モンスターメーカー 7つの秘宝

【もんすたーめーかー ななつのひほう】

ジャンル RPG
対応機種 ファミリーコンピュータ
発売・開発元 ソフエル
発売日 1991年12月20日
定価 6,800円
プレイ人数 1人
判定 ゲームバランスが不安定
ポイント 仲間もレベルアップするようになりキャラ要素が大幅に良化
ムダなレベルアップは首を絞める元
終盤では仲間キャラが死にまくり
モンスターメーカーシリーズリンク


概要

元は1988年からカードゲーム、ボードゲームなどの非電源ゲームのシリーズ。
コンピュータゲームとしての初作品は1990年末にゲームボーイとして発売された『モンスターメーカー』で、その続編にあたる。

全体的なシステムは前作から引き継がれているため、変更点のみにとどめるものとする。


ストーリー

+ 光と闇のストーリー

光と闇のストーリー
遥かなる昔 世界には善も悪もなく 2つは混然として調和し同時に混沌に波打っていた
しかし、存在のうねりの中から、ある意識が目覚める
そしてそれは、世界を見ることにより、光と闇を知ることとなる
意識はやがて、光と闇そのものに別れ、自己の存在こそが、正しいものだと考えるようになった
そこから争いが生じた
2つの者は、自己の性質を、世界中の形あるものに与え始めた
光と闇の性質を持ったものどもは
世界中で、いつはてるともなく激しく争い
多くの形あるものが消滅していった
こうした戦いの果て、闇の王が誕生する
闇はその力を闇の王にたくし、勝利を手にしようとしていた
ところが光の7神が誕生し、魔物使い(モンスターメーカー)とともに
闇の王を倒してしまう
闇の王の消滅は、この世界に"虚無"を呼び寄せた
光も闇も、この世界を深く愛していたので
"虚無"の侵入に大いに苦しんだ
そこで2つの者は、取り決めをすることにした
これ以上世界に干渉すまいと
世界は光の優勢のまま、しばし平和を呼吸していた
しかし、闇は、来るべき時に、己の代りに世界を統べるものを
密かに選んでおいた
光もこれに気付き、それに対抗するものを、慎重に選んだ
そして月日は流れ、時は満ちた
2つの選ばれし者が、相対するその時だ!
剣と魔法の国ウルフレンドにて
2つの力は再び雌雄を決することとなった

+ プロローグストーリー

プロローグストーリー
ボンベート火山の地下深く、ゾール神は、たくさんの生ける屍たちに囲まれて、この千年間過ごしてきた。
千年前、他の6人の光の神々が、地上を捨てて、天上界に移り住むことを決定したとき、ゾール神はそれを拒んだのだ。地上にのこり、人々の崇拝を受け続けたい。それが彼の望みだったのだ。
しかし、他の神々は、ゾール神だけが地上に残ることは認めなかった。それでは、せめて地下に残る、と食い下がるゾール神に、他の神々はしぶしぶ引き下がった。
ゾール神は自分の信者や、愛する者を引き連れて、ボンベート火山の地下深くへと入っていった。
お供の人間たちの寿命は短い。そこでゾール神は、人々をゾンビに変えてしまった。ゾンビの神官に、ゾンビの信者に、ゾンビの踊り子たち。疲れを知らぬ彼らの祭りは、いつはてるともなく、延々と続いていった。
先に疲れてしまったのは、ゾール神の方である。何百年も同じことを繰り返し。新鮮味のない生ける屍たちとの暮らしに、ゾール神は苛立ちはじめた。それに神々は、人々の崇拝のエネルギーから力を得るのだ。屍たちの崇拝エネルギーは、だんだん枯れ果てていく。しだいにゾール神は、再び地上に戻り、全ての生けるものたちの崇拝を得たいと望むようになった。
そして、恐ろしいことに、エネルギー源を失ったゾール神に、力を少しづつ注ぎ込んでいたのは、ゾール神たち光の7神との戦いに敗れ、地底に封じ込められた闇の力だったのだ。かつての光の神、ゾールは、次第に闇の性質を持つようになっていった。地上を支配したいという欲望は、もはや抑え切れないところまで来ていた。
しかし、彼が地上に出るには、天上の6神を抑えなければならない。そのためには、神々の力を宿した、7つの秘宝を手に入れるしかない。
7つの秘宝。それは、神々が天上に移り住むときに、地上の死すべき種族たちを守護するために、自らの力を封じ込んで、残していった宝石だ。今では地上の9つの種族の内、8つの種族がその秘宝を守って暮らしている。
ゾール神は、地上を支配し、7つの秘宝を奪うために、闇の軍団を育て、地上に放った。闇の軍団は、まずオークたちを味方に引き入れ、ウルフレンドの軍事的支配を狙った。
このとき、ゾール神に対抗するはずの光の子は、ブルガンディの街で、生まれたばかりだった。ゾール神は、光の子を赤子の内に抹殺するために、闇の大騎士、ネフェルーダを送り込んだのだった。
大予言者タリエシンは、予言の書を研究しながら、予言の塔に住んでいた。そして、ゾール神の野望を、予言の水晶玉を通じていち早く知ってしまう。
彼は、ネフェルーダの殺戮を止めにブルガンディへと急行する。そして弟子の魔術士見習いルフィーアには、13歳にまで育った光の子を探しに、ベング城に向かわせることにする。
しかし、光の子は、生まれたばかりのはず……?
疑問をいだきながらも、ルフィーアの光の子探索の旅から、ゲームは始まる。

