Good Job!

【ぐっじょぶ】

ジャンル アクションパズル
対応機種 Nintendo Switch
発売元 任天堂
開発元 Paladin Studios
発売日 2020年3月26日
定価 2,000円(税込)
プレイ人数 1~2人
レーティング CERO:B(12才以上)
備考 ダウンロード専売
判定 良作
バカゲー
ポイント ひらめきを楽しむ3Dパズルゲーム
何を試しても許される自由な社風
何を破壊しても許される自由な社風

概要

やり方はあなた次第!お仕事パズルアクション!

本作の舞台は、多種多様なビジネスを展開する、巨大企業。マニュアルは一切ない、自由な社風が特徴です。

プレイヤーは、新入社員として様々なお仕事にチャレンジしながら、会社のトップを目指していくことになります。

どのように業務を遂行するかはあなた次第。『Good Job!』は自由な、お仕事パズルアクションです。

(ダウンロードページより引用)

  • 2020年3月26日に配信された“Nintendo Direct mini”においてサプライズ気味に配信開始が発表されたダウンロード専売ゲーム。オランダのインディーズ会社であるPaladin Studiosが開発を行っている。
  • 物理演算を起用したクォータービューの3Dアクションパズルゲーム。プレイヤーは新入社員となって全9階からなる社内で発生する様々な業務をこなし、少しずつ出世しながら上の階を目指していく。
    • 各階は基本的に4つの部屋(ステージ)で構成されており、ステージ毎に課せられた業務をこなせばクリアとなる。その階の全てのステージをクリアすればひとつ上の階に進む事ができる。
      • 業務内容は荷物を運んだりプールの遊具を片付けたりロボットを組み立てたりと多種多様。業務の過程でクレーンやフォークリフトなどの機械を操作する事も。
    • ステージクリア時には経過時間、損害金額*1、損害件数、そして3つの評価をもとにした総合評価においてそれぞれS~Dの5段階の判定が行われる。総合評価のみステージ毎に保存され、各ステージの入口で確認可能。
  • 各ステージには帽子と上着が2つずつ隠されており、見つけ出す事で着替える事ができる。
    • 一度見つけた衣装はメニュー画面でいつでも着替える事ができる。どのステージでどの衣装を見つけたかは各ステージの入口や階層選択画面で確認可能。
    • 衣装を着替える事による移動速度増加などの効果は一切ない。あくまで趣味要素であり本作唯一の収集要素である。

特徴

  • あらゆるパーツが干渉し合う物理演算パズル
    • ステージを構成するパーツは椅子やコンテナなど動く物体はもちろん、壁やドアなど一般的な3Dゲームでは干渉を受け付けない物体にも物理演算が適用されている。
    • それぞれのオブジェクトはぶつかり合うと互いに干渉し合い動いたり倒れたりするほか、一定以上の力が加わると割れたり壊れたりする。
      • これは壁やドアなども同様であり、つまりは壁やドアも全て破壊可能と言う事である。様々な方法で破壊した壁やドアは瓦礫を残して崩れ去るが、この瓦礫にもご丁寧に物理演算が適用される。
    • 階段やリフト、電源コードなど、そのステージを構成する重要なパーツは破壊できない。これは手当たり次第に破壊してクリア不能となってしまう事を防ぐ意味合いがあると思われる。
  • ミスや詰みのない仕様
    • 本作にはミスや残機と言った概念が存在せず、ひいてはゲームオーバーと言う事象もない。
      • まずプレイヤーや他の社員がやられる事はない。高所から墜落しても、フォークリフトに轢かれても、廃棄物処理のプレス機に潰されてもケガどころか怯む事すらしない。
      • 物を壊してしまうと損害金額及び損害件数がカウントされるが、ステージクリア時の評価に影響するだけでミスの条件となる事はない。
      • 時間制限も存在しない。クリアに時間が掛かると評価は低くなるが、最低評価でもステージをクリアさえすれば次のステージに進む事ができる。
    • バグにより荷物がハマってしまうなどの例外を除き「詰み」の状態となる事もない。前述のとおり、ステージ内を破壊し尽くした後でもクリアは可能なマップデザインとなっている。
  • 画面分割式の2人同時プレイ
    • 本作は2人で協力して遊ぶ事もできる。1人プレイ・2人プレイの切替えはタイトル画面で選択する他、ゲーム内でもメニュー画面にていつでも切替え可能。なお、ステージの内容は1人プレイ時と変わらない。
    • 2人プレイ時の画面表示については、2人が近くに居る時は1つの画面のままだが、2人が離れた時はそれぞれの位置関係に応じて上下・左右・斜めに画面が分割される。(クレーン操作時は位置関係に依らず左右に分割される)
      • 画面の分割、合成は非常にスムーズであり、ステージ全体がそこまで広くない事もあって画面分割式でもほとんど不便さを感じさせない。
    • もともと1人でもクリアできるステージに2人で挑むため、ステージの攻略速度は基本的には大きく向上する。
      • 作業を分担して効率良くこなす他、1Pが乗ったパレットを2Pがフォークリフトで持ち上げて高所の物を取る*2と言うどこかで見たような荒業まで再現する事も可能。

