ザ・ラストバトル

【ざ らすとばとる】

ジャンル RPG
対応機種 スーパーファミコン
メディア 16MbitROMカートリッジ
発売元 テイチクエンタテインメント
開発元 アトリエドゥーブル
発売日 1994年12月2日
定価 10,290円(税抜)
判定 スルメゲー
ポイント 異様に高いエンカウント率
プレイにとにかく時間がかかる
発売を1年延期してこの出来
投げたらクソゲー、最後までやると……?


概要

ファミコン神拳のキム皇こと木村初氏がデザインしたゲーム。
キム皇監修だけあって『ドラゴンクエストシリーズ』のような王道RPG……ではなく、
なぜかオリジナリティあふれる独特なシステムを搭載した、人を選びすぎるRPGになってしまっている。
発売日が1年も伸びたわりにシステム周りが稚拙で、処理が重く時間がかかり、おまけに戦闘難易度も高い。
むしろ親切設計なドラクエタイプのRPGに慣れている人ほど、途中でキレて投げ出してしまう可能性が高いと思われる。

システム

  • 戦闘は半オートバトルで、事前に立てた作戦どおり戦う。
    • 位置の概念があり、敵に攻撃をする際は近づく必要がある。本作は3Dを意識しており手前は大きく奥は小さく拡大縮小する。
    • ポーズをかけて止めることができ、作戦変更もいつでもできる。
      • 命令することで特定の行動を取らせることもできるが、実際に行動するのはキャラの行動順番が回ってきたときである。
    • 直接攻撃は敵と隣接しないと行えない。遠くに居る敵に攻撃しに行くと移動力が足りず、何もできないことがある。
    • 特定の魔法には効果範囲があり、近くに居る敵をまとめて巻き込むことができる。何匹巻き込んでも威力は落ちない。
    • 待機コマンドは無く、行動順がまわってくると必ず移動してから何かしらの行動をする。攻撃しない作戦を指示すると敵から離れる。
    • 防御コマンドも無く、敵から受けるダメージを減らす事は出来ない。
  • 魔法はレベルアップでは覚えず、魔法司のもとで自作する。
    • 「マナ」と呼ばれる火水地風の4つの要素を集め、それらのうち2つ、または1つと「ネファ」と呼ばれるアイテムを合成すると魔法ができる。
      • マナやネファの種類によって覚える魔法が変化し、マナの量によって魔法の性能と消費MPが変化する。
      • 魔法は分解することによって元のマナに戻る。ただし合成時の75%のマナしか得られないため、何度も魔法を作り直すと損をすることになる。
    • 性能の違う同じ魔法をいくつも覚えることも可能。魔法の名前は好きなように変えられるので混同しなくてすむ。
      • 回復魔法一つ取っても「30回復」「100回復」「300回復」と作って使い分けることが可能。使い分けないと泣きを見る(後述)。
  • 戦闘に勝ってもお金はもらえない。収入は敵が落とすアイテムを売って得ることになる。
    • 敵が落とすアイテムは高級なものが多く、近くの町の店で売っている装備品よりも強力だったりすることも。
    • 「ほうせきのふくろ」などといった売却専用アイテムもある。
    • アイテム欄は無限ではないが結構多めなので、こまめに店に売ればいっぱいになることはない。
+ プレイヤーキャラクター紹介

クルト

  • 主人公。種族は人間。プレイヤーがつける名前は彼の「真の名」であり、クルトという名前は変えられない。
    • ドラクエタイプのしゃべらない主人公で性格は不明。
      • 主人公にしては戦闘能力がちょっと頼りないが、装備に恵まれているので足手まといになるほどではない。

メイ

  • エルフ族の少女。その素性は謎に包まれており、ラスト直前で明らかになる。
    • 華奢な外見に見合わず強気な性格で、戦争に進んで参加したり、目上の人に食ってかかったりする。
      • 体力や守備力が低く、戦闘で真っ先に死ぬ。世界に一つしかない最強の防具を装備させて、ようやくクルトに並ぶほど。

ボルグ

  • ヤーク族という熊に似た種族の戦士。レジーナの護衛役。
    • いつも冷静で口数も少なく、周りに流されるタイプ。父親は「まるめこみのスヴァルト」と呼ばれる傭兵で、ボルグ自身には婚約者もいると人間関係は多彩。
      • 見た目通り力と体力が高く、MPこそ低いものの魔法も使える。賢さと素早さが最低なのはご愛嬌。

