MAGLAM LORD

【まぐらむろーど】

ジャンル アクションRPG

対応機種 Nintendo Switch
プレイステーション4
Windows(Steam)
発売元 D3パブリッシャー
開発元 フェリステラ
発売日 【Switch/PS4】2021年3月18日
【Win】2022年5月30日
定価 【Switch/PS4】
 パッケージ通常版: 7,040円
 ダウンロード通常版: 6,400円
 Deluxe Edition*1: 7,400円
【Win】3,980円
プレイ人数 1人
レーティング CERO:B(12才以上対象)
備考 Deluxe EditionはDL版限定
判定 なし
ポイント キャラクターは総じて魅力的
それ以外の要素に手抜きが目立つ



魔王さまは絶滅危惧種!?
そんな運命、ぶった斬れ!



概要

D3パブリッシャーから発売された完全新作のアクションRPG。公式の略称は「マグロー」。マグロではない。
開発にフェリステラ、シナリオ担当に都月景氏、音楽にピュアサウンド、メインテーマに藤田千章氏(Sing Like Talking)と『サモンナイトシリーズ』で有名なスタッフを起用している。
キャラクターデザインは飯塚武史氏ではなく『Fate/Grand Order』等で活躍するlack氏を起用。

「マグラム」とは本作における「魔剣」のことであり、「魔剣」と書いて「マグラム」と読む*2
タイトルの「マグラムロード」は「魔剣の王」、つまり魔剣を使いこなす魔王である主人公のことを指している。


ストーリー

不滅の上位存在たる神々と魔王たちが、世界の覇権を巡り果てなく戦い続ける世界――

そんな上位存在すらも問答無用で斬り裂き滅することのできる “刃(やいば)の魔王”キルリザーク は、“世界の敵(ハーザデス)”として、いずれの側からも激しく敵視されていた。

やがて、神魔の連合によって包囲された“刃の魔王”は、その首魁たる“至光神”グランギニオンの拳で封印寸前にまで追いつめられてしまう。

が、忠臣“鉄(くろがね)の魔王”バルガッキーンの献身により、危地からの脱出を果たす。
ボロボロになった主従は追っ手の目を逃れ、なんとか隠れ家までたどり着いたものの、復活するための永き眠りについてしまうのだった。

時は流れて―――

ようやく目覚めた“刃の魔王”は、自身の力がまるで回復していないことに愕然とする。
ならば、手近な魂を喰らいまくって、さっさと完全復活すべし!
意気揚々と“刃の魔王”は動き出す。

が―――扉の向こうに待っていたのは、にっこりと微笑む見慣れない服装の女性だった。

「おはようございます魔王さん。
 “政府”によって、あなたは“絶滅危惧種”に指定されました。」

(公式サイトの「WORLD」項より転記)


登場人物

主人公

  • 魔王キルリザーク CV:木島隆一(男)/鬼頭明里(女)
    • 本来は人間しか扱えないはずの「魔剣」を使いこなし神や魔王を屠れる稀有な存在。魔剣に転身することもできる。自由奔放な性格で甘党。
    • 自分以外の魔王(と神々)が世界に存在しなくなってしまったため、監察官のマミィから「絶滅危惧種」として指定される。
    • 効率よく力を取り戻すため、「政府」からの依頼を受け、世界に害をなす魔獣をパートナーと協力して駆逐していくことになる。
    • 開始時に男女から選択可能。性格は男がやや尊大、女がノリが軽めと若干異なるが大まかなシナリオに違いは無い。名称変更は不可。