評価点

  • 何をやっても許される世界観
    • 本作における最大の特徴であり評価点でありバカゲーたる要素。
    • 冒頭で「マニュアルは一切ない、自由な社風が特徴」と説明されているとおり、この会社では文字通り何をしても全く怒られる事がない。
      • ゲームを始めるとチュートリアルとして「受付の机にある制服を取得する」と言う簡単なミッションを課せられるが、受付までの道のりには高く積み上げられた段ボール箱や掃除用の水で満たされたバケツがこれ見よがしに置かれている。
        それらをついうっかり倒してしまっても他の社員は怒るどころか全く気にする素振りすら見せない。この反応を見る事こそがこのゲームのチュートリアルなのである。
      • 以後のステージにおいても、あちこちに置かれたいかにも高価そうで倒れやすそうな黄金の壷や、運んでいたプロジェクタをぴんと張られた電源コードに引っ掛けたまま引っ張った時に何故か反対ベクトルに伸びるように表示される矢印マークなどが、プレイヤーに「現実社会ではやってはいけない事」を行うよう誘惑し続けてくる。
        その誘惑に抗えず黄金の壷を蹴倒して粉々に割ってしまったり、パチンコのようにプロジェクタを射出して室内を滅茶苦茶に破壊してしまっても、やっぱり他の社員は怒らないし全く気にしない。
      • そもそも他の社員も機材を壊したまま逃げ出したり会議をサボってSwitchで遊んでいたりとやりたい放題なのでこちらも遠慮する事はない。繰り返すがこの会社は「マニュアルは一切ない、自由な社風が特徴」なのである。何で倒産しないんだこの会社
    • どんなに時間が掛かっても、どんなに物を壊してしまっても、ステージの目的さえ達成すれば画面に大きく表示される「GOOD JOB!」の文字によって例外なく手放しで褒めてもらえる。ネガティブな表現が全くない、優しい世界観も本作の魅力と言えるだろう。
  • 抽象的なヒントをもとに正答を手繰り寄せるパズル性
    • 自由な破壊活動ばかり取り上げられがちな本作だが、パズルゲームとしてのデザインの巧みさも見過ごせない。
    • 本作では「文字による情報」が極力排除されており、ステージ中は画面左上に表示されるざっくりとした目的表記、及びオブジェクトに近付いた時のアクション内容*3しか文字情報が存在しない。
    • “この道具を使おう”と言ったヒントも一切提示されないので、プレイヤーは様々な物を持ったり動かしたりしつつ「これはこう使うのかも」と言う自らのひらめきを頼りに進んで行くしかない。
      • 本作はこの「プレイヤーのひらめき」を尊重したゲームデザインとなっている。一見手詰まりに見える状況でも安易にヒントを提示せずプレイヤーが気付くのを待ち続け、やがて思い付いた行動が正解である事をギミックの動作によってプレイヤーに示し、達成感を与える。こうしたゲームデザイナーとプレイヤーの対話は最終面の最後のギミックまで続く。
    • 各ステージにはプレイヤーが自然と思い付く(ようにデザインされている)正攻法のほか、ステージ破壊や思いもよらぬ備品の使い方などの別解がいくつも用意されている。それらを探し出すのも本作の楽しみ方のひとつである。
      • ステージに配置されている備品の一部にはステージ外へ持ち出し可能なものがあり、 同じ階の違う部屋へ持ち込むことができる場合もある。 これも違うアプローチでの攻略への一助となりうる。
  • 初心者でも楽しめるゲームデザイン
    • 本作の基本的な操作はアナログスティックによる移動と2ボタンによるアクション(物をつかむ/はなす、乗り物に乗る/降りる)だけで完結する非常にシンプルなものであり、ゲーム初心者でも十分とっつきやすい。
      • フォークリフトなどやや複雑な操作を求められる要素もあるが、機械の操作方法は画面に常に表示されるので大きな問題はない。
    • 各ステージの目的もマップ内を見渡せば自然と理解できるよう巧みにデザインされているため、ゲームに慣れていない人でも何をすれば良いか分からず途方に暮れる事はまず無い(後述する一部のステージを除く)。
      • 更に前述のとおりミスや詰みが無い仕様なので、「良く分からないままゲームオーバーになりやる気をなくしてしまう」と言う事もない。この仕様は2人プレイ時においても、一般的な協力プレイ時に起こりがちな「初心者が足を引っ張ってクリア不能となり、ギスギスした雰囲気となる」と言う問題の抑止に一役買っている。
    • 以上の要素やピクトグラム調の可愛らしいグラフィックから、本作は普段ゲームに触れない人にも受け入れやすいデザインとなっている。
      • パズルとしての難易度もそこまで高くないので、ゲーム初心者の子供を誘って親子でワイワイ遊ぶには最適なゲームと言えるだろう。ただしCEROレーティングはB(12才以上)となっているので注意。

