夢大陸アドベンチャー

【ゆめたいりくあどべんちゃー】

ジャンル アクションゲーム
対応機種 MSX
メディア 1Mbitロムカセット
発売元 コナミ
発売日 1986年10月28日
定価 4,980円
プレイ人数 1人
配信 【Wii】VC : 2009年11月24日 / 800Wiiポイント(税5%込)
【WiiU】VC : 2014年1月29日 / 838円(税10%込)
プロジェクトEGG : 2014年4月11日 / 550円 (要月額料金550円)
備考 携帯電話版・Wiiバーチャルコンソール版は配信終了
判定 良作
ポイント 前作とは比べものにならない程パワーアップしたゲーム性
グラフィックや音楽のクオリティもアップ
ただし難易度も大幅アップ

概要

MSXとファミリーコンピュータで販売された『けっきょく南極大冒険』の続編となる作品。

主人公のペンギン、「ペン太」が不治の病にかかった「ペン子姫」を助けるため、病を治すことができる「ゴールデン・アップル」を夢大陸まで走って取りに行くというアクションゲームである。

前作の障害物を避けつつ時間内にゴールを目指すシステムはそのままに、ステージのバリエーションやギミックの追加、敵キャラやボスの登場、アイテムやショップシステムの導入など大胆なアレンジ要素が追加された。

ストーリー

昔々ペンギンたちは幻の国“夢大陸”で平和に暮らしていた。そこにはどんな病もたちどころに治すことのできる“ゴールデン・アップル”と呼ばれる黄金のリンゴの木があり、彼らはその木を大切に育てていた。
ところがある日、鳥を鳥とも思わない凶暴な肉食恐竜“フリーザウルス”の群れが攻め寄せ、ペンギンの国、夢大陸を侵略してしまった。ペンギンたちは大陸を追われ、別の地に逃げのびた。
長い歳月が流れ、ペンギン王国は再び平和と繁栄を築き上げつつあった。だが喜びもつかの間、不治の病が流行し、王国内に広がり、ついには宮殿内にまで入り込み、王国のペンギンたちの心の支えであるペン子姫までがその病にかかってしまったのだ。
この病を治す方法はただ1つ、夢大陸にあるゴールデン・アップルの実を持ちかえり病人に食べさせる以外になかった。だが、夢大陸には宿敵フリーザウルスがいる――!
ペンギン王国の王様は1人の若きペンギンを呼び寄せ願いを託した。「姫の命を、そしてペンギン王国を救えるのはあなたしかいない!」と。
若きペンギンは1枚の地図を受け取り宮殿を後にした。行く手には何が待ち受けているのか!? ペン子姫の命は助かるのか!?
(※ 夢大陸アドベンチャー マニュアルより転載)