パートナー

  • キルリザークと共に魔獣討伐を行う仲間達。エンディングを迎える対象でもある。
    • キャラごとに修得できるスキルや設定できる称号が異なるほか、通常戦闘のBGMが変化する。
    • パートナーとマミィにはそれぞれ好感度が設定されている。詳細は「コンカツ」の項を参照。
  • サティウス CV:種﨑敦美
    • キルリザークに仕える「魔王種」。見た目は幼く戦闘力・精神共に未熟だが、豊富な知識と魔術でキルリザークを補佐する。一人称は「ボク」だが中性的な容姿をしており、一部のイベントで性別をネタにされることも。
    • サティウスのみパートナーとしての扱いが特殊で、特定の条件を満たさないと最後まで使用できない隠しキャラ扱い*3
  • ダリス CV:中島ヨシキ
    • 「勇者の一族」の少年。主人公と同じ「絶滅危惧種」。勇者らしい熱血漢で、魔王であるキルリザークを敵視するが、とある事情により勇者としての力を出せず実力はイマイチ。
  • シャルム CV:名塚佳織
    • ダリスの姉。とある魔王を倒し勇者として覚醒しており、「微笑みの勇者」の二つ名を持つ。その二つ名の通り優しく落ち着いた性格だが、特にダリスに対しては病的と言えるほど過保護。
  • モーブ CV:石川界人
    • 機械遺跡で長い間スリープしていた機械人形。目覚めた時にキルリザークを主人と認識する。機械らしい理知的で穏やかな口調でしゃべり、戦闘能力が高いだけでなく、食べ物の成分分析を行えるなど様々な機能を持っている。
  • ジュレット CV:和多田美咲
    • 亜人種の少女で、「政府」公認のアイドル。共に暮らしていた同種族の仲間が突然いなくなり、「絶滅危惧種」となってしまった。可憐な見た目に反して戦闘も得意。ちなみにシャルムより年上。
    • ミニスカートを穿いているが、CEROの都合か中身は真っ黒。…特に言及は無いがスパッツか何かなのだろう。
  • アクラオ CV:野島健児
    • 自分を見つけた人の願いを無償で叶えるといわれる「聖者」。「人々の願いを叶えることが自分の使命」と語るが、キルリザーク達からは胡散臭く見られている。

その他キャラクター

  • バルガッキーン CV:後藤ヒロキ
    • キルリザークの忠臣で、サティウスの祖父。愛称は「バルガ」。不完全な復活によって人魂のような姿になり、戦闘力は皆無になってしまったが、老練した知識と経験で若者達のサポートを担っている。
  • マミィ CV:儀武ゆう子
    • 世界の統一組織である「政府」の保護観察官。キルリザーク達に振り回される苦労人だが、全盛期に程遠いとはいえキルリザークの攻撃を完全に防ぐなど只者ではない部分も覗かせる。
    • パートナーとして共に戦うことはできないが、後述のしあわせ納税を繰り返すことで好感度を上げられ、デートに誘うこともできる。
  • コンカツ導師G.G(ジィジィ) CV:大友龍三郎
    • キルリザークの前に突如現れた、ファンキーでマッチョな老人。キルリザークの魂が飢えていることを見抜き、飢えを満たすための「魂の伴侶」を見つけるべく「コンカツ」を行うよう勧めてくる。
  • リリカ CV:山下七海
    • 街で暮らしているごく普通の少女。魔王であるキルリザークにも物怖じせず話しかけ、友達になる。さすがに幼すぎるためかコンカツ対象にはならない。

システム

リクエスト

  • 進行状況に応じて追加されるリクエストを受領することでアクションパートに移行し、指定されたフィールドに赴いて対象のアイテム収集や敵の討伐を行う。
    • ほとんどのリクエストは何度でも受領できるが、固有のシナリオが存在するものやメインシナリオが進行するものは1度クリアすると消滅する。
    • アクションパートに移行せず、会話だけで終わるものも存在している。
    • サモンナイトシリーズにおける「自由会話」「イベント会話」「フリーバトル」「イベントバトル」「サブイベント」を一纏めにした要素と言える。

会話中の選択肢

  • 会話中に主人公の発言の候補がいくつか提示され、その中から一つを選ぶイベントが時々発生する。
    • キャラクターのアイコンが付いているものは、選択するとそのキャラクターの好感度が上昇する。
    • 「Cool」「Funny」「Demonic」と書かれたものは、選択すると該当する称号獲得ポイントが増加する。一定以上ポイントが貯まると主人公の称号を獲得できる。発言の内容も英単語の意味に沿ったもの(格好いい/愉快/暴力的)になっている。