賛否両論点

  • 何をやっても怒られない
    • 評価点と矛盾するようだが、何をしても怒られないと言うのは裏を返せば「怒られないよう丁寧にプレイする意義が薄い」と言う事になる。
    • まずプレイ評価の面で丁寧にプレイする意義が薄い。総合評価は経過時間、損害金額、損害件数のうち経過時間の評価を重視して判定する傾向があり、多少物損を起こしても総合評価にはほとんど影響が無いからである。
      • 具体的には時間評価がSであれば他2つの評価がDでも総合評価はSになる。一方で丁寧なプレイを心掛けて物損評価S(=物損ゼロ)を達成しても、時間評価がB以下だと総合評価Sを逃してしまう。そもそも物損評価S自体がコップ1個の物損でも達成を逃してしまうため難易度が高く、総合評価Sを目指す際にあえてこちらを狙う意義は薄い。
      • 丁寧かつ迅速な仕事を行い全評価をSにするやり込みプレイも可能ではあるのだが、記録として保存されるのは「総合評価S」の部分のみなのでどうしても自己満足の域を出ない。
    • プレイヤーがどんなにいい加減な仕事をしても他の社員は嫌な顔ひとつしない。道義上の後ろめたさすら無いため、最初のうちは丁寧に仕事をしようと思っても早々にやる気を無くしいい加減な仕事となってしまいがち。
      • もっとも「プレイヤーにいい加減な仕事を楽しんでもらう」事こそが本作の目的として第一に想定されている可能性もあるが。
  • 目的表記が曖昧すぎる一部のステージ
    • 曖昧な目的表記が本作の特徴のひとつだが、一部のステージでは目的表記が曖昧過ぎてプレイヤーによっては混乱してしまう可能性もある。
    • 代表的なのが202号室と401号室。202号室の目的は「いらなくなった荷物を捨ててきて」と表記されているが、「いらなくなった荷物」が何を指しているのか曖昧*4であり、ステージ開始前のデモを見て感付く事ができないとそれだけでステージの目的を見失いかねない。
      • ステージ開始前のデモに関しても「社員が目的の荷物の付近で困ったポーズを取り、そのまま持ち場を離れる」とやや不明瞭である。せめて目的の荷物を動かそうとしてくれればもう少し分かりやすかったのだが。
    • 401号室は「床一面に撒かれたピンク色の液体を掃除する」と言う趣旨のステージだが、目的表記が「よごれた床を綺麗にして」のみであり、「ステージを4分割した区画ごとに床面が光るまでピンク色の液体を掃除すれば良い*5」と言うルールに気付きづらい。
      • そもそも「綺麗にした区画は床面が光る」と言う仕様自体に気付かないプレイヤーも多く、ステージ終盤に「汚れがどこに残っているか分からない」と思いながら既に床面が光っている区画を無駄に探し続けてしまう……と言った事態に陥りやすい。
      • 通常は「xx/30」のように現在値/目標値の双方を示す進捗表記が、401号室では「xx%」と言う現在値のみ曖昧に示された表記である事も上記仕様に気付きづらい要因となっている。例えば目標値が「xx区画/4区画」のような掃除完了エリアを示す表記であれば床面が光る事にも気付きやすく、攻略も進めやすかったかもしれない。
  • シビアな操作性
    • アナログスティックによる操作性は反応も良好でスムーズな反面、繊細な操作にはややそぐわない部分もある。
    • クォータービューの室内を壁や階段の並びに沿って歩くには上下左右の4方向ではなく斜め4方向にスティックを倒す必要があり、この事が操作の難しさに拍車を掛けている。
      • 「階段を登ろうとして何度も足を踏み外してしまう」「物を持とうとした時に違う方向を向いてしまい別の物を掴んでしまう」など、パズルの難易度とは関係ない部分でストレスを重ねてしまう事も。
  • 終盤ステージの構成
    • ゲーム終盤となる8階はステージ破壊などによる大幅なショートカットが見込めず、地道な運搬作業をこなすステージが多い。
      • 本作において最大の破壊力を誇る道具*6が登場するステージもあるが、使い過ぎるとショートカットが見込めるどころかステージ内が瓦礫で埋め尽くされてかえって作業が遅れたり、最悪フリーズしてゲームが落ちることも。
    • 最上階を間近に控えた大詰めにも係らず、黙々と荷物を掴んで所定の場所に置くだけの作業を強いられるためモチベーションが下がってしまう可能性もある。
    • 一方で8階は高額な家具や美術品、貴金属などで溢れており、それらの破壊を主目的とした場合であれば爽快感は一気に増す事となる。

