ちびまる子ちゃん 「はりきり365日」の巻
【ちびまるこちゃん はりきりさんびゃくろくじゅうごにちのまき】
| ジャンル | テレビボードゲーム |  | 
| 対応機種 | スーパーファミコン | 
| 発売元 | エポック社 | 
| 開発元 | エポック社 酒田エス・エー・エス
 ポップハウス
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| 発売日 | 1991年12月13日 | 
| 定価 | 9,680円 | 
| 判定 | バカゲー | 
| ポイント | ゲーム性が浅い 奇怪なイベントの数々
 グラフィックとBGMは良い
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| ちびまる子ちゃんシリーズ | 
 
概要
「りぼん」連載の「ちびまる子ちゃん」を題材にしたゲーム作品の一つ。据置機ではFCの『うきうきショッピング』に続く2作目となる。
本作は365日のカレンダーを題材に、すごろく形式でゲームをプレイしていく。原則1日ごとに異なるイベントが設定されている。
ゲーム内容
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まずはプレイヤーエントリー。人間キャラとCOMキャラ合わせて4人まで設定可能。操作キャラは全員まる子で、プレイヤーごとに「○○○○○ちゃん」と5文字まで入力できる。
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デフォルトでは「あかいまるちゃん」「あおいまるちゃん」「きいろまるちゃん」「みどりまるちゃん」と服の色で分けられている。
 
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その後は遊ぶ月数と開始月を選ぶ。
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月数は1か月・3か月・6か月・12か月。
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完走後のエンディングは画面構成・BGMともに共通だが、プレイした月数によって背景が異なる。6か月・12か月はエピローグ(登場人物らのメタ的なやりとり)とスタッフクレジットが流れる。
 
 
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ゲームでは自分のターンで「ルーレット」「アイテム」「とくてん」が選べる。
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ルーレットの目は「鶏」「魚」が2個、「太陽」「犬」「猫」「兎」が1個ある。
 鶏は1、太陽は2、魚は3、犬は4、猫は5、兎は6進める。1と3の目が出やすい。
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アイテムは以下の種類がある。1種類につき4個まで持てる。
    
    
        | + | アイテム一覧 | 
ちょうのうりょくのもと
ルーレットの回転が遅くなる。さらに使用時のみ所謂「すべり」がなくなるため、目押しが効くようになる。他のアイテムとの併用も可。
スパイクシューズ
持っているだけで効果があり、コース中の「さかみち」を進めるようになる。坂道が出現する5月と2月でのみ使えるが、使用機会のない月でも構わず入手できる。
キャラメル
チョコレート
ショートケーキ
おふだ
持っているだけで効果があり、得点が減るイベントの減少額がそのままプラスになる。1回だけ有効。
しゅくだい
使うと1回休みになる。月末までに使い切って持ち数を0にしないとゴールできない。手持ちを残した状態でゴールに届くルーレットの目を出すと先生に注意され、そのターンを何もできずに浪費することになる。
スタミナドリンク
1回休みを無効化できる。「しゅくだい」との併用も可能(本作の1回休みはアイテムが使用可能なため)。
ふくびきけん
1枚につき1回ふくびきができる。11月でのみ使える。
ワープドリンク
へんなせかい(ふしぎなせかい)に行ける。8月と3月でのみ使える。次のステージに進むと自動的に消失する。
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これらアイテムは缶が設置されている日付に止まると入手できるが、それ以外でもイベント内で入手できる場合もある。また、各月の20日に止まると得点を使用してのアイテムの売買も行える。
 6月と10月のみ止まったマスの地面を掘る演出があり、アイテムも地面から出現するため、缶は登場しない。
 
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一部の月には「おこづかいの日」があり、おこづかいとしておかあさんから得点がもらえる。順位が高い状態で止まるほど多くの得点になる。
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「S」と書かれたマスでは全員強制的に止まることになる。
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たまにミニゲームが挟まれる。ミニゲームは以下の4種類。COMのターンでは発生しない。
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クイズ!ヒント&ヒント…著しく解像度が低かったり捻れていたりするキャラクターの顔グラが表示されるので、誰の顔かを3択から選ぶ。時間制限があり早く正解するほど多くの点がもらえる(最速で50点)が、間違えるか時間切れだと-10点。
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あくまでちびまる子ちゃんを知っている前提のクイズだが、マイナーキャラは出てこない。
 