(※いずれも説明書より引用)


変更点

  • オリジナル主人公キャラの登場。
    • 当初はルフィーア1人のみでスタートし、最初のクエストで光の子(主人公)と出会う。
      • 出会ったら性別を決め*1と名前を入力する。
  • クイックセーブができなくなった。
    • セーブは町の中で時の番人にしてもらう形になる。
    • セーブの枠は2つに増えている。
  • パーティが最大6人になり仲間キャラもレベルアップするようになった。
    • 仲間の加入と離脱は酒場で行う。
      別れた仲間はそこの酒場に駐留しつづけるので、再度加入したくなった場合は要注意。
    • もちろんクエストクリア方式なので限りがあるため、レベルアップさせるキャラは絞る必要がある。
    • 付随して仲間キャラ死亡時にも魔法やアイテム、寺院での有料復活が適用される。
    • 最大は6人だが人間系キャラは5人までで6人目は仲間モンスター専用枠になる。
    • 前作はシーフは罠を外す役回りだけで別枠だったが、他の仲間同様戦闘にも参加するようになった。
  • 仲間モンスター要素。
    • 普段は主人公のアイテム欄に入っており、主人公が使うことによって6枠目(後列だが、近接攻撃も可能)呼び出すことができる。
      呼ばれたと同時に行動するが、戦闘終了時に自動送還されるため常時出しっぱなしは不可能。
      HPは戦闘後もそのままだがMPは召喚のたびに全快するので、上手く活用することで戦闘時間の短縮・探索時間の延長などが狙える。
      • ちなみに仲間モンスターは一騎打ち戦でも召喚可能(しかも最大5体まで)。 それでいいのか主人公?
    • 様々なダンジョンに「魔物使い」がおり、彼に頼むことでモンスターを売買したり、2体を出すことで1体の強力なのと交換したりできる。
      • 宿屋では回復できないため(戦闘中ならアイテムや魔法で回復できる)、仲間モンスターの回復も彼に頼むことになる。
    • あの『ドラゴンクエストシリーズ』でさえ仲間モンスターの登場は1992年9月発売の『V』なのでビッグタイトルに先んじている*2
    • 魔物使いから購入する以外でも『女神転生』のように戦闘中に交渉で直接仲間にできることもある。 ただし、会話勧誘では仲間にできないモンスターもそれなりにいる。
  • お金の単位が本作独特の単位「D(ダルト)」になった。
  • 魔法は前作までの「カード魔法」だけでなく「自己魔法」「特技魔法」区分が新登場。
    • 「自己魔法」
      • 魔術師のみが持っており「たたかう」を選ぶと発動しMPも消費しない。つまり魔術師にとっての打撃の代わりだが、あくまで魔法扱いなので封じられたり場所によっては使えない(水中で炎系魔法など)こともある。攻撃以外の魔法を自己魔法としている魔術師もいる。
    • 「特技魔法」
      • 各キャラに最大3つまで枠があり、MPを消費して使う一般的なRPGのスタンダードな魔法がこれにあたる。
        他に戦士系キャラなどが持っている「ひっさつ」などの技も、この区分になってはいるが、これらは魔法を封じられても使うことができるしMPを消費するようなことはない。
      • 主人公は、この種別で持っている秘宝を使うことができる。MPの消費こそしないが各秘宝が使えるのは1回ずつで、一度使うと 宿屋に泊まるまで フィールドMAPに出るまで回復しない。
    • 「カード魔法」
      • 前作同様カードに封じ込めて使う魔法で、封じ込めた分のMPは実質的に最大MPから引かれた形になる(表示上は現MPが引かれ最大は変わらないが、宿屋に泊ってもカード化して持っている分が回復しない)。またレベルの縛りもあり対象のレベルに達していないとカード化しての所持できない。
    • 主人公はMPがありながら特技魔法は秘宝で埋め尽くされているので、基本的にこれに全MPを費やすことになる。
  • 武器などもアイテム欄で所持して選択して装備する典型的なRPGの方式になった。
  • 戦闘関連。
    • 戦闘中は与えたダメージがハートに乗って飛んでいくアニメーションが追加された。
    • 一度にエンカウントできる数が最大8体までに増えた。
      • ただし同時に戦えるのは5体までで6体目以降は隠れており、既に前衛に出ている5体を倒して空いた枠に追加で出てくる。
      • 一部例外として無制限に湧いて出てくるイベント戦闘もある*3。この戦闘は倒しても倒しても後から後から5枠を必ず埋め尽くす数が補充されるので、永遠に終わらないため必然的に逃げるしかない。
    • GB版での異様な超高エンカウント率は軽減されている。
    • 戦う、逃げるなどの他にアイテム(宝石や古代像など販売アイテムに限る)やお金を渡したり、話しかけたりできるようになった。
      • うまく行けば情報が貰えたり、モンスターが仲間になったりする。