問題点

  • 開始前デモのスキップ不可
    • 各ステージには開始前のデモが用意されており、「どんな問題があって」「何を」「どうすれば良いか」と言った大まかな情報がステージ内をクローズアップする形で示される。
    • 当然ながら1度クリアすれば見る必要の無いデモなのだが、何故か本作では開始前デモをスキップする事ができず、ステージに挑戦するたびに15秒近くのデモを見せられるハメになる。
      • タイムアタックや全評価Sクリアに挑戦する時など、同じステージを何度もやり直す際はこの15秒の繰り返しが想像以上にストレスとなってしまう。
  • 長めのロード時間
    • ステージ内のほぼ全パーツに物理演算を適用する必要があるためか、ステージ毎のロード時間は比較的長め。
    • 同じステージをやり直す際もロードが行われるため、上記の開始前デモのスキップ不可も相まってストレスの要因となる。
  • ステージ毎の詳細記録が保存されない
    • 何度か述べたとおりステージ毎のプレイ記録は総合評価のランクしか保存されず、各評価のランクやスコアの詳細は一切保存されない。
    • 最短クリアタイムや最小物損額やハイスコア最大物損額、全評価Sクリアの実績などが保存されない為、やり込み内容を記録するには動画やスクリーンショットで保存するしかない。
  • スタック及びバグ挙動
    • この手の物理演算ゲームの宿命として、本作でもスタック(プレイヤーが段差や瓦礫に挟まって動けなくなる現象)やバグめいた挙動がたまに発生する。
    • スタックに対してはメニュー画面にてプレイヤーをステージ入口にワープさせる救済措置が設けられているため、スタック=詰みとなってしまう事は基本的にはない。
    • バグ挙動についてはプレイヤーが空高く吹き飛ぶ程度のささやかなものから、フォークリフトで上げ下げした荷物が妙なハマり方をしてしまうものまで様々。
      • 特にフォークリフトに関するバグは対象物が素手で動かせない事もあり、下手にハマると最悪の場合ステージをやり直すハメにもなりかねない。ステージのやり直し自体は数分で行えるため進行に致命的な影響は及ぼさないものの、プレイヤーに余計なストレスを与えてしまう事は間違いない。
  • 604号室「巨大冷凍庫」の構成
    • 全体的にサクサク進めていける本作だが、604号室に限っては他ステージと比較すると理不尽とも言える要素が多く詰まりやすい構成となっている。
+ 詳細(ステージ解法を含むネタバレ有り)
  • 3人の検査員が対応するタンクまで歩いていけるように荷物などで橋渡しを行うステージなのだが、検査員が荷物などを橋と認識して渡ってくれる判定が(特に高低差の面で)厳しく、「橋を渡したつもりなのに渡ってくれない」と言う事態になりがち。
  • 高い場所の橋渡しを行う方法が「横長のコンテナをフォークリフトで持ち上げ、その状態のまま検査員に上を渡ってもらう」。安定する方法はこれだけである。
    • 木箱などを積み上げて渡ってもらう方法もあるが、木箱が壊れやすい事や高さが合わせづらい事もあり安定しない。ひとつ前の橋渡しは巨大な荷物*7で行う事もあり、「次も積まれた荷物の上を渡ってもらうのだろう」と考えてこちらのやり方をまず試してしまうプレイヤーは多い。本命のコンテナが整然と積まれていて目立たない事や、谷間の側にちょうど良い高さで積まれた木箱がある事も解法の誤認に拍車をかけている。