アクションパート

  • 主に操作するのは事前に選択したパートナーで、主人公はパートナーの持つ魔剣に転身している。主人公をフィールドで操作する機会は序盤のチュートリアルのみ。
    • フィールドで数秒ほど放置していると転身を解除した主人公が現れ、軽い会話が行える。一部は好感度やシナリオ進行によって内容が変化する。
  • フィールドを徘徊している敵に接触するとバトルが始まる。バトルはサイドビュー形式のアクションとなる。
    • 手持ちの武器で攻撃してエンカウントすると不意打ちになり、敵の動きが少しの間止まった状態でバトルが始まる。
    • ほぼ全ての敵に弱点となる武器種や属性が存在しており、与えるダメージが増える(逆に特定の武器種や属性に抵抗を持つ者もいる)。弱点の武器種は敵の上に表示されるHPバー隣のアイコンで表示される。
      • 敵ごとの弱点や抵抗の詳細は、メニューの「敵一覧」やリクエストの詳細から確認可能。
    • 敵の攻撃をまともに受けずに短時間で敵に攻撃を重ねていくとヒット数が貯まっていき、最大ヒット数に応じて獲得経験値に補正がかかる(最大は50ヒット以上で+99%。ヒット数は99でカンスト)。
    • 敵を攻撃するとDG(デモニックゲージ)が蓄積していき、最大値になると任意で主人公と交代できるようになる。時間制限はあるものの主人公は非常に強いので、ボス用の切り札となる。
      • 交代によるデメリットは一切存在しない。「魔剣」と聞いて『サモンナイト3』の「碧の賢帝」を連想した人も安心していい。
    • プレイヤー側のHPが0になるとゲームオーバーだが、ペナルティ無しで即リトライが可能(アイテムの使用状況等もバトル直前の状態に戻る)。セーブデータからやり直すこともできる。
  • フィールド上のメニューではセーブができない(ロードは可能)が、特定のエリアに存在する「セーフポイント」では通常のメニュー同様にセーブの他ショップや魔剣鍛造等も利用できる。
  • フィールド上には隠しアイテムや後述の絶滅危惧種が存在していたり(対象地点は光っているので判別は容易)宝箱が置いてあることがあり、まだそれらが残っている場合はフィールド移動時にパートナーや主人公が専用の台詞を喋る。ただし全て拾った場合でも通知はされない。
    • 宝箱の入手と絶滅危惧種の発見は1度のみだが、隠しアイテムはリクエストの度に同じ場所に復活する(拾えるアイテムはランダム)。

スキル

  • 主人公やパートナーは、レベルアップ時にスキル習得用のポイントを獲得する。入手したポイントをステータス画面で消費してスキルを覚えさせることができる。
  • スキルは戦闘中に選択してSPを消費して使用するアクティブスキル、習得した後は戦闘中に自動で発動するパッシブスキルの2種類。
    • アクティブスキルは属性攻撃やHP回復など、パッシブスキルは特定の武器によるダメージ強化や状態異常耐性などが存在する。

属性・タイプ

  • 属性には火炎・水氷・雷電の3種類があり、前述のとおり一部の敵はいずれかの属性が弱点または耐性に設定されている。一部の魔剣や攻撃スキルにもこの属性のいずれかが設定されている。
  • タイプは人型・甲殻・不死など敵のカテゴリーに当たるもの。デコアイテムやパッシブスキルで、特定のタイプへ与えるダメージの強化や受けるダメージの軽減といった効果を得られる。

魔剣鍛造

  • リクエストやショップで入手した素材を使用して、主人公やパートナーが装備する魔剣を作成できる。お金は一切かからない。
    • 作成した魔剣は解体することも可能で、使用した素材がそのまま手持ちに戻る。
  • 魔剣は剣だけでなく斧と槍も存在しており、攻撃パターンもそれぞれ異なっている。また魔剣ごとに「敵を気絶させる確率が上昇する」「特定のタイプを持つ敵に対してダメージが増える」など様々な特殊効果が付与されている。
    • 魔剣にはそれぞれA/S/SS/LGDのランクが存在している。初期のランクが低い武器も素材が集まれば同じ名前・見た目・特殊効果の上位ランクの武器を作成できるようになっている。
    • 作成した魔剣は99本までストックでき、3本まで装備できる。同じ武器種の複数装備も可能だが、剣・斧・槍を1本ずつ装備した方が多くの敵に対応できる。
  • 「デコアイテム」は魔剣に特殊な効果を付与できるアイテムで、自由に付け外しが可能。魔剣のランクで装備できる数が決まっている。攻撃のエフェクトや魔剣の見た目が変わるものも存在する。
    • 魔剣の見た目が変化するものは一応真面目なものもあるが、大半はブーケやアイスバー、ピコピコハンマーなど「バカゲーでも目指してるのか」と思わんばかりのヘンテコなものになっている。
    • パートナーやマミィとの特定のデートでは「パートナーの戦闘時の台詞が変化するデコアイテム」を入手できる。「ダリスがダウナー系になる」「モーヴが機械ボイスのまま女性口調で喋る」「ジュレットがヤンデレ化する」「サティウスが『はい論破』などネットの煽り文句を連呼する」など、良くも悪くもキャラ崩壊レベルで台詞が激変するものばかり。
  • 仲間の好感度が高いと魔剣鍛造に協力してくれることがあり、完成した魔剣のランクに「+」が追加され、装備できるデコアイテムが1個増える。
    • 前述のとおり魔剣鍛造と解体は気軽に何度でも行えるので、仲間が協力してくれるまで何度も繰り返すのも難しくない。