評価点

  • キャラグラフィックは細かい部分まで描かれている。
    • モンスターやプレイヤーキャラは前作ゲームボーイでも細かく描かれ、高いクオリティだったのがファミコン化によりカラーで描かれ、より一層磨きがかかっている。
    • 実際カードでの元絵と比べても、ほとんど変わりない。
      ただし戦闘時のドット絵は少々残念で、固定メンバー以外は職業ごとの汎用絵で統一されてしまっている。
  • キャラ選択の幅が広い。同時にレベルアップの対象となったことで好みを反映させやすくなった。
    • 戦士系、魔術師系に老若男女様々なキャラがいるので、プレイヤーは自分の好みで選択できる。
    • 特に魔法系は、それぞれ得意とする魔法があるので、その意味でも個性を反映させやすい。
      • 前作から打って変わって仲間キャラもレベルアップするようになった。
  • 「モンスターメーカー三人娘」として知られる原作の人気キャラ、ディアーネ、ルフィーア、ロリエーンのうち、2人が準主人公という扱いになった。
    • ロリエーンもイベントで、同行させなければならない場面があるので、この3人は必ず一度は顔を合わせる。
    • こういった部分に原作人気を大切にしている一面が見られる。
  • 販売アイテムの充実。
    • 石像や邪神像を調べることで入手できる宝石や古代の像といった換金アイテムを入手する発見がある(前作はお金のみ)。
      --ただし最高額(売却額15000ダルト)の古代の像(黄色)は呪われており、所持したキャラは移動中に毒状態と同じダメージを受け続ける。装備しているわけでもないのだが呪いアイテム恒例の「ほかの仲間に渡すことができない」という特性もしっかり持っている*4
    • 直接お金を見つける場合よりも高くなる場合が多い。
      ダンジョン内の宝箱・ランダムイベントはセーブ・リセット(あるいは他ダンジョンへの出入り)で復活するので、上手く金策に活用したい。

