バタフライシーカー

【ばたふらいしーかー】

ジャンル クライム・サスペンスADV

対応機種 Windows XP~10
発売・開発元 シルキーズプラスA5和牛
発売日 2018年3月30日
定価 【パッケージ版】8,800円
【DL版】7,400円
レーティング アダルトゲーム
判定 なし
ポイント 近代的な要素を含む事件
総当たりで解ける推理


概要

「株式会社エルフ」「シルキーズブランド」関連のスタッフが独立して立ち上げた、「株式会社ナイトウィンド」の「シルキーズプラス」ブランドの6作目*1
シルキーズプラスは「シルキーズプラスWASABI」「シルキーズプラスDOLCE」のように開発チーム名をブランド名の後ろに付ける。
本作は「シルキーズプラスA5和牛」チームとしては『根雪の幻影 -白花荘の人々-』に次ぐ2作目である。

パッケージ版とダウンロード版が同日に販売された。ダウンロード版は約1,500円安い価格設定。

ストーリー

舞台は北国の都会、白織市。

夏は霧に、冬は雪に煙るこの広大な街は、逸脱した心理に起因する凶悪な犯罪に悩まされてきた。 警察署内に「異常心理犯罪対策班」を設立するが、それでも追いつかず、 最近では有望な学生を極秘裏に「学生捜査員」として抱えこむまでに至っていた。

市立白織学園の昆虫美食部、通称「ムシクイ」も、そうして設けられた学生捜査員たちのユニットである。 人の仕草や言動から深く心理を読みとる天童優衣。 文字情報の暗記力に優れ、プロファイラーを目指す氷室千歳。 高い身体能力を生かして犯罪者と対決する早乙女羽矢。 そして、死の遠因を視る特殊能力「バタフライ・シーカー」の持ち主、遠野圭介。 遠野の超自然的な力に部員たちの特性が加わり、「ムシクイ」はそれなりの成果をあげていた。

そんな折り、遠野たちのもとにある報せが届く。 それは、過去に市を震撼させた大量殺人犯「蜘蛛」が6年の時を経て再び活動を開始した、というものだった。

(公式サイトより抜粋)

特徴

  • テキストを読み進めるノベルゲーム
    • 選択肢により、9のエンディングに分岐する。
    • 個別3ルートを終えると自動的にTRUEルートが開始され、増えた選択肢を選ぶと、TRUEルートに入る。
    • 到達済みのエンディングはエンディングリストで確認可能。リストからは、エンディング付近を振り返ることも可能。
  • 特殊能力を持つ主人公が、ヒロインたちと共に連続殺人を追う
    • 本作はプロファイリングで犯人を捜査するため、全てが連続殺人である。
    • タイトルと違い、主人公の能力は作中で中黒ありの「バタフライ・シーカー」と表記される。
  • 捜査手帳
    • ゲームの進行に合わせて記述が増えていく要素。
    • 下記の情報が記載されており、捜査が進行すると画像も追加される。メニュー画面からいつでも閲覧可能。
      • 事件名…被害者の年齢や遺体の特徴など事件の概要
      • 被害者…被害者の性別や年齢、失踪日や遺体発見日等
      • 備考…凶器、犯行内容、犯行頻度、署名的行動等
  • 推理パート
    • 被害者の特徴や犯人の意図を推理する。
    • 正解するまで先に進まないためエンディングには影響しない。誤答すると間違った選択肢が消滅するため、総当たりで解ける。詰む心配はない。
    • 単純に6択から正解の選択肢を複数選ぶ場面や、正しい情報を穴埋めする場面等がある。
      • なお、連続で推理する場面もあるが、毎回正誤判定される。
例えば、被害者の特徴をA~Eから選ぶ場面で、正解はA~Cの3つとする。
C・D・Eと回答すると、Cが選択した状態のまま、D・Eが消滅する。そのため、残りのA・Bを選んでクリアとなる。

穴埋めにおいては「〇が犯人で凶器は〇」のようにムシクイを埋める。正解は「aが犯人で凶器はx」とする。
まずは犯人候補をa・b・cから 当たるまで選択し、正解したら凶器をx・y・zから選択となるため、個別に正解していけばよい。

