完全爆弾解除マニュアル:Keep Talking and Nobody Explodes
【かんぜんばくはつかいじょまにゅある きーぷ とーきんぐ あんど のーばでぃ えくすぷろーず】
| ジャンル | パズル |  | 
| 対応機種 | Windows/Mac OS X/Linux(Steam) Xbox One
 Nintendo Switch
 PlayStation 4
 Meta Quest
 iOS 11.0以上
 Android 5.0以上
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| 発売・開発元 | Steel Crate Games | 
| 発売日 | 【Win/Mac/Linux】2015年10月9日 【One】2018年8月17日
 【Switch】2019年2月28日
 【PS4】2019年5月30日
 【Quest】2019年5月22日
 【iOS/Android】2019年8月1日
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| 定価 | 【Windows/Mac OS X/Linux】1,480円 【One】1,750円
 【Switch/PS4】1,600円
 【Quest】1,490円(税込)
 【iOS】1,220円(税込)
 【Android】1,060円(税込)
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| プレイ人数 | 2人以上 ※ゲーム自体を操作するのは1人、それ以外は後述
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| その他 | VR対応 いずれのハードもダウンロード版のみ
 Steam/Switch/PS4/Quest/iOS/Android版は日本語対応
 Xbox Oneは日本語非対応
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| 判定 | 良作 | 
| ポイント | 操作する人以外はゲーム画面を見てはならない爆弾解体ゲーム。 喋り続けて情報をやりとり。
 1人では遊べないので注意
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概要
爆弾処理班となって、いくつかのモジュールによって構成された時限爆弾を爆発させてしまわないように解除するゲーム。
モジュールは決められたルールに従って解除していく必要があるが、本作では爆弾の解除操作を行う「処理担当者」と解除方法が書かれたマニュアルを読む「分析担当者」に分かれ、「処理担当者」はマニュアルを見てはいけない、「分析担当者」はゲーム画面を見てはならないこととされているのがポイント。
「処理担当者」がゲーム内の状況を「分析担当者」に伝え、伝え聞いた情報を元に「分析担当者」が「処理担当者」に解法を伝える……これを繰り返して、爆弾解除を行うことになる。
2015年10月にPC版がリリースされ、その後2019年にはSwitch版、PS4版がリリースされた(PC版のタイトルはKeep Talking and Nobody Explodes)。
当初は日本語非対応だが、Switch版とPS4版リリースの際にPC版も日本語に対応した。
その他、Xbox One版もリリースされているが日本語非対応である。
他にも携帯アプリ版やQuest版がリリースされており、こちらも長らく日本語非対応だったが、2020年11月のアップデートで日本語に対応した。
元々VRを想定して開発された作品であるため、PC版及びPS4版においてはVRに対応している。もっともVR専用ではないため、VRなしでも遊ぶことが出来る。
ストーリー
『完全爆弾解除マニュアル:Keep Talking and Nobody Explodes』は、2人以上で会話をしながら爆弾解除に チャレンジする独特なシミュレーターゲーム!
あなたたちは爆弾を解除する「処理担当者」、もしくは、その解除を指示する「分析担当者」のどちらかになって爆弾処理の任務を遂行せねばならない。
「処理担当者」は現場にある爆弾を取り扱う。
爆弾には<モジュール>と呼ばれる装置がいくつか取り付けられている。分析担当者にモジュールの特徴を伝え、その正しい解除方法を見つけ出そう!
「分析担当者」は爆弾の解除方法を現場に伝える。
まず、手元にある<爆弾解除マニュアル>を見ながら、処理担当者の情報から爆弾に仕掛けられたモジュールを特定する。そして、その解除方法を正確に現場へと伝えるのだ!
任務で最も重要なことは情報のやり取り。
そう、「Keep Talking(話し続けること)」だ。
(日本語版公式サイトより)
特徴
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ゲームを開始すると時限爆弾が用意される。時限爆弾にはいくつかのモジュールがはめ込まれており(最大11個)、時間内に全てのモジュールを解除することで爆弾の解除に成功したことになる。
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モジュール操作に失敗するとミスがカウントされ、ミスが3回に至るか、制限時間が0になってしまうと爆弾が爆発してゲームオーバーとなる。
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ルール次第では1ミスで爆発してしまうこともある。なお、通常は2回のミスまで許容されるが、ミスをすると爆弾の時間経過が多少早くなるペナルティがある。
 
