高機動戦闘メカ ヴォルガードII
【こうきどうせんとうめか ゔぉるがーどつー】
ジャンル
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シューティング
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対応機種
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ファミリーコンピュータ
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発売・開発元
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デービーソフト
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発売日
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1985年12月7日
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プレイ人数
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1人
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定価
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4,900円
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判定
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良作
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ポイント
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歌えるパワーアップ 小さくて残機はないがタフネスさ抜群 とことん実力主義なシューティング 幻と呼ばれた超特大ボーナス
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概要
前年発売され、当時のPCゲームとしては大ヒットした『VOLGUARD(ヴォルガード)』の続編だが、世界観に繋がりはない(そもそも前作はファミコンに移植されなかったし、本作もPCには移植されていない)。
ただエネルギーによる残弾性や、合体してロボットに変形したりといったシステムは引き継がれている。
タイトルの「ヴォルガードII」は主人公機の名で、巨大コンピュータ「ズイガム・ボルド」を破壊するのが目的。
また、装備によってBGMが変わり、それぞれに歌詞があり歌えるシューティングゲームとしても有名。
ストーリー
はるかな太古、ゼクト43星雲の惑星グラネス人によって文明を授けられた地球人類は、それを地盤として高度に発展したが、その果てに数々の科学兵器を生み出し戦争が繰り返した。
やがてそれは拡大し、その被害は宇宙にまで及び始める。時に19XX年、地球の行方を見守っていたグラネス人は巨大コンピュータ「ズイガム・ボルド」を設置し、地球人の管理を開始した。
ズイガム・ボルドのコントロール波により、争いは無くなり平和な時代が訪れたが、時が経つにつれズイガム・ボルドの支配を受け付けない人々が生まれてきた。
異星人のコンピュータに支配された世界に疑問を持った彼らは、支配される前の遠い祖先が開発した高機動戦闘メカを改造し「ヴォルガードII」と名付け、出撃させた。
時に20XX年、今、地球革命の戦いが始まる。
システム
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得点は当時としては非常に珍しい1点単位で、最大は8桁の99,999,999点(1億の一歩手前)。
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残機制がないので1機破壊されたらゲームオーバーだがプレイヤーキャラの戦闘機は小さい割に非常にタフで、なんとダメージ100まで破壊されない。
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ただしアダパー、カサック、ノーデスといった破壊不可なものなどは、触れていると瞬時に多段ヒットしてあっという間に破壊される。
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エボシやセボフといった1発で破壊できない堅い敵も複数ダメージを喰らう。
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所々で2号機が現れ、それを連れていると2号機も同時に弾を撃つので、実質2倍の攻撃力となる。
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攻撃すると同時に2号も攻撃してくれるので、上下に移動しながら攻撃すれば縦に長い弾幕を張ることが出来る。レーザーやその派生と合わせれば省エネで敵の編隊を一気に消し去ったりも可能。
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2号機がいるとBボタンで合体してロボットに変形できる。
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ロボットに変形すると進むスピードは遅くなるが、パンチで攻撃できるようになり、ゆっくりと1ダメージずつ回復していく。
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また、敵にタルカスというロボットがおり、これを倒すためには変形してボクシングで戦わなければならない(タルカスはこちらがロボットになっていないと、空中に向かって3方向に凄い勢いでドンドン弾を連射してくる)。
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2号機は敵の体当たりを受けると破壊される。基本的には体当たり一発で破壊されるが、一部2回体当たりを受けないと破壊されない敵もおり、この場合はロボットに変形すると2号機のダメージは回復する。
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エネルギー消費型の有限弾制のシューティングで、エネルギーは敵を倒すごとに補給される。
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通常弾でも狙って打ち込めばエネルギーに困ることは無く、貫通性能のあるレーザーやそこから派生させた連射などは複数の敵機を巻き込めるため回復量も凄い。
