この記事は『ならず者戦闘部隊 ブラッディウルフ』のアーケード版(判定なし)とPCエンジン版(良作)を解説しています。



ならず者戦闘部隊 ブラッディウルフ

【ならずものせんとうぶたい ぶらっでぃうるふ】

ジャンル アクションシューティング
対応機種 アーケード
発売・開発元 データイースト
稼働開始日 1988年
プレイ人数 1~2人
判定 なし

概要

データイーストが制作した『戦場の狼』や『』などのような見下ろし型のアクションシューティングゲーム。
ただし、それらが上方向へ進むのに対し、本作は横方向や下方向へスクロールする場面も存在する。
デコゲーらしい特徴的な台詞回しが印象に残る作品である。


ストーリー

ペンタゴン最高機密部隊「ブラッディウルフ」に所属する2人の兵士に緊急指令が下った。
謎の傭兵部隊に拉致された大統領を無事に救うのだ。ワカッタカ!? ワカッタラサッサトイケ!


特徴

  • 操作は8方向レバー+3ボタン(メインウェポン、ジャンプ、サブウェポン)。
    • メインウェポンは遠距離だと手持ちの銃火器を使い、接近していると自動的にナイフに切り替わる。
    • 本作のステージには段差があり、段差の上にいる敵や土嚢の後ろにいる敵にはメインウェポンの攻撃は届かない。
  • 捕虜を助けたり木箱を開けると強力な武器を入手する事がある。
    • メインウェポンは初期装備のマシンガンのみ無限だが、他の武器は弾数制限があり、使い切るとマシンガンに戻る。
    • サブウェポンは初期装備の手榴弾を含めて全て弾数制。手榴弾以外は使い切ると手榴弾に戻る。
      • サブウェポンの中には火炎放射器など銃器に近いものもあるが、全て地形を貫通可能。
    • 他に攻略に必須となるサブアイテムを入手することもある。
  • 時折バイクに乗った敵が登場し、通り過ぎる前に倒せば奪って乗ることができる。
    • バイクは前方に攻撃しながら疾走でき、手榴弾など以外には無敵。時間経過でガソリンが減っていき、ゼロになると爆発してしまうので爆発する前にサブウェポンボタンで降りる必要がある。
  • ライフ+残機制。
    • ライフは3回まで攻撃を耐えられるが、一部の攻撃は一撃死の場合もある。復活はその場復活。
  • 全7ステージ。1周エンド。

評価点

  • 独特の台詞回しとノリ
    • 本作最大の特徴。カタカナと英単語だけで展開される会話は台詞のおかしさも合わさって強く印象に残りやすい。
      ゲーム開始直後の司令官からの「ワカッタラ サッサト イケ!!」というやたら高圧的な言い回しや2面中ボスの「アツイゼ、アツイゼー アツクテシヌゼーッ」*1などは非常に有名。
    • ストーリーもデコお馴染みの大統領救出から始まり、ナイフ狂の男とのナイフ対決、なぜかブーメラン使いのラスボスなど印象に残る場面多数。ナイフ男とは2度戦う機会があるが、そのオチもまた面白い。
      敵に占拠された町中からジャングルの沼地や川を越え、敵基地へ潜入していく。泥臭い展開と濃ゆいグラフィックが合わさってB級映画らしさ全開となっている。

問題点

  • あまり活かされていないジャンプ
    • この手のゲームには珍しくジャンプが採用されているが、ジャンプしながらの攻撃は不可能。敵弾も自機の高さに関係なく当たるため回避に使えるのはボス戦などの一部場面のみ。
    • 挙動も常に一定速度で動く、いわゆる「デコジャンプ」なので慣れが必要。飛び石地帯では慣れないと落下しやすい。
  • 難易度の高さ
    • 序盤から敵が多く、独特の軌道で飛んでくる手榴弾や突撃兵、自爆兵、火炎放射など回避しにくい攻撃*2もあって全体的なゲームバランスは高難度。
      ボスの攻撃も苛烈で、メカ系のボスはバラ撒き弾を完備。戦車タイプのボスの高速で飛んでくる主砲など回避しづらい攻撃を織り交ぜてくる。
    • 前述のナイフ男戦以外でもナイフしか使えなくなるイカダやラスボス戦、最後の脱出など強制的にナイフしか使えなくなる場面があり、特に後者2つはボスの強さや大量の敵もあってクリア最大の壁として立ちはだかる。ラスボス戦はサブウェポンも封じられてしまう。
    • アイテムなどが置かれている屋内に入って戻ると敵を消せるので、上手く利用すると楽だが、それでも物量はかなり多め。

総評

デコらしさ全開の熱いシナリオ展開が非常に印象に残りやすい一本。
高難度なバランスもあってゲームとしての出来は微妙なところに収まっているが、それらを補って余りある魅力のあるゲームである。
そして、そのポテンシャルは家庭用移植にて花開くのであった……


ならず者戦闘部隊 ブラッディウルフ (PCE)

【ならずものせんとうぶたい ぶらっでぃうるふ】

対応機種 PCエンジン
メディア HuCARD
発売日 1989年9月1日
定価 6,500円
配信 バーチャルコンソール:2007年4月10日/600Wiiポイント(配信終了)
プロジェクトEGG:2016年10月11日/500円(全て税抜)
判定 良作

概要(PCE)