 
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本作では実際にゲーム操作を行う「処理担当者」とモジュールの解除方法が記されたマニュアルを確認する「分析担当者」に分かれてプレイを行う。なお、処理担当者はマニュアルを見てはならず、分析担当者はゲーム画面を見てはならない。
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マニュアルはウェブページで公開されているものを印刷する想定であるが、スマホやタブレットなどで閲覧しながらプレイすることも可能。
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Switch版やXboxOne版であればゲーム内にマニュアルが収録されている。
 
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お互いが他方の情報を見てしまわないようにさえすれば、どのような形でプレイするかは任意である。
 
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モジュールは複数種類存在するが、同一のモジュールであっても解法は多岐にわたり、中にはモジュールだけでなく、その爆弾のバッテリーの個数などによって解法が変わってくるものもある。
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モジュールは原則としてランダムに決定されるが、序盤のステージでは出てこない高難度のモジュールも存在する。
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その他、ステージが進むごとに「制限時間が短くなる」「モジュールの数が増える」「1ミスで爆発する」「集中力を削ぐギミックがある」など直接的・間接的に難易度が上がっていく。
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フリーモードも存在し、ここでは制限時間やモジュールの数を自由に選べるほか、最大3種類まで出現しないモジュールを選択して遊ぶことができる。
 
 
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ゲームを進めていくと「特殊モジュール」が追加される。
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特殊モジュールは定期的に作動し、制限時間内に適切な操作を行わなければミスとなってしまう。要するに作業を妨害してくる。
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なお、特殊モジュール自体は爆弾解除の必要条件には含まれていないため、状況によっては無視しても構わない。
 
    
    
        | + | モジュールの一覧 | 
ワイヤ
3本から6本の色つきのワイヤがついており、その中から正しい1本のワイヤを切断することができればクリア。
 
ボタン
大きなボタンがあり、ボタンには特定の文字列が書かれている。条件に応じたボタン操作を行えばクリア。
 
キーパッド
2×2の4つのキーがあり、「☆」など様々な絵柄が描かれている。決められた順番にキーを押せばクリア。
 
サイモンゲーム
同名の玩具のように4つのボタンがそれぞれ点滅する。点滅したボタンに応じたボタンを押すのが目的。
正しいボタンを押すと、点滅するボタンの数が増える。何度か正しいボタンを押せばクリア。
 
表比較
ディスプレイと6つのボタンがあり、それぞれに特定の文字列が書かれている。
正しいボタンを押すとディスプレイとボタンの文字列が変更される。何度か正しいボタンを押せばクリア。
文字列はコミュニケーションミスを誘うように設計されており、例えば「大賞」「対称」などの同音異語が存在する。
英語版だと「Your」「You're」など、より悪質なものとなっている。
 
記憶
ディスプレイと4つのボタンがあり、それぞれに数字が書かれている。
正しいボタンを押すとディスプレイとボタンの数字が変更される。何度か正しいボタンを押せばクリア。
タイトル通り記憶も必要となっており、後半は「2回目に押したのと同じ場所のボタン」などの情報が要求される。
 
モールス信号
上部にランプがあり、一定周期で点滅する。点滅がモールス信号になっており、それによって構成される単語を読み取り単語に応じた周波数に合わせて送信を押すとクリア。
モールス信号ではあるが、音ではなく光の点滅を見極めなければならないのでかなり難しい。難関モジュールの一つ。
 
複雑ワイヤ
縦方向に6本のワイヤが並んでおり、1本以上の切るべきワイヤを全て切ればクリア。
ワイヤごとに切るかどうかを判断する形式なので難易度のムラが大きい。運が良ければ1本目のワイヤを切るだけでクリアできることも。
解法は「4項目のベン図」で記載されているため、慣れていないと確実に苦戦する。
 