前作のからの変更点

  • ステージ数とステージバリエーションの大幅追加。
    • 前作では10ステージしかなかったのに対し、今回は24ステージと大幅にアップ。
      • ステージ構成は前作と同じく大陸を1周する形式だが、本作ではストーリーの肝となる「ゴールデン・アップル」の入手イベントが中間地点として12ステージクリア後に設定されている。クリア後は折り返しポイントとして難易度が格段に変わる。
    • ストーリーで語られているような夢大陸の世界観に合わせた様々な風景が用意されており、氷上に限らず森林や洞窟を走り、渓谷や海中を泳ぎ、さらには宇宙に飛ぶ*1などして駆け巡る。
      • ただの風景違いで終わらず、ステージごとに敵や障害物などのギミックが違うためプレイヤーを飽きさせない構成となっている。
      • ステージ中の隠し要素としてワープゾーンも健在。一定のステージをスキップできる。
  • 敵キャラの大幅増加、かつボスの導入。
    • 前作はアザラシ*2だけだったが、今作では様々な敵キャラが大幅に追加。
      + 敵キャラ一覧
      • スライム: ピョンピョンと跳んで来るスライム。同じ場所を跳んで来るだけでこれと言った攻撃は行わない。
      • ウニヤー: 水中ステージ限定で登場するウニ。ペン太と同じ高さで左もしくは右から移動してくる。
      • ハリセンウニ: ウニヤーの亜種。上下にジグザク動きながらペン太に向かってくる。海中のほかにも海上や渓谷ステージでも出現する。
      • 北極コウモリ: 上空に出現する蝙蝠。プレイヤーにめがけて敵弾を撃つほか、自ら飛んで来ることもある。
      • イカスミ: 海中ステージ限定の敵。上から墨をペン太にめがけて墨を吐く。墨に当たると死ぬことはないが代わりに視界が暗くなる。
      • スマイル: 笑顔をした黄色い丸い玉。奥空中から2匹一体で回転しながら飛び、プレイヤーにめがけて敵弾を撃つ。
      • ムンムク: 上空に現れる雲。常に移動ながら雷を落とす。
      • ファイヤー: 炎の弾。クレバスからペン太にめがけて飛び出してくる。
      • ボンバー: 炎の弾。ファイヤーとの違いは上空から地上にめがけて落下してくる。
      • モコモコ岩: 地中から盛り上がるモノリスのような岩。プレイヤーが近づくと同時に盛り上がってくる。
      • ベガ: キラキラと音を立ててやってくる壁のような敵。後述するアイテムを使用しないとペン太には一切見えない。
  • さらにボスキャラとして「フリーザウルス」が登場。3面ごとにゴール地点でボスが待ち構えている。
    • ボスの前に設置されている杭をジャンプで打ち込むか、後述するアイテム「ガン」のショットを20発当てると倒せる。
    • 通常の敵キャラと違いボスは1種類のみ。色違いが出てくるが攻撃パターンと耐久率はすべて同一。
  • アイテムシステムの追加。
    • 本作はプレイヤーを手助けしてくれる要素としてアイテムが追加。アイテムを所持していることで有利に進められる。
    • 一部を除き入手すれば効果は永続するため、残機もしくは特定の方法で行えるコンティニューを行っても失うことはない。
      + アイテム一覧
      • ガン: ショットが撃てるようになる。飛距離が短く連射もできないが、一部の敵やボスを倒すことができ、攻略のしやすさが全く違うため本作においては必需品となる。
      • スピードシューズ: 最高速度が2ゲージアップする。
      • プロペラ: ジャンプ時の滞空時間がジャンプボタンを押す長さに応じて可変となり、未取得に比べて最大の滞空時間が倍近くになる。ファミコン版『けっきょく南極大冒険』にも似たようなアイテムがあるが、それとは別物。
      • 黄金の羽根: ジャンプ中に左右に操作ができるようになる(いわゆる空中制御)。
      • 指輪: 水中ステージに存在するイソギンチャクに当たってもよろけなくなる。
      • ネックレス: ショップに設置されているスロットが3回限りではなく、魚を所持している限り永続する。
      • 眼鏡: 見えない敵「ベガ」が見えるようになる。購入したステージ、もしくはその次のステージでのみ有効。
      • トーチ: 水中面で出現する敵「イカダス」の墨に当たっても視界が黒くならない。
      • 金のヘルメット: 雷攻撃を防げる。3回防ぐと消滅する。
      • 銀のヘルメット: 「ウニヤー」や「ハリセンウニ」の敵に当たっても死亡しなくなる。3回防ぐと消滅する。
      • ベル: ワープゾーンであるクレバスに近づいたら音が鳴る。
      • 腕輪: これを所持していると所定の条件を行う事により隠しアイテムが出現する。本作においては隠しアイテムの方が効果が高いため、ガンと同等レベルでの必需品。
      • 地図: 特定のステージで登場。地図が出現するステージにおいて持っていないと無限ループに陥りクリアできない。
  • アイテムは基本的に、小さなクレバスの穴に落ちて入る事ができるショップで購入できる。
    • ショップは物々交換制で、所持している魚の数によってアイテムを交換できる。なお魚は、ステージ上に設置されているフジツボから勢いよく飛び出してくるのをキャッチすることで入手する。
  • さらにショップにはスロットが設置してあり、スロットの絵柄によって魚を増やすことが可能。
    • スロットに挑戦できる回数は3回だが、ネックレスを所持していると魚を所持している限り挑戦できる*3
  • ショップには3種類あり、入る場所によって通常の価格で売るショップ、通常の2倍の価格で売るショップ、好きなアイテムを1つ貰えるサンタクロースが存在する。
  • 他にも特定の条件で入手できる隠しアイテムも存在する。
    • これらは通常のアイテムよりも効果が高いものが多く存在するため、攻略する上では必需品となる。
    • 隠しアイテムの効果と入手方法については後述。
  • パワーアップハートの追加
    • 上記アイテム群とは別にお助けアイテムとしてパワーアップハートが登場する。ステージ中に右から現れて、ジャンプをするたびに色が変わる。プレイヤーがハートを取得した色によって各効果が違う。
      • 赤: スコアが1000点増える。
      • 緑: タイムが50増える。
      • 水色: 筋斗雲が出現し飛ぶことができる。ただし、一定時間もしくは地上に着地すると効果は切れる。
      • 黄: 無敵になる。体当たりで敵を倒せるほか、一部障害物を破壊できる。一定時間もしくはボス到着で効果が切れる。
  • マルチエンディングの導入。
    • 前作はループ制だったのでエンディングは存在していなかったが、本作は全ステージ突破時にエンディングが搭載された。
    • さらにプレイヤーの行動によってエンディングが違うというマルチエンディング方式を採用している。
    • そのため、本作は前作と違いループ式ではなくなった。