賛否両論点

  • 迂闊に仲間モンスターを合体させると実質パワーダウンになることも多々ある。
    • まず序盤で超強力なのが後述の「ワイト」。だが合体で更に上を目指せるとはいえ進行度合いによってリミッタがかかる。ここまでは問題というほどではない。
      • 問題なのはこの序盤のリミッタで最上位になる「スパルチ」で、序盤でのパーティキャラよりは強いが魔法もなければHPも「ワイト」より低いので大して強くなく、明らかに価格に見合っていない。
      • 裏を返せば、やみくもに合体させればいいという単純さを排しているし、価格(ランク)で劣っても強いのがいるとも言えるのだが。
  • 同じ職業、あるいは近い特性を持つキャラクター間で能力に格差がある。
    • 例として、戦士であれば序盤から加入するラクーナと後半に加入するタムローンを比較すると、仮に同レベルに揃えてもほぼ全ての面で後者が上回る。
      同様にシーフであればハッタタスよりもレジークが、神官であればゴルボワよりもサリエリが、エルフならロリエーンよりもエルサイスが強い*5
      • とはいえ後半に登場するキャラクターの方が強いというのはRPGではよくあることではある。弱い方とされるキャラも序盤の牽引役として見れば十分な戦力になるので、単に役割分担でこうなっているだけとも言える。
      • また弱い方とはいっても、ちゃんとレベルを上げて装備を固めれば(もちろん強いキャラを起用するよりも辛くなるが)後半まで使えなくはない。自分の好きなキャラを育てよう。
    • 罠解除能力を持つシーフよりも、同じく罠が解除できて魔法も使えるシャーズの方が使えるとされやすい。
      • 実は「魔法が使えるぶん有利だろう」というその発想が罠 で、「運」の数値のためシャーズの罠感知・解除の成功率は専門家のシーフよりも格段に下回る*6。 しかもシーフは「めつぶし」による無消費行動妨害に加え「ひっさつ*7」で火力不足を補えるため、継戦能力はシャーズを大きく上回る。
        実際のところは上位互換ではなく相互互換と言えるだろう。
        なお、似たような事は戦士・エルフ・魔術師にも当てはまり、エルフ系のキャラは良く言えばバランス型、悪く言えば器用貧乏である。

