それいけ!アンパンマン ばいきんまんの大作戦
【それいけあんぱんまん ばいきんまんのだいさくせん】
ジャンル
|
アドベンチャーゲーム
|

|
対応機種
|
ニンテンドーDS
|
メディア
|
128MbitDSカード
|
発売元
|
アガツマ・エンタテインメント
|
開発元
|
エイビット新潟
|
発売日
|
2005年12月1日
|
定価
|
4,800円(税抜)
|
プレイ人数
|
1人
|
判定
|
なし
|
ポイント
|
子供には難しい ADVとしても微妙 ストーリーはかなりの傑作
|
それいけ!アンパンマンシリーズ
|
概要
言わずと知れた国民的アニメである「それいけ!アンパンマン」を題材にしたアドベンチャー。
繋がりのあるいくつかの物語を、ミニゲームを交えながら読み進めていく。
ストーリー
いたずらが だいすきな ばいきんまんが アンパンマンをやっつけるすごいさくせんをかんがえました。
ふるどけいさんの ちからで むかしの せかいから バイキンメカをあつめてアンパンマンとたたかうのです。
まちではバイキンメカがあばれています!アンパンマンは アンパンマンワールドのへいわを とりもどすことができるのでしょうか…?
(公式サイトより抜粋)
ゲームの流れ
-
下画面には「ヒント」「セーブ」「カード」の文字が常時表示されている。「ヒント」ではRPGパートで話しかけるべきキャラクターの顔グラがまとめて表示される。
-
まずはノベルパートを見る。特に選択肢などはなく、Aボタンで読み進めていく。
-
時折「イベントゲーム」が挟まれる。イベントゲームは4種類。
+
|
各イベントゲームの詳細
|
-
「アンパンマンごう」
-
悪路をアンパンマン号で走破する。横視点でアンパンマン号を操作し、岩をかわしていく。岩に当たるとタイムロスだが、ペナルティはない。画面に表示された数岩をやり過ごせばゴール。
-
「かおつくりゲーム」
-
アンパンマンの顔を作る。右から左に流れてくる矢印を、ゾーンに入った時に十字ボタンでその方向に入力するリズムゲーム。成功するとポイントが増えるが、クリア条件には関係ない。
-
「かおこうかんゲーム」
-
汚れてしまったアンパンマンの顔を投げて交換する。向かい側にはばいきんまんが立っており、エアホッケーに近いルールでばいきんまんと顔を投げ合う。投げ合ううちに顔の速度はどんどん速くなるが、ある程度速度をつけないと必ず投げ返してくる。1度でもばいきんまんより奥に顔を投げられればクリア。
-
「げきたいかびるんるん」
-
かびるんるんに襲われているキャラクターを助ける。右と左からかびるんるんが寄ってくるので、それぞれの方向に十字ボタンを入力して退治する。かびるんるんがキャラクターに到達してしまってもペナルティは無いが、規定された数かびるんるんを倒さないとクリアにはならない。
|
-
そのあとはRPGパート。
-
まずは、アンパンマンワールドを見渡す全体マップから探索する場所を選ぶ。いつも全ての場所が開放されているわけではなく、ストーリー上必要な地点にしか行くことができない。
-
マップでは、ノベルパートでの会話を参考にして、住民に事件について聞き取りを行う。
-
プレイヤーはアンパンマンを操作し、外出している住民に話しかけていく。様々な住民が居るが、ストーリーを進めるフラグを立てられる人物は限られている(先述したように「ヒント」に顔グラだけは表示される)。フラグの人物全てに話しかけると敵がいる場所が解放される。
-
敵がいる場所では「たいけつ」。格ゲー形式と避けゲー形式の2種類がある。
-
格ゲー形式では、相手のげんきポイントを減らしていく戦いとなる。Aボタンで通常攻撃、Bボタンでゆうきポイントを1つ減らしてアンパンチ・アンキック。回避は十字ボタン。
-
げんきポイントはライフに相当し、初期値7。ゆうきポイントはアンパンチとアンキックを使える回数で、初期値3。
-
通常攻撃がヒットすると1つ、アンパンチ・アンキックがヒットすると2つライフを減らせる(ただしばいきんまんが攻撃を避けることもある)。逆にこちらが攻撃されるときは、画面上に出る矢印の方向に十字ボタンを入力してかわす。何も入力しないとライフが1つ削られる。相手のライフを0にすればクリア。
-
避けゲー形式ではアンパンマンは攻撃できず、相手の攻撃をとにかくかわし続ける。こちらではライフはないのでいくら攻撃に当たっても構わない。画面にはあと何回攻撃が来るか表示されていて、0になれば相手が勝手に疲れてクリアとなる。
-
たいけつをクリアすると、いわゆる「バイバイキーン」演出が挟まれてお話の終わりとなる。
-
マップにはカードが落ちている。青を拾うとキャラクターずかんが、赤を拾うとミニゲームが増える。
-
キャラクターずかんでは、それいけ!アンパンマンの登場人物(本編に登場しないキャラを含む)の立ち絵と簡潔な説明を見ることができる。全300種。
-
ミニゲームは全10種。ただし物語中のイベントゲームやたいけつとは全く関係のない塗り絵などである。
評価点
-
秀逸なストーリー
-
アンパンマンを倒すために破壊工作を行いつつも、自分の悪行に対して葛藤するばいきんまんの心理描写には引き込まれるものがある。
-
子供でも理解しやすい流れの一方、最序盤の伏線がラストシーンでしっかり拾われていたりとストーリー構成もしっかりしている。
-
ラストには映画版の名キャラクターであるキララ姫が登場、アンパンマンのために街中が力を尽くすという感動的なシーンもある。
-
