名探偵コナン
【めいたんていこなん】
| ジャンル | アドベンチャー |  | 
| 対応機種 | プレイステーション | 
| 発売元 | バンダイ | 
| 開発元 | ジョルダン | 
| 発売日 | 1998年11月19日 | 
| 定価 | 5,800円(税別) | 
| 廉価版 | PlayStation the Best for Family 1999年11月18日/2,800円(税別)
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| 判定 | なし | 
| ポイント | 据置用コナン一作目 良くも悪くも最初期コナンの雰囲気満載
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| 名探偵コナンシリーズ | 
 
概要
『名探偵コナン』初の据置用ゲーム作品。
プレイステーションで発売されたことで、全体的なクオリティアップがはかられており、初めてボイスも付いた。
コナンゲーは一作目からサブタイトルが付いていたため、実はサブタイトルがないのは本作が初。このため「無印」とも呼ばれる。
特徴
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基本的にはゲームボーイのシリーズ作品を踏襲した見下ろし視点でコナンを操作するADV。
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コナンを操作して各所を調査したり会話でフラグを立てて進めていくオーソドックスな内容。
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2つのシナリオが用意されており、好きな方からプレイ可能。移動中ならいつでもセーブすることができる。
 
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チャレンジゲーム
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要はミニゲーム。主に「孤島の宝物事件」の方でプレイすることになる。
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全部で8種類用意されており、クリアしないと先へ進めない。
 
ストーリー
同級生殺人事件
脅迫状をうけとった女生徒の依頼で、連休の女子寮に出かけたコナンと毛利蘭、毛利小五郎の3人。
だが、一見しずかなその場所でついに殺人事件が起きた。殺されたのは、脅迫状とは無関係の女生徒。
そして、さらにコナンたちをまどわす第二の殺人事件が起きる・・・。
一体誰が、何のためにやったのか。はたしてコナンは事件の謎を解き、真犯人を見つけ出せるのか!?
孤島の宝物事件
歩美の叔父の家に遊びに来たコナンたち少年探偵団4人は、桟橋のヨットで遊ぶうちに、いつのまにか波に打ち上げられ無人島に流れ着いてしまった。
助けを呼ぼうと悪戦苦闘するうちに、謎の人物たちと遭遇し、思いもよらぬ事件に巻き込まれていく・・・。
島に隠された秘密とは何か!?
すべての謎を解き明かすために、さぁ、コナンたちと一緒にスリルに満ちた冒険の旅に出よう!
(説明書より引用)
評価点
シナリオ
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シナリオは良好。どちらのシナリオもコナンらしい雰囲気は再現されている。
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「同級生殺人事件」は本格推理モノで「孤島の宝物事件」はミニゲーム主体の探偵団冒険モノになっており、雰囲気が異なる話を楽しむことができる。
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特に「同級生殺人事件」の方は各所に挿入されるアニメムービーが雰囲気を盛り上げ、裏のある人間関係など本格的。伏線もしっかりしており、とあるシーンが犯人を追い詰める最大の証拠に関わるあたりもよく出来ている。
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集めた証拠を選択してトリックを解明したり、犯人を名指しできるなど推理ADVとしてもなかなかの出来。
 
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「孤島の宝物事件」はギャグテイストで、特に泥棒2人組は完全なコメディリリーフ。とある場面の進め方によってはコナンとは思えないアホらしい結末を迎えてしまえたりと笑える場面は多い。
 
グラフィック
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据置用となったことでグラフィックも大きく向上。GB版が原作漫画版を意識した絵柄だったのに対し、本作はアニメ版を意識したものになっている。
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バストアップのグラフィックは口パクの他、ポーズが変化する際に中割アニメが用意されているため自然にポーズが変化し、アニメを見ているかのような雰囲気に貢献している。
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細かいところではキャラクターチップがアニメからそのまま切り取ってきたようなグラフィックになっていたりする。
 
音声
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BGMはアニメ版のサントラとオリジナル曲を混ぜて使用されており、ここぞという時に原作BGMが流れる。
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ボイス面では全ての台詞がフルボイス仕様。
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探索シーンでのコナンのちょっとした独り言までボイスがつくため、まさにアニメそのままの雰囲気。
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事件の最後にはプレイヤーの推理によって犯人を選択する場面もあるのだが、ここでの推理ミスパターンも全てフルボイス。コナンが小五郎のふりをしてコナンを犯人に名指しして小五郎がつまみ出される等の失敗シーンまでフルボイスのため、非常に笑えるシーンになっている。
 
おまけ要素
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タイトル画面で放置すると次回予告風の紹介ムービーと事件のヒントを示す「Next Conan's Hint」が表示される点もアニメらしさに貢献している。
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クリア後にオープンするおまけモードでは両方のシナリオをクリアすると後日談シナリオを鑑賞できたり、劇中のムービー、一枚絵などの鑑賞ができる。
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特筆すべきはキャラクター鑑賞モードで、バストアップグラフィックは勿論ゲーム中に流れる全てのボイスを聴くことができる。
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このボイス視聴、全てのキャラのボイスが一まとめになっている関係上、他のキャラの台詞をそれ以外のキャラに喋らせることも可能。コナンが蘭や元太の声で喋りだすのはもはやギャグだろう。
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なお、今作ではお馴染みの声優陣がゲストキャラの声も兼任している。コナン役の高山みなみも例外ではなくある女生徒を演じているので、女言葉で喋るコナンなども見られる。
 
