モンスターメーカー

【もんすたーめーかー】

ジャンル RPG
対応機種 ゲームボーイ
メディア 1MbitROMカートリッジ
発売・開発元 ソフエル
発売日 1990年12月22日
定価 3,500円
判定 なし
ポイント カードゲームをコンピューターゲーム化
モンスターメーカーシリーズリンク


概要

1988年からカードゲーム、ボードゲームなどの非電源ゲームで展開されていたモンスターメーカーシリーズの初のコンピューターゲーム版。 4人の主人公から1人を選び、街ごとに用意されている仲間を雇用してダンジョンを攻略していくというオーソドックスな展開のファンタジーゲームである。

特徴

  • カードゲームを元にしたことから、様々なものがカードで表現されている。ダンジョンは最初は全面が伏せられたカードとなっていて、それをめくって進むことで隠されたイベントが発生したり、敵にエンカウントする。
    • これは元になったカードゲームと同様の処理だが、マップを進んでいくとランダムでエンカウントするということに関しては通常のコンピューターRPGと大差ない。このゲームにおいてカードはマップやアイテム、キャラクターの表示などあくまでフレーバーとしての表現にとどまっている。
  • 経験値は存在せず、王様の依頼をこなす、ダンジョンのボスを倒すなどのタイミングでレベルが一つずつ上がっていく。 レベルが上がるのは主人公のみであり、仲間のレベルは上がらない。 そのため普通は同じ仲間を使い続けることはなく、ストーリーが進行して先の街に行くことで雇用できる、より強い仲間を雇いなおすことになる。

評価点

  • モンスターメーカーシリーズはイラストレーターの九月姫によるかわいらしいキャライラストが特徴であるが、本ゲームでも主人公や仲間、モンスターなどのグラフィックに使用されている。 主人公4人と雇用できる仲間たち16人には固有の立ち絵が用意されている。当時のゲームボーイのRPGとしては、アレサシリーズと並んでキャラクターグラフィックに力の入った作品と言える。
  • モンスターを勧誘して仲間とは別枠で戦力として使えるシステム、マップ構造は固定ながら入るたびにイベントマスで罠やHP回復など違ったイベントが発生するなど、意欲的なシステムが見られる。

