オール1
【おーるわん】
ジャンル
|
パズル
|
|
対応機種
|
ファミリーコンピュータ ディスクシステム
|
発売元
|
徳間書店
|
書換開始日
|
1991年2月22日(書換専用)
|
プレイ人数
|
1人
|
定価
|
500円(片面)
|
判定
|
良作
|
ポイント
|
一般公募が形になった初のゲーム サイコロの特性や地形のクセなど複合した奥深さ
|
ファミマガディスクシリーズ
|
概要
当時発行部数トップを誇ったファミコンゲーム誌『ファミリーコンピュータMagazine』(ファミマガ)創刊100号を記念して発売された『香港』に始まる『ファミマガディスクシリーズ』第3弾。
コンセプトは「簡単だけどハマるゲーム」という形で一般公募された「ファミマガディスク大賞」からの初作品。
同シリーズ第2弾『パニックスペース』同様『倉庫番』の発展形のようなゲーム。
通信簿で頭の痛い「オールいち」と誤読してしまうのはお約束。
内容
-
プレイヤーキャラ(てんとう虫)を操作して画面内に配置されたサイコロの目を全て「1」にすればクリアという単純明快なもの。
-
サイコロの出目は全て本物に準拠して作られており、押すと1コマ転がす格好になる。
-
サイコロだけでなく、動かせるオブジェクトとして「岩(都会では「ポリバケツ」)」があり押して動かしてスペースを作る必要がある。
-
サイコロ自身が邪魔になることもあるのでハナから1になっていることもあるが、ずらさなければならなかったりといろいろ頭を使う。
-
画面右側の3D画面に配置されたさサイコロが表示されており、常に自機の真正面から見た図が映される。これをヒントに転がす方向を考えていく。
特性
|
草原
|
砂漠
|
都会
|
備考
|
移動可
|
野原
|
砂漠
|
道路
|
|
物のみ不可
|
花
|
サボテン
|
街路樹
|
てんとう虫は入れるが、岩(都会では「ポリバケツ」)やサイコロを乗せることができない。
|
移動不可
|
柵
|
柵
|
ガードレール
|
全てのものが侵入できない。
|
山
|
山
|
ビル
|
-
ステージは全50面構成。
-
サイコロや可動オブジェクトを動かすと1手と数えられ、ハイスコア(少ない手数)がステージ毎に記録される(クリアできていないステージは「999」)。
-
1手なら取り消し可能。
評価点
-
疑似3Dがなかなかリアルな視点。
-
プレイヤー(てんとう虫)の視点で疑似的な3Dビューが表示される小画面が、状況に応じて逐一切り替わるっていき、上述の通りヒントにもなっている。
-
BGMも聴き心地が良い。
-
ステージ3通りそれぞれ特徴あるBGM。
-
ただ都会ステージBGMはアクションゲーム向きな感もある。
-
隠し要素。
-
通常は全て1を揃えてクリアとなるが、他の出目についても全て同じ出目に揃えるとそれぞれに応じた隠し要素がある。サイコロの少ない1面で試すとやりやすい。
-
オール2はステージセレクト。一見変化がないが、メニューを開くと未開放のステージも選べるようになっている。
-
オール3はエンディング直行。
-
オール4は自キャラクターのグラフィックが謎の物体に変化。
-
オール5は背景が夕暮れに変化。
-
オール6はサウンドテスト。
-
似たようなパズルゲームにはない独自性。
-
『倉庫番』にも似たゲーム性だが、サイコロの特性を取り入れることにより、それに+αを考える要素になっている。
-
サイコロだけでなく、可動性のオブジェクトの併用、更に時としてサイコロ自身が邪魔になるなども奥深い所ではある。
-
地形にもプレイヤーは侵入出来てもサイコロやオブジェクトが入れなかったりと奥深い。
-
順序良く覚えられるステージ構成。
-
まずはサイコロだけから始まり、サイコロ侵入不可な地形が出現し、そして岩が出現、サイコロ自身が最初から1になっているなど、プレイしながらこのゲームのコツを覚えるのに適した構成になっている。
問題点
-
難易度は高め
-
3D画面があるとはいえ、サイコロの構造を把握していないとスムーズに解けず、慣れるまで難しい。
-
戻りが1手のみでは不足気味。
-
ステージも10台中盤あたりからステージもどんどん複雑化してくるので1手のみではやや不足に感じる。
-
セーブデータが1つのみ。
-
後述のキャンペーンへの配慮とも考えられるが、それまでのように3枠あったりして兄弟間で別々にデータを分けるといったことができない。
総評
一般読者の投稿作品で、シンプルなゲーム性ながらオリジナリティに関しても感じられ他作品との差別化もしっかりできている。
詰将棋理論で考えるパズルゲームとしても全般的にハイレベルで、ステージ構成も50と豊富なだけでなく、その中身も入門レベルからやり込みレベルまで網羅されている。
「1を揃えてクリア」というだけでなく、揃える出目によってのオマケも用意するなど細かい所まで手が行き届いている。
ただでさえ容量で不利だった中、更に片面ソフトというというハンデをまるで感じさせない仕上がりになっている。パズルファンにお勧めできる1作である
その後の展開
-
2ヶ月後に第4弾『クロックス』が発売。
-
これもまた、読者による投稿アイデア『ファミマガディスク大賞』の作品であり、本作と同時に第1回大賞を受賞した作品であった。
余談
-
本作発売と同時期に第2回大賞の結果発表が行われたが、第1回で大賞が2作品も出たのに対し、第2回は大賞該当作品なしという結果に終わった。
-
本作発売から一ヶ月の間(3月22日まで)、発売元のファミマガで「早解きコンテスト」という企画が行われた。
-
文字通り少ない手数で全50面を解くという企画であり、上位3名には純金製の賞状を進呈するという非常に力の入ったキャンペーンであった。1日経過(郵便局の消印)する毎に2ずつハンデが課されるので、早く送れば送るほど有利になった。
-
当時としては恒例の、スコア一覧画面をカメラで撮影した写真を送ると言う形式だった
-
そのため、普通のフィルムカメラでは現像のタイムラグがあったのでポラロイドカメラ所有者は相対的に有利であった。
最終更新:2021年10月22日 21:10