問題点

  • 本作では「イベントクリアでパーティメンバーがレベルアップ」というTRPGのようなシステムが採用されているわけだが、レベルアップに関するバグがいくつもある。
    • レベルを初期値から20上げるとパラメーターがバグる。
      • レベルが33になると1にループする。
    • HPが255を超えると1にループする*8
      • といった点から、健全にゲームを進めたい場合各キャラクターのレベルは「初期レベル+19以内且つ32以下、且つHPが255を超えないようにする」ところまでしか上げられない。これらに関してゲーム中には一切ヒントはなく、プレイヤーはバグった時に初めて気付く。
      • 序盤からいる仲間はその分レベルアップ回数が多くなりやすく、後半の仲間は能力の高さが災いしてHP上限に引っ掛かりやすい。初期レベル30のガンダウルフに至ってはレベルアップできるのはたったの2回である。
      • バグった状態から更にレベルを上げることも可能だが、パラメーターが更に滅茶苦茶になってゲームバランスが崩壊する。
    • 本作ではキャラクターの成長パターンが複数存在しており、とある条件下*9でレベルアップごとにランダムで選ばれるのだが、HPの伸びやすい主人公や戦士系キャラは高成長パターンばかりを引いているとストーリー後半にはHP上限を超えてしまう。場合によっては敢えて低成長になるように吟味する必要が出てくることも。
  • せっかく多くのパーティーキャラがいるのに、パーティー編成の自由度は低い。
    • パーティー人数の上限は上記の通り人間5人(+モンスター1匹)なのだが、このうち序盤で主人公とルフィーア、中盤でディアーネが固定キャラとして加入するため、最終的な任意枠はたったの2人。そのうち片方は大抵は罠解除担当のシーフorシャーズで埋まることを考えると、純粋に好きで入れられるキャラはただ1人になってしまう。
      • 一応固定キャラをパーティーから外せる裏技*10もあるが、主人公を外した状態でストーリーイベントを進行させると大抵バグる。使用は自己責任で。
  • 仲間の一人、魔術師「ボールガード」の加入条件が異常に厳しい。
    • その条件とは「パーティーが4人以下、且つ全員が生存してゴブリン状態*11で、終盤ダンジョンである「ノルド洞窟」の最奥にいるボールガードに会いに行く」こと。
      • ゴブリン状態になるにはダンジョンの罠を利用するか、敵に「ゴブリナル」の魔法を掛けてもらう必要がある。
        このうち罠の方はノルド洞窟に無いため他のダンジョンからゴブリン状態を調達してからダンジョンを実質二つ突破しなくてはならないうえに、強制収用される都合上、街に寄っての事前セーブもできないためかなり面倒。
        一方で敵を利用する方はノルド洞窟内で可能だが、必ずゴブリナルを使ってくれるとは限らず効くかどうかも運次第なため、どちらの方法も非常に面倒。
        またゴブリン状態では非常に弱くなるため戦闘も危険で、逃走すら困難に。死ぬとゴブリン状態が解除されてしまうので、エンカウントを避けるアイテム「アムレット」の大量所持は必須になるのだが、非売品のため必要数確保が困難。
      • ちなみにボールガードのレベルを最大まで上げるためには主人公がレベル7の状態でこのイベントをクリアしなければならない*12。この場合ただでさえ過剰な面倒さが更に跳ね上がることになる。
    • なおそこまでして仲間にしたうえで限界強化したボールガードはさぞ強いのかというと、実はそうでもないという肩透かしぶり。特段弱くはないが習得魔法がいずれも微妙なため、同じ魔術師としては面倒な条件もなく加入してくれる「リンク」とほぼ変わらず、最終盤に加入する「ガンダウルフ」の方が明らかに強い*13
      というかルフィーアが固定メンバーである以上、魔術師を仲間にするメリット自体が薄いのでスルーしてしまっても問題ないのが救い。
  • また老魔女「ガーラ」の扱いもわりとヒドい。 序盤の酒場にいるキャラで「エルフの森」のボス戦における切り札とも言える存在なのだが、先に「クルアフ洞窟」を攻略してしまうと秘宝「サファイア」と仲間モンスター「ワイト」のフル活用で該当ボスを力押し撃破できてしまうので、こうなると低成長・微妙な習得魔法もあって使わずじまいで終わることも。