    • 木箱を積んだり壊したりする過程で一緒に置いてあるコンテナが埋もれてしまうと、本命であるコンテナのみを直接持ち上げる方法がますますぼやけてしまう悪循環に陥る。無意味な破壊が暗に推奨されている本作において、当ステージだけは「木箱を不用意に壊さず、上に乗ったコンテナをそっと持ち上げる」と言う動作を要求される事となる。
    • コンテナを使う方法に関しても「フォークリフトを使いコンテナをピタリと谷間の枠に収める」と言うそれなりの操作精度が求められるうえ、操作をミスして転げ落ちたコンテナの立ち方が変わると高低差が合わなくなり検査員が渡ってくれなくなる。意図的にコンテナを転がして立ち方を直すのは少々コツが必要*8であり、上手く行かないとステージをやり直すハメになる。
  • 壊れて途中までしか上がらないリフトの橋渡しには長方形または正方形の小型コンテナを使う事になるが、長方形の小型コンテナの向きは必ず横向きにする必要がある。縦向きに並べていくと僅かに隙間が空いてしまい、かなり強引に隙間を詰めない限り検査員は渡ってくれない。
    • もちろん小型コンテナ以外の木箱などを並べるのも高低差の関係で駄目。にもかかわらずリフトの周囲には木箱やパレットが素手でも動かせる状況*9で積み重なっており、小型コンテナが本命である事に気付きづらい。
      一応「素手でリフトの奥まで運べるのはキャスターのついた小型コンテナだけである*10」と言うヒントもあるにはあるが、そのヒントから小型コンテナが本命である事に気付く前に「フォークリフトを使おう」と思い立ってしまうと下記の問題が発生する。
    • フォークリフトでこの場所での作業に臨んだ場合、木箱やパレットをリフトの奥まで積んだり壊したりを繰り返す事で手狭なリフト周辺が瓦礫で埋まり、小型コンテナを並べる事すらおぼつかなくなってしまう。前項と同様、「ステージを破壊し尽くしてもクリアに支障はない」と言う本作の評価点がこの場所でも破綻してしまっている。
    • ただしこの場所については「タンク横のガラス壁を破壊してそちらから入ってもらう」と言う別解も存在する。破壊するための電源コードなども比較的近くにあり、むしろこちらの解法の方が思い付きやすく安定させやすい。
  • その他、検査員がどのルートを歩くか迷った末に立ち往生してしまうバグも稀に発生する。上記のとおり攻略の際にフォークリフトを多用するため、フォークリフト絡みの荷物がハマるバグも発生しやすい。
  • 当ステージは「本作における様々な特徴が不幸にも全て問題点として浮き彫りとなってしまったステージ」とも言える。他のステージは「抽象的なヒントの分かりづらさ」をはじめとする問題点が浮き彫りにならぬよう綿密に構成が計算されているだけに、なおさら当ステージの問題が際立ってしまう実に惜しい結果となっている。
  • ゲーム慣れしていてもここで長考を強いられるプレイヤーは多く、ゲーム慣れしていない場合は最悪ここでクリア不能となりゲームを投げ出しかねない。特にゲーム慣れしていない人が本作をプレイする際は注意が必要。
  • ボリューム不足
    • 2,000円と言う値段を考慮しても、完全初見プレイでも10時間ほどでエンディングまで到達できてしまうボリュームはやや少なめ。
    • 解法の発見に重きを置いたパズルゲームであるがゆえに、2周目以降の面白みがあまり無い事もボリュームを語る上では向かい風となる。衣装集めやタイムアタックなどのやり込み要素もあるものの、基本的には手軽に1周だけ遊びきるゲームと割り切った方が良い。

