涼宮ハルヒの直列
【すずみやはるひのちょくれつ】
ジャンル
|
非日常直列アドベンチャー
|

|
対応機種
|
ニンテンドーDS
|
メディア
|
DSカード
|
発売元
|
セガ
|
開発元
|
AQ インタラクティブ
|
発売日
|
2009年5月28日
|
定価
|
5,040円(税込)
|
プレイ人数
|
1人
|
レーティング
|
CERO:A(全年齢対象)
|
セーブデータ
|
3個
|
判定
|
なし
|
ポイント
|
並列の前日憚 ADVとパズルの融合 膨大なパターンのサブイベント
|
涼宮ハルヒシリーズ
|
概要
SF・学園ものをテーマにした角川スニーカー文庫のライトノベル『涼宮ハルヒシリーズ』を原作とするアドベンチャーゲーム。
涼宮ハルヒが怪奇現象に出会うために合宿を開く、というのが本作のあらすじ。原作にはないゲームオリジナルストーリーである。時系列としては同時期に発売されたゲーム『涼宮ハルヒの並列』より少し前の話である模様。
同名のタイトルでアニメ化されており、本作はアニメをベースとしたグラフィックで構成されている。
ADVゲームとマインスイーパーを髣髴とさせるパズルゲームが融合したシステムが特徴。
ADVパートでの主人公(キョン)の行いに応じて、パズルゲームパートの難易度が左右されるという形式を取る。
システム
-
5章仕立て。EPISODE1~5を最後まで読み進めると本作は一応クリアしたこととなる。
-
概要の通り、大きく分けてADVパートとパズルパートに分けられる。
ADVパート
-
ハルヒを除くSOS団員に対して、役割を指示する所から始まる。具体的にはハルヒに同行する係、裏で情報収集する係等を割り振る。
-
割り振った後は、プレイヤーはキョンの視点で行動することとなる。
-
キョンと同じ係に任命されたキャラクターは、ADVパート中の会話に介入することとなる。
パズルパート(解決パート)
-
ハルヒが知らず知らずのうちに作り出した異空間を消し去るという内容。諸事情によりハルヒに異空間を目撃されてはいけない。
-
解決パートの流れ
-
鳥瞰図で描かれた正方形マップ上で異空間(怪奇現象)に遭遇しているキャラを操作。異空間の根源である「特異点」を見つけ出しモップで掃き消す。
-
キャラにとらせられる行動は移動、範囲調査、ポイント調査、モップの4種類。いずれもタッチペンで行う。
-
遠くの正方形をタッチペンで触るとそこに向かってキャラが歩いて移動する。
-
立っている場所をタッチすると「立っている場所1マス」+「周囲の8マス」=計9マスを分析し、そこに特異点が有るか無いか判断する。具体的には特異点が近くにあると「!」が浮かび上がる。複数あれば「!!」になったりする。
-
発見しただけでは消すことが出来ず、消す前に実体化させなくてはならない。調査アイコンがONの状態(DS下画面左上の虫眼鏡が輝いている状態)で、今たっている場所およびその周囲の9マスのどれかをタッチすると、タッチしたポイントを詳しく分析。この工程でようやく特異点を実体化できる。
-
ポイント調査を行って特異点を実体化させる。実体化させた特異点はマップ上に画鋲といったアイコンで表示されるようになり、タッチペンでこすり続けることでようやく消すことが出来る。
-
全ての特異点を消すか、ハルヒが異空間に気づいてしまう時点にてノルマの数だけ消去していればクリア。
-
ハルヒメーター
-
ハルヒメーターは、ハルヒが超常現象に対してどれほど興味を"失っているか”を0~100%で示すメーター。ハルヒメーターが低い(超常現象に興味がある状態)だと、解決パート時の制限時間が減ってしまう。
-
ハルヒが飛びつきそうな関係のない話題を振ったり(会話選択肢による)、ハルヒを単独行動させずキョンを同伴させることで、ハルヒメーターの低下を防ぐことが出来る。
-
制限時間のゲージ
-
ハルヒがどれだけ異空間に迫ってきているかは画面上のゲージで大まかに表示される。
-
ハルヒがゲージ中の特定のところまで進むと「イベント」「アクシデント」が発生(トピックにて詳細を後述)。残り制限時間が変動する。
-
トピック
-
解決パート時、制限時間を底上げする、または解決パートの難易度を低下させるためのアイテム。
-
キャラを特定の組み合わせで役割分担させたり、ADV中に特定の選択肢を選ぶことで入手可能。
-
解決パートで起こる「イベント」では、ハルヒと同行しているメンバーが時間稼ぎし、残り制限時間の底上げをする。具体的には異空間に迫るハルヒに対して同伴するキャラが気をそらすような話題を振るイベントが挿入される。
-
「アクシデント」では、ハルヒが異空間に興味を持つようなイベントが発生。ペナルティとして残り制限時間が大幅に減少する。対応したトピックを所有していることで追加のイベントが発生して時間減少効果を不発にできる。