  • ダメージの最大値が99止まり。
    • ダメージを現す演出として「ハートに数値が出て飛んでいく」が導入されたことに伴ってか、ハートに2桁までしか表示できずダメージの最大値もそれに合わせて2桁最大の99になってしまった。
      • このため終盤戦での補助魔法「パワー」は微妙なものに。
    • 後述のマグマン以外にもHP200や300オーバーのザコ敵など終盤ではザラで、その力不足が如実に現れる。全体魔法ならそのカンストダメージを全体に与えることも可能だが、当然これは有限。
      • 即死系の攻撃もあるが魔法の「モルト」は味方はたった一人しか使えず*14、「暗殺針」「悪魔の壺」はアイテムなので当然持てる数が限られている上に値段もそれなりに高い。
    • その極みと言うべきは「カオスゼリー」でそのHPたるやなんと800で、HP吸収の「なめる」まで使ううえにラスダンでは固定エンカウントでこんなのが8体も現れるので全体魔法連打でも骨が折れる。 状態異常全般に弱いのでそれらを得意とするマンティコアを召喚したり、素早いキャラに「眠りの笛」を使わせれば被害を大きく軽減できるが、戦闘終了までの時間は相当なものに……。
      他に「ビースト」は魔法攻撃は大半無効&火炎ブレス持ちと非常に厄介で、終盤ダンジョン「氷の洞窟」の最奥部ではこれが群れて配置されているという悪夢。 意外と気付きにくい浄化魔法「ディスペル*15」やその劣化版である「破魔の笛」の有用性を知っていないと大苦戦は必至。
      • そんなわけで終盤ではザコ戦でもかなり時間がかかる。
        おまけにダンジョン自体も長丁場ばかりなのに、中断セーブも緊急脱出魔法も存在しない仕様 が追い討ちをかける。
    • このため戦士系のディアーネは愛用の両手斧「ホリーアクス」や伝説の魔剣(両手武器)「デスデリバー」を装備させるよりも、数段劣る攻撃力の片手剣「テンペスト」+盾装備で「ひっさつ」を使わせるほうが総合的に強くなるという事態に……。
  • ダメージ量が極悪になった毒や麻痺。
    • 最大HP依存での割合ダメージ計算なのでものの数歩であっさり死んでしまう。
    • しかし、これによって毒らしさがしっかり表現できている一面もある。 戦闘よりも罠によって被る場合が多いことから、シーフ系の存在が重要視される理由にもなっている。
      • 多くのJRPGでは毒の存在自体が移動時のSEやエフェクトが鬱陶しい程度で、ダメージ的には取るに足らない要素になっていることが多いという不自然な一面もあるので早急な解除を迫られ、そのアイテムや魔法の価値を高めているのは、ある意味褒める点なのかも知れないが。
  • いきなり登場する無理ゲー的なキャラ。
    • 特に理不尽なのが「マグマン」でランダムエンカウントはラスダンの「ブルガンディ島(ボンベート火山)」でするモンスターだが、ピンポイントの固定エンカウントとして序盤~中盤でも現れる。
      当然ながら、この時点では下手な中ボスキャラよりも断然強い。
      • 名前の通り炎系のモンスターのため、カード魔法「フリーズ」や魔法アイテム「フリーズP」などを大量準備しておけばわりと対策できるとはいえ、HPが313もあるのでいつまでも足止めはできない。そんな所へ持ってきて「火炎ブレス」は凶悪で、先行して使われようものなら一気に全滅コースまっしぐらになる。
      • 一応、初顔合わせのクルアフ洞窟では単体出現で直前にノームキャラが警告してくれるが、次のブルグナ城ではいきなり表れる上に2体同時なのでアッと言う間に全滅も珍しくないほど。おまけに後者は鍵系アイテムを守っているので、避けては通れないという無茶振り。
        主人公の秘宝を活用すれば若干は楽になるが、事前のイベントでの選択肢ミスで盗まれてしまうと地獄開始。
    • エルフの森の「ワイト」も、ルフィーアが得意とする炎系に弱いとはいえHP140とかなりタフな上「メガサンダー」が凶悪で使われると全滅まっしぐら。単体出現な上にメガサンダーは使うこと自体かなり稀とはいえ明らかにオーバースペック*16。 なお終盤では群れて配置されてる箇所も。
      • また「エビルアイズ」による「石」も、この時点で治す方法は一旦引き返して寺院での有料治療しかない。