問題点
シナリオ面
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「孤島の宝物事件」はツッコミどころ満載。
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前述のようにギャグテイストの強い話なのだが、それでも「攫われてきた少年がなぜか食糧を大量に持っている」「正体不明の大怪盗の子孫を手掛かりゼロの状態で発見する」など都合が良すぎて気になる部分は多い。
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事件解決後のエピローグもなく、後日談でもほとんど扱われないため犯人たちや少年がその後どうなったのか不明だったりと微妙に扱いが悪い。
 
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「同級生殺人事件」の方はシリアスな事件だけにシナリオの粗が気になる。
    
    
        | + | 事件のネタバレあり | 
第1の事件は床暖房のために床のクッションパネルを外せるようになっていることを利用し、床板ごと死体を動かす事で事件現場を偽装をしているのだが、移動画面で確認すると教室5~6個分の横移動と3階から1階への縦移動が必要になる。深夜で見つかる心配はほぼないとはいえ、女子高生が床のクッションパネルごとこれだけの距離をほぼ証拠も残さず死体を移動させているのはかなり無理を感じる。
第2の殺人のトリックも実行した状況にかなり無理がある。
密室内で自殺したと思わせる為に外で殺害した後に鍵のかかった体育館内に運び入れたのだが、内側のバレーボール用のポストと外の旗を掲げるポスト、細いロープを利用して滑車の要領で体育館屋上の天窓から体育館内へ死体を運び入れるという非常に大掛かりな物。さらにロープを内側へ入れる為に、重しを入れたスポーツバッグを外から天窓に投げ入れる必要もある。
こちらも深夜に行ったとはいえ、殺人事件が起きたばかりで警察もまだ敷地内にいてもおかしくなく、そうでなくても誰かに見られれば一発でアウトである。しかも天窓は開けたまま、バレーボールのポストは上げたままでトリックの痕跡がどうやっても残ってしまう。毒を入れたドリンク剤も運び入れる際に問題が起きないよう蓋をしっかりと閉めた状態にする必要があり、そのせいで自殺ではないとコナンにバレている。作中ではバレなかったが、普通に考えれば警察もおかしいと気付くだろう。
そもそも自殺に思わせるためとはいえ密室の作り方に無理がありすぎるし、ワープロで作成した遺書で自殺を仄めかすのであればその場でそのまま死なせる方が自然である。トリックを使いたいがためにかなり無茶な事件になってしまったようにしか見えない。
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ボリュームもさほど多くはなく、半日で全クリア可能な長さ。人によっては物足りなく感じるだろう。
操作システムの問題
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一度出たら2度と探索不能になるエリアもある。
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証拠品を取り逃すとバッドエンド確定。特にある証拠品は非常に見つけにくく再探索不可能な場所にあるので忘れると取り返しがつかない。一応出る前に探索不能になることは教えてくれるが。
 
チャレンジゲームについて
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主に「孤島の宝物事件」で遊ぶ方。
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組み合わせパズルは、説明書では「小学校で習う知識でクリアできる」としながらも実際は微妙に捻って考える必要があるなど意地悪ぎみ。
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具体的には「透明ビニールシートと海水で太陽光集束用の凸レンズを作り出し、集めた草に収斂発火で火をつける」といったもの。微妙に科学知識が必要な問題と言える。
 
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終盤でプレイする「石跳び」は本作最大の難所。
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飛び石をジャンプで渡っていくのだが、ジャンプボタンと方向キーの同時押しが必要と言われるが実際は方向キーを先に入力しながらジャンプする必要がある。素直に同時押しするとジャンプだけで前に進めない。
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ステージは2段階あり、後半のステージでは流れてくる丸太を渡る必要があるのだが、丸太がかなり速いので非常に難しい。一度でも落ちれば1つ目のステージのスタート地点からやり直さねばならないのも面倒。
 
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クリア後のおまけモードでも3つのチャレンジゲームが遊べるが、プレイできるのは本編で遊んだステージばかりで、特にプレイ意欲が湧くようなものではないのは残念。
総評
全く雰囲気の違うシナリオを楽しめ、アニメのオリジナル回を見ているような感覚になれるゲームである。
「同級生殺人事件」の方は推理ADVとしても良質で、アニメのスペシャル回を視聴したような後味に浸れる。
「孤島の宝物事件」の方はムービーなどは少ないものの、その分アクションやパズルに振っているため、また違った楽しさがあると言える。
若干の粗やボリューム不足感はあるものの、ファンなら楽しめる佳作キャラゲーと言えるだろう。
最終更新:2025年04月14日 18:36