総評

何をやっても怒られない、自由で優しい世界観の中で様々な解法や破壊法の発見を楽しむパズルゲーム。
実社会はもちろん他のパズルゲームでも課されがちな「失敗時のペナルティ」が皆無であるが故に、臆する事なく様々な試行を行えるのが本作の大きな魅力である。
抽象的なヒントは時には攻略につまづいてしまう要因にもなり得るが、ゲームデザインの巧みさもあって概ね好意的に受け入れる事ができるだろう。

本作をプレイする際は実況プレイ動画やタイムアタック動画などによる予習を極力避け、是非ともネタバレ無しの初見プレイで挑んで欲しい。
ステージ内を歩き回りながら思い付いたあらゆるひらめきに対してゲームから優しく反応してもらえる、まるで自分が子供に戻ったかのような感覚を味わえるはずだ。

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最終更新:2021年04月24日 18:29

*1 当然ではあるが「どれだけ損害金額を少なく抑えられたか」が評価の基準となる。損害件数も同様

*2 死人も出ているため、現実では当然原則禁止されている。

*3 各種オブジェクトに対する「つかむ」「おく」、電源コードやホースに対する「はずす」、バルブ類に対する「あける」「しめる」など

*4 パレットに固縛された緑色の荷物1個が対象なのだが、パレットや固縛バンドの色が地味な色調であるため他の無関係なオブジェクトと混同しやすい

*5 区画ごとに掃除の判定をクリアすれば床面が光り、4区画全ての床面を光らせるのが仕様上の正確な目的となる。判定は意外と緩く、それなりにピンク色の液体が残っていても床は光ってくれる

*6 業務用掃除機のこと。紙切れどころか絵画や家具まで吸いつくすが、吸い込み過ぎると掃除機が爆発して周囲を吹き飛ばしながら吸い込んだ物を撒き散らかす

*7 何重にも積み上げられて固縛された箱。凍った床の上に乗っており、素手で押して橋代わりとなるように並べる

*8 段差の端ぎりぎりにコンテナが半分以上はみ出すように降ろし、フォークリフトの爪を抜いたらコンテナの自重で転げ落ちるようにするのが一番やりやすい

*9 付近の床が凍っているため、重い荷物も素手で動かせる

*10 リフトの上は凍っていないため、重い荷物を素手で動かしているとリフトの手前で止まってしまう