サッカーリーグ ウィナーズカップ
【さっかーりーぐ うぃなーずかっぷ】
ジャンル
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スポーツ
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対応機種
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ファミリーコンピュータ
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発売元
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データイースト
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発売日
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1988年8月12日
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プレイ人数
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1~2人
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記録方式
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パスワード(数字のみ8文字)
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定価
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5,800円
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判定
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なし
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ポイント
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サッカーゲームなのにシューティング顔負けの連打ゲー 世界の強さがムチャクチャ
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概要
1988年にデータイーストが発売したサッカーゲームで、ファミコン全体のサッカーゲームでは3番目(『キャプテン翼』はシミュレーションなので除く)にあたる。
それまでのサッカーゲームと違い連打によってスピードやパワーを上げるゲーム性を取り入れている。
内容
日本・韓国・西ドイツ・フランス・アルゼンチン・ブラジル・イギリス・アメリカ8ヶ国参加のサッカーのリーグ大会「ウィナーズカップ」で優勝を目指して戦う。
典型的な勝ち点方式のリーグ戦と異なり、同点のまま時間切れの場合PK戦にもつれこみ、更に5人蹴り終わっても決着がつかない場合は差がつくまでPK戦が続くいわゆるサドンデスを行うため引分けはない。
優勝するためには7戦全勝でなければならない。これは6勝1敗の3チームによる三つ巴などにはならないということでもある。
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一般的なアクションサッカーゲームと違って、連打することで速く、強くなる。
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走る場合(ドリブル含む)Bボタンを連打するほど速く走れる。シュートもAボタンを連打するほど高くて強いボールを蹴ることができる。
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基本的にスローインやコーナーキックなどサッカーの基本的なルールに準じているが、異なる点も多々ある
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オフサイドがない。
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スローインを投げた選手がそのまま蹴っても反則にならない。
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反則を取られる(スライディングタックルの多用で取られる)と相手のフリーキックになるのは同じだが、同じ選手が二度取られると、イエローカードでもレッドカードでもなく、審判からドロップキックを入れられる。
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ドロップキックを入れられた選手はペナルティ状態となり、走るスピードが極端に遅くなる。鎖鉄球でもつけられたのだろうか?「どんなペナルティだよ!」とツッコミたくなるルール。
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キーパーが味方選手からのバックパスを手で扱うのは当時は反則ではなかった。これは1992年に反則として制定された。
評価点
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連打を取り入れることでプレイヤーと選手のスタミナ要素が直結。
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疲れる要素ではあるが現実のサッカーは90分もの間全力疾走が続くはずもないのに、一般的なアクションサッカーゲームはスタミナという概念がないため終始全力疾走できること自体既にありえないのでよりリアルに近いものになったと言える。
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それに併せて選手の動きも全体的にスピーディー。
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6通りの豊富なフォーメーション。
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この当時に6パターンのフォーメーションというのはかなり多い方である。
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現実では「4-4-2」や「3-5-2」「5-4-1」といったツートップやワントップが主流で「4-3-3」のスリートップでさえかなり攻撃的なのだが、それをはるかに上回る4トップ、5トップというまさに超攻撃型なフォーメーションを組める。
