新宿ダンジョン
【しんじゅくだんじょん】
ジャンル
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アクションRPG
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対応機種
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ニンテンドー3DS
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メディア
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ダウンロード専売ソフト
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発売元
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PUMO
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開発元
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UeharaLabo
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配信開始日
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2015年1月7日配信開始 2017年4月6日配信停止
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定価
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600円
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プレイ人数
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1人
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セーブデータ
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3箇所・任意セーブ方式
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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判定
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なし
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ポイント
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新宿という名のダンジョンを攻略するRPG ダンジョン探索と謎解きがメイン アクションRPGとしては面白くない
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概要
謎解き系ゲームを中心に活動するUeharaLaboが開発を行い、かつて存在したメーカーのPUMOから発売されたニンテンドー3DSソフト。
アプリゲームで公開され人気を博した同名ゲームの移植作にあたる。ジャンルとしてはトップビューのレトロ風アクションRPGに該当する。
世界最大の利用客を誇り、その駅構内の広大さ・複雑さから「ダンジョン駅」とネタにされる新宿駅を再現したフィールドを舞台としている。
プレイヤーは剣士となり、東京都庁のどこかにあるといわれる「伝説の宝玉」を手に入れるためにダンジョン「新宿駅」を攻略していくストーリー設定。
剣士や敵モンスターは古典的なRPGスタイルだが、ダンジョンとなる新宿駅は古代と現代が入り混じったような外観となっている。
発売元のPUMOは2017年に倒産してしまい、それに伴い本作も配信停止となってしまった。よって、現状では本作を購入する事はできない。
ゲームルール
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ゲームの流れ
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一般的なアクションRPGと同じような操作体系であり、特別に複雑な操作は要しない。
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スライドパッド等で剣士の8方向移動。対応ボタンで敵を倒すための剣攻撃を行える。ゲームを進めると4種類の特殊攻撃も可能となる。
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上画面にゲームの表示がされ、敵を倒しながらのフィールド探索や、その最中に遭遇する謎解きの両方をメインとした攻略を行っていく。
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下画面には常時MAP表示がされる形となり、探索中のフィールド内における剣士や仕掛けの位置が大体分かる。
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ゲーム開始時ではごく限られたフィールドしか探索できないが、謎解きを行ったり何かのアイテムを入手する事で探索範囲が段々と広がっていく。
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駅構内が舞台という関係上、階段や改札口の設置率が非常に多い。もちろん攻略を進める上での避けられない通過点となるが、一部の階段は背景扱いで通行できない。
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謎解きや進行目的が詰まった人向けに、いつでも簡易なヒントが確認できる。使用回数に制限はないが、下記のフリーモード中でのヒントは表示できない。
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敵及び謎の解けていない仕掛けは、階段の乗り降りなどで画面を切り替えると配置がリセットされる。そのため、下手にいじくった仕掛けが再生不能になる心配はない。
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ハート表示によるライフ制を採用しており、敵に触れるなどのダメージですべてなくなるとゲームオーバーとなる。
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ダメージで消費したハートは敵を倒すとまれに落とす「ハートアイテム」の取得や、後述の雫に触れる事で回復できる。
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特定場所に出現する「クリスタル」を取得するとハートの最大数を増やせる。ゲーム初期時は3つだけだが、最大で8つまでハート数が増える。
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ゲームオーバー後は以前セーブしたセーブポイントからの再開となる。何度ゲームオーバーになってもペナルティは発生しない。
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フィールド内には攻略には関わらないが触れておきたい装置もいくつか設置されている。
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触れるだけで主人公のハートを全快してくれる「雫」や、セーブをしてくれる「セーブポイント」が頻繁に存在する。両者共に使用回数制限はない。
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階段などに置かれた「星印」に触れると、新宿駅の構外へと通じる情報が表示され、下記のコレクションに登録される。
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コレクションについて
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本作のやり込みの一環として、新宿駅の構外へと通じる情報を「コレクション」する要素がある。
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「モザイク通り」「都庁連絡口」などの情報表示の後に、獲得した情報がコレクションとして登録される。なお、実際にそれらに進入する事はできない。
