerという英単語に「殺到する」という意味をもたせる誤った設問もある。
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もとは「人食いランドセル」という知る人ぞ知る有名な怖い話であるにもかかわらず。9割以上が育成ゲームになっている。ラスボスに負けなければ殆ど害はないため怖くないし、素っ頓狂にしゃべってむしろかわいい。
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特定エレベーターで特定の階に止まらないように移動するパズルゲー
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4階に止まるとゲームオーバー。なのだが、異界に吸い込まれるだけで特に怖くも無くお話がぶつ切りになるだけ。危篤のおじいちゃんを助けたいという体のお話なので正規のエンディングはなかなか感動できるものではある。
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問題点
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シナリオに意味を成さない選択肢がちらほら存在する
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勇気を振り絞るような選択肢を選んでも、キャラクター本人が怖がって選択肢で選んだ行動に反することをする事態が多め。
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右に進むか?左に進むか?といった機械的な選択肢が出てしまうと、それらがどうシナリオに影響するか想像がつかない。本編中にヒントが事前に出されるケースもあるが、その場合はメモが必須。
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この手の選択肢の出現頻度もなかなか高い。これらも無理やりグッドエンドかバッドエンドかを左右するフラグ管理に組み込まれる場合が殆ど。
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利便性が不十分
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何度も同じシナリオを読み進め選択肢を試行錯誤するゲームなのに、一度呼んだことのある部分をいちいち決定ボタンやタッチで送らなくてはならないのはかなり不便。
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漢字で表記される文章とそうでない文章の境目が謎。子供向けのゲームだからか両親を「両しん」と表記するのにさとすを「諭す」と表記したりもする。ふり仮名もない。
総評
定価や原作の規模を考えれば申し分のないボリュームを誇るのだが、「コワいうわさ」というタイトルどおりの怪談がそろっているとは言いがたい内容。特にゲーム後半からは怪談を楽しむ読み物というよりはRPGやパズルといった色が強い別ゲーになってくる。この後半部分をいかに楽しめるかが本作の評価の分かれ目になるのではないだろうか。
最終更新:2021年07月21日 11:20