称号

  • 主人公とパートナーにはメニューから称号を設定し、能力アップや特定の種類の敵への特効効果等様々なボーナス補正を与えることができる。
  • 称号は特定の条件を満たすことで獲得でき、内容も全キャラ共通のもの・キャラごとに異なるものの両方が存在する。
  • ちなみに主人公の称号の一つとして、タイトルそのままな「MAGLAM LORD」が存在する。入手はさほど難しくない。

コンカツ

  • 簡単に言えばパートナーとの好感度を上げる要素。好感度はパートナーに指定して戦闘を繰り返したり、会話内で特定の選択肢(後述)を選ぶことで上昇する。
    • パートナーとマミィの好感度はメニューの「コンカツ道場」から確認できる。ある程度好感度が高いとデートに誘うことができる。
    • 好感度に応じてパートナーの能力値に補正がかかるほか、好感度を上げた上で特定の条件を満たすと最終盤でエンディングを迎える相手に選べるようになる。『サモンナイト6』と違い、1周内で隠しを含む全キャラのエンディング条件を同時に達成可能。
      • 本作では性別を問わず友情エンド・愛情エンドを任意で選択可能。これは昨今の時勢を考慮してのものである
      • なお「誰もエンディング対象に選ばない」ことで発生するエンディングも存在する。またバッドエンドは存在しない。

しあわせ納税

  • 指定されたアイテム同士の物々交換。利用することでマミィの好感度が上昇する。

絶滅危惧種探し

  • 主人公達の他にも「絶滅危惧種」が存在しており、各フィールドの特定の場所に隠れている。発見すると新たなリクエストやショップの商品が追加される。
  • 発見したキャラはメニューの「絶滅危惧種リスト」で確認できる。

ギャラリー

  • リクエストの報酬やフィールドの宝箱、敵のドロップ、しあわせ納税等でイラストやBGMを入手でき、メニューから確認できる。
  • サモンナイトシリーズと異なり、システムデータではなくセーブデータ単位の保存となっている。

DLC

  • PS4版とSwitch版では、序盤の攻略が少し楽になる無料分と、DLC限定の効果を持つデコアイテム等の有料分が存在する。コラボ以外の有料分はダウンロード版限定の『デラックスエディション』に全て含まれている。
  • Steam版は、PS4/Switch版の先行特典&有料DLC限定アイテムやテイルズ オブ シリーズのコラボアイテムなどがセットになったパックが有料DLCとしてリリースされている。本編とセットで買うと若干安くなる。
    • こちらでは『フォーチュン・クエスト』のコラボDLCは入手できない。
  • DLC限定で解放されるエピソードやキャラ等は無く、あくまでプレイが若干楽になる程度なので、無理して購入する必要はない。

評価点

キャラクター

  • 主人公であるキルリザークは良くも悪くも自由な言動でストーリーを牽引していく。また甘いものに目が無かったり変顔を見せるなどコミカルな部分も多く、小さな恩義に報いたり仲間思いな一面も見せるなど、魅力的なキャラクターに仕上がっている。
  • パートナーやその他のキャラクターも、数こそは少ないものの皆非常に個性的。
    • 話の展開が進むにつれ印象が変わってくるキャラも多い。特に本作一の成長株であるダリスが顕著。
  • フィールド放置時の会話やコンカツ道場におけるG.Gのコメントでも、シナリオでは描写されないキャラクターの一面を窺うことができ、中々興味深い。

シナリオ

  • 時々他作品のパロディ台詞が飛び出すなどシナリオのノリはやや軽めだが、しっかりと決めるところは決めている。
  • 本来の立場から渋々共闘していた魔王と勇者姉弟が苦難を超えて絆を深めたり、黒幕の策略に嵌りながらも状況を打開し黒幕の鼻を明かすなど、印象に残りやすいシーンは多い。

BGM

  • BGMもサモンナイトシリーズで定評のあるピュアサウンドだけあって良質な曲が多い。
    • 特に各キャラクター専用の戦闘BGMは、ダリスは正統派なアクションバトル風、ジュレットはアイドルソング風といった感じでキャラの個性が表れている。
    • BGMの数自体は若干少ないのが玉に瑕。