PCエンジンへの移植版。家庭用に様々な変更が行われたアレンジ移植となっており、ゲーム性こそ同じだが内容は大きく異なっている。

特徴・評価点(PCE)

  • ストーリー・ステージ構成の変更
    • 1人プレイ専用に変更され、AC版の1Pにあたる「EAGLE」と2Pにあたる「SNAKE」からプレイヤー選択を行えるようになっている。選んだ主人公によってエンディングが変化するようになった。
    • ステージ構成はAC版から大胆に順番を入れ替え、AC版のラストステージが4面に変更。大統領もこの4面で救出してしまうのだが、今度は最初に選んだプレイヤーキャラが囚われてしまい、5面からは選ばなかった方のキャラが相棒を救出するため活躍するというこれまた熱い展開が用意されている。
    • この展開に合わせて新規ステージも1つ追加。ラストステージではオリジナルの中ボスと真のラスボスがプレイヤーを待ち受ける。
+ 終盤ネタバレ
  • ラストステージ終盤にてプレイヤーは洗脳された主人公と対峙することになる。宿命の対決の果て、洗脳が解けた主人公が再びプレイヤーキャラとなり、最後の戦いに挑む非常に熱い展開になっている。
  • ステージ間には次の目標について語るAC版にはなかったデモも追加されている。
  • なお、会話はAC版をしっかり再現しており、有名な台詞も(若干アレンジされつつ)しっかり収録されているのでファンも安心。
    ステージ設計はAC版を再現しつつ新しい敵やトラップも登場し、アレンジされている。他にも特定の場所を撃ち続けると出現する隠しボーナスキャラなどのフィーチャーも追加された。
  • BGMのアレンジ
    • AC版から大きく評価を上げた要素の一つがBGM。もはや別物のごとくアレンジされており、人気の高さに貢献している。
    • 裏技としてサウンドテストも用意されている。
  • ゲームバランスの改善
    • AC版に比べるとボスの弾の量が減ったり攻撃タイミングが分かりやすくなり、高速弾の速度も低下。敵の出現数も減らされているため全体的に難易度が落とされ、遊びやすく改良されている。
    • イカダでの川下りで銃が使えるようになるといった変更も。AC版最後の難所だった大統領との脱出も敵の数が減ったためクリアしやすくなった。
    • 一方、弱ボスだった1面中ボスのショットガン・マンにダメージを与えていくとザコを呼び出して壁にする戦法を使うようになる(それでも弱いが)などの強化・弱点の変更なども行われている。
    • 新たなアイテムとして「パワフル手榴弾」「筋肉増強剤」が登場。
      • パワフル手榴弾は投げると爆風が広がる強力な手榴弾で、非常に使い勝手が良い分、弾数は少なめ。
      • 筋肉増強剤は取得した時点でライフの最大値が1つ増え、ライフが全快する。
  • 隠しモードの搭載
    • ゲームをクリアすると隠しコマンドが表示され、このコマンドを入力すると「ならず者戦闘部隊 ブラッディウルフ2」が始まる。
      • キャラクターの移動が高速化した高難易度モード。より難しいゲームを楽しみたいプレイヤー用の2周目。
    • さらに「2」をクリアすると新たな隠しコマンドが表示され、「ならず者戦闘部隊 ブラッディウルフ3」が遊べる。
      • このモードではジャンプが空中浮遊に変化し、自由自在に空を飛びまわれるようになる。一部ボスの攻撃を完全無力化できるようになったりと、見た目にも面白いバカゲー的ゲームに変化する。

賛否両論点(PCE)

  • 残機がなくなり、ライフを全て失った時点で死亡するようになった。コンティニューは各ステージ5回まで。
    • コンティニューは戻り復活になり、アイテムや増加したライフも全て失うようになったので、ごり押しが通じなくなった。
    • 一応、裏技で無限コンティニューが用意されている。

問題点(PCE)

  • 性能のせいか、処理落ちが多く発生するようになった。
    • 特に青服のマシンガン兵が登場する場面で顕著。これが2人プレイが削除された原因と思われる。
    • また、AC版にあった合成音声はボスの断末魔以外は削除されている。

総評(PCE)

BGMの強化やバランスの調整など全面的に改良が施された良移植にして良リメイクと言えるゲームに仕上がっている。
若干の劣化はありつつも、その劣化を逆手に取って改変されたストーリーも好評で、結果的にAC版以上の評価を獲得するに至った。

余談

  • 続編的な作品としてアーケードで『サンダーゾーン』が稼働した。EAGLEとSNAKEも主人公として登場する。
  • 更にジャンルをガンシューティングに変更し、『リーサルエンフォーサーズ』張りの実写取り込みグラフィックと「銃口を上に向けて銃底のスイッチを押すことで弾丸をリロードするシステム」が特徴的な『ガンハード』という続編も登場したが、出回りはかなり悪かった。
    • ストーリー上としては正統的な続編になるのだが、ストーリー以外に共通する部分は特になく、EAGLEとSNAKEは登場していない*3
  • 2023年、アーケード版から35年の節目にサウンドトラックが発売された。アーケード版とPCエンジン版の音楽を収録している。

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最終更新:2023年06月13日 02:44

*1 『北斗の拳』が元ネタと思われる。

*2 移動方向に攻撃するシステム上、突っ込んでくる敵が天敵になっている。

*3 言うなればプレイヤーは「名も無きブラッディウルフのメンバーとして戦いに挑む」というシチュエーションである。