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レーダーキャラ(「フォス(空中を上下にフラフラ浮遊する黄色っぽいパラボラアンテナのような敵)」「ダラス(赤く点滅する地上キャラ)」)を8つ(エリアによっては4つの場合も)破壊すると味方の補給船が出現する。
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補給船にドッキングすることでその時点で受けているダメージが半減し、エネルギーが60以下だった場合60まで補給できる。60以上ある場合にドッキングすると対空攻撃のオプションが装備できる。
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エネルギー60台でドッキング → 連射
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Aボタンを押しっぱなしにしているだけでビームが高速連射になる。
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レーザーよりは弾の密度が低いが、比較的省エネなので編隊に向かって雑にバラ撒く運用も十分可能。
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エネルギー70台でドッキング → 8方向弾
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1回押すだけで8方向同時に弾が発射される。エネルギー消費も大きいが前方以外にも攻撃可能になる。
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エネルギー80台でドッキング → レーザー
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連射の超強力バージョンで、更に弾が敵を貫通する。ただしエネルギーの消費量が非常に多い。
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消費は大きいが弾の密度自体も連射よりも濃く高火力なので、より狙って打ち込む必要がある装備になっている。
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エネルギー90超でドッキング → バリア
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ボール状のバリアが自機の回りをグルグル回り敵の弾や敵の体当りを防ぐ。
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これを利用して攻撃することもできる(特に地上の敵を破壊するのに便利)。
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ただし、ズイガム・ボルドとの戦いでは一時的に外れてしまう。
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バリアと他の3種類は複合可能。
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ただし、先にバリアをつけた状態で8方向弾を付ける(エネルギー70台で補給船とドッキング)と、バリアが外れてしまう。逆なら(8方向弾を装備の状態でエネルギー90以上で補給船とドッキング)複合できる。
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また、先にレーザーを装備させてエネルギーを60台や70台に落とした状態で補給船とドッキングして「連射」や「8方向弾」を装備させた場合、レーザーの貫通力が残るので強力なものになる(通称「ハイパー連射」「ハイパー8方向」)。
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ただし火力自体はレーザー垂れ流しの方が高いので、好みの問題とも言える。
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逆にエネルギーが落ちすぎると、いろいろな弊害がでてくる。
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40未満に落ちるとオプションが解除されてしまう。因みに初期値はその40。
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20未満に落ちるとロボットに変形できなくなる。
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0になると対地しか発射できなくなる。
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レベルは4段階あり、上位のレベルになるほど敵からの攻撃が激しくなる。
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レベル4で30万点突破で「戦士バッジ」、100万点突破で「革命勲章」を貰えるという懸賞キャンペーンがあった。
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無敵技があるが、ハイスコアを達成して名前を入力したタイトル画面の写真を送る必要があるため、この無敵コマンドで達成しても無効。
評価点
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連射の限界がないも同然。
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どんなシューティングにも連射に対応できる限界があるが本作は、手動での連射にはほぼ完ぺきに対応できている(ホリコマンダーやジョイカードなどの最大連射でも途切れない)。
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もちろん、それ同様に敵の出現も激しいが、自機のタフさも相まって少々のダメージは気にすることなく撃ちまくって破壊しまくるシューティングの醍醐味が味わえる。
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もちろんムダ弾を撃っていると弾切れに陥るが、破壊することでエネルギーの補給に繋がる。
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本作を語る上で欠かせない歌えるBGM。
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ノリが良く、その歌詞も非常にわかりやすいので歌いながら爽快なプレーができる。
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ズイガム・ボルド出現時のBGMも決戦の雰囲気が非常に出ている。