賛否両論点

バトル

  • 基本的に、敵の上部に表示される弱点武器をセットして攻撃ボタンを連打していれば大抵の敵は片付く。攻撃系スキルは一切使わなくても最後まで攻略可能。
    • 雑魚敵はこちらの弱点攻撃が当たると怯み、気絶しても無敵時間が発生しないため、作業的に処理することになりがち。
    • こちらの攻撃に怯まないボスの内、人間キャラは溜め攻撃やガード等を駆使しないと苦戦するが、大型の敵は攻撃が単調なのもあってこちらの被ダメージを抑えつつ難なく倒せてしまうものが多い。
      • バルガが憑依したボス1体との戦闘のみで構成されるリクエスト「バルガチャレンジ」も例外ではなく、腕試し目的で設定されているはずが、ほとんどが経験値と資金稼ぎのためのサンドバッグにしかなっていない。…いずれにせよ「主の為に体を張っている」という点では素晴らしい忠臣ぶりと言えるが。
    • とはいえ、雑魚敵との交戦によるレベル上げや魔剣鍛造を一切行わないでクリアするのはまず不可能なので、ある程度鍛えておく必要はある。
    • アクションが苦手な人でも簡単にプレイでき、サクサク進められるが、逆にこの手のゲームに慣れた人は単調に感じ、早々に飽きが来てしまう。

魔剣鍛造とデコアイテム

  • 「システム」の項目で述べられているように、デコアイテムは種類自体は豊富で、特徴の刀身のカラーチェンジやステッカー・パーツの追加、ヒットエフェクトやキャラボイスパターンの変化とバリエーション豊か。
    • しかし上述のようにややネタ方面にふったような外見・効果のものが多い。コミカルなシーンは多いものの、根底はシリアスな本作においてふさわしい外見であるかどうかは賛否が分かれるだろう。
  • また、それらのデコアイテムに対応させるための弊害か、鍛造できる武器の見た目は、共通で「黒く平面的な刀身と白っぽい刃部分」というデザインに統一されている。
    • 柄部分のデザインや刀身の形状などは差別化されているし、審美眼は人それぞれだろうがぱっと見のバリエーションに乏しい印象を受ける。
    • 本作において"刃の魔王"たる主人公が創りだす魔剣"マグラム"には「魔王や神々といった上位存在すらも斬り裂く、規格外の武具」という設定がある。
      しかし、そういった神秘的・超状的な力をもっていることを感じさせるにはやや質素すぎる外見であることは否めない。
    • 本作の3Dモデル自体がキャラクターも含めてチープで魅力に乏しいという根本の問題もある。鍛造した武器をいろんな角度から眺められるビューワー機能などもあるのだが、需要は皆無といってよい。

シナリオ・キャラクター

  • 主人公が魔王だからなのか、NPCの一般住民に愚かだったり外道な性格が多い。そういう面々を(比喩として)バッサリ斬り捨てる展開は痛快だが、人によってはイラッとくることも。

問題点

全体的に手抜きや調整不足が大いに目立っている。

グラフィック

  • フィールドおよびバトルのグラフィックは、最新世代どころか一世代以上前のゲームと同等の古臭い出来。性能面でやや劣るSwitchはともかく、PS4では明らかに不釣り合いである。
    • 一応デフォルメされたキャラクターは可愛らしく仕上がっている。
  • 会話パートは主に立ち絵を使った昔ながらの仕様。キャライラストは魅力的だが基本1キャラ1つでパターンに乏しい。
    • その分、表情差分は豊富にあり、2D立ち絵がモーフィングとエフェクトによって僅かながらもアニメーションしているなど、見映えをよくする工夫もなされている。

フィールド

  • リクエストで使用されるフィールドの種類が少ない。また最終ステージを含むほとんどのフィールドのBGMがタイトルBGMと同じ。
    • リクエストに応じて進行可能なエリアに制限を加えているものの、基本的にメインシナリオの攻略時にすべてのエリアに進行可能なこともあって、ただの不自然な制限でしかない。
  • 全体マップで表示される地形が、実際のフィールドに沿ったものではなく長方形で構成されており、現在いるエリア内のプレイヤーキャラの位置も表示されないため分かりづらい。
    • 討伐リクエストにおける討伐対象の存在位置も表示されないが、これを「面倒くさい」ととるか「討伐対象の捜索もクエストのうち」と受け入れるかはプレイヤーごとに異なるだろう。