評価点

  • 前作とは比べものにならないほど進化したゲーム性。
    • 前項の変更点からもわかる通りレースの要素が強かった前作から一転、様々な追加要素が多数実装されアクションのゲーム性が強くなった。
    • ステージを巡るたびに敵が登場したり、ボスが待ち伏せていたり、ペン太が泳ぐステージが出てきたりとプレイヤーを飽きさせない構成となっている。
    • 「南極を走って1周するだけ」のレースを行う単調なシステムだった前作とは違い、本作は立派なアクションゲームに仕上がっている。
      • とは言え前作は「教育ソフト」*4の立ち位置だったので、方向性が全く違う前作と本作を比べるのはまた違うのかもしれないが。
  • 世界観にこだわったグラフィック。
    • 少ない色数にもかかわらず描かれた風景は全体的にクオリティが高く、まるで本当に大陸を走っているかのように思わせる。
    • 本作は三人称視点で奥行きも描かれており、奥からやってくる敵や障害物などが細かく描かれている。
    • 主人公のペン太もステージゴール到着時やボスを倒した際のリアクションがかわいく描かれている。
  • 完成度の高い音楽群。
    • ステージの光景ごとに専用の音楽が用意されており、どれもクオリティが高い。
      • 森林ステージでは森の中の道を進む冒険感あふれる曲や、渓谷ステージでは川を駆け抜ける疾走感のある曲や、海中ステージでは海の中をイメージした幻想的な曲など、ステージやシーンに似合った曲調がプレイヤーを魅了させる。
    • 高いクオリティにもかかわらず本作はPSG音源のみで構成されている。
      • コナミのMSX作品はSCC音源という特殊なチップをROMに組み込むことでクオリティの高い音楽を作った事で知られているが、本作はSCCが初採用された『グラディウス2』より前の作品にあたる。
      • PSG音源のみで構成された本作はまるでSCC音源を導入したかと錯覚するようなクオリティの高い作品に仕上がっている*5