順番ワイヤ
数字とアルファベットのABCをつなぐワイヤがあり、ルールに従って切るべきワイヤのみを切る(切らなくていいケースもある)。
何度か繰り返すが、記憶と同様、切るべきワイヤを決定するためにこれまでのワイヤの情報も必要となる。
 
迷路
6×6のグリッド画面で白い点を上下左右に操作し、赤い三角のところまで導けばクリア。
当然どこにでも移動できるわけではなく、見えない壁が存在する。グリッド画面には丸印があり、それを伝えてマニュアルに記載されている迷路の配置を確認する必要がある。
 
パスワード
5文字のアルファベットのパネルがあり、上下に動かすことで各パネルのアルファベットを切り替えることができる。特定の文字列を作って送信すればクリア。
候補は決まっており、用意されているアルファベットの中で作れる単語は1つだけとなっている。
ミスする可能性は低いが、基本的に短時間で特定することが難しい時間が掛かる難関モジュール。
 
コンデンサ
特殊モジュール。起動するとコンデンサが蓄電されていき、コンデンサが過負荷になる(メーターが振り切れる)とミス。
放電用のレバーがあり、それを操作して定期的に放電してやらなければならない。
 
ガス放出
特殊モジュール。時々作動し、Yes/Noの2択で答える質問をしてくるので、正しく対応しなければならない。
 
ダイヤル
特殊モジュール。時々作動し、制限時間までに適切な方向にダイヤルを向けなければいけない。
モジュールの下部にLEDがあり、その光るパターンをマニュアルの記載と照合することで、ダイヤルを向けるべき方向が分かるようになっている。
特殊モジュールの中で唯一、分析担当者の助けが必要となっており、たびたび作業を妨害されることとなる。
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評価点
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否応なしに盛り上がるゲームシステム
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本作の肝となるのはいかに正確に情報をやりとりをするか、であるが、時限爆弾という性質上、徐々に迫ってくるタイムリミットの中で、素早く必要な情報を伝えたり、引き出したりする必要がある。
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特に「キーパッド」モジュールでは一般的ではない記号が多く登場するため、うまく特徴を言語化して相手に伝える必要がある。その際の例え方もプレイヤーによって異なるため、リピート性が高い。
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シンプルなモジュールはそれほど難しくないが、複雑なモジュールになってくると、分析担当者が情報を元に論理的に考えないといけないものも増えてくるため、かなり焦らされることになる。
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制限時間が1分を切ると曲も切迫した雰囲気のものに切り替わり、焦りを助長すると共に、思わず大声が出てしまうこともあり、否応なく盛り上がってくるだろう。
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失敗したとしても、「次はどのように伝えるとよいか」「この情報は不要だった」といった反省を言い合うことで盛り上がることができる。
 
 
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ワンパターンではない解法
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モジュールの種類は限られてくるが、解除するための条件は多岐にわたり、モジュールを見ただけで前と解除方法が一緒だ、と分かるようなシンプルな作りにはなっていない。
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既に述べたが、解除条件はモジュール内だけで完結するとも限らないため、モジュールだけでなく爆弾全体を見回さなければどのように解除するかが分からないケースも。
 
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例えばワイヤーを切ることが目的となるモジュールはワイヤーの本数、その色によって切るべきワイヤーが決定されるがパターンは決して少なくはない。
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中にはワイヤーのモジュールではなく、爆弾そのものに付与されているシリアルナンバーを参照しなければ解法がでないものもある。
 
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とはいえ、どのような情報が重要であるかについては何度もやっていく内に理解できてくるため、この情報は不要、この情報だけ伝えればいい、というノウハウは構築しやすいが。
 
賛否両論点
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初見クリアは難しい
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解法はワンパターンではないと評価点で述べているが、モジュールごとにある程度のノウハウは存在するため、初見でクリアするのはまず不可能。
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ゲームを始める前にマニュアルを読み込むということでもなければ、モジュールによってはマニュアルの内容を理解するだけで数分程度掛かることもザラ。基本制限時間が5分のゲームなので、この時点でほぼクリアは不可能となる。
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さらに、マニュアルの記載は「一部を読み飛ばしながら読み進めていく」スタイルだとほぼ確実にミスが発生するように設計されている。
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それ以外でも伝えるべきポイントなどが分かっていないと時間が掛かりすぎてゲームオーバーになることが多いため、何度かは失敗をして、この情報は要らない、ここだけ教えてくれればいいなどを擦り合わせないとクリアは覚束ない。
 
