ゴルフストーリー

【ごるふすとーりー】

ジャンル ゴルフRPG
対応機種 Nintendo Switch
発売元 【ダウンロード版】フライハイワークス
【パッケージ版】ビーサイドゲームズ
開発元 Sidebar Games
発売日 【ダウンロード版】2018年3月9日
【パッケージ版】2019年12月5日
定価 【ダウンロード版】1,500円(税込)
【パッケージ版】3,900円(税込)
プレイ人数 1~2人(クイックプレー時)
レーティング CERO:B (12歳以上対象)
判定 良作
ポイント ゴルフ×RPGの組み合わせ
様々なシチュエーションでゴルフ
癖の強い登場人物


概要

オーストラリアのインディーズスタジオ「Sidebar Games」開発のゴルフゲーム。
元々はWii U用ソフトとして開発していたが、Nintendo Switchの発売に伴いSwitch用ソフトとして発売された。
日本での販売・ローカライズはフライハイワークスが担当。


特徴

  • 2Dドット絵のRPGのような物語を進めつつ先に進むにはゴルフをするというゲームの流れはマリオゴルフ GBAツアーのストーリーモードに似ている。
  • ゴルフのシステム
    • スティックの上下でクラブを選択して左右でショットの向きを決める。
    • Aボタンを押して向きを確定したら、もう一度Aボタンでゲージ内のポイントが動きストライクゾーンに合わせてAボタンを押すとショットが打てる。
      • Yボタンでパワー調整モードに切り替えたり、ZRボタンやZLボタンを押すことで飛距離の調整が可能。
      • Xボタンでポイント調整モードに切り替え、ボールを打つ場所を変えて左右に曲げたり、高さを変えたりすることが可能。
      • LボタンやRボタンでスピンを掛けて、ボールを止めたり転がしたりすることが可能。
      • 十字キーの上下でスキルを使い、風の影響を無くしたり、飛距離を伸ばしたり、地形の影響を無くしたりできる。
    • フィールド上でYボタンを押すとティーアップができ、好きな場所でショットを打つことができる。
    • ゴルフゲームではお馴染みの風向きやグリーンの傾きなども存在する。
  • 各種イベントをこなすことで経験値が溜まり一定数まで溜まるとレベルアップする。
    • レベルアップするとポイントが貰えてステータスの強化ができる。
    • 強化できるステータスは「パワー」「球筋のクセ」「精神の強さ」「変化の強さ」「スピンの強さ」の5つ。
  • ゴルフ以外のミニゲームも多数存在し、ストーリーを進めていく合間にプレイしていく。
    • ディスクゴルフやドローンなどのゴルフの物理演算システムを転用した他のゲームも遊べるが、それと別に「ガルフ」というファミコンの「ゴルフ」にシステムや見た目が酷似したミニゲームが収録されている。作中で入手して遊べる家庭用ゲームソフトという扱い。

評価点

  • 多種多様なシチュエーションでのゴルフ
    • コースをモグラや鳥が邪魔したり、ゾンビをショットで倒していったりと、様々なシチュエーションでゴルフを要求されるのでプレイヤーを飽きさせない。
    • ステージ上の殆どの場所でショットを打つことができ、ゴルフのショットを使って攻略をする場面もある。
  • 親しみやすいグラフィック
    • ドット絵で作られており、キャラクターの見た目も可愛らしい。
    • 概要に書いた通り海外産ではあるが癖の強さやバタ臭さは全く感じられず日本人のプレイヤーでも親しみやすい。
      • ただしキャラクターの性格に関しては癖ありだが(後述)。
  • 台詞の表示の仕方が凝っている。
    • 本作にボイスなどはついてないが、代わりに文字の大きさや台詞を傾けるなどしてキャラクターの喋り方や感情を表現している。
    • 海外ゲームではあるがローカライズの出来も良い。特にラップバトルの台詞は見物。
  • Switchの特徴を生かした演出。
    • Switchの特徴の一つであるHD振動にも対応。ショットを打った際や台詞が表示される際などに微妙な感触の振動を与えてくれる。
    • 更に本作ではショットを打った際などにコントローラーから音が出る。任天堂発売のSwitchソフトでもあまり使われていない機能なので、インディーズでサードパーティー製の本作で使われているのは珍しい。
  • チップインが狙いやすい。
    • カップに入る判定が甘く、適当に打つだけでチップインしやすい。ティーやフェアウェイでは一切パワーブレが存在しないのも高評価。
    • ステータスの変化の強さが最大*1かつ球筋のクセがきついドロー*2の状態で、ティーかフェアウェイ*3でスキルのフォーカスショットで風の影響を無くし、ポイント調整モードで飛距離を微調整*4して直接カップを狙ってフルショットすれば、簡単にロングチップインを出すことが可能。
      • 一応パワー調整モードでも可能だが、難易度が高くなるだけなのでおすすめはしない。