賛否両論点

  • 前作同様、癖のある操作性。
    • 前作の『けっきょく南極大冒険』と同様に操作性に癖がある。
    • 本作は走るだけに留まらず泳ぐステージもあるが、これもまた操作性に癖がある。
    • その上、本作はタイムオーバーに限らず敵キャラや一部障害物に触れても死亡して残機を失うので、慣れないうちはボス戦へ到着する前にゲームオーバーになることが多い。
    • ただ、移動をサポートしてくれるアイテムが存在するため前作と比べるとアイテムさえ持っていれば操作はしやすくなっている。
  • 全体的に高い難易度設計。
    • 前述の通り癖のある操作性に加えてステージを進む度に障害物や敵が増えるため、結果として進むたびに難易度が格段に上がる構成となっている。
      • 初プレイ時、それまではノーマークだったクレバスから高速で飛び出てきたファイヤーになすすべなくやられてあっけにとられたプレイヤーは多いだろう。まさに初見殺し。
      • 障害物に当たるとペン太がよろけて一時的に操作できなくなる(通称:おっとっと)のだが、「おっとっと」中であっても当たり判定があり、その間に敵や敵弾に被弾すると残機を失う。障害物と敵が増えると障害物に当たって敵弾に当たりそのまま死亡する機会が多く、これもまた難易度の上昇につながってしまっている。
      • 障害物は「おっとっと」するだけのもの限らず、当たったら即死判定になるものも存在する。その中でも難しいとされる障害物が水上ステージ(渓谷および海上ステージ)限定で出現する流木。当たり判定が広いにもかかわらずジャンプのタイミングが難しく、速い速度で飛び越えようとすると判定が非常にシビアになる。
    • ゲームの折り返しポイントである「ゴールデン・アップル」の取得後は更に難易度が激化する。
      • 折り返し後は新たな敵キャラの登場や即死系の障害物の増加はもちろんのこと、ステージ中の走行距離が長くなる。
      • 終盤のステージでは距離(DIST)が1000を超えており、激しい敵の攻撃を避けながら長い距離を走り抜く必要がある。
    • 激しい攻撃が続くものの、ステージ中に登場するアイテムやパワーアップハートの無敵を駆使すれば突破は可能なレベルには調整されている。
      • 言ってしまうとアイテムをある程度揃えた上でハートの無敵を延々と取っていればゴリ押しでクリアは可能*6
    • 本作にはステージをスキップできるワープゾーンがあるのだが、強力なサポートが得られる隠しアイテムが特定のステージでしか出現しないためワープを駆使するとさらに難しくなり、救済処置としてはあまり成り立っていない。
  • 事前情報無しでは解らない隠しアイテムの扱い
    • 本作では特定の条件によって隠しアイテムが出現するのだが、その条件が事前情報なしではわからないものとなっている。ゲーム中においてもヒントを示す情報は一切出てこない。
    • これらの隠しアイテム群は本作においてかなり有利に進められることから、ゲームを進める上では必需品となっている。
    • 隠しアイテム群が簡単に出現させられるのであれば話は別だが、一部アイテムを除きノーヒントでは出現させることができないアイテムばかりである。
      + ネタバレ:隠しアイテムの効果と出現条件
    • 前提条件としてこれらの隠しアイテムを出現させるには腕輪が必須となる。腕輪がない場合は条件を満たしていても出現しない。
      • クロスシューズ: 左右の移動速度が速くなる。ステージ6でジャンプ中に魚を5回取得すると出現。
      • 白衣: 岩や流氷に当たっても即死せずおっとっとで済むようになる。ステージ9でボーナスステージへ突入する羽を取って上昇中にジャンプキーを10回連打。*7
      • カーブシューズ: カーブ中に遠心力を受けなくなる。ステージ13でカーブの最内側を3秒以上走ると出現。
      • 法王の冠: 「ファイヤー」と「ボンバー」に当たっても死ななくなる。ステージ14でクレバスに落ち、嵌ってジタバタしている最中にキーボードで左右と入力すると出現*8
      • 鎧: 地中から出現する「モコモコ岩」に当たっても即死せずおっとっとで済むようになる。ステージ16でポーズボタンを押した後、上、右、下、左という順番で入力したのちポーズを解除すると出現。
  • このように隠しアイテム群は出現させるための手法が必須であり、ゲーム内はおろかマニュアルにも記載されていない。ある意味裏技に近いような立ち位置で、攻略情報なしでは知る術がない。

