おじいちゃんの記憶を巡る旅
【おじいちゃんのきおくをめぐるたび】
ジャンル
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パズル
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対応機種
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iOS 10.0以降 Android 4.4以上 Nintendo Switch プレイステーション4 Xbox One Windows(Steam) Mac OS X(Steam)
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メディア
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ダウンロード
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発売元
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【iOS/Android】Tilt games 【Switch/PS4/One/Win/Mac】Broken Rules
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開発元
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Broken Rules
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発売日
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【iOS/Android/Win/Mac】2017年5月18日 【Switch】2018年2月22日 【PS4】2018年6月6日 【One】2019年3月4日
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定価
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【iOS】370円 【Android】300円 【Win/Mac】798円 【Switch】1000円 【PS4】1,019円 【One】1,150円
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プレイ人数
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1人
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セーブデータ
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1個
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レーティング
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【iOS/Android】全ユーザー対象 【Switch/PS4/One】CERO:A(全年齢対象)
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判定
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なし
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ポイント
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美しい絵だけで展開される物語 ゲーム内容は一本道
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概要
オーストリアのインディーデベロッパー、Broken Rulesによるパズル風のADVゲーム。原題は『Old Man's Journey』。
ひとりの老人が主人公であり、受け取った手紙をきっかけに旅に出ることになる。道中では彼の若かりし頃の様々な出来事を思い出す。
セリフや文章は一切用いられず、ごく短いアニメーションで物語が描かれる。登場人物や背景は絵本のような温かみのあるタッチで描かれている。
システム
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端的に言えば、地形を変化させて、老人が先に進むための道をつないでいくパズルゲームといったところ。
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老人
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バックパックを背負い旅をする老人。本作でプレイヤーが操作することになるキャラ。
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ゲーム画面に映る地形のどこかをPCのクリックの要領で選択すると、Googleマップのピン押しのようなことがなされる、老人はピンに向かって自動で歩いていく。(Switchやスマホ版ではタップでピン刺し操作が可能)
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尾根が隣接した2つの丘の間をジャンプで移動することも可能。逆に、尾根がつながっていない離れた丘に行かせることはできない。行かせようとすると、老人が頭に「?」を浮かべる。
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地形操作
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老人の旅することになる地形は横スクロール式の平面絵で描かれる。
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プレイヤーは地形も操作できる。具体的には山や丘、橋をある程度隆起・沈降させることができる。
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適切な丘を隆起・沈降させて、老人がジャンプで別の丘にたどり着けるように道を作るのがプレイヤーの役目。
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老人が立っている丘は隆起・沈降させられない。意外と盲点になりやすく、詰まる原因ともなりがちな要素である。
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その他
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ゲーム中は、各所に滝が出現する。老人が滝に足を踏み込むと滝つぼまで流される。
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全部で15章。中断した場合は章の最初からスタートとなる。チャプターセレクトも可能。
評価点
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ストーリー
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台詞や文字が一切登場しないにもかかわらず、絵だけで老人の半生に何が起こったのかがおおよそ判断つくようになっている。
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エンディングへのストーリーのもっていき方も良好。不安をかきたてる中盤から、心温まる終盤へのコントラストが出ている。
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絵の美しさ