賛否両論点

  • 癖の強いキャラクターたち
    • 全体的に登場人物が人間臭い。中には好感の持ちづらい性格の持ち主もおり、特に主人公の妻は人によってはヘイトが溜まる可能性も。
      • 主人公の私物を勝手に処分しようとするなど決して好感の持てるキャラとは言えない。
    • コーチもネット上の悪口にムキになったりと少々大人げない一面もある。
    • 他にも金のことにしか頭にないラッキィ、他人を見下す発言をするマックス・ヤードなど、癖のある性格のキャラクターが多い。
    • 大会に優勝した主人公の賞金を妻やコーチらが差し引いてくるなど妙に生々しい流れもある。ある意味リアルなのかもしれない。
    • 登場人物が上記の有様なのでツンデレキャラであるラーラが相対的にまともに見えてくる。それほど本作のキャラクターたちは癖が強い。
  • 時々挟まるゴルフ以外のミニゲーム
    • ストーリーの合間にゴルフ以外のミニゲームが入ってくるのだが、その割合がそこそこ多い。
      • ミニゲームの種類は多種多様で後述のディスクゴルフなど一部を除いて出来自体は悪くない。
    • ゴルフに親しみのないプレイヤーからはマンネリ防止になるかもしれないが、純粋にゴルフゲームをしたいプレイヤーからすれば水を差された気分になるかもしれない。

問題点

  • ディスクゴルフの操作性に難がある。
    • ミニゲームの一つであるディスクゴルフがいわゆるラジコン操作となっており操作しづらい。ストーリーを進める上で必須なので慣れないとかなり苦戦する。
  • 許容できないほどではないが2018年のゴルフゲームとしても粗がある。
    • 各ホールの全体図が、そこで第一打を打つときに一瞬出る以外はもう確認できない。 ロングホールではどのように打っていくかを組み立てにくい。
    • 「10回挑戦してそのうち7回成功すれば勝ち」などの「チャレンジ」があり、ストーリークリアまでに相当なチャレンジをクリアしないとならないがチャレンジはギブアップもスキップもできない。7回成功すべきチャレンジで最初の7回で成功しても、最初に4連続失敗しても残りの回数をこなさないと終わらない。
  • RPGとしては非常にシンプル。
    • RPGらしく経験値やお金という概念があるが、経験値はともかくお金はストーリーを進めるために必要なフラグ的な役割でしかなく、自由な買い物をするといったことはできない。
    • ストーリーも命令やクエストを淡々とこなしていくだけで進んでいくので少々味気なく感じる可能性も。
    • ゴルフRPGと釘打っているがあくまでストーリーの進め方がRPG"風"なだけであり、育成要素も救済措置というよりは(元ネタのマリオゴルフシリーズと同じく)自分好みのステータスに調整する為のもので、ゴルフゲームが苦手でもレベルを上げればクリア出来るといったような国産のRPGで連想されるような作りにはなっていない。
      • 最初はパワーを上げずに他のステータスをできるだけ上げてから後で少しずつパワーを上げていけばゴルフゲームが苦手でもクリアしやすくはなるし、相当時間はかかるがレベルをかなり上げれば球筋のクセをストレートかつ他の能力を最大にすることも可能。
  • ゴルフのルールや用語の解説は一切無く、知ってる前提で作中のキャラがガンガン話してくる。
    • ゴルフの知識や興味がない者が手を出さなそうなゲームタイトルではあるが、作者はマリオゴルフやペーパーマリオRPGを参考にしたと言っており、そのマリオゴルフシリーズは容量的に難しいFC時代を除けば完全な素人でも見ればわかるような用語集を載せている。

総評

ゴルフのシステム自体は良く出来ており、そこに様々なシチュエーションが組み合わさってストーリーが進んでいくので楽しくプレイすることができる。
登場人物の癖の強さなど人を選ぶ要素は多少あれど、ゲーム全体のクオリティーは高い水準を保っている。


余談

  • あらゆる場所でショットが打てる本作だが、なんと人に対してもショットを当てることができる
    • 多分本作のレーティングがCERO:B(12歳以上対象)となった原因の一つ。
      • ちなみに日本以外のレーティング機関ではそこまで問題視されていないのか、対象年齢は総じて低く、例えばESRBではE(6歳以上対象)となっている。
    • 全てのキャラに対して「普通に話しかけた時の返答メッセージ」と別に「ボールをぶつけられた時の悪態セリフ」が設定されている。さらにボールを地面に置いて狙って撃って当てるのが面倒な人向けに手でボールを直接ぶつける操作もある。明らかに人がいたらボールをぶつけて反応を楽しむ前提で作っている。
  • ビーサイドゲームズストアにてパッケージ版が2019年12月5日に発売。ただし、5,000本限定生産となっている。
    • 価格が倍以上になっているのは付属品が色々ついた実質ファン向けの「限定版」に近い性質のため。
      • 2021年8月末でビーサイドゲームズが閉店して今作を含めた在庫をセールで売り捌いたために、今後どこかのメーカーが新たに出さない限りはパッケージ版の新品の購入は難しい。
      • 発売元の項目にある通りパッケージ版とダウンロード版はリリース元が異なる別ソフトなので双方のセーブは互換性は無い。
  • 本作の続編である『スポーツストーリー』が2020年夏に発売予定…だったが、2020年8月18日に発売無期延期が開発元のSidebar Gamesから発表されていた。(参考
    • 後に2022年12月24日に海外で発売。日本でのリリースも予定されているが現状は目処が立っていない。
  • Nintendo Switch Online加入者限定特典の「いっせいトライアル」の対象として本作が選ばれ、2022年1月7日~14日の期間中は無料で遊ぶことができた。
    • また2022年1月7日~23日の期間中は、販売価格が33%オフの1,000円となっていた。
最終更新:2024年08月17日 23:43

*1 変化の強さを上げておかないとポイント調整モードの効果が出ない。

*2 ストレートだと各クラブの距離差を埋められないので非推奨だが、一部のコースでは有効。

*3 ラフやバンカー等だと飛距離にブレが出るので狙えない。

*4 球筋のクセがドローの場合、右入れで飛距離が伸び、左入れで飛距離が縮む。