こころに染みる 毛筆で書く 相田みつをDS

【こころにしみる もうひつでかく あいだみつをでぃーえす】

ジャンル 書画
対応機種 ニンテンドーDS
メディア DSカード
発売元 アーテイン
開発元 new
発売日 2006年11月30日
定価 3,990円(税5%込)
プレイ人数 1人
セーブデータ 3個
レーティング CERO:A(全年齢対象)
判定 クソゲー
ポイント 毛筆のような書画を実際に作れる
プレイ意欲の維持が重要課題
ボリュームが薄い割にコンプがやたら面倒


概要

書家にして詩人の相田みつを氏による代表的な書画をベースに、DSタッチペン機能を用いて書道を体験するツールソフトである。

システム

  • 基本的なゲームの流れ
    • DS下画面に表示される空白を半紙に見立て、タッチペンで墨の線を引く。
    • ひととおり線を引き終わったら、名入れ、落款(ハンコを押す)の工程を経て、書画の完成となる。
  • 書写で使える機能
    • やり直し機能対応。やり直すと、使用した半紙の枚数のカウントが増えていく。
    • ペンの太さは3種類(細・中・太)から選べる。
    • 相田みつをの書画などのお手本を、DS下画面に朱筆で表示させ、なぞるためのお手本とすることができる。非表示にすることも可能。
  • 墨筆のテイスト
    • タッチペンで描ける墨の線のテイストは、「ペンセット」、「基本セット」、「達筆セット」の3種類から選べる。
    • 達筆セットはタッチペンを移動させる速度が遅いと字が滲み、速いととかすれるようになる。
    • ペンセットはその逆で、かすれや滲みが起こりにくい、基本セットはペンセットと達筆セットの中間といったところ。
  • モード
    • 「書写 相田みつを」:相田みつを氏の遺した書画を臨書するモード。
    • 「自由に書く」:何のお手本も無くまっさらな半紙に自由に何かを書くモード。
    • 「こころの書写」:今までに作ってきたプレイヤーたちの書画を臨書するモード。
    • 「筆試し」:いわゆる練習モード。相田みつをの書画ではなく、一般的な楷書体の文字をお手本とする。
  • 書画の解放方法
    • 最初から閲覧・臨書できる相田みつをの書画は3種類しかない。
    • しかしプレイ日数、みつを印の数、書いた書画の数、ゲーム中に引いた線の累計距離が一定数になると徐々に書画が解放されていき、最終的には50に増える。
  • セーブデータについて
    • セーブデータは3つまで作れる。ただし相田みつをの書画の解放状況は3つのセーブデータ間で共有はされない。
    • プレイヤーが作成した書画は「こころのギャラリー」に50枚まで保管される。このこころのギャラリーで閲覧できる書画は3つのセーブデータ間で共有される。(プレイヤーが任意の書画を手動で削除可能。)

評価点

  • 墨汁・毛筆の味わいの再現されているところ
    • タッチペンの動かし方によって、線の「止め」、「払い」を行える。
    • DSタッチペンの動かす速さも文字を書く上での重要なファクターとなるので、単調で機械的な文字にはなりにくい。
  • 半紙と墨汁が不要なので手軽ではある。
  • 朱筆で表示されるお手本
    • 「書写 相田みつを」モードでは、実際に相田みつを氏の書画が朱筆で表示されてそれをなぞることができ、完成度の高い書画が作れる。
  • 音響効果など
    • 本作の雰囲気に合ったゆったりとしたBGMが流れる。BGMは6種類から選ぶことが出来、無音でプレイも可能。
    • タッチペンをスライドしているタイミングで、毛筆と半紙が摺れる音がする。

問題点

  • 文字を書くことぐらいしかできない
    • タイトルどおりだが、本作は毛筆で相田みつを氏の書画を書くだけの内容。
    • 相田みつを氏の書画が50枚しか収録されていないなど、実質的なボリュームは殆どない。
    • あくまで毛筆っぽい雰囲気の字が書けるだけであり、字がうまくなるためのコツや相田みつを氏の書画の解説情報といったものもない。
  • コンプリートの面倒くささ
    • 書画を書くほかに、相田みつを氏の書画50枚をDSソフトにすべて解放させるのが、本作を進める上で主要な目的となると思われる。それらすべて出すための条件がシビア。
    • 最初のいくつかの書画は、継続的なプレイなどが理由で逐次解放されていくのだが、ひたすらのやりこみ量で解放されるものが厄介。
    • 具体的には、本作はひたすら字を書く内容であるにもかかわらず7時間のプレイ時間を要求してきたり、1000枚書画を書く必要があったり、累計で300m線を引かなくてはならなかったりする。
      • 真面目に一枚ずつ何か書画を書いていくプレイスタイルをとるとコンプリートまで途方もない時間がかかる。それまでに書いた書画に何か意味を見出せれば良いが、そうでないならひたすら単調な作業を繰り返している気分になりかねない。
      • なおプレイ時間を稼ぐには、DS本体を充電ケーブルにつなぎ、DSを開いたまま放置するのが最も手っ取り早い。
      • また書画を1000枚書くにも、いちいち作品を1000枚書いていては途方もない時間がかかる。白紙のまま「書き直し」コマンドを繰り返すのが結局のところ手っ取り早い。
      • 300m分の線を引くがもっとも面倒くさいと思われる。DS下画面に表示されている半紙を線で黒く塗りつぶすようにしても3~5m程度しか稼げない。
  • 書画ツールなのにプレイヤーが作った書画を大した数保存できない
    • 相田みつを氏の書画の全解放と並行して、どんなオリジナルの書画を作り続けられるかが本作を長く楽しむためのポイント(?)になっているはずなのだが、上記項目で述べたとおり、プレイヤーが作成した書画は50枚までしか保存できない。家族でセーブデータを分割してプレイするなら、保存できる書画の枚数はさらに減ることになる。
    • 相田みつを氏の書画を解放するのに、上述のような裏技を使わず制作者の意図に沿って真面目にプレイするのなら、数ヶ月単位、数百枚単位で書画を書き続けさることが想定されるはずである。そのようなシステムであるにもかかわらず、50枚だけしか書画が保存できないのはいかがなものか。
  • 現実の書道に及ばない部分もある
    • 筆圧は再現できない。線の太さは、基本的にタッチペンをスライド移動させる早さにのみ依存。
    • 本作のシステム上、かすれた線はどうしても細くなる傾向。「墨のかすれを出しつつも勢いのある太い線」は書けない。

総評

相田みつをの書画を書写するという良くも悪くもシンプルなソフト。
墨や半紙といったアイテムを使わずに書写が出来るという利点もあるにはある。しかし相田みつを氏の書画をすべて閲覧できるようにするまでが非常に面倒くさく、収録されている相田みつを氏の書画やプレイヤーが残せる書画が50枚までという、書道ツールとしては大きな制約もついている。こういった限られた環境でいかに楽しめるか・どんな書画を作っていくかは、プレイヤー各自が考えていかなくてはならないだろう。

最終更新:2022年11月03日 21:41