倉庫番
【そうこばん】
| ジャンル | PZL |  | 
| 対応機種 | PC-8801、PC-8001mkII、PC-6001/mkII FM-7、X1、X68000、MZ-2000/2200
 SG-1000/SC-3000
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| 発売・開発元 | シンキングラビット | 
| 発売日 | 【PC88】1982年12月 | 
| 定価 | 【PC88】3,400円 | 
| 判定 | 良作 | 
 
概要
シンキングラビットの「ゆかいなアルバイトシリーズ」として造られたパズルゲーム。
シンプルな画面構成ながら深い思考を要するパズルゲームとして人気を博し、『ロードランナー』や『フラッピー』等とも比べられるほどの人気となった。
ゲームシステム
| 右の赤い点がゴール。 青い荷物を全てその上に載せればクリア。
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画面構成
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壁によってさえぎられた画面内に荷物とプレイヤー、ゴール地点が配置されている。
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昔ながらのRPGにおけるダンジョンを想像するとそれに近い。
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ゴール地点は荷物と同数の赤い点が配置されており、荷物が6つなら赤い点も6つある。
 
 
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クリア条件
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プレイヤーを操作し全ての荷物をゴール地点まで運べばクリアとなる。
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PC-8801版は全20面で終了。
 
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その他
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荷物を押す事は出来ても引く事はできない。
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その為、狭い曲がり角などはプレイヤーが通る事は出来ても荷物を通す事はできない。
 
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荷物を押せるのは1つずつ。2個以上まとめて押す事はできない。
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後半の面には消せる壁がある。
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特定の方向からプレイヤーがぶつかることで壁が消え、荷物も通せるようになる。
 
 
評価点
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シンプルながら完成度の高いパズル要素
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荷物を目的地まで運ぶだけの単純なゲームだが、「押せても引く事はできない」という制限がパズルゲームとして非常に良くできている。
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プレイヤーなら通れる道をどう使うのか、どの荷物から先に運ぶのか等、考えられる要素は多い。
 
 
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パズルゲームとしての拡張性の高さ
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荷物の数とマップの広さ及び複雑さ次第で拡張性も高く、現在に至るまで数多くの問題が作られるほどの定番ゲームとなった。
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「ちょっとしたパズル要素」として現在のRPG等に搭載される事も多い。
 
 
問題点
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やり直しが一切きかない
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失敗したら1面からやり直すしかなく、面セレクト等の機能はない。
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ゆえに、事前にどう動かすかをしっかり熟考しなくてはならず、後半面にはまず挑戦するだけで大変であった。
 
 
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消える壁の存在
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問題のバリエーションを増やす為のシステムと思われるが、結果として「まず歩き回って消える壁を全て見つけ出す」だけの単調な行動が増えるだけになっている。
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続編の『倉庫番2』の売り文句に「もちろん壁はびくともしません」と添えられた辺りからしても、開発へ相当不評が届いていた様子。
 
 
総評
シンプルながら奥深いシステムで各種PCからアーケード、家庭用ゲーム機にモバイルアプリと長年にわたって親しまれる事になる大ヒットパズルゲーム。
『ドラゴンクエストIII』や『ワイルドアームズ』等、後年のRPGにまで良く似たパズル要素が使われている事からもその人気の高さが窺える。
一作目だけに荒削りな面も残っているが、シンプルな画面で奥深いパズルゲームというアイデアの勝利で数々の移植が行われることになった。
その後の展開
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数々のPCに移植され、FCやSFC等、新しいハードへ追加要素を含め続々と移植されていった。
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続編の『倉庫番2』の時点で全50面にまで増え、さらに自作の面を作れるエディタまで搭載されていた。
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巻き戻し機能や時間制限などのアレンジを施された作品もあるが、ゲーム性の根本は一切変わっていない。
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中には『涙の倉庫番スペシャル(FCD)』のように荷物を1マス引っ張り寄せたり2個まとめて押せるなど、プレイヤー層を考慮したと思われる救済アイテムが存在する物もある。
 
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『シリーズ公式サイト』のヒストリーを見ると分かるが、とんでもない数の移植や続編が作られている。
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「倉庫番ライク」で検索すると、無料で遊べるブラウザゲームやスマホアプリが多数存在する事からも、シンプルながら奥深い本作の魅力と人気の根強さが窺える。
 
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ゆかいなアルバイトシリーズとしては第2弾として「T.N.T. Bomb Bomb」が発売された。
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狭い画面内で押す事しか出来ないオブジェクトを動かして正解の位置へ動かすという点は共通しているものの、基本ルールからして本作よりややこしくなっており、加えて序盤のステージから難易度が高めなこともあって、本作のようなヒットはしなかった。
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シンキングラビットはそれ以降ADV開発へと進んだ為、ゆかいなアルバイトシリーズは第2弾で終了となった。
 
余談
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なんと新問に懸賞金も出ていた。
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20面までクリアした際に出るメッセージを添えて問題を会社に送る事で懸賞金が出るシステムだった。
 
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海外にも『Sokoban』というローマ字表記そのままのタイトルで輸出されたため、現在でも各国では「Sokoban」で認知されている。
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Wikipediaには20言語以上の「Sokoban」記事があるほどであり、ゲーム界における「Tsunami」や「Karaoke」のような存在と言っても何ら過言ではない。
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ただ一部機種では『Boxxle』等の名前に変更されているものもある。
 
最終更新:2022年03月09日 14:31