放課後少年

【ほうかごしょうねん】

ジャンル 放課後アドベンチャー
対応機種 ニンテンドーDS
メディア DSカード
発売元 コナミデジタルエンタテインメント
開発元 コナミデジタルエンタテインメント
ウィル
発売日 2008年1月31日
定価 5,229円(税込)
プレイ人数 1人
レーティング CERO:A(全年齢対象)
セーブデータ 3個
判定 なし
ポイント 楽しめるのは2周目までか
フラグ管理の難しさ
作業ゲーの側面あり

概要・あらすじ

昭和時代を舞台としたADV。小学生最後の夏を迎えようとしていた少年を主人公に据えて、1ヶ月間の出会いと別れの物語を体験する。

登場人物に関して

  • 主人公
    • 小学6年生の男児。外見は変えられないが所属クラスと名前は変更できる。(デフォルトは6年1組、おさむ(あだ名:おさ君))
    • やんちゃな男子のグループに属してはいるものの、クラスメイトには訳隔てなく接することが出来るタイプ。
    • 父・母・妹との4人家族。
  • 本ゲームで登場する人物は家族、クラスメイト、担任の先生、駄菓子やのおばさん、妹の友達の20名程度。
  • 秘密基地を橋の下に作っており、クラスメイトのあつし、カズ、よっちゃんとは秘密基地仲間。
  • 会話イベント中は画面下にテキストが表示され、左右にキャラの立ち絵が表示される。全編ノーボイス。

基本的なシステム

  • ゲームの目的
    • 特にゲーム中に強制される目標は存在せず、学校から開放されている自由時間に、プレイヤーが好きなことをしていい。
    • 好きなキャラを見つけて駄弁るだけでもいいし、ミニゲームのスコアを稼いだり特定のアイテムの収集にふけってもいい。
  • 行動可能時間
    • 学校の授業風景は基本的に省略される。帰りの会からスタートし、放課後から就寝までの自由時間に友達としゃべったり、ゲームに興じたり、宿題をやったりするのが1日のおおまかな流れ。
      • 移動は十字キーで行う。タッチペンでタッチした場所に向かって走らせることも出来る。
      • Aボタンで物を調べたり拾ったり、人と話したりできる。
    • 日の入となると主人公の父や妹が夕飯のために迎えに来る。日没後は特定のイベントを除いて家から遠出することは出来ない。
      • 土曜は午前中で学校が終わり、日曜は学校がない。
    • 1周でプレイできる時期は6月20日~7月21日の1か月分。
  • 時間経過
    • エリアチェンジあるいはイベントを経るごとに時間経過がある。
    • 「はやい」「ふつう」「ゆっくり」の3段階から選べる。周回プレイをこなしたいなら「はやい」、じっくりイベントを回収したい場合は「ゆっくり」を選ぶことになるか。
  • 好感度
    • クラスメイトひとりひとりに好感度のパラメータが設定されている。
    • 基本的には話しかけると上昇していく。時折会話中に選択肢が登場し、何を選んだかで好感度に影響する。
    • 好感度の上下は適宜アナウンスされる。その際は「○○ちゃんと前よりも仲良くなった気がする」「○○ちゃんに嫌われちゃったかも」と表示される。
    • 好感度が高いキャラからはニックネームで呼ばれるといった変化がある。
    • クラスメイトに関しては、メニューの友達メモから確認できる。好感度がどれだけ稼がれたかは「キャラメルの包み紙のアイコン」の数の多さでわかる。
  • イベント・エンディングに関して
    • 特定のキャラに特定の時期に話しかけることで、専用の会話イベントを楽しめる場合がある。
    • またゲーム終盤を中心に、主人公の友達と冒険する固定イベントが発生する。
    • キャラクターの好感度の高さや7月21日までにどんなイベントを起こしたか、条件を満たしたかで多少エンディングの内容が変化する。
  • 2周目以降のプレイ
    • 友達との対戦ゲームの戦績、ホッピングといったひとり遊びの習熟度、所持金、集めた駄菓子・スー消し・めんこ、歌謡ショーの楽曲といったコレクション、おてんと参りの回数は引き継がれる。
    • クラスメイトの名前を自由に変えることが可能。好感度を引き継ぐことは出来ない。新たな登場人物も……?