バトル

  • カメラワークが悪い。画面外にいる敵の砲撃や突進に反応できずダメージや状態異常をもらうなど、戦闘に支障が出やすい。これらの攻撃を頻繁に使う「メック」系が少々厄介。
  • プレイヤー側も、相手の攻撃で短時間ダウンしても無敵時間が発生しない。そのため多数の敵から攻撃を立て続けに受けることもあり、そこからあっという間にゲームオーバーになる事態も起こり得る。
  • 敵に攻撃を当てた時のヒットストップ演出が過剰。特に多数の敵に一度に攻撃を当てると処理落ちしているかのように見える。
  • 属性攻撃が空気。武器種による弱点と違い、属性による弱点は積極的に狙いにくい。
    • 武器種による弱点は剣・斧・槍を1本ずつ装備すれば容易に突ける一方、属性攻撃は一部の魔剣や攻撃系スキルに限られている*4ため、有効に活用できる場面も限られる。
      • 攻略サイト等でも、スキル習得の優先順位は回復や自己強化等が高く、攻撃系スキルは低い傾向にある。
    • 属性弱点は武器弱点と違い戦闘中に確認できず、敵ごとの弱点を暗記しておく必要がある。敵の外見の種類で大まかに覚えることは可能だが、弱点が異なる例外も少なくない。
    • 「武器攻撃すべてに耐性を持ち、逆に属性攻撃が通りやすい」パターンの敵も存在しない。ただし加減によっては「タイトルにある魔剣が生かしづらくなる」という本末転倒な問題も生じかねない点ではある。
  • 主人公やパートナーの攻撃モーションが全て同じ。上記の通り攻撃系スキルの優先度が低いこともあり、演出面はともかく性能面におけるキャラの個性は薄い。
  • さらに3種類ある武器も、モーションこそ違いはあるが、剣でも槍でも斧でも素早くぶんぶん振り回せる上、斧でも長リーチの突進技があるなど、武器ごとの特徴には乏しく、使用感は似たり寄ったりである。
    • 上述のように敵に弱点武器が設定してあることもあり「敵の弱点を突く」とために機械的に持ち替えをするだけとなる。プレイヤー側の好みなどで武器を使い分ける楽しみもメリットもない。
  • 敵は10種類程の種族の色違いや大きさ違いが大半を占めており、代わり映えが少ない。
  • 攻撃1発のダメージ上限が999に設定されている。意外と簡単に上限に達するため、プレイヤー側が強くなればなるほど爽快度が下がる。
  • ラスボスが異様に硬く、「ろくにダメージが通らず詰んだ」という意見も見られる。ただしレベル上げや魔剣鍛造をしっかりやっていれば問題なく倒せる程の強さではある。
    • Ver.1.0.3のアップデートでラスボスの体力が下方修正された。

シナリオ

  • シナリオは基本的にキャラクターの立ち絵と台詞だけで淡々と進められ、状況説明的な台詞で済ませる展開も多発する。アクションパートで会話が進行する時もそちらのグラフィックは一切活用されない。*5またイベント専用のイラストもごく一部のデートイベントにしか用意されていない。
    • 好意的にとれば「従来のサモンナイトシリーズを踏襲している」と言えるが、本作からおよそ15年も前の『サモンナイト4』からほとんど進歩が見られないのはいかがなものか*6
  • 「システム」の項で述べた主人公の台詞の選択肢について。
    • チェックしきれていないのか、選択肢によってはそれ以降のやり取りで会話のキャッチボールになっていないずれた応酬になることがある。
    • 一部の選択肢でキャラの好感度が上昇する要素も、パートナーに選んでバトルを繰り返しても好感度を上げられること、またとある隠し要素の条件にこのシステムとの相性が悪い部分があるため、ほぼ無意味な要素となっている。
      + 隠し要素の詳細。ネタバレ注意 サティウスが正式にパートナーとして加入するためには、サティウスの好感度が上がる選択肢を序盤からほぼ全て選ばなければならない(いずれもほかのキャラの好感度上昇と択一)。「会話で任意のキャラの好感度を上げる」というシステムと真っ向から対立してしまっている。
    • 選んだことでキャラの好感度が上がる理由がはっきりしない選択肢も多い。
    • 称号獲得ポイントにかかわる選択肢も、特定のものに偏って選択し続けているとほかの称号を入手できなくなってしまうというデメリットを抱えている(バランスよく選んでいればすべて入手可能)。
      • それらの称号がクリアに必須ではなく、PS4版のトロフィーにも称号関連のものが一切存在しないのが救いか。