      • メガサンダーは邪神像を調べると像自身が敵として襲ってくるケースで戦うことになる「ラーガの像」も使ってくる。こちらもそこまで高頻度ではないがワイトよりは使ってくることが多く序盤でも戦うことがあるのでそうなるとやっぱり全滅まっしぐらになる。
      • なおエルフの森のワイトとクルアフ洞窟のマグマンはどちらもストーリー上戦う必要はまったくない。
    • 序盤に訪れるゾール神殿の地下フロアに続く道の「恐怖*17」を超えるレベルが異常に低い。ところが、そのフロアは本来ならばラスト直前に行くものであるため、そこでモンスターにエンカウントしようものなら直前の恐怖を越えたギリギリ程度レベルではアッと言う間に瞬殺される。
      • そもそも対象のフロアに行っても閉ざされた扉でスグ行き止まりになるため行く意味すらまったくない。今まで「恐怖を超えればその先を目指す」という展開だっただけに、この先に行く必要があると勘違いしやすいのも厄介。
    • 「エルフの森」の固定戦闘で出現する「カーシー」5体もなかなかのクセ者。
      • 全体を「かなしばり」にする「ほえる」を使いまくり、まだまだ序盤なのでこちらの面々に耐性など皆無同然のため成すすべなく全員がこれにやられて動けなくなり、ロクに行動できないまま一方的に「たたかう」「かみつく」で攻撃される。攻撃力は一撃即死級でこそないものの当然格上のモンスターなので動けない所にガンガン攻撃を喰らってはたまろうはずがない。HPが89もあるのでこの段階では総がかりでやっとこ1体倒せるか否かという程度もつらい。手間取っているうちに、他のカーシーから吠えられて動けなくされる。
      • 一応対策としては魔術師キャラ複数によるカード魔法「ヘルフレイム」連打での速攻のほか、仲間モンスターの「ワイト」ならば金縛りに完全耐性なので人間の仲間が全員動けなくなっても攻撃してくれるし飛びぬけた攻撃力でワンパンで1体沈めてくれることもある上、うまい具合に「メガサンダー」を使ってくれたら一網打尽にできる可能性が高く外しても「しびれ」にできるので吠えまくりが抑えられて楽勝になるなど脅威は大きく落とせるが、当然ワイトがガギになることはノーヒント。もちろんこの時点では直接買えず会話による勧誘も不可なため、他のモンスターを購入して交換させてを繰り返す必要があるので相当な手間と費用がかかる。
      • 幸いなことに配置場所は入り口の近くなので長旅の成果がパーという事態にはなりにくいが、当然これを倒さなければ先には進めない。
      • 「カーシー」とはその前の「ダンシネインの森」でも固定で戦う機会があるが、この時は3体なので手強いには違いないがそこまで脅威でもない。 この程度の数ならMP切れを待っての持久戦でも勝機はある。
  • ランダムエンカウントでも全滅まっしぐらな敵がいる。
    • ブルグナ城では上述の「マグマン」だけでなく、序盤にノーマルエンカウントで登場する「ゴブリン」の全体魔法「ヘルフレイム」や「オークメイジ」の全体魔法「ボンバー」も凶悪。何体も出てくることもザラで頻度自体はそこまで高くはないがレアでもないので、何体も現れて偶然連発されると全滅まっしぐらになることも。
      • 1ターンの内に速攻をかけて一気にたたみこもうにも、後者は魔法使いらしい紙耐久ではなくHPも110あるので一発では絶対沈まない。しかもこちらはノーマルエンカウントのザコなので無限に湧いて出る。
    • ラスダンでは上記の「マグマン」だけでなく、同じく「火炎ブレス」や全体への物理攻撃「しっぽ」を連発する「ドラゴンマン」や「サラマンダー」が出てくる。この頃にはそこそこ耐えられるHPがあり、主人公なら専用装備による耐性で跳ね返せたりもするが、せっかくの回復リソースを削られる厄介な存在であることに変わりはない。
      • もちろん復活アイテムの「命の水」や復活魔法「ライブ」によりリカバーは可能だし、終盤ともなればそれが充分な数だけ揃えられないことなどほぼなく、レベルアップに経験値が関係ないクエストクリア方式とはいえやっぱり殺されまくりすぎることにいい気持ちはしない。
  • 詰みポイントが存在する。
    • レジークに鉄の鍵を持たせたままブルグナ城のディオセリル&オークロードを倒すと、レジークに鉄の鍵を持ち逃げされてしまい、ノルド神殿の扉を開けられなくなりゲームが続行できなくなる。