レジーナ

  • 主人公と敵対する国の王女。種族は人間。戦争を始めた自国に疑問を持ち、国を脱出する。
    • クルトが頼りない上に全くしゃべらないので、後半のイベント進行役は彼女が担当している。
      • パーティー内で最も素早く、戦闘能力も申し分ない。クルトよりもよっぽど主人公気質である。
+ 味方キャラクター紹介

ユーリ

  • シルヴェル王国の宰相。政治だけでなく外交や戦闘の指揮も取る多才な人。
    • シルヴェル陥落の際にクルトとメイを庇い行方不明となるが、思いもよらぬ場所で再会を果たす。
      • 身分を隠すため「リーユ」と名乗って密かに活動している。よくこれでバレないものだ。

フェーベンネルス

  • 言霊使いとして名高い老人。クルトのフェナムンの名付け親でもある。
    • シルヴェルを脱出してきたクルトとメイを弟子として迎え入れ、魔法の使い方を教える事となる。
      • 一番弟子はなぜかリスのビーボォ。ゲームを通して一番お世話になるであろう、頼りになる姉弟子。

スヴァルト

  • 「まるめこみのスヴァルト」と名が知られる傭兵でボルグの父。
    • 口数の少ない息子とは違いよく話す。
      • とある村の図書館にある「傭兵列伝」には彼にまつわる逸話も載っている。

評価点

  • 独特で暖かみのある世界観。キャッチコピーは「森が勇気を育み、光が運命を導く」。
    • 人間以外にも会話可能な種族が普通に暮らしている世界。彼らの集落に訪れる事もできる。
    • 昼夜の概念もある。
  • グラフィック
    • タイトル画面は美麗
    • これまた暖かみのあるグラフィック。キャラクターデザインは『桃太郎シリーズ』でお馴染みの土居孝幸氏。
    • フィールドではキャラが小さくなるかわりに奥行きのある広い世界が表示され、流れる雲や朝夕の切り替わりも美しい。
    • 戦闘時の敵も行動によって違うグラフィックを取る。特にドラゴン系の敵の力強い、かつ神秘的な姿は必見。
      • タイトル名どおりラスボスは大型かつ多彩な攻撃を繰り出す。本作の締めにふさわしい威厳に満ちている。
    • 3Dの概念
      • SFCの機能を使っておりOPの流れる雲、フィールドの広大さ、戦闘画面では拡縮補間を見事に表現。
  • BGM
    • 音楽担当は岡本智郎氏。場面や時間帯によって使い分けられる、芸術的と言える。
    • 印象に残るようなBGMではなく、どんな場面でもハズレがない曲が揃い、さらに世界観を引き立たせている。
    • 戦闘曲も状況に応じて多数用意されている。
  • フォントは漢字が使われている。
  • 町に居る人物は二度話しかけると違うセリフを言ってくれる。
    • いわゆる「ここは○○の町です」しか言わないようなシュールな人物がいないということ。
  • 店でアイテムの説明が聞ける。
    • 何に使うアイテムなのか迷わずにすむ。たとえば「たいまつ」は弱い敵を出なくする効果であり、ドラクエで言うところの聖水である。
  • 用が済んだイベントアイテムは売ってお金にすることができ、新天地へ行く際の資金になる。
    • 質屋が存在し、そこでは売ったイベントアイテムを買い戻す事ができる。有料預かり所としても利用できる。
  • 魔法合成システムで自分好みの魔法を作ることができる。
    • 各マナの集まりやすさは仲間によって違い、それぞれ得意分野がある。全員が同じような魔法を覚えるよりも、各キャラが分担して得意な魔法を覚えていくようにすると効率が良い。
    • 単にマナの量が多いほど強力な魔法ができるわけではなく、わざと合成量を偏らせることで意外に優秀な魔法ができたりもする。
      • 合成量が多いとその分消費MPも多くなり、強力すぎるとすぐにガス欠を起こすことになる。自分たちのMP量と相談してどの程度マナをつぎ込むかを考える必要がある。
    • さらにゲームを進めて合成用のマナが溜まる頃には、新しい魔法も覚えられるようになる。
      • 新しい魔法を覚えるか、保留にして今までの魔法をさらに強力なものにするかという駆け引きが生まれる。
  • 敵がアイテムを落としやすく、ハックアンドスラッシュがはかどる。
    • 強力な装備品が手に入ればそれだけ進行が楽になる。なかなか良い物が手に入らなくても、店で最低限の装備は買えるのでなんとかなる。
      • 最高ランクの装備品はほぼ店に売っておらず、敵からのドロップで手に入れることになる。ただしクリアには必ずしも必要ではない。
    • 装備品以外にもドーピングアイテムを落とす敵を狙って狩ったり、復活アイテムを大量に集めて安全に進めることもできる。
    • 稼いでいるといつのまにかマナも集まり、魔法強化もできるようになる。
    • 戦い方に慣れてくれば、ただ敵と戦って稼いでいるだけでも楽しくなってくる。強敵に勝てなくて稼いでいたらいつのまにか楽勝で勝てるようになっていた、なんてこともある。