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シューティングなので基本的に連射が要求されるが、なくてもカバーすることができるゲーム性。
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ダメージメーターが99までならいくら敵にぶつかろうが、やられることはない。つまり大体の敵なら99回の体当りまで耐えられる。しかも撃っていない(エネルギーを消費していない)ので、普通に撃って破壊するよりもエネルギーの増え幅が大きい。
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体当りで敵を倒せば、ビーム発射によるエネルギー消費がないので、エネルギーがモリモリ増える。それを利用してレーザーなどを装備して戦うことも出来たりするので連射力がなくてもカバーできる。
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数値では判断しにくいが、オプション装備に関してはエネルギーメーターの色が目安になっており、60未満は一律ピンクだが、60台(連射装備)グレー、70台(8方向弾装備)ピンク、80台(レーザー装備)グレー、90以上(バリア装備)ピンクといった具合に境目で色が変わるのでわかりやすい。
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他にスコアの1桁あたりの幅が5%に相当するので、「1」以外ならそれで把握もしやすい。
賛否両論点
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後述のペンギン1千万点ボーナス以外にビッグボーナスがない。「ダナシM(9999点)」のような実質ボーナスっぽいキャラもいるが、破壊することは決して難しくない。技術介入で得点が増えるボーナスっぽいのは強いて挙げればヌーボぐらい。
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そのため、たくさんのキャラを倒しまくって地道に稼ぐしかない。
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裏を返せばシューティングとして、とことん実力勝負要素ととらえることもできる。
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それだけに上記の「戦士バッジ」「革命勲章」はまごうことなき本人のシューティングでの実力証明とも言えただろう(1000万点ボーナスでもいいがこれは普通に100万点を取るよりもはるかに難しいので充分実力の証明)。
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ズイガム・ボルドと中型要塞3種類は自機がオプションをつけていると耐久力が高くなる。
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パワーアップしてヌルすぎになるのはよくある話なので、それを防止している。
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しかし、レーザー装備時の耐久力の上がり方が極端に高く、レーザーのエネルギー消費量の多さと合わさって、ズイガム・ボルド戦ではパワーアップの外れるエネルギー40以下になっても倒せない、ということも往々にして有り得る。
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このため一般的に最強装備はハイパー8方向、連射が苦手ならハイパー連射とされる。
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エキストラの仕様がわかりにくいが、知っていれば有効活用しやすい。
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スコアとリンクしており奇数の場合、ダメージがスコアの下2桁の数字分回復し、エネルギーは10回復する。偶数の場合は逆でダメージが10回復し、エネルギーはスコアの下2桁の数字分回復する。
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当然下2桁の数値が大きいほど効果が高く、大体同時に単体のアダパーと一緒に出現するので、奇数、偶数を切り替えられる。今どちらが大事かを判断できるのであれば非常に効果的に使える。
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タルカスに勝った時も出現するが、この場合はアダパーがいないのでスコア調節ができず余裕がないので仕方ない。下2桁が大きかったらラッキー、00だったら運がなかったと思うしかない。
問題点
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エリアの変わり目が非常にわかりにくい。
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ボスであるズイガム・ボルドで変わるわけではなく、空中物の出現パターンが一定まで進むと切り替わる。ズイガム・ボルドは地上物なので、エリアに関係なく画面のスクロールによって出現する。
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極端な話、ロボットに変形してずっとしゃがんでいれば、ズイガム・ボルドと一切戦わずにエリア25に到達することも理論上は可能。
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また、エリア25の次は1ではなく12に戻るというのもわかりにくい。
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エネルギー制という当時としては斬新なシステム
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無駄弾を撃っているとパワーダウンしてしまうというシステムは斬新であったが、当時のSTGは連射が重要な物が多く、また取扱説明書を読まずとも直感的に遊べる物が多かったため、そうでない本作は当時の子供達には初見では理解出来ず不評とされる原因ともなってしまった。
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8方向弾を装備させるとバリアが外れてしまう仕様。
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8方向弾を装備した状態でバリアを付ければ併用できるが逆の場合は外れてしまう。連射やレーザーはどちらからつけても併用できるのに何故?