総評

個性豊かなキャラクターは前作からそのまま受け継がれ、ファミコンになったことでよりキャラが描きこまれるようになりキャラクターウリのゲームとしては間違いなく進化している。
更に主人公キャラは設定されているものの、他のキャラもレベルアップするようになり、原作ファンにとっては好みのキャラをとことん強化できるようになった。
その反面でクエストクリアによるレベルアップは変わらないので、どうしても頭打ちになるためキャラ要素の強みを引き出し切れない一面もある。
また敵のHPの高さに対してダメージの限界が低すぎて、テンポを悪化させているなどバランスの悪さは否定できず特に終盤ではそれが目立っている。


その後の展開

  • ファミコンでは本作のみに終わり1993年3月19日に『モンスターメーカー2 ウルの秘剣』が再びゲームボーイで発売。
    本策での不満点を調整されたアッパーバージョンでなかなかの出来具合だが、「シーフ系キャラの全削除」や「パーティメンバーは固定で、好きなキャラを使えなくなった」という新たな不満点もできてしまった。
    • 時代設定では前作の100年前にあたる。
      そのため「時代的に存在してるのがおかしい、謎のキャラ選抜*18」も、人によっては受け入れづらい要素と言えるだろう。

余談

  • 説明書では「バイタロール」の効果が「2ーティー全員にバイタルを」と見るからにおかしな誤字がある。
    • 「パーティー全員にバイタルを」の間違い。
  • パッケージに描かれているキャラは主人公の他、ラクーナ、ディアーネ、ルフィーア、リンク、エルサイス、シャーナ。
    • 序盤で活躍するラクーナ、中盤で登場するリンク・シャーナ、終盤のエルサイスと狙ってか偶然か活躍時期の違うキャラが集まっている。おっさんや爺婆キャラがいないのは人気のせいか作者の趣味か。
  • 前作では主人公扱いだったローランとミリエーヌは今回は欠場させられている。
    • パッケージでラクーナが一番手前に描かれているのはミリエーヌがいなくなって唯一のビキニアーマーによるセクシー担当になったから一番よく見える位置に配置したのかもしれない。

最終更新:2024年05月05日 15:17

*1 「男の子なんでしょ?」という問いに「はい」なら男「いいえ」なら女になる。

*2 一応前作の『ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』(1990年2月発売)でも「ホイミン」「ドラン」というモンスターの仲間がいるにはいたが、ステータスは完全に独立したもので前者はホイミスライムということいなっているがエンカウントする普通のモンスターとの関連性はない。

*3 ケフル城の「オーク」、ブルグナ城の「オークガード」、ブルガンディ島の「ゾールナイト」が該当。

*4 アクカルやだーくねすといった装備品は装備しない限りダメージや外せないといった呪い効果は受けない。

*5 ただし能力値の総合を比べた場合の話で、MPだけはロリエーンの方が高くそこらへんの魔術師をも凌駕する。また修得する魔法もそれぞれ異なり、そちらの便利さでは中堅エルフのサーラがやや有利。ただしサーラはMPと知恵がエルフ中最低と、エルフ3人に限って言えば意外と実力伯仲である。

*6 ラストダンジョンで「適性レベルのシーフ」と「中盤参入のわりに初期レベルが高く、適性レベル以上になりやすいノーラ」を比較すると痛感しやすい。

*7 命中が-10される代わりに攻撃力2倍でダメージを与える特技。 後列対応で命中の高い弓系武器と組み合わせることで、下手な戦士系よりも大ダメージを叩き出すことも。

*8 なおMPは百の位が省略されるだけで、100超えでもきちんと機能する

*9 主人公につけた名前の1文字目によって変化し、文字次第で高成長パターンが出る場合と全く出ない場合がある。

*10 死亡中のキャラを連れたまま町に入ると教会に強制連行されるのだが、この際に「金欠状態だと死者は強制収容されてしまい、生存者は仮釈放される」という仕様を利用するとできる。 行った町に出入りする度に強制的に所持金の再判定が行われるので、やる場合は拠点にしていない町で行うほうがいい。ちなみにこれを応用すると、序盤で一時的に加入する「メディア姫」を最後まで連れ回したりできる。

*11 状態異常の一つで、HP・MP以外のパラメータが雑魚モンスターのゴブリンと同じ数値になってしまう。

*12 加入前に主人公のレベルが上がる=ボールガードのレベルアップに使えるイベントが減ってしまうため。

*13 ちなみにボールガードは、後に発売される「モンスターメーカー3」にてガンダウルフを含めたほとんどの魔術師を育てた大師匠というとんでもない肩書きを引っ提げて登場する。……本作もそのぐらいの大物だったらよかったのだが。

*14 しかも加入条件が複雑かつ期間限定。 半ば隠しキャラに近いこともあり、ガンダウルフに匹敵するほど高性能ではあるのだが。

*15 アンデッドや魔法生物の類にのみ全体ダメージ+一撃必殺という魔法で、先述のワイトにも有効。 ただしビースト相手だとそこそこ抵抗されて不発しがち。

*16 対処法として、アンデッドに特攻の魔法「ディスペル」を使えば簡単に倒せる。

*17 いわゆるレベルチェッカー。 今作では主人公のレベルのみで判定される。

*18 ガンダウルフの前身である「ウルフ」が登場して前時代感を出している一方で、ルフィーア/タムローン/ノーラはそのまま普通に登場。 他にサーラやエルサイス(NPC)なども登場するが、こちらはエルフという種族設定のため違和感は少なめ。