問題点

  • バグや誤字脱字がかなり多い(「しまった!→うわた!」「かぎが あいません→かがが あいません」など)。ダンジョンの攻略順と所持アイテムによっては一旦特定のダンジョンから出ると再度入ることができず、ワールドマップから動けなくなり進行不能になるハマりも存在する。 また固定イベントを発生させずに移動できるバグも存在し、*1本来は特定レベルに達していない=イベントを発生させていないと先に進めない関門が各所に存在するが、バグを利用するとストーリーをスルーして進行することもできる。
  • 主人公以外の仲間は街の酒場で二人まで雇用できるが、先に述べたようにレベル固定で装備の概念もなく、他のRPGで言うと助っ人NPCに近い存在である。宿屋に泊まるとパーティー解散となり、改めて仲間を雇う必要がある。そのため主人公以外を育成、強化する楽しみがなく、気に入ったキャラがいてもストーリーが進行すると仲間として使うことは難しくなる(システム上仲間に入れ続けることに制限があるわけではないが敵の強さに見合わなくなる)。 例えば「モンスターメーカー三人娘」として知られる原作のボードゲームでの人気キャラ、ディアーネ、ルフィーア、ロリエーンが登場するが、主人公の一人として使えるディアーネはともかく、ルフィーアは中盤、ロリエーンは序盤に一時的に雇用するのみで、原作ファンとしては残念なところだろう。
  • 魔法のシステムが独特で、一般的なRPGのように覚えている魔法をMPなどのリソースを消費して使うのではなく、街の魔法屋でMPを元手に魔法を使い捨てのカードアイテムとして購入するようになっている。*2MPや一人のキャラが持てるアイテム所持数はあまり多くなく、ダンジョンでは途中で補充もできないので、魔法は気軽に使うことができない。*3
    • この魔法システムの影響で、職業ごとの使いやすさに大きく差がついてしまっている。 魔法を使えるのは魔法使い、エルフ、ドワーフであるが、MPはわずかしかないが戦士を越える高い耐久力で前線を張れるドワーフ、魔法剣士として魔法が無くてもそれなりに戦えるエルフに比べて魔法使いは魔法がなければ攻撃力が低く明らかに他職に劣るため、長いダンジョン内ではお荷物になってしまいがち。 エンカウント率はかなり高く設定されていて、既に開いたマップを行き来する際にもエンカウントするのでその間魔法使いはストックした魔法を節約しながら戦う必要がある。
    • 敵モンスターは雑魚でも魔法を気軽に放ってくる。強力な攻撃魔法や補助、移動などの多様な魔法が用意されているが、プレイヤーがそれらの魔法をフル活用できるのは出し惜しみせずに使えるボス戦くらいに限られる。 全体攻撃+行動不能にする魔法や全体回復など魔法の効果自体は強力なもので、魔法使いキャラは豊富なMPと知力でそれらを駆使することで特にボス戦では他の職業には出来ない活躍も可能。 いかに長い道中を耐え忍びながら要所で魔法を運用するか、プレイヤーの腕が試される部分とも言える。
  • 主人公は4人いるが*4、誰を選んでもストーリーは同じ。そもそも主人公は喋らない。雇用できる仲間も、NPCとして登場した時はイベント時に固有の台詞を喋ったりするが、仲間に加えると雇用を解除する時に汎用の台詞を喋るだけになる。容量や開発期間の問題もあるのかもしれないが、豊富なキャラクターがいながらストーリーに関しては薄味と言わざるを得ない。
  • ラスボスを倒すとゲームクリア、エンディングとなるが特にこのボスにストーリー上強い因縁があるわけでもなく、本当にあっさりとした終わり方である。

総評

ゲームボーイRPGの黎明期、ノウハウの無い中で独特のシステムを作り上げたことは評価できる。

その後の展開

  • 1991年12月20日に『モンスターメーカー 7つの秘宝』がファミコンで発売。
    • 仲間キャラもレベルアップするようになり、オリジナル主人公の周りを原作キャラが固めるような形になっている。
  • ゲームボーイでは1993年3月19日に『モンスターメーカー2 ウルの秘剣』が発売。
    • 時代設定では本作の100年前にあたる。

余談

  • 後々固まったキャラ設定で女戦士のラクーナは、典型的な男勝りで気が強く、性格的にがさつなイメージのキャラだが、本作では「こちらを勇者と見込んでダンジョンに同行してほしいと依頼してくる」という役どころのためか、「かたじけない」などとまるで侍のような丁寧な口調で話すため、全然違った性格に感じられる*5
    • またモブキャラでラクーナの弟が登場するのだが、一般兵士のグラフィックを流用しているためハゲ頭でいかつい顔をしており、弟どころか兄貴でもちょっと無理があるぐらいでどう見ても親父にしか見えない。
最終更新:2024年03月20日 01:39

*1 マップのカードをめくる途中でセーブすると、めくった先のマスに移動した状態から始まりそのマスのイベントが発生しない

*2 後年発売のARPG『天地創造』でも似た魔法のシステムを採用している。

*3 なお、主人公と仲間のうち戦士タイプのキャラはMPを持たないので魔法を使えないが、アイテムとして購入したり宝箱から入手できる魔法も一部存在し、それらはどのキャラクターでも使える。いずれにしても使い捨てだが。

*4 生真面目な剣士のローラン、ナンパでギャンブル好きなタムローンなど本来は個性が設定されている

*5 それでいて依頼を断ると「だめですか ぐっすん」と妙にかわいいセリフを言う