遊び・ミニゲームなど

  • おてんと参り
    • 本作の序盤に提示される目標および日課。
    • 神社にお参りしてから山道のてっぺんにあるお地蔵さんをなでる、ということを繰り返す。将来の夢をかなえるためという触れ込みだが、ゲームを進めると目的が少し変化する。
  • 対戦
    • L/RあるいはYボタンを使って話しかけることで、一部の登場人物に対してめんこ遊び、スーパーカー消しゴムのレースや相撲を持ちかけられる。基本勝負できるのは男児のみ。例外として、男勝りな女児や主人公のお父さんと勝負できる。
      • 基本的に女児に話しかけても流されてしまうが、時折スーパーカー消しゴムをくれる女児もいる。
    • 対戦型のゲームはNPCとの対決となる。
      + 遊び・収集要素一覧
    • スーパーカー消しゴム(スー消し)
      • あられ屋のガチャ玉で買える。条件を満たすと時折クラスメイトがくれることも。
      • BOXYボールペンのノックをタッチペンで操作。消しゴムを適切な位置・角度ではじいて移動させる。
      • レースと相撲の2種類の遊びが用意されている。前者はスー消しを早くゴールに導いたほうが勝ち。後者は相手のスー消しを外に出したほうが勝ち。
      • めんこ
        • 牛乳瓶のふた(後述)を集めると、秘密基地仲間から遊び方を教えてもらってプレイできるようになる。
        • めんこは、タッチペンをスライドしている間は高いところで持って構えている状態となる。このときタッチペンを動かすと落とす場所を調節でき、タッチペンを話したタイミングにたたきつける。まためんこを掴んでいる間はめんこがその場で上下する。高いところから落としたほうが威力は高くなる傾向。
        • 相手のめんこをひっくりかえす、白線の外に押し出す、相手のめんこの下にもぐりこませるかすると勝ち。5回ずつ投げ合って勝敗が決まらない場合は引き分け。
        • 枠外に押し出したい場合は、枠外に投げてしまった場合はそのターン無効になる。
      • 特定のキャラに数回勝つとスー消しやめんこをもらうことが出来る。
      • その他
        • 校庭では鉄棒、ぶらんこ、通学路ではケンケンパ、手すりすべり、秘密基地前ではフラフープ・ホッピング・水切り遊びができる。
        • これらのタイプの遊びは日課としてこなすと次第にうまくなっていき、遊びの記録が自室の壁にメモされていく。
        • 空き地の土管で昼寝することで、時間をスキップすることが出来る。
  • 牛乳瓶フタあつめ
    • クラスメイトにゲームで一定回数勝ったり、特定のイベントをこなすともらえる。
    • 街のどこかに隠されている場合もある。
  • 資金繰り
    • 空いた牛乳瓶を拾い集めた状態で、あられ屋(駄菓子屋)のおばちゃんに話しかけると1本5円で買ってくれる。
      • 空き瓶は日数経過にしたがってランダム発生する模様。主人公が歩き回る背景画に白い点で表示される。
    • 居間に座っている母に話しかけるとお小遣いとして1日に30円くれる。
    • 一部のミニゲームをプレイしたり、スー消し・めんこを集めるにはお金が必要。

その他ロケーションなど

  • 自宅
    • 夕飯前に自分の机に移動するとランドセルを置く。そのまま机に向かうと宿題をするかどうか聞かれる。
    • テレビがあり月・木曜の夕飯後にラジカセで歌謡ショーを録音できる。ただし居間にいる家族にあらかじめ話しかけておき、黙っているように頼み込む必要がある。
    • 自室のポスターから、ホッピング、水切りといった一人遊びの戦績が閲覧できる。
  • ひみつ基地
    • ラジカセで音楽を聴ける。
    • 秘密基地前にホッピング、フラフープが置いてある。近くの川辺を調べると水切りも遊べる。

評価点

  • イベントが案外豊富
    • 神社で捨て猫を発見したり、七不思議を求めて夜の学校を彷徨ってみたり、悪友たちと海を見に行ったりと、1ヶ月間の放課後をテーマとしていながらも様々なイベントが用意されている。強制的に起こるイベントもあるため、プレイヤーの行動しだいでまったくの殺風景なゲームになるといった事態も起こりにくい。
    • 突発的に、行き当たりばったりのストーリーが展開されるのではなく、神社で猫の声を聞いたり、妹が神社付近で姿を消したり、音楽室からピアノの音が聞こえてきたりと、次のイベントのフラグ準備もしっかりしている。
  • 多様なクラスメイト
    • クラスメイトに悪人は存在しない。主人公もいろいろなクラスメイトと打ち解けられる性格をしているので、会話もスムーズに進む。
      • クラスメイトも時間帯に応じて居る場所を変えるので、話したいクラスメイトがどういう行動パターンなのかを考察する余地がある。
    • 各クラスメイトに関して掘り下げるイベントも存在する。一見嫌な奴でも良い一面が垣間見られるなど。
  • 美術面
    • 背景画に力が入っている。
    • 3Dポリゴンモデルの動作も良好。モーションは滑らかで、登場人物ひとりひとりに沿ったモーションが用意されている。
      • 例えば「笑う」というひとつの動作に関しても、腹を抱えてゲラゲラ笑う子も居ればおしとやかに笑う子も居る。モーションに目に余る使い回しが見られない。
    • 立ち絵の枚数も多い。喜怒哀楽にとどまらず、すっとぼけるといったマニアックな表情も用意されていたりする。
  • 懐かしさのある点
    • 黒板にラクガキしたり、駅にあるポスターに画鋲でいたずらしたりなど、小学生のころにやったいたずらを実際にすることが出来る。
    • カセットで録音する際に、家族に静かにしていてもらうようにお願いする必要がある。
    • なつかしの昭和歌謡もBGMとして収録されている。秘密基地のラジカセだったり歌謡ショーで録音したものを介して聞くことが出来る。
    • 大半はインストルメンタルだが、本人の歌声そのものが収録されている物も。

