Burly Men at Sea: 三人の海の男

【ばーりーめんあっとしー さんにんのうみのおとこ】

ジャンル アドベンチャー
対応機種 PlayStation 4
PlayStation Vita
Nintendo Switch
メディア ダウンロード
発売元 【PS4/PSV】Brain&Brain
【Switch】Plug In Digital
開発元 Brain&Brain
発売日 【PS4/PSV】2018年3月14日
【Switch】2018年6月28日
定価(税込) 【PS4/PSV】1296円
【Switch】1000円
プレイ人数 1人
セーブデータ 1個
レーティング CERO:A(全年齢対象)
判定 なし
ポイント ゲームというよりは絵本
コンティニューよりもニューゲームで周回すべきか


概要

Brain&Brainが開発した、絵本状の短いADVゲーム。

あらすじ

漁師3兄弟はある日、網で引き上げたボトルから謎の海図を手に入れる。
海図には今いる島以外は何もかかれておらず、島の物知り爺さんに尋ねてみることにした。
爺さんの言うことには、3兄弟のとった行動で空白の海図の謎が解けるらしいが…。

システム

  • 操作方法
    • ジャンルとしてはADVであり、何かを調べつつイベントを発生させて進行させる。
    • 移動は横スクロール式で、ジャンプといったアクションの絡む操作は必要ない。
    • プレイヤーができる操作は、3人の漁師が立つ画面の「枠」をいじるか、どこかのポイントを調査するかの2つのみ。
    • L/Rボタンや右スティックで画面の「枠」を左か右に広げることができる。VitaやSwitchの場合、画面の輪郭をひっかくようにスライドしても輪郭をいじれる。
    • 左スティックで照準型のカーソルを動かし、照準を合わせた場所を○ボタン(SwitchではAボタン)で調べられる。VitaやSwitchの場合は、直接画面をタッチしても調べれられる。
    • 3人の漁師は、常に「枠」の中央に来るように自動で歩いてくる。
  • ストーリーについて
    • ストーリー分岐をもたらす機会が3回ある。
    • 最初の分岐ポイントは3つに分岐し、あとの2箇所はそれぞれ2つに分岐する。エンディングは全部で12。バッドエンドの類はない。
    • 分岐するタイミングでは、プレイヤーが何かしらの操作をすることとなり、左右どちらの枠を広げるか・押し縮めるか、置いてある二つのアイテムのうちどちらを調べるかといったことで分岐がはじまる。
    • ミニゲームのようなものをこなす場合もある。以下例として、
      • 巨大クラゲと格闘する際は、クラゲの触手を○ボタン長押し等ですばやく取り押さえられるかどうかで分岐する。
      • 死神の船とレースをする際は、死神の船を○ボタン長押しで足止めするか、戦闘を泳ぐせっかち屋を足止めするかで分岐する。
      • アザラシになる一幕では、3人の漁師の距離が離れすぎずに右へ右へと進めるかどうかで分岐する。
  • セーブ
    • セーブは自動で行われる。リロードした際はプレイヤーが最後に経験した分岐ポイントからの再開となる。
  • ストーリーの読み返しについて
    • 通ったことのある物語は、お爺さんのカフェの本棚に飾られる。ニューゲームしない限りは12冊まで飾られていく。
    • これを調べるとURLが表記され、これをネットで検索すると公式サイトに飛ばされて、実際の絵本として注文できる。*1

評価点

  • テキストでの工夫
    • 宝の地図を拾ったときのストーリーから1周目の航海を終えるまでは、きちんと子供向けの絵本として成立するテキスト量。民話のようなすとーりーを楽しむことが出来る。
    • もともと海外で作られたゲームであるが、日本でのパブリッシングにおける和訳のセンスは良好。3兄弟をせっかち屋、いさまし屋、しっかり屋*2と表現したり、大岩の巨人を「地質学的脅威」と表現したりネーミングセンスも印象に残りやすい。
    • 2回目に遭遇したイベントではメタ発言があったり省略される傾向もあるが、そのメタ発言のおかげでストーリーのどのルートを遊んでないか分かりやすい。
  • 独特な美術デザイン
    • 色合いは簡単な図形とパステルカラー調の色彩で統一されており、目に優しい。
    • 長い時間だったり、長い距離を移動するような場面では、空の模様が段々と変化していくといった工夫がある。
    • 暖炉の火や家畜などが半円といった簡単な図形から描かれている。細かく震えながら動くのでリアルではある。
    • BGMもなかなか種類が多い。波が開いたり、鍛冶をする金属音だったり、扉を開閉するときの効果音が、人間の口から発せられたものとなっている。

賛否両論点

  • ゲーム性を捨てたこと
    • ゲームというよりはギミックのある絵本を読んでいる感覚に近い。
    • ストーリー分岐に至るような場面にて単純な操作しか求められないケースも多く、純粋なゲームとしてみると物足りない。
    • 2回目以降に遭遇したイベントではテキストも省略される傾向にあるので、起承転結が破綻しておりあまり読み物として面白くなかったりする。

問題点

  • ボリューム不足
    • 1ルートで10分程度。全ルート数が12個なので2時間程度あれば全クリアも不可能ではない。
    • 1ルートのストーリーの内容も特段たいした物語が秘められているものでもない。
    • 周回を重ねると1周目での既読部分といった細かい説明を省くようになってくる。周回を重ねるほど、よく分からないまま冒険に出て、よく分からないまま地図が埋まって…といった印象の物語になっていく。物語としての臨場感はどうしてもニューゲーム時の1周目のときにはかなわない。
  • 3人が移動している間の時間がもったいない
    • ゲームの構造上、同じような場所や場面を何度も通過するので、スキップする機能等が欲しかったところ。
  • 調べられる場所・人物
    • 周回の最初に訪れることになる島の集落以外は、特に調べられるギミックがない。
    • 集落では、小屋の暖炉の火を煽いで見たり、飛んでいる鳥にちょっかいをかけられたりはするのだが、船出した後はそういったいじれるギミックがない。
    • 集落でNPCとも会話できるが、その会話のパターンも2、3つ程度しかない。さらに全ルートクリア後に少し話が変わる程度。
  • 直感的にわかりにくい部分
    • ストーリーの分岐点ではミニゲームのようなものを行う場合があるが、何をどう操作すればいいのか説明してくれない。
    • アザラシになってお互いに離れないように泳げという指示がゲーム中で出されるが、ボタンを押す押さないのさじ加減がかなり難しい。

総評

アクションゲームと呼べるほどのギミックはなく、ADVゲームとしても分岐箇所はひかえめであり、プレイヤーがちょっかいをかけられるような電子絵本といった立ち位置の作品になる。
パステルカラーや図形から形成された特徴的な絵や文学的センスのあるテキストなど、ADVとしての存在感がないわけではないが、周回するほど面白みは減っていくので、ニューゲームしながらのプレイが吉か。

最終更新:2021年08月24日 08:41

*1 2021年8月現在ハードカバー版は完売中。デジタル書籍版のみ注文できる。

*2 それぞれひげの色が黄・橙・茶色と差別化されている