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キャラクターあつめ…画面上のあちこちにキャラクターが現れるので、まる子を操作してキャラクターに触れる。触れたキャラクターはしばらくすると復活するのでもう1度触れられる。
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3ならべ…相手と3ならべをする。勝てば50点、引き分けなら30点、負けると1回休み。
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必ずプレイヤーが先攻。最初に中央に置くと、プレイヤーがミスしない限り引き分けになる。
 
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プレゼントあつめ…まる子の誕生日とクリスマスで発生。上から20点のテストとプレゼントが大量に降ってくるので、プレゼントだけを集める。テストを入手すると減点。
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このほか、ミニゲームではないが家族や友達との賭博イベントが発生することがある。全てサイコロ1個で行われ、1・2が出ると点を失い、3・4が出ると僅かに点がもらえ、5・6が出ると多めに点がもらえる。
 
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次のステージの順番は前のステージでゴールした順番の逆である(1位でゴールした場合は最後にスタート)。
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決められた月数を終えた時点で、「点数」の大きい順に順位が決まる。
バカゲー要素
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本作ではとにかくちびまる子ちゃんの世界観に合わないような変なイベントがやたらと多い。以下に例を示す。
    
    
        | + | 脈絡のないオリキャラ登場 | 
画面上を突如猛スピードで象が横切る→3マス戻される→まる子「やっぱり  ぞうには  かてなかったよ。」
 
まる子「どうしてまるおくんがうまってるのさ」→丸尾?「ずばり、わたしはちていじんでしょう。うおー」-10てん
 
宇宙人「オヒョヒョヒョ、もうちょうこうせん はっしゃ!!」→まる子「ヒエー、1回やすみだよ。」
 
上記のほか、「変なおじさん」「ホテルマン」「幽霊」「工事のおじさん」などのオリキャラが登場する。
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        | + | 謎の能力を発揮するまる子達 | 
花輪クン「きみはラッキーだね。なんとトップにたてるのさ。」→まるちゃんは 1ばんまえのひとと いれかわったのである。
 
おとうさん「まる子、おとうさんは なぜか はしりたくなったぞ。まる子も いっしょに あのゆうひにむかって はしろう。」→まる子「オオッ! なんと 3日もさきにすすめた。」
 
突然穴の中からロケット発射→3マス進む→丸尾「さくらさん、ズバリあなたは、にほんじんはつの、じょせい うちゅうひこうしでしょう!」+30てん
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        | + | キャラクター崩壊 | 
たまちゃん「きょうは、わたしのたんじょう日だから とくべつに インカていこくのひほうを あげるね。」
 
おばあちゃん「イーッヒッヒッヒ。 どれ、おばあちゃんが ゲームを もっと おもしろくして あげようかい。」→まる子「ヒエー、1ばんのひとが 1しゅうかん もどっちゃったよ。」
 
まる子「せんせいが うまってたよ!」→先生「さくらさん たすけてくれて ありがとう。おれいに しゅくだいをだしましょう。」
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        | + | 未知の光景 | 
まる子、突如高速で回転しながら3マス戻る→まる子「あたしゃ、グルグルまわって  きもちが  わるくなったよー。」
 
みぎわさんが過去に向かって時を駆ける→みぎわさんは さっていった。なぜか 40てん  +40てん
 
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9月のおじいちゃんのイベントでの描写
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特定の日付に止まると「わしもまる子と一緒に遊びたい」と言われ、マップ上で彼を連れて行くことになるのだが、その登場の仕方は「満面の笑みを浮かべながら異様な速さの駆け足でまる子に急接近し、背後にベッタリとくっ付く」という変質者じみたもの。
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まる子と一緒に移動する際の歩幅もやや不自然であり、場合によっては中途半端に足を開いたままマスに止まることもある。
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その後に他のプレイヤーが同じイベントを発生させると、先にイベントを起こしたプレイヤーのまる子から離れ、やはり駆け足でそのプレイヤーのまる子に鞍替え合流する。
 