賛否両論点

  • 風の攻撃魔法「トーネード」
    • ダメージのぶれが大きいのが特徴なのだが、その振れ幅が半端ではなく、時に魔法威力の数倍ものダメージを叩き出す。
    • レジーナに特定の武器を装備させると、通常攻撃の追加としてトーネードが発動することがある。当然MPも消費しないので、かなり強力。
    • 一方で敵に使われた場合、たまに味方キャラの最大HPを超えるダメージを出すという困った魔法でもある。
  • サブイベントが実質強制
    • ストーリー後半ではいくつかのサブイベントが解禁される。イベントをこなすと最強の装備品や新たな魔法などが使えるようになり、普通にレベルを上げるよりも劇的にパワーアップができる。
    • 後半のメインイベントは異様に厳しく、サブイベントをこなさずにいきなり挑むとまず返り討ちにあう。
      • 結局サブイベントを攻略してからでないとメインイベントがクリアできないバランスになっていて、サブと言いつつもほぼ強制イベントである。

問題点

  • テキストに誤字脱字が多い。
    • 送り仮名の間違いや、「ず」と「づ」の間違いなども含めると、軽く10箇所以上はある。
      • ここまで多いともはや「この世界はこういう言葉遣いが正しいのでは」とも思えてくるほど。
  • 動作が重く、何をするにもとにかく時間がかかる。
    • 移動速度が遅く、ダッシュ機能もない。
    • ウインドウの開閉が不便。ドラクエのように一瞬で開かず、ウインドウ1つ開くのに1秒くらいの「間」がある。
      • 回復魔法を使うにも「メニューを開く」→「魔法」→「誰の」→「どの魔法を」→「誰に」とやる必要があり、魔法を使い終わるとウインドウが全部閉じてしまう。回復魔法の性能がショボイと何回もやらなければならず、回復だけで1分以上かかってしまうことも。
      • ウインドウをキャンセルしても1個ずつしか閉じられず、オールキャンセルがない。
  • 戦闘
    • エンカウント率が異様に高い。多く歩けても8歩ほどでエンカウントする。
      • 戦闘開始まで数秒、敵は登場する際はいちいち1体ずつでテンポが悪い、戦闘終了からマップまで3秒、これらは大した事がないように思えるが頻繁にエンカウントするので累積していく。
      • ザコ敵もやたらとタフで、全員で1匹を集中攻撃しても1ターンで倒せないほど。それが大抵2匹以上、最大4匹で出る。
      • 自然と戦闘回数が多くなるが、全戦闘を逃げずに戦ったとしても、まだレベル上げが必要になってくるほど成長が遅い。
      • 弱い敵を出なくするアイテムや魔法はあるが、エンカウント率を下げる方法はない。
  • 戦闘に負けたら即ゲームオーバーで、セーブした所からやり直し。
    • ダンジョンはセーブ不可・移動遅い・高エンカ・敵強いと、悪条件が複合されてまさに地獄。途中でやられると、それまでの成果を棒に振ってしまう。
    • 見栄えの方も3D要素で奥に行くほど縮小で表示されるのだが見づらいだけになっており特に有難味がない。MODE7を使えるならそれで地面を表示してその上にキャラを配置、それと遠景を併用して回転視差でもすれば臨場感はまた違ったはず。
  • 知っていれば楽だが、知らないと非常に苦労することになる初見殺しの仕様が多い。
+ ネタバレの可能性あり
  • 戦闘中にYボタンを押し続けると倍速になる。最重要テクニックと言っていい仕様なのに説明書に載っておらず、ゲーム中にも説明がない。
    • Yボタンを押す理由もないし、チョン押しでは作動しないため、自力ではかなり気付きにくい仕様である。