賛否両論点

  • フラグ管理が複雑
    • ストーリーのフラグは好感度に関連して発生することもあるが、それ以外にもプレイヤーが出歩いて遭遇した小イベントや、本当に何気ない会話や手に入れたアイテムが、翌日以降のイベントやあるいはエンディング分岐の伏線になっていることが多い。
    • やりこみ要素に感じるか、面倒くさい仕様に感じるか、意見が分かれるところと思われる。
    • グッドエンド・バッドエンドといったものがないので気楽にはできるが、エンディングにて特定のイベントを狙って引き起こすのが非常に難しい。
      • 特にクラスのマドンナ扱いされている「はるみ」とのイベントはかなり繊細なフラグのもと管理されている。エンディングの際に彼女が見送りにきてくれるかどうかが一種のやりこみになっているきらいがある。
    • ひみつ基地で女の子と記念撮影するイベントがあるが、このイベントが7/11に秘密基地に出向く等かなり限定的な発生条件をしている。
    • どのキャラがどの時間帯にどこにいるかはある程度法則性があるが、ゲーム中に表示されるわけではないのでプレイヤーが覚えていかなくてはならない。
    • セーブデータも2箇所以上に増築できないので、バックアップを取っておいて試行錯誤できない。ゲーム中に起こしたイベントがどうエンディングに影響しているのか判断しづらい。
  • 一部ミニゲームの操作性
    • ホッピングやフラフープといった子供の遊びがミニゲームとして遊べるのだが、繊細な操作を要求するものが多い。
    • うまくいかない具合が現実の遊びの再現になっているという見方もある。やる意味が弱いという意味では問題点だが、雰囲気作りでは評価点。
      • ケンケンパの難易度が高い。小6なのにケンケンパが満足に出来ないのは違和感が強い。
    • 「はるみ」ちゃんにゲームを持ちかけた際にもらえるスー消しが強い。とくに相撲ではゲームバランスを崩壊させかねない。

問題点

  • 収録されている遊びの少なさ
    • 昆虫採集や、野球や鬼ごっこ、ベーゴマ等といったアクション要素の強い遊びが収録されていない。
    • スー消し・めんこ・あられ屋のミニゲームはタッチペンを使ったアクションゲームの要素こそあるが、その他のゲームは、システム的にAボタンの押すタイミングを競うゲームの域を出ていない。
      • 鉄棒・階段の手すりすべり、おてんと参りは、プレイヤーの技量が上がっていくタイプの遊びではない。むしろ日課としての作業的な側面が強い。
  • マップ関連
    • 時間の流れを「ゆっくり」にしていれば、放課後1日分でマップのひととおり全てまわり切れてしまう広さ。シナリオに応じて新たにいけるようになる場所も少ない。
    • ひみつきちでやれることが少ない。会話をしようにもあつし、カズ、よっちゃんが居ない時間帯の方が多く、結局秘密基地前においてあるホッピング、フラフープ、水切りで遊ぶことになりがち。
  • 登場人物が限定されている
    • ゲーム中で会える登場人物のほぼ全てが6年のクラスメイト。
    • どんなに昭和街を闊歩してもクラスメイトばかりに遭遇し、主人公の両親、担任の先生、あられ屋のおばちゃんの4名以外の大人がまったく登場しない。
    • 6年のクラスメイト以外の登場人物もほぼいない。街中で出会えるのは妹と妹の友達ぐらい。
      • もっともゲームの要領上これ以上の登場人物を出すのも難しかったのだろうが。
    • せっかくグラウンドや空き地があるのに、遊んでいる生徒が殆ど見られない。
  • 同じような会話を見なくてはならない
    • シナリオ1周目と2周目とではストーリーの内容がかなり変わるのだが、3周目以降に何か変化があるわけではない。強制で起こるイベントなどもあるがこれらをスキップできない。
    • 時を改めて話しかけたのに、同じクラスメイトからまったく同じ会話をきかされること多々。
  • 好感度のシステム
    • 秘密基地仲間からの好感度と、特に接点がないクラスメイトからの好感度が同等に扱われている。1ヶ月間の短い間なのに、やたらと増減する機会があるのもややおかしい。
    • 似たような会話を聞いているだけなのにグングン好感度が上がっていくケースもあり、違和感がある。
    • 会話中に、選択肢が出ることがあるが間違いを選ぶと即座に好感度低下につながることも。選択肢も互いに似ているようなものもあり、どれが正解なのか判断がつきにくい。

総評

収録されている遊びや登場人物が限られていたり、似たような会話を見続けなくてはならないシステムはマイナス点ではあるが、全体的に昭和時代、あるいは小学生時代の懐かしさを演出する雰囲気はばっちり。やりこみで真価が発揮されるイベントというものもあるが、全体的に放課後という限られた時間の中でもきちんと人間物語が繰り広げられる点は見所である。

最終更新:2023年11月16日 13:54