問題点

  • わかりにくいコンティニューシステム
    • コンティニューはレベル選択画面において、キーボードで「NORIKO」または「KAZUMI」を入力することでゲームオーバー時にF5キーでコンティニューが可能になるというもので、あくまで隠しコマンドの扱いだった。
      • コンティニュー時、「NORIKO」の場合はそれまで所持していた魚の所持数を失うのに対し、「KAZUMI」は魚の所持数に加えてアイテムも全て無くなる。
    • 入力の成功の有無に関わらず音どころか画面の変化もないため、コマンドが成功した事がわからない。コンティニューに成功したかどうかはゲームオーバーになって初めて判明する。
      • 終盤まで進めてコンティニューに失敗していた事がゲームオーバー画面で判明し、今までの苦労が水の泡……という事もあるかもしれない。
    • そしてこのコンティニューシステムはWiiバーチャルコンソール版にとって大きな問題となる。
      • バーチャルコンソールは基本的に、MSXのシステムをそのまま再現している。そのため、バーチャルコンソールで使われるゲームコンソール用に調整されておらず、代わりにUSBキーボードを使用することで当時の操作感を再現できる。
      • これは即ち USBキーボードがないとコンティニューできない ということになり、コントローラーしか持っていないプレイヤーはコンティニューすらできない状況となる。
      • もっともこの問題は本作に限らず、F5キーを押さないとコンティニューができない作品や、キーボードがないとセーブができない作品、2周目突入の確認をキーボードのYキーもしくはNキーで入力する必要がある作品など、MSXバーチャルコンソール作品全てに言える事ではあるが。
      • なお、PS版の「コナミアンティークスMSXコレクション Vol.3」をはじめとしたキーボードを接続できない移植機種では最初からコンティニューが解禁されている。
  • マルチエンディングの条件
    • 本作を語る上では外せないある意味最大の問題点。「プレイヤーの行動によってエンディングが分岐する」まではよかったのだが……。
      + ネタバレ:各エンディングの内容
    • グッドエンドはペン太が無事に戻り、「ゴールデン・アップル」をペン子姫に渡して「再び平和がおとずれた、ありがとう!」というメッセージが表示されてハッピーエンドという内容。
    • 対してバッドエンドは 「ペン太が到着した頃には既にペン子姫は亡くなっており、姫が最期まで過ごしたとされるベッドの上に巨大な姫の遺影が飾られている。その光景を見たペン太が号泣する」 という壮絶なもの。悲観的なBGMも相まって当時のプレイヤーにとってはトラウマを植え付けられるものとなっていた。
      • 一応バッドエンドであってもスタッフロールが流れるのだが、その際に流れるエピローグの文言に「姫の救出に失敗した」と流れるので後味としてはあまり良くは無い。
    • 発売当初はその条件の不明確さ故にグッドエンドを見た人の方が少なく、バッドエンドを見る方が多かったとされる。
    • バッドエンディング画面において「SORRY! YOU ARE TOO LATE. CHALLENGE THE ADVENTURE ONCE MORE!」(日本語訳:ごめんよ!キミは到着が遅かったんだ!もう一度このアドベンチャーにチャレンジしよう!)というメッセージが表示される。
      • バッドエンドのメッセージを見た当時のプレイヤーは「もっと早いタイムでクリアする」や「ワープを使ってクリアする」、はたまた「ノーミスもしくはノーコンテニューでクリア」などの様々な条件が予想されたが、それらはすべてエンディングの分岐に関わるものではなかった。
    • その後、グッドエンドの条件が判明するのだが、その内容は誰もが予想しえなかった衝撃的なものだった……。
    • + ネタバレ:グッドエンドの条件
    • グッドエンドの条件は 「ポーズを押した回数」で決まり、「4の倍数+1回ごと(1、5、9、13…)にポーズを押した時点でグッドエンドが確定。それ以外はバッドエンド」 というもの。
      • つまり、 ゲーム中のクリアタイムなどの成績やゲーム内で行うプレイヤーの行動は全く考慮されておらず、ポーズ回数だけ調整しておけばゲームの進行状況に関係なくグッドエンドが確定する。
      • コンティニューするごとにポーズ回数がリセットされるので、最後のコンティニュー後から最終ボスを倒すまでに最低1回を押さないとグッドエンドにならない。
    • 前述の隠しアイテムの条件のうち必ずポーズを1回押す必要があるアイテムが存在するので該当の隠しアイテムさえ回収しており、かつそのシーン以外でポーズをしなければグッドエンドは見られるという想定となる。
    • バッドエンドの「到着が遅かった」というメッセージは条件としては無関係どころか、ミスリードとして成立してしまっている。当時のプレイヤーにとってまさかポーズ回数でペン子姫の運命が決まるとは思わなかったであろう。
      • 発売された当初はインターネットどころか、その前世代の通信媒体にあたるパソコン通信も普及していなかった時代なので、この情報を知る術は当時の専門誌に掲載されない限りほぼなかったとされる*9
      • なお、当時噂されていた「クリアタイムを短くすればグッドエンドが見られる」というのもガセであり、前述のポーズ回数以外でのグッドエンド条件は存在しない。
    • コナミのMSX作品においてこのような(悪い意味で)誰も予想しなかったであろうエンディング条件は本作に限らず、『沙羅曼蛇 (MSX)』においても同等の問題*10が挙げられる。