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本作のフィールドは9か所のエリアで構成されている。コレクションは各エリア毎にどれ程の情報が獲得できたかを示すパーセンテージ表示がされる。
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コレクションはゲーム本編をクリアする上で直接関係するものではないが、ゲームの題材上触れておきたい要素といえる。
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フリーモードについて
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セーブデータ画面の「フリーモード」というモードを選ぶと、謎解きや戦闘を抜きにして自由にフィールドを探索できる。
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通常のモードにおける星印から好きな場所を選び、そこからゲームが開始される。探索できるフィールドは通常のモードと同様となる。
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このモードでは敵の出現やセーブポイントなどが存在せず、クリアを目指すという目標もない。まさに駅構内を自由に探索したい人向けのモードといえる。
評価点
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再現度の高い新宿駅のダンジョン感
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製作者自らが徹底的に新宿駅の構内を観察したというだけあって、その再現度はなかなかに高い。
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ゲーム向けに簡略化はされているものの、改札口やプラットホーム、入り組んだ通路の場所に至るまで絶妙なまでの再現がなされている。
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新宿駅に関わった事があるならば「確かにこんな感じの構内だった」と納得してしまうのではないだろうか。その位に構内の雰囲気が表現できている。
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「いかに新宿がダンジョン駅と呼ばれているのか」が実感できるのもゲームならではの特色といえる。これが現実に存在するのだから色々と凄い。
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謎解き要素の安定感
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謎解きゲームとしては無難に作られた内容で、大きな不備は特に感じられない。
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全編通してさくさくと事が進むので、余計な足止めに悩まされる心配もなく謎解きに集中できる。ヒントが確認できるので詰みになりにくいのも嬉しい配慮。
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謎解きのバリエーションは結構豊富で、似たような謎解きは極力避けられている。よって、数々の謎を解いていく達成感もなかなか高い。
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舞台の関係上、多少の迷いやすさはあるものの、フィールド内における何をするかの目安や、常時MAP表示がなされるので極度に迷う心配は少ない。
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レトロ感と都会感が混ざりあった外見
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手書きによるファミコンを彷彿とさせるドット絵のクオリティは高く、いい意味でのレトロ感が表現されている。ダンジョン風に描かれた新宿駅のデザインのセンスも良質。
問題点
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アクションRPGとしてのつまらなさ
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謎解きゲームとしては安定した面白さが堪能できる反面、RPGとしての面白みが全くといっていい程に含まれていない。
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そもそも剣士を成長させる要素が皆無であり、あくまでもRPG風の謎解きゲームでしかない。ダンジョンを探索するだけの内容でRPGと名乗るのは無理がある。
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敵を倒していく爽快感や理由付けが感じられず、アクションゲームとしての面白みも極めて薄い。
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敵はその辺にうろちょろしているだけの障害物に過ぎず、通行の邪魔やフラグ条件で相手にしなければならないものを除けば無視一択で問題ない。
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敵の種類が数えるほどしかなく、倒したところで見返りがほぼない。謎解きやトラップ用のフラグ役以外でダンジョンに存在させる意義も感じられない。
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ラスボスも取ってつけたようなポッと出で、アクション性も低く適当に連打すれば倒せてしまう。
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進行が単調
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再現しているのはあくまで「形状」だけであり、駅構内の実際の店舗や広告といったものが再現されている訳ではない。もちろん実際の店舗や広告を出すわけにはいかないのはしょうがないが、本当にただのダンジョンが最後まで続くので非常に殺風景である。
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景色としてもマップのタイルのパターンが少なく、似たような景色がひたすら続く。
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一応、色遣いや音楽は何回か変わるものの、劇的に雰囲気がガラッと変わってゲームの進展を感じさせるような造りには全くなっていない。
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新宿駅らしさを表現したイベントや会話シーンも皆無で、終始淡々としたゲーム進行となる。正直なところ新宿駅構内を探索している感覚が薄いという印象を受ける。
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新宿駅をダンジョンにする必要性
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新宿駅の再現度が高いのは評価に値するが、それがゲームの面白さに結びついているのかは別問題となる。ゲームとしての新宿駅設定の弱さはどうも否めない。
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プレイボリュームは控えめ
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約2時間程度、迷っても3時間もあればクリアできてしまうボリュームである。600円の価格帯としてはボリュームに乏しい。
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クリア後のやり込みはせいぜいタイムアタックと逃したコレクションの回収位しかない。クリアしたからといって追加ダンジョンなどのサプライズは特になし。
総評
謎解きゲームとしての面白さは優秀で、そういう意味では普通に遊べる一作。
新宿駅構内の再現度も高く、ネタとして需要もそこそこ高い。
しかし、アクションRPGとしてのつまらなさは擁護できない。これならば純粋なる謎解きゲーム特化として作り上げた方が良かったのではと思ってしまう。
最終更新:2021年06月03日 06:58