-
セーブ
-
セーブスロット数は3つ、"詰み"を回避するため、一度に3つすべてのスロットにセーブ出来ないように措置がなされている。
-
EPISODEクリア時、解決パート突入時のタイミングでスロット1かスロット2にセーブ可能。
-
テキストを読んでいるときの中断セーブではスロット3が使われる。
その他
-
EXTRA
-
EPISODE1クリア時に特典コーナーを閲覧可能になる。本作で遭遇したイベントスチル、BGMを閲覧・視聴できる。
-
EPISODE4クリア時にミニゲームとして「詰めチェス」も盛り込まれる。詰めチェスの問題には、プロの監修が入っており経験者にもなかなか歯ごたえのある難易度となる。
評価点
-
原作の世界観をきちんと守っている
-
キャラクターの言動は原作と特に矛盾がない。
-
怪現象を目の当たりにしたくて猪突猛進するハルヒ、怪現象を難解な言葉でキョンに解説する長門、怪現象を理解した上で達観している古泉、おびえ要因兼マスコットのみくるはいつもどおりである。
-
移り気がちなハルヒの奇行はADV中では、上手に「アクシデント」というお邪魔イベントとして再現されている。
-
アニメーション演出
-
アニメ版とはまた別の本作オリジナルのOPテーマが挿入されている。アニメーションもある。
-
原作アニメ準拠のイベントスチルが多数挟まれる。立ち絵もアニメ版準拠であり、キャラクターの感情にあわせて細かく動いてくれる。
賛否両論点
-
ADVとPZLというジャンルを両立している
-
ゲーム中に2ジャンル遊べるだけにとどまらず、ADVでの行いがPZLの難易度に影響する。ゲームとしては間違いなく奇抜な試みといえる。
-
その代わり、シナリオはほぼ一本道であり、ADVと考えると物足りない。PZLでゲームソフトの容量を食われたといわざるを得ない。
-
原作の知識が必要
-
主要人物に関して、性格や特殊能力などをひととおり説明はしてくれるのだが、それ以外の細かい原作ネタまではあまりゲーム中で説明されない。
-
本ゲームの物語よりも前の時系列に起きた出来事等はゲーム中では詳しく説明されないし、出来事を知っている前提でゲームのお話が進む。
シナリオの世界観が薄っぺらくはならないが、原作未読層にはやさしいとはいえない。
-
シナリオのパターンが非常に多い
-
ADVパートではキョンと誰を共に行動させるか、キョンを現地調査に行かせるか、裏方の準備をさせるかによって、見られる会話が多種多様に変化する。
-
パターンが多いことはADVとしては長所といえるのだが、本筋のシナリオにはほとんど影響しない。網羅するためには何度も周回して、変化しない本筋のシナリオを何度も見返すこととなる。
問題点
-
体感的なボリュームが多いとはいえない
-
物語は5話分しかない。内容も学校の七不思議を1話ごとに1つ解決していくような流れなので、若干作業的に感じられる。
-
何周もさせていろいろな分岐、イベントを見ていく構造となっているが、大筋の物語はほぼ変化しない。
-
ハルヒメーターの増減がほぼ不規則
-
ADVパート中に選択肢が発生することがあるが、どれかの選択肢を選んだ直後に、変動するわけではない。ひとつのルート中でも球に上がったり下がったりするためハルヒメーターの増減を予測することはほぼ不可能。
-
一応ハルヒとキョンを一緒に行動させれば、ハルヒメーターを高く維持できる傾向にはある。
-
話が小難しい
-
もっともこれは原作らしさでもある。主人公たちが怪奇現象に遭遇する、それをハイレベルの科学目線で説明する、といった流れがあり、こういったところを楽しめないと本作をプレイする上での障害となりうる。
-
「真贋」や「邁進」といった日常会話ではまず登場しないような単語も振り仮名なしでテキストに組み込まれる。
-
正体不明の少女
-
本作はWiiの『涼宮ハルヒの並列』の前日憚にあたり、並列に出てくるキャラクターである白い帽子の少女が登場するシーンがある。
-
並列をプレイしないと少女の正体がわからず、本作だけでは、「作中で起こるトラブルに絡んでいるかもしれない…」といった情報しか出ていない状態でシナリオが完結してしまう。
-
もっとも彼女について分からなかったところで、シナリオの本筋が意味不明になることはないため、そこは安心されたし。
総評
ADVとPZLを混合した異色のゲーム。ADVが割を食った感は否めないが、ADVに影響を受け二転三点するパズルはゲームの中でも独特な特徴を持っている。
シナリオは基本的に原作の知識を持ってプレイすることが望ましいため、ファン向けの属性が強い。
余談
-
当初は『涼宮ハルヒの並列』と同時発売の予定だったが、本作だけ発売時期が遅くなっている。
最終更新:2024年12月22日 12:52