 
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3月のステージの凶悪さ
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ラストステージである3月は表と裏の2つのマップで構成されており、表世界の特定のマスに止まると裏世界に強制的にワープしてしまう。裏世界はみんなの性格が反対になっており、進行方向が逆になりスタート地点に向かって1日ずつ戻っていき、マイナスイベントも発生しやすくなっている。
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そのため裏世界でゴールすることは不可能であり、裏世界を避けながら表世界のゴールを目指すことになる。
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優しいたまちゃんやおじいちゃんまでもが凶暴なキャラに変貌してしまっている。
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一応ワープドリンクを使って表世界に戻るという救済措置があるが入手がランダム。
 
 
問題点
システム面
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プレイヤーの介入の余地が少ない。
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技術介入できる要素はミニゲームくらいで、他はただひたすらにサイコロ運を祈るしかない。
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そのミニゲームでさえも毎月10日のクイズや毎月30日のキャラクター探し以外はランダムで、ちょうのうりょくのもと等で狙って起こすことは困難。
 
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他プレイヤーに干渉できる要素がほとんどない。FC時代のすごろくゲームにはありがちだが、SFCともなれば『桃太郎電鉄』シリーズなどが大成期を迎えジャンルとして成熟しつつあった頃であり、そうした当時の水準でも駆け引き要素の薄さは否定できない。
 
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一部理不尽なイベント
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5月と2月は坂道ステージのためスパイクシューズが無いと進めないのだが、たまに「先生」や「宇宙人」に没収されることがある。
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7月ではあるマスに止まるとランダムでしゅくだいを3つも入手してしまうことがある(事実上3回休み)。こうなると1位でゴールするのはほぼ絶望的。
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まる子が花輪クンと仲良くしていることに嫉妬したみぎわさんから50点も奪われることがある。
 
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全体的にすごろく先頭のプレイヤーが著しく有利。
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プラスイベントでもらえる点はせいぜい40点が関の山なのに、1位の周回(ゴール)ボーナスが200点と大きすぎる。プレイ月数が少ないとそれまでの駆け引きが無下になるレベル。
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おこづかいの日では最速だと70点ももらえるのに対して、遅いプレイヤーは20点となってしまい、遅いほどもらえる点が少ない。
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1回目と2回目では内容が変わるイベントがあり、前者の方が得をしやすい。
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マップにあるアイテム入手も早い者勝ちであるが、マイナスアイテムのしゅくだいも混じっているため一概に有利とは言えない。
 
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トップを独走していても順番が入れ替わるイベントで逆転の可能性はある。
 
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COMのAIが弱い
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アイテムの使用が消極的であり、「ちょうのうりょくのもと」を使った場合も6しか出さない。
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しゅくだいを持っているのにゴール前で進行系アイテムを使おうとしたり、20日のアイテムショップでおふだを売るといった奇行が見られる。
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せめてCOMの強さを設定できれば物足りないことは無いのだが…
 
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プレイヤー名を入力できるにもかかわらず、ゲーム中の表記はステータス画面以外「まるちゃん」で統一。イベントでプレイヤーの名前が呼ばれることはない。
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そこまでやるなら敬称を「ちゃん」以外にも設定できるようにしてほしいところ。
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すごろくのコマも色違いのまるちゃんしか使えない。まるちゃんが複数人画面にいるということ自体非日常的である。
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もっとも、ゲーム中のイベントは全てまる子の視点で展開される関係上、他のキャラをプレイアブルに混ぜるとなるとイベント差分の作成や各イベント間の整合性をとる必要が出てしまうので、こればかりは仕方がないとも言える。
 
 
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プレイ月数の選択肢が少なすぎる。6か月の次が12か月というのは極端である。
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中断セーブができない
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12か月(全ステージ)プレイする場合は相当な時間がかかり、接触不良などで途中で電源が切れてしまうと最初からやり直しである。
 