コンカツ

  • コンカツ道場から行えるデートは特定のイベントを除き、パートナーの軽い反応と一言で終わる簡素な内容になっている。
    • 同じデート内容でもキャラによって全く反応が異なる点は楽しめなくもないものの、明らかにボリューム不足。
  • 一部のデートイベントでは、主人公が実際には喋らないのに他のキャラが主人公の発言をオウム返しする展開が散見される。無口主人公ならともかく、主人公が普通に喋る本作では不自然に映る。
    • 「無意味な選択肢を省いてデートイベントに主人公の台詞を回してほしかった」という意見もある。

エンディング

  • 「一部の特殊エンドを除いて尺が短い」「展開がエンディング対象キャラとの会話以外ほぼ同じ」「最後にキャラクターの一枚絵が表示されない」など、全体的にあっさり気味。
    • また「コンカツ」を題材にしている割に結婚まで進む展開が一切存在しないという矛盾もある。
  • 愛情エンドと友情エンドの差分が最後の台詞にしか存在しない。そのため愛情エンドでも途中で濃密にイチャイチャするなどの展開はない。
    • エンディング対象を決める会話では愛情と友情でそれなりに差分があり内容も濃いだけに、ガッカリ感が強い。

バグ・設定ミス

  • フィールドでの放置会話を繰り返していると、アップになったカメラを正常に戻せなくなることがある。
  • メニュー画面担当のサティウスがシナリオの都合上不在で代理を立てている際、絶滅危惧種リストを開いた時のみ代理ではなくサティウスが出現する。ネタバレになるため詳細は省くがシナリオの流れをぶち壊している。
  • 最終フィールドの一部エリアで移動ポイントをすり抜けられる。すり抜けた先で更に進むと端で落下してしまい操作不能になるが、メニューを開いてロードで戻ることは可能。端まで行かなければ移動ポイントまで問題なく戻れる。
+ アップデートで改善済み

PS4版のVer.1.02で改善

  • PS4版でVer.1.01にアップデートするとDLCを認識できなくなる。Switch版は問題なく認識される。
    • なおこのバグの影響か、ダウンロード版の早期購入特典の有効期間がPS4版のみ2日延長されている。

Ver.1.03で改善

  • 一度しか戦う機会が無い特定の敵を倒しても敵情報に登録されないことがある。PS4版で敵情報を全て埋めるトロフィーの獲得に支障が出ていた。
  • フィールドで放置している際、主人公出現の効果音が鳴るのみで実際には主人公が出現せず話しかけられないことがある。

その他

  • 魔剣にデコアイテムを装備する際、デコアイテムのソートや絞り込みができない。小まめに収集していると目当てのデコアイテムを探すのに時間がかかる。
  • お色気要素が中途半端。
    • 一部キャラとの温泉イベントでは、専用の立ち絵がないばかりか立ち絵がすべて消滅して背景と会話だけで進行するという手抜き仕様のため、期待していたプレイヤーは落胆することに。
    • ほかにも、シナリオ上で特定の女性キャラと主人公のキスシーン(男女共通)が発生しても、「主人公がそのキャラに接近→暗転→ほかのキャラのセリフで状況説明する」という流れになったり、「登場人物」の項で述べたジュレットのミニスカートの中身など、キャラデザは濃いのにCERO:Bの影響かお色気要素には期待できない状態になっている。
  • クリア後の引き継ぎ要素が一切存在しない。クリアデータをロードして始める場合、ギャラリー等の収集要素や獲得した資金・経験値・好感度等は全て初期化され、経験値と好感度が若干稼ぎやすくなるデコアイテム・各パートナーの好感度上昇アイテム・定額の資金と導入済みのDLC特典が支給されるのみ。
    • クリア後もギャラリー等を確認したい場合、クリアデータとは別にクリア前のデータを別途残しておく必要があるため、非常に不親切。
    • 2周目以降限定のルートやキャラ等は無く、周回数に応じて特典内容が強化されることも無い*7ため、周回プレイのモチベーションを保ちにくい。
  • 最終盤限定のBGMが音楽ギャラリーに登録されず、自由に聴くことができない。せめて周回特典として自動登録されるようにしてもよかったのでは……