    • これを知らないと最初から最後までやたらとスローテンポな戦闘に耐えなければならず、クリアまでに数時間は無駄にかかることになる。
  • 攻撃を受けたキャラは、攻撃してきた相手に自動でターゲットを変える。これも説明がない。
    • 敵1体を集中攻撃して数を減らす作戦を立てても、勝手にターゲット変更してHPの高い敵を殴りに行ってしまうといった事態が頻繁に起こる。ターゲット指定し直すのも面倒だし、し直したらまた別の敵から攻撃を受けて無意味になることもザラ。
      • 混乱させられて味方を殴ると、殴られたキャラはその味方にターゲット変更し、仲間同士の殴り合いになってしまう。面倒でも命令し直さなければならない。
    • 適正レベルでは、レジーナ→メイ→敵→クルト→ボルグの順で行動することが多い。つまりメイが敵に攻撃するとその瞬間に敵がメイにターゲット変更して攻撃してくるというパターンになりがち。メイが死にやすい原因のひとつ。
      • メイが魔法向きキャラだからといって広範囲攻撃魔法など使わせようものなら、巻き込んだ敵全員から集中攻撃される。そりゃ死ぬわな。
  • 役に立つ魔法と役立たず魔法の差が激しすぎる。
    • 回復魔法は最も重要。作るには水のマナが必要で、これがないと話にならないバランスのため、水のマナを他の魔法合成に使う余裕がない。水の合成魔法にろくなものがないのが救い。
    • 数ターン敵の動きを止める「パラライズ」は、マナ使用量にもよるが広範囲に効果を及ぼし、成功率も80%まで高めることができる。しかもザコ敵ならどんな敵にも効き、重ねがけで効果時間を延ばせると非常に強力。
    • 魔法を封じる「サイレンス」は一部のボスにも通用する。魔法主体の敵には面白いほど有効。
    • 攻撃魔法は合成時に威力を確認でき、一見強そうに見えるがこれは弱点を突いた際の数字であり、弱点でない敵に使うとかなり軽減される。マナを多くつぎ込めば威力も高くなるが、そのぶん消費MPも多くなり割に合わない。
    • 広範囲に攻撃する魔法ほど威力が低くなる。単体攻撃でさえも威力不足なのに、さらに低い威力では使い道がない。前述の集中攻撃される仕様もあり、広範囲攻撃は使わないほうが安全とさえ言える。
      • さまざまな攻撃魔法があるのに、結局戦闘ではパラライズやサイレンスで動きを封じて物理で殴ればいいということになっている。これを知らないと、クリアレベルまで上げても中盤のイベントがクリアできないという事態に陥る。これでクリアを諦めた人もいる。

総評

問題点で挙げた通り、ゲーム開始早々から歩く速度が遅い、分かり辛い戦闘システム、ウインドウの開閉が面倒、などなどクソゲー臭がプンプンするゲーム。
しかし序盤の辛さに耐えて仲間が増え、魔法合成ができるようになると新しい世界が開ける。
さらにゲームを進めれば進めるほど新たな「味」が出て、いつのまにか世界観に入り込んでしまい、そのままクリアまでプレイしてしまう、スルメゲー的魅力がある。
要所に強敵と戦うイベントが設置されているため稼ぎ必須のゲームではあるが、レベル上げ・マナ集め・レアドロップ狙いを同時に行えるので意外と苦にならない。序盤のクソゲー臭に耐え、壁を乗り越えた人だけが、それを楽しめる。
システムさえ理解すれば決して理不尽な難易度ではないし、進行に支障が出るようなバグがあるわけでもない。
詰み要素ならぬ積み要素が満載の、とてもストイックなゲームなのである。

余談

  • 同月に後に大貝獣物語も発売されるが、そちらの方でも高エンカウントが問題視される事になる。