総評

前作のレースを行うだけのゲームからありとあらゆる要素を導入し立派なアクションゲームとして仕上がっている本作は、それこそクセのある操作性やそれに対する高難易度設計でとっつきにくさがあるものの、いざ遊べば誰もが楽しめるゲームとなっている。
前作を遊んだことがあり、本作を遊んだことが無いプレイヤーは是非とも本作を遊んでもらいたい。


移植版

下記の種類が存在するが、一部を除き2021年現在では入手不可な機種が多い。

  • PS『コナミアンティークスMSXコレクション Vol.3』
    • コナミのMSXゲーム作品をまとめたオムニバスソフト、Vol.3に本作が収録されている。
    • 本数がそこまでまわっていなかったのとゲームアーカイブの配信は行われていない関係で、2021年現在はプレミア化している。
  • SS『コナミアンティークスMSXコレクション ウルトラパック』
    • PS『コナミアンティークスMSXコレクション』シリーズのVol.1~Vol.3をまとめたもの。
    • PS版と同じく生産数が少なかったのか、こちらも2021年現在ではプレミア化。
  • i-revoゲーム
    • かつてコナミが運営していたインターネットポータルサイトのコンテンツの一つ。料金定額制で様々なゲームがPCで遊べ、そのラインナップの中に本作が含まれていた。
    • 現在はサービス終了しており、遊ぶことはできない。
  • 携帯向けコンテンツ「コナミ名作シリーズ」
    • かつてコナミが運営していた「コナミネットDX」のコンテンツの一つとして本作が配信されていた。docomoのiアプリのほか、SoftBankのS!アプリやauのBREWアプリに対応。
    • 同コンテンツ内で本作のコミカライズ版もデジタル配信されていた。
    • 現在はサービス終了につき入手不可。
  • Wiiバーチャルコンソール・WiiUバーチャルコンソール
    • USBキーボード対応。
    • MSXのVC版として本作が登場。Wiiは800Wiiポイント、WiiUは800円(税別)で販売。
    • 2021年現在、WiiVC版はサービスが終了したため入手不可。WiiUVC版のみ入手可能。
  • プロジェクトEGG
    • Windowsで遊べるゲームコンテンツとして本作がラインナップに含まれている。
    • 2021年現在も運営しており、WiiUのVCと同様に入手が可能となっている。