評価点

  • とっつきやすい
    • 少年少女を中心とした捜査員のため、若い世代でも共感しやすい。
    • 推理パートに制限時間はなく、バックログや捜査手帳も閲覧できるため、自分のペースでじっくり推理できる。
    • 選択肢も推理パートも誤った選択がすぐに分かるため、どこで間違ったかがすぐに分かり、詰みが発生しない。
      • どこで間違ったか分からず詰みやすい推理ゲーも多い中、本作はゲーム内情報だけで十分クリアできる。
  • 推理ものとして
    • 死の遠因を視る特殊能力「バタフライ・シーカー」等の現実的でない要素は先に内容が説明されるため、土壇場の後付け設定で解決といったことはなく情報提示がフェア。
    • 対戦型位置情報ゲーム・動画サイトの無断転載等の近代的な要素を取り入れている。
      • 当然だが、旧来のアダルト推理ゲームには見られない要素のため、アイデンティティとなっている。
    • まさしくバタフライエフェクトのようなちょっとした違いから、事件解決に繋がっていくトゥルールート。
      • 個別ルートでの伏線回収や、別の事件の意外な繋がりの発覚から評価が高い。
  • 後述するように一部グラフィックに難があるものの、基本的なクオリティは良い。
    • 特に塗りは良いと評価されやすい。

賛否両論点

  • 難易度が低い
    • とっつきやすい長所でもあるが、誰でも総当たりで解けてしまうため、歯応えがないとも捉えられる。
    • 適当に端から試すだけでゲームが進行するので、プレイヤー側で一発で正解しようという気概を持たないと緊張感に欠ける。
  • 推理パートを抜きにしても、犯人や犯行理由が想像しやすい事件がいくらかある。
    • 筋は通っているが、意外性があまりないとも言える。題材上ある程度は仕方がないが。
  • エッチシーンは合計8枠
    • 非抜きゲーのため、ストーリーとの兼ね合いで妥当な数とも言えるが、さすがにもう少し欲しかったとの声もある。

問題点

  • 一部グラフィックが不自然
    • 立ち絵と一枚絵で年齢差を感じるキャラが何人かいる。
      • 先生が顕著で一枚絵になると途端にロリっぽく見える。
    • 頻繁に表示される、ヒロイン3人と先生が捜査を進める一枚絵の差分が少ない。
      • 優衣は常に口に手を当てている。悲惨な場面を見て吐き気をこらえる絵としては正しいが、捜査が進展してきた時なども常にこの絵のため、場面に合わないことが多い。2枚の差分は眉の位置の変更であり、場面に合わせようとする気概は分かるが、せめて手の位置を変えた差分が欲しかったところである。

総評

一時期は多かったものの、2018年頃には少数となったアダルトゲームの推理もの。
難易度が低いため試行錯誤を楽しむのには向いていないが、とっつきやすいという長所でもあり、近代的な要素を含むというアイデンティティもある。

余談

  • 体験版では一つ目の事件解決までとその後のパートを少しプレイできる。エッチシーンは1回。
  • FANZAの説明文では規制から「大量殺人犯」が「大量殺●犯」と伏字にされている。

関連作品

  • バタフライシーカー おまけシナリオ「ifの糸」
    • 2018年4月27日に公開されたおまけシナリオ。ダウンロードにはシリアルコードが必要。現在でもダウンロード版におまけとしてコードが付属している。
  • シルキーズプラス 5周年記念豪華BOX
    • 2018年7月27日発売のパック販売。下記のファンディスクは含まれていないので注意。
  • バタフライシーカー ~カオス・ナイトメア~
    • 2018年8月31日発売のファンディスク。
  • バタフライシーカー ~カオス・ナイトメア~ おまけシナリオ「ifの物語~凛子~」
    • 2018年9月28日に公開されたおまけシナリオ。こちらもシリアルコードが必要。
最終更新:2020年10月15日 10:18

*1 コンシューマー移植を除いてカウント。