演出面
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小さいまるちゃんたちが横スクロールで日付を進んでいくだけで、マップがかなり貧相。画面上部は見事に無駄になっている。
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コース分岐もほとんど存在しない。
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イベントは会話イベントが主で、マップ上に変化が起こったりするイベントは非常に少ない。
 
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1日に1つイベントがあるのはいいが、使い回しが多く月5~10個程度存在する。
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日付をマスとして設定したことによる不自然な構図。
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「自転車に乗って2日進んだ」「3日前にあるお店に立ち寄る」など、マスの進み・戻りが全てタイムスリップのように表現される。
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登場人物(まる子本人も含む)の誕生日にはそれを祝福するイベントが発生するのだが、他のイベントで何日か戻された場合「同じ人物の誕生日を何度も祝う」という状況が発生しうる。
 
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月ごとにマップ舞台が違うのだが、これについての説明は一切ない。
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4月の桜並木の下や10月の運動会中の校庭といったその月のイメージに沿った描写もあるが、全体的には遊園地や謎の洋館など脈絡のない景色が多い。
 
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冒頭のルール説明を読んでもらえれば分かるように、覚えるまではルーレットの出目が絶妙に分かりづらい。
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なのにおねえちゃんと賭博をする時などは一般的なサイコロのグラフィックが表示される。
 
その他細かな点
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「大雨で流されている清水市民を救出する」という不謹慎なミニゲームがある。
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ゲーム内容的にはキャラクターあつめのグラフィック差し替え版であり、「触れたキャラはその場にしばらく留まり、接触判定復活のうえで再度動き出す」という仕様により見た目上は誰一人助けることができない。
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これは原作漫画及びアニメでも描かれた、豪雨の影響でまるちゃんたちが住む清水市に被害が出たというエピソードが元ネタである。無論、実際に起きた災害である。
 
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キャラクターあつめのうち「縁日」は当たり判定がおかしく、明らかに触れているのにすり抜けてしまうことが多々ある。
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また、キャラクターは高速回転しながら不気味な移動を行うので気持ち良いものではない。
 
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「へんなせかい」と「ふしぎなせかい」で表記揺れしている。
評価点
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グラフィックやBGMの質は高い。
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まるちゃんたちの絵柄は少ないながらどれも違和感なく仕上がっている。
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BGMにはお馴染み「おどるポンポコリン」と「ゆめいっぱい」が採用されている。後者はOPの再現度が高く、必見。
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他のメーカーからもちびまる子ちゃんを題材にした作品が発売されているが、これらの主題歌をSFCに収めたのは本作のみである。
 
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へんなせかいではSEひとつひとつのエコーが大きくなるという演出もある。
 
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かなりの数用意されたイベント
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一部使い回しは見られるものの、それでも300近くは用意されている。
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有名な南の島への旅行や、「わらいぶくろ」といった原作再現要素もある。
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「インチキおじさん」が登場することがあり、選択肢で望みを叶えてくれるが大抵は嘘でありマイナス効果になる。
 
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一部トリッキーな効果
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一部イベントの効果は独創性があって面白い。例えば「1マス進んで1回休み」「3マス進んで-20点」「同じマスにとどまってサイコロの目×5点を得続けるか、進むか選べる」など。
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9月では上述の通りおじいちゃんが登場することがあり、彼を同行させた状態だと一部のイベントの内容が変化する。
 
総評
キャラゲーとしてはそれなりにうまくまとまっており、グラフィックやサウンド面も当時の平均以上といえる。
しかしながら肝心のゲームシステムはお粗末極まりなく、結局ほとんど運ゲーでしかないただの双六になってしまっている。
イベントに笑うことはできるかもしれないが、ゲームとして楽しみの薄い作品になってしまったのは非常にもったいない。
余談
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名前欄を「おそいまるちゃん」にするとそのプレイヤーはルーレットが常に遅くかつ目押し可能になるハンデモードとなり、ゲームバランスが一変する。
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はまじは原作ではまる子のことを「さくら」と呼ぶが、本作では「まる子」と呼ぶ。
最終更新:2025年06月07日 13:32