余談

  • 前作ではDISTがkm表記だったが故に「第三宇宙速度で疾走する」といったペンギンが走る速度をネタにされていたのか、本作のDISTは距離表記が省かれている。
  • 本作は小島秀夫氏のデビュー作として知られている。
    • 誤解されやすい話として、 本作が小島氏の"監督"デビュー作ではない。
      • 当時の小島氏のツイートによると「上長から企画サポート(アイデア出し)を頼まれて、一時期だけ参加した」とあることから、直接的な関与は少なかったと思われる。
      • 幾つかのボス戦やギミック等は小島氏のアイデアが採用されているが、企画を担当したのは全くの別人。その為なのかスタッフロールには小島氏の名前はクレジットされていない。
      • ちなみに小島氏の監督デビュー作品は、氏を語る上で知らない人はいないであろう『メタルギア』である。
    • 小島氏が監督した『メタルギアソリッド4 ガンズ・オブ・ザ・パトリオット』において、サニーというキャラクターがPSPで本作を遊んでいる小ネタが仕込まれている。
      • そして、エンディングクレジットにもちゃっかりと本作の名前が掲載されている。
      • 実際のところ本作においてはPSP版の移植は存在しない。PSPにはゲームアーカイブスとしてPS版をダウンロード購入して遊べる機能もあるが、本作が収録されている『コナミアンティークスMSXコレクション Vol.3』の配信は行われていない。Vol.1とVol.2自体は配信されているのだが……。
  • ボスステージ以外のステージではゴール時に、息を切らしたペン太が何かを思い浮かべて再び元気を取り戻すという演出がある。
    • 思い浮かべる内容は基本的に「ペン子姫」だが、残りタイムの末尾1桁が5・7・3のときに余興的に異なるものが出る。内訳は「ゴールデン・アップル」、「コナミマーク」、「モアイ」、そしてなぜか「ビール」。
      • ビールはペン太の好物という設定の話ではなく、当時販売されていた「サントリーCANビール」のイメージキャラとして「パピプペンギンズ」というペンギンが採用され人気を博していたことから取り入れたと思われる。
      • ちなみに「パピプペンギンズ」のキャラクターの外見は青色のペンギン。このデザインの影響を受けたのか、次回作の『夢ペンギン物語』やペン太が出演する『パロディウス』シリーズにおいてもゲーム中に登場するオスのペンギンはすべて似たような青色のペンギンとして登場する。
最終更新:2024年03月29日 20:14

*1 ボーナスステージ。特定箇所で出現する羽をゲットすることで、魚が一定時間取り放題のステージに突入する。

*2 進行の邪魔をするだけで当たったら死ぬことはないので、どちらかといえば敵というより障害物扱いに近い。残念ながら本作では出てこない。

*3 ただし、ドクロマークを3つ揃えてしまうと店から強制退出させられる(ドクロが揃う確率は16分の1の3乗=4096分の1なので、それ自体レアだが)

*4 『けっきょく南極大冒険』はゴール到着時に世界各国の国旗が上がり、それを覚えてもらうという目的があった。ちなみにスタート地点は日本の昭和基地付近とされる。

*5 MSXのPSG音源は矩形波3チャンネル+ノイズ1チャンネル(ノイズの出力は独立しておらず、矩形波チャンネルにミキシングする形で出力)しかなく、その中でBGMとSEを鳴らさねばならないのだが、音声制御のプログラム(サウンドドライバ)が高機能であったことが判明している。音量や音程を細かく制御してのビブラートやデチューンやLFO、コーラス効果は当たり前、複数の音程を短時間で切り替えることでの疑似和音(いわゆる高速アルペジオ)まで実現している。

*6 ハートの無敵を取って最高速で駆け抜ければ、無敵が切れる頃に次のハートが出現するようになっている。

*7 条件を満たしていれば、アイテムはボーナスステージから帰還したときに出現する。

*8 なお、ステージ14はゴール直前までクレバスが出現しない。

*9 コナミ自身が発売したコナミMSXゲーム紹介本「MSX-U」にて、当ゲーム以外の裏技情報も含めて公開された。

*10 MSXにはロムカセットを2つ差し込むことができ、『沙羅曼蛇 (MSX)』は2スロット目に『グラディウス2』を挿していないと真エンディングに必要なアイテムが出現しないというもの。