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キッカーの後ろからゴールを真正面に見た迫力あるPK。
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実際のPK同様にキーパーはある程度ヤマを張って飛ばなければならないというのもリアル。
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当時のアクションサッカーでは珍しいオーバーヘッドキックなどの大技が取り入れられている。
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実戦ではちょっと難しいが繰り出せればかなり強力なシュートになる。
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コミカルタッチなゲーム中とは相反して、エンディングで見られる選手のグラフィックはなかなかリアル。BGMも相まって、優勝した達成感を高めてくれる。
問題点
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超人的すぎるゴールキーパー。
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パンチングするという概念がないせいで、どんなシュートもボールにさわりさえすれば問答無用でキャッチできる。連打でキックの強さが変化するにもかかわらず「キャッチしようとしたがはじくのがやっとだった」ということもない。
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キーパーの横っ飛びがスピードも速いので大抵のシュートはキャッチされてしまう。上記のキャッチング力もあってあのG・S・G・K(グレートスーパーゴールキーパー)若林源三も真っ青だ。
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そのため連打を駆使した高速ドリブルでゴールに突っ込んだ方が得点しやすくシュートがほとんど無用の長物になっている。
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CPUは律義にシュートしてくるのであまり手強さを感じない。
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世界の強さがデタラメすぎる。
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出場8国の強さは「日本<西ドイツ<ブラジル<フランス<韓国<イギリス<アルゼンチン<アメリカ」になっており自他ともに弱小を認める日本と当時世界的スター選手だった「ディエゴ・マラドーナ」を擁して2年前のメキシコワールドカップを制したアルゼンチンぐらいしか現実をわかっていない。
いくら当時の日本はプロリーグもなくサッカーは後進国だったとはいえサッカー人気の火付け役となった漫画『キャプテン翼』の影響もあり多少は世界の強さの構図が認知されていたにもかかわらず、現実では世界トップクラスの西ドイツやブラジルが下から2番目や3番目というのはさすがに評価に疑問を感じざるをえない。
また、ゲーム内で最強のアメリカにしても現実では日本よりはマシという程度にすぎず、当時は1950年以降ワールドカップ本大会に出場できていない大ブランクの真っ只中(1990年のイタリア大会では10大会ぶりに出場)で、最強どころか強いと評価できる要素は無くサッカーでは弱い部類に入る。ゲームでは中堅クラスの韓国も1983年にプロリーグが発足し、やっと1986年のメキシコ大会に出場を果たしたとはいえ、メキシコ大会では未勝利だったので世界からすればはっきり言ってサッカー弱小国だった。
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当時のレベルからすれば「日本(最弱)」<「アメリカ・韓国(弱小)」<「フランス・イギリス(中堅)」<「アルゼンチン・西ドイツ・ブラジル(強豪・最強)」ぐらいが妥当なバランスだろうか。よっぽどアメリカが好きだったのか、はたまた軍事力や経済力と混同させているのか…
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サッカーの大会なのに「イギリス」が参戦しているというのもツッコミどころ。
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現代なら多くの人がご存じの通り、サッカーにおけるイギリスはイングランド・スコットランド・北アイルランド・ウェールズの4地域別に代表チームを編成しており、「イギリス代表」なるものは基本的に存在しない。「イングランド」では当時の子供に通じないという判断か、単に知らなかったのか……
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選手も一部を除いて現実のサッカーを無視しており日本以外はかなり適当。
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例えばアメリカチームに「かるいす」なんて名前もある。「そりゃ陸上だろ!」とツッコミたくもなる。
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もっともこの当時の日本では一部の関係者と、よほど熱心なサッカーファンぐらいしか世界の詳しいサッカー事情や実在のプロ選手の名前など知らなかったので名前ぐらいなら仕方ない一面もある。ましてアメリカのようなサッカー後進国の代表選手など尚更。
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スローインを投げた選手が続けてボールを蹴ることができてしまう(実際の試合では反則)そしてこれがゲームでは非常に有効だったりする。サッカーゲームとしては大いにまずい点である。
総評
典型的なアクションサッカーゲームだが、連打という要素を取り入れることで、プレイヤーレベルでもそれを持続できるスタミナも必要になり、それまでのサッカーゲームとは違った戦術が生まれ白熱する対戦を味わえるのはゲームとしては非常に良い。
世界の強さのバランスがまるで合っていないという点は擁護できないものがあるが、それを無視すれば十分楽しめる内容となっている。
ただ残念なのは、PK戦がなかなか見ごたえあるものになっているだけに、専用のモードがないことが悔やまれる。
余談
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当り前だが1試合でも負けてしまうとエンディングを見ることができない。その場合、監督の「優勝は逃してしまったがおまえたちには・・・リセットボタンがあるじゃないか!」とメタ的発言で終わることになる。
最終更新:2023年03月26日 17:12