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老人が現在旅をしている風景は、絵本のような暖かいタッチの絵で描かれる。一方で、老人が思い出している昔の情景は、水彩画のような繊細なタッチの絵で描かれているのでコントラストになっている。
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地形に干渉できるという点
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地形を変えて先に進ませるというシステムは、なかなか昨今のゲームでは珍しいものと思われる。
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滝にタッチすると水が跳ね除けられたり、木々にタッチすると風で揺れたりなど、ゲーム攻略に関係の無いオブジェクトにも多少の干渉が可能。
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直感的な分かりやすさ
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遊び方や攻略方法についても一切の説明がない構造だが、適当にポインタを動かしカチャカチャ動かしているだけで、何をすれば何が起こるかすぐ理解できるように作られている。
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操作系こそ分かりやすく作られているが、ゲームとして単純すぎるわけではなく、それなりに頭を使って進むようにもなっている。
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動かしやすく快適なのに単純作業で終わるわけでもないという、この塩梅が非常に絶妙。
賛否両論点
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老人の足の遅さ
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場所を指定してから老人がそこにたどりつくまでにかなりの時間がかかる。本当に終盤になってからようやくトラックの荷台に乗せてもらいすばやく移動できるようになる一幕があるが、最初からトラック並みの速さで動いて欲しかったところ。
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ただし、ゆっくり歩いてくれるおかげで、過剰に急かされることなく謎解きに専念できる面もある。美しく牧歌的な背景を楽しむ意味でも、ゆったり歩く老人のペースは上手く働いている。
問題点
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目的地が分かりづらいことがある
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ゲームは原則1本道なのでたいていは道なりに進めばいいが、どこがゴールなのか分かりづらいマップ面もあるにはある。
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地形もすべて表示されるわけではなく、老人の近くの範囲のみに限定されて表示される。そのため目的地がゲーム画面にきちんと映らないことがある。
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特定の地形を動かさないと足場や進行方向、ギミックが隠されていて見えなかったり、老人をなんの目印もない特定の場所へ移動させるまで先が見えなかったりする章も存在する。
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この手の仕掛けは適当に動かしていればすぐにわかるし、こうしたやや意地悪な仕込みはたいていの場合、ストーリー上の演出を兼ねていたりもするのではあるが。
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ゲーム性の薄さ
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本作では、ほぼ道を作る作業をこなせばいい。頭を使うポイントもさほど無く、子供でも簡単にクリアできるような難易度。
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ボリュームが少ない
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1~2時間でやりこなせてしまえる。また一度クリアしてしまえばもうやることが無い。何かしらのアイテムを収集するといった要素も皆無。
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スマホ版以外の価格が1000円程度だが、これでも割高に感じるプレイヤーはいるのではないか。
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水増し感のない軽快なボリューム設定で、世界観を堪能しきって終えられるという考え方もできなくはないが。
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章をクリアしないとセーブされないので中断しづらい
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こまめに章分けされているため、序盤はそこまで困る要素でもない。
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しかし後半の章はそこそこ長めで、複数のギミックを攻略する必要も出てくるため、最初からやり直しとなると面倒くさく感じられてくる。
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先述した老人の足の遅さも、同じギミックを解きなおす際の鬱陶しさを加速させてしまう。
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セーブのシステム自体がわかりにくい
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本作は章をクリアするごと自動的にセーブされているのだが、そのことを示す情報が一切なくて理解しづらい。
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このため、そもそも中断していいのかどうかが判断できず、やめ時に困る問題が発生する。
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いくら本作のボリュームが控えめとはいえ、一気に通しでクリアするには少々長い。特に解法を知らず遊び方も手探りな初回プレイで、やめ方が分からないまま焦って一気に終わらせようとすると、後半ステージはかなりストレスになってくる。簡単なはずの解き方が見いだせなくなり、投げ出す羽目にもなりかねない。
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クリア済みの章へ戻る機能も分かりづらい
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いつでも既にクリアした章に戻り遊びなおすことが可能なのだが、この機能の呼び出し方も少しわかりにくい。セーブ機能よりはまだ探しやすくなっているし、これに気づけば中断していいことも分かるはずだが。
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再回収の必要な収集要素や、重要な情報を示す隠しギミックが仕込まれているわけでもないので、気付かなくともさほど問題にならない機能ではある。ただ、自由に任意のステージを堪能しなおせるという意味からは、知っていた方が嬉しい機能でもある。
総評
地形を動かせるというところに意外性があるが、ボリュームが少なくゲームとしてはかなり簡単な部類。
絵本のような美しいグラフィックと言葉を介さずに展開する老人のドラマを楽しめる点は長所といえるか。
最終更新:2022年06月02日 20:05