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特に困るのが、併用して戦っていたらエネルギー70台になってしまい、補給船を呼ばざるを得なくなった状態。
連打でムダ撃ちしてオプションが外れず更新もされない40~59に落とせば維持できるが、場合によってはその間にドッキングの有効時間が過ぎてしまうことも…
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あまりにも難度の高すぎる1000万点ボーナス。
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補給船とドッキングしなかったり、同じオプションをつけると隠れキャラ「ペンギン」が出現する。
基本的には一発撃つと、落下し、落下したそれに触れると消える(落下前、落下しきる前に触れると無敵キャラに触れた場合同様大ダメージ)というあまり意味のないキャラ。
実はこれが1千万点という隠れ超特大ボーナスのキャラになっているがそのすべてを揃えることがとんでもなく高難度。
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1千万点ボーナスを取る条件。
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2号機をつけない。
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バリアをつける。
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奇数エリアでタンゴにさわる(撃たないで体当たりで破壊)。
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偶数エリアでヌーボを1体以上逃す。
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偶数エリアでアダパーの上から3.6.7番目を伸ばして縮める(他のアダパーや単体で出るアダパーを伸ばして縮めたら無効)。
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ドング(3発弾を当てるとロボットに変形する敵)を変形させない。
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上記6条件を満たして、ペンギンを出現させ、撃ち落として触れると1千万点。
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見るだけでも困難そうに見えるが、実際にプレイするともはや困難どころか実行不可能レベルな条件なのが理解できる。
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ロボットに変形していないとひたすら体当たりを仕掛けてくる敵が超大量に出現するエリアがいくつかあるので、2号機無しでの突破が困難。
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バリアを付けるとバリアでアダパーが伸び縮みしてしまうので、アダパーの条件を満たすのが困難。そのうえ伸びたアダパーに接触して大ダメージを受けてしまう(これも通常プレイなら、ロボットに変形してしゃがむことでバリアを付けていても安全にやり過ごせる)。
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ヌーボやドングの条件を満たそうとすると、当然こちらの攻撃の手を緩めねばならず、その間敵の猛攻にさらされることになる。
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そもそも、これらの条件にはヒントも何もないので、普通にプレイしていては条件に気付くことさえ不可能。
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あまりに困難すぎるため、攻略本に条件こそ載っていたものの、昔のソフトということもあって本当に存在するのかさえわからない幻のボーナスとされていた。
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1000万点という破格のボーナスゆえ、ある程度の高難度になるのは当然である。しかし、達成させる気が本当にあるのかすら疑問に思えるほどの過剰な超高難度は、やはり問題だろう。
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元々あってなきようなものなので「気にしなければいい」と言えばそれまでだが。
総評
ノリのいい歌詞付きBGMで、歌いながらプレイできる爽快感はもちろんのこと、自機のタフさもあってそれを逆用した戦法があるなど、攻め手は広くやりごたえは十分すぎるほどあり、個々の攻め方を見つけ出していくという奥深いゲーム性を作り出している。
反面、ビッグボーナスがほぼ不可能に近いペンギン1千万点以外ないこともあって、実質ないに等しく地道にコツコツいくしかない点はシューティングとしては地味な感じはあるが、あからさまに穴になっている欠点も少ない。
上記のキャンペーンといい、まさにとことん実力主義のシューティングと呼ぶにふさわしい。
余談
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本作は徳間書店の「わんぱっくコミックス」で漫画化もされた(昭和61年8月15日初版)。作者は同誌で他作品の漫画も多く手掛けていた、たまだとしみつ氏。
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ゲーム本編を土台として、巧みに構成されたオリジナルなストーリーなのでゲームを知らなくても楽しめ、また知っていると違う観点で楽しめる知る人ぞ知る名作である。
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残念ながら現在では非常に入手困難。
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発売当時では予想も付かなかった事であるが、ゲーム本体が投げ売りされて、関連書籍が高騰するという事態が起きており、本作もその一例である。
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同社は、丁度1週間後には『頭脳戦艦ガル』を発売している。
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おかしな点はあるものの、本作とはまた違った魅力をもつ作品とされている。
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2008年4月8日にWii用のバーチャルコンソールで配信されていた。
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2019年1月31日、Wiiショッピングチャンネルの終了と共に配信終了。
最終更新:2024年02月19日 14:37