オープニング曲「アンパンマンのマーチ」とエンディング曲「勇気りんりん」が声付きで収録されている。アニメが原作のゲームとしてはかなり珍しい。
-
サブタイトルの表示方法が当時のアニメ版と全く同じ。セーブ時の曲が本編終了後のチャイムと同じというこだわった演出もある。
-
ハマるミニゲーム
-
アンパンマンのキャラを指定された特徴ごとに分別する「なかまわけ」や、お手本の順番通りに物体をタッチする「まねっこ」など、大人でも熱中してしまうような中毒性のあるミニゲームが収録。しかもそこそこ数が多い。
-
特に「けしごむ」はあまりの熱中度に本編そっちのけで楽しめるものである。
-
一枚絵はかなり多く描かれており作画に問題もなく、純粋に評価できる点である。
問題点
本来、「それいけ!アンパンマン」は幼児(未就学児)をメインターゲットとした作品であり、視聴者の中にはやっとひらがなの読み書きができるくらいの年齢の子供達もいる。しかし、このゲームには明らかに年齢層に合わない内容も含まれている。
-
形式について
-
そもそも絵本やアニメ、紙芝居が主体のアンパンマンにおいてノベル形式を選定した理由が謎。理解力の限られた幼児に劇場版レベルの物語を文章で読ませるのは明らかに無理がある。
-
しかも、せっかくこの形式を採用したにもかかわらず選択肢などの要素は一切なし。完全に一本道のストーリーを見せられるだけである。バッドエンドは厳しいにしろ、僅かでも変化は欲しかったところ。
-
容量の問題か、ボイスはアンパンマンとばいきんまんのみ。街の人たちはおろかドキンちゃんやジャムおじさんすら声なしはいくらなんでも寂しい。
-
難解な聞き込み作業
-
先述したように、ストーリー進行フラグを立てられるキャラクターは限られているのだが、シナリオが一部端折られているためにそれが誰なのかが非常に分かりにくい。
-
具体的には…
-
ハンバーガーキッド「やきそばかすちゃんがばいきんまんにさらわれた!」
アンパンマン「すぐ助けに行こう!」
-
…以上の会話だけで「SLマンとあかちゃんまんに聞き込みをしなければならない」ことをどうして想像できようか。
-
ヒントを見れば全て解決する問題ではあり、行ける場所も限られているため詰むレベルではない。しかしシナリオの欠陥であることは確か。
-
ストーリーそのものはかなり良質だが、演出面にアンパンマンらしからぬハードな表現が散見される。
-
用済みになったふるどけいさんをかびるんるんがリンチするシーンや、ばいきんまんの身代わりにアンパンマンが潰されるシーンは子供達が泣きかねない。
-
市街戦で街並みが破壊され、子供達が悲嘆に暮れるシーンなどもなかなかの鬱要素である。
-
アンパンマンワールドについての世界観について説明がなされないのも不親切。特にラストシーンは、予備知識なしで見ると置いてけぼりを食らうことになる。
-
「ヒント」「セーブ」「カード」機能は使える機会が限られているのだが、今使えるかどうかはグラフィックで判別できない。使えない時にタッチすると小刻みに震えるだけである。首を振っている様子を表現したかったのだろうか…?
-
マップ探索が、ただ「目的の人物に話を聞く」→「指定の場所に行く→ばいきんまんをやっつけるの繰り返し。ダンジョンなどがあるわけでもない。
-
なおアンパンマンはマップで飛行と歩行を変更できるが、歩行は移動が遅くなるだけの死に機能と化している。
-
「かおこうかんゲーム」が難しすぎる
-
このゲームには制限時間がない。よってクリアできなければ延々とこのゲームをやることになるのだが、ばいきんまんが超豪速球を投げるため、大人でもかなり苦戦する。
-
しかもご丁寧に、上画面にはミスした回数がカウントされる。
-
格ゲー方式のたいけつは敵を避けつつ隙を突いて攻撃しなければならず、幼児にはやや難しい。
-
ところがラスボス戦では何とアンパンマンが一切のダメージを受けなくなるため、逆に簡単すぎるという歪な難易度設計となっている。
-
カードについて
-
落ちているカードは、実は1周しただけでは全部集まらない。よって何回かゲームクリアしなければならないが、何故こんな形のやりこみ要素になってしまったのか…
-
このゲームのストーリーは5話構成が2種類なのだが、周回プレイ時にどの話が選択されるかは完全にランダム。まだ見たことのない話がいつまで経っても出てこない、ということが起こり面倒。
-
集めて手に入るキャラクター紹介も、当時から公式ホームページに載っていた内容と大差ない。むしろグラフィックで劣るこのゲームの方が下である。
-
また、300種類もカードがあるために、150番辺りのキャラクターを見るにはかなりの時間がかかる。
-
ミニゲーム
-
本編中のイベントゲームやたいけつゲームを「ミニゲーム」で遊ぶことができないのは残念なところ。
-
また、「アンパンマンごう」では最後の岩に横からぶつかるとバグが起きてミニゲームが終わらなくなり、リセットするしかなくなってしまう。
総評
アンパンマンのゲームとしては少し難易度設定が間違っていた感はいなめず、演出面にも少なからずアンパンマンらしかぬところがあるのも本来のターゲット層を踏まえると気になるところではある。ゆえに幼児層にとっては、親御さんと一緒にプレーするのが一番望ましい形であろう。
肝心のストーリー自体はオリジナルながらしっかりとアンパンマンらしさを踏襲しており見どころが高い。
アニメ初期から見ていたファン層、所謂「大きいお友達」には十分遊べる内容のため、外伝として一種のファンアイテムにするのも悪くないだろう。
最終更新:2024年05月09日 11:35