総評

「サモンナイトシリーズのスタッフが再集結」と鳴り物入りで発表された本作だが、アクションRPG・キャラゲー両方の観点で手抜きが多く、明らかに定価不相応な完成度となっている。
とはいえ最低限遊べる地盤は整っており、主人公を初めとするキャラクターは皆個性的かつ魅力的でシナリオも悪くない。
現在はパッケージ版が著しく値崩れしており、ダウンロード版もたまにセールが行われるため、キャラクターに興味を持ち、アクションパートの単調さを気にしないのであれば遊んでみてもいいだろう。


余談

  • タイトルを「マグムロード」と誤記されやすい。都月氏もやらかしたことがある。ちなみに同名の馬が実在している。
    • Google等のWeb検索では現在「マグナムロード」で検索しても本作に関するサイトが真っ先にヒットするようになっている。
  • 予約特典でデコアイテム「刃の魔王の斧」、ダウンロード版の早期購入特典(現在は終了)・パッケージ版の初回封入特典でデコアイテム「刃の魔王の剣」が入手可能。それぞれ斧と剣専用で、獲得経験値30%上昇の効果がある。
    • 同様の効果を持つ槍専用のデコアイテム「刃の魔王の槍」は有料DLCで購入可能。
    • GEOで購入した場合はデコアイテム「ラインコートG」が入手可能。攻撃のヒットが繋がりやすくなる効果がある。同効果のデコアイテムはゲーム本編でも入手できるのでそちらで代用可能。
  • 発売前に「こんな面白いゲームですよと魅力を伝える動」略してコンカツの一環として、本作の声優陣が出演するWebラジオ『絶滅危惧ラジオ』が公開されていた。
    • D3P WEB SHOPやアニメイト通販の購入特典では、それぞれ異なる内容の限定ラジオを聞くことができる。
  • 初週売上はSwitch版が5,074本、PS4版が2,518本と芳しくない結果になった。
    • Switch版PS4版共にダウンロード版が発売2ヶ月で早くもセール対象になっていることから、相当売上が厳しいことが窺える。なお新品パッケージ版も店によっては発売3ヶ月の時点で2,000~3,000円台で投げ売りされている。
  • 発売1か月後の2021年4月19日~5月10日の期間限定で、本作や次回作に関するWebアンケートを実施していた。
  • 2022年2月に海外版(英語/中国語(繁体)/韓国語)が発売された。英語版には国内版に無かったアートブック付きの限定版が存在する。
  • Switch/PS4版発売の約1年後となる2022年5月30日にSteam版が配信開始された。内容はSwitch/PS4版と変わらないが、定価は3,980円と大分下がっている。それでもやや高めだが。
  • 本作のサウンドトラックCDは発売されていないが、Steam版の発売と同時にSteamでサウンドトラックがリリースされた。Steam版の本編を購入する必要は無く単体で全楽曲を聴ける。本編+有料DLCとのセットも存在する。
    • 本編では自由に聴けなかった最終盤のBGMももちろん収録されている。
  • かもしー氏が歌うオープニングテーマの「Boundary」は単独のCD化がされておらず、藤田千章氏のソロアルバム「un-categorized [Default]」の初回限定盤や、上記のサウンドトラックに収録されている(インスト版はサウンドトラックにのみ収録)。
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最終更新:2024年02月18日 04:37

*1 ゲーム本編に、コラボを除く全DLCがセットになったパック。

*2 ごく一部のボイスではそのまま「まけん」と読まれているが、意図的かミスかは不明。

*3 発売前に公開された各パートナーを操作するプレイ動画でも、サティウスのもののみ存在しない。

*4 3属性すべての攻撃系スキルを覚えるのはキルリザーク、ジュレット、アクラオのみ。ほかのパートナーは3属性のうちいずれか1つのものしか覚えない。

*5 一例として、アクションパートでダリスが多勢に無勢の状況に陥る展開があるがフィールドのグラフィックでは表現されず、ダリスが敵の攻撃で大怪我を負った際も立ち絵は表情しか変化しないのにジュレットが「血が大量に出ていて死にそう」といった趣旨の発言をする。サモンナイトシリーズには一部キャラの立ち絵に流血差分が存在していたのだが……

*6 『サモンナイト5』はシナリオ担当が、『サモンナイト6』は開発・シナリオ担当共に異なるためノーカウント。とはいえどちらもシナリオに似たような難を抱えていたが。

*7 クリアデータをロードして始めても最初のチュートリアル画面が必ず出現するため、そもそも内部で周回判定をしていないと思われる。