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ただ、ゲームバランスとしてある程度ノウハウを習得しないとクリアが難しいものとなっているおかげで、ある程度ゲームに慣れたプレイヤーでも緊張感のあるバランスが保たれているともいえる。
 
問題点
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モジュールごとの難易度の格差が激しい
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爆弾に設置されるモジュールは、ステージごとに固定のものとランダムのものがあるが、ランダムのものについては選ばれるもの次第で難易度が大きく変わる。
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例えば「パスワード」や「モールス信号」は熟練者であっても素早く解くことが困難であり、制限時間が短いステージで出てくるとほぼお手上げ状態となる。
 
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一方で、「複雑ワイヤ」のように時間が掛かるかどうかにムラがあるものもあり、あるときはすぐにクリアできたが、あるときはすごく時間が掛かってしまう、ということも。
 
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最終セクションの難易度が理不尽
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最終セクションのステージは、「サイモンゲームx5を1分30秒以内」のようなものとなっている。正攻法では絶対に間に合わないし、内容としても単調すぎる。
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安定してクリアするためには「対応表を解除担当者が暗記する」などの方法を取る必要があるが、このゲームのテーマとは真逆のプレイングになってしまう。
 
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1人では遊べない
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ゲームのシステムを考えると当たり前なのだが、1人では遊べない。そのため最低でも1人は一緒に遊べるプレイヤーを探す必要がある。
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幸いマニュアルは無料でダウンロードできるため、ゲームそのものは誰か1人が持っていればいい。
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ボイスチャットなどでもプレイできるため、オンライン環境さえあれば誰とでもプレイできるものの、ゲーム内にオンラインプレイの機能が用意されているわけではないため、オンラインプレイをするなら外部環境を用意する必要もある。
 
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もちろん、ゲームのルールを無視して、1人でマニュアルを手に爆弾処理を行うことは可能だが、面白いかどうかは別問題であろう。
 
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言語が異なると遊べない
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初回起動時にマニュアルに書かれた認証コードを入力することになるのだが、入力した認証コードに応じてゲーム内の言語(解法)が変更されるといったシステムではなく、あくまでハードの言語設定によって決められたコードと一致しているかという意味合いしかない。そのため、日本語設定のSwitchで英語版をプレイするといったことはできない。
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日本語非対応のXboxOneの場合、日本語版マニュアルの認証コードが使えないため必然的に英語版のマニュアルを使うことになる。
 
 
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ある意味、各種実績システムと相性が悪い
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ここまで何度も述べたように、本来の遊び方は「処理担当者」と「分析担当者」に分かれて遊ぶ形となっている。
 そういったことを考えると、実績が解除された場合にその実績が「処理担当者」だけのものとして記録されてしまうという点で、ある意味各社の実績システムと相性が悪い。
 
総評
ビデオゲームでありながらコミュニケーションが重要となる一風変わった作品である。
単純にゲーム内の情報を伝えるだけ、と思いきやそれが意外と難しく、制限時間が存在するという仕様も相まって簡単な情報のやりとりすら難しいことを痛感させられる。
慣れてきてしまうと何を伝えるべきかも分かってしまうため緊張感が薄れ、淡々と膨大なモジュールに挑戦するだけのゲームになってしまいがち。
友人同士で集まった際などに用意しておくとわいわい盛り上がること間違いなしの一作であるため、一緒に遊べる友人がいるのであればおすすめである。
余談
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本作のアイデアは元々、(VRヘッドセットをつけて)1人がプレイしている間でもほかのプレイヤーと楽しさを共有できるようにしたい、というコンセプトから来ている。
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Steam版についてはSteamワークショップに対応しており、ユーザーがモジュール追加MODなどを作成して共有することも可能となっている。
最終更新:2024年04月30日 11:52