ゾイドタクティクス

【ぞいどたくてぃくす】

ジャンル シミュレーションRPG

対応機種 プレイステーション2
発売元 トミー
開発元 翔泳社
発売日 2005年8月11日
価格 6,800円(税別)
廉価版 トミコレベスト
2007年3月29日2,800円(税別)
判定 ゲームバランスが不安定
ゾイドシリーズリンク

概要

惑星Zi、その歴史は戦いの歴史。

1999年から放映されたアニメシリーズがシミュレーションRPG化!
アニメストーリーとバトルストーリーが融合!
登場ゾイド150機以上&登場キャラクター90人以上!

(パッケージ裏より引用)

トミー(現タカラトミー)より発売された組み立て玩具・ゾイドを原案としたシミュレーションRPG。
同じくゾイドのシミュレーションRPGである『ZOIDS2 ヘリック共和国VSガイロス帝国』(以下前シリーズ)から約3年半ぶりの完全新作である*1

前シリーズがバトルストーリー(玩具のゾイドに付属するお話)をベースとした舞台設定やストーリーに対し、こちらはアニメ「ゾイド -ZOIDS-」(以下アニメ)とバトルストーリー(以下バトスト)をリンクさせたものとなる*2

シミュレーションとしては、正方形タイプのマスでターンごとにユニットを操作するスタンダードなタイプとなる。
早期購入特典でシールドライガーブロックスが付属。

また、携帯アプリ版『ゾイドタクティクス i』が本作に先立つ2005年5月からサービスを開始していた(現在では終了)。


システム

流れとしては「ストーリーパート」→「出撃準備」→「シミュレーションパート(ミッション)」の繰り返しとなる。

ストーリーパート

  • 大別して、あらすじを画面に表示する「ノベル形式」とキャラクターが会話する「会話形式」の2種類ある。
    • アニメの全67話を16ほどのミッション数に分割する関係から、話を一気に進める場合はノベル形式が使用される。
    • ミッションに関連する内容に近くなれば、会話形式でキャラクターがアニメとほぼ同じ会話をする。
      • これだけでも相当なボリュームなのでボイスはない。
    • 話の内容に合わせた共用の背景やゾイドが表示される他、アニメのシーンを使った背景もある。
    • なお、各ミッション間で進行する話数にはバラつきがあり、数話分進むこともあれば1~2話程度しか進まないことも。
      • ちなみに、最初のミッションはアニメの7話に相当する。
  • ゲームバランスの調整から、一部ではアニメと異なる展開になる。他にもバトストに関連する話を絡めるため、アニメにもバトストにも無いオリジナルのストーリーが挿入される事も。
    • 例えばアニメではバン(アニメの主人公)のみが崖越えを行うところを仲間のアーバインも同行するなど。
  • ミッション6(アニメ20話に相当)での分岐点で、この先の展開が大きく異なる。その内容は、ジェノザウラーに乗ったレイヴンを相手に撤退するかしないかといったもの。ついポジティブ(撤退しない)な方を選んでしまいがちだが…
    • 撤退しない場合はストーリーの内容がアニメからバトストに一変する。
      • バトストのキャラクターが早めに仲間になる他、今まで主人公であったバン達が 途中で抜ける
      • アニメにもバトストにも登場するキャラクターには、その関連エピソードが用意されている。
      • 相手が正規軍となるため難易度は高め。
    • 撤退した場合はアニメのストーリーのまま進むことになる。
      • アニメのキャラクターが早めに仲間になる。
      • 相手は盗賊や暗殺部隊といったイレギュラー的な存在で難易度は低め。
    • どちらを選んでも中盤以降に合流するが、それはアニメルートにおいて最終回に該当するミッションが終わった後のことになる。

出撃準備

  • 主に次のシミュレーションパートに向けての出撃準備を行う。
  • ミッション毎に固定と任意のパイロット枠があり、好きなゾイドを乗せた状態でパイロットを選び出撃という形になる。
    • パイロットにはステータスが設定されており、レベルアップによって伸びる。また、パイロットの設定に合わせて複数のスキルと数回のみ使用できる特殊能力を1つ有している。
      • スキルはライガー系に縁のある場合はライガー系搭乗時に後述のパートナー値が上がりやすいとか、司令官であれば味方の全キャラクターにプラス補正がかかるといったものなど。
      • 特殊能力はHPを全回復した上でステータスが向上するといったものから、次の攻撃を必ず回避するといったものなど。
    • ゾイドは換装用とオプション用のパーツをそれぞれ1つだけ装備できる。
      • 一部を除き、該当ゾイドのバリエーションやCAS(チェンジングアーマーシステム)*3や合体(ユニゾン)は換装パーツの交換*4で再現されている。
      • オプションパーツはHPといったステータスの増加や異常状態への耐性といった機能向上が中心となる。
    • パイロットとゾイドにはパートナー値が設定されており、組み合わせによって大きく異なる。
      • 例えば専用機にそのパイロットを乗せれば最初から高い数値になるが、ほかのパイロットを乗せると極端に低くなるなど。
      • この値はHPをはじめとしたゾイドの各ステータスに大きな影響を与え、強いゾイドに乗せ換えるよりもそのままのほうが逆に戦力になることも。
      • 出撃や相手への攻撃、撃破によって少しずつ上昇する。最大にするとミッション中に一度だけ「シンクロ」によって能力強化ができる。
  • セーブやロード、パスワードの入力などもこの画面で行う。
    • パスワードは携帯アプリ版との連携機能で、それぞれで入手したパスワードを入力すると隠しゾイドが使用できるといったもの。
      + パスワード一覧
      4H57B54K ブルーセイスモサウルス 1N35A2RE ライガーブルー・ソウガ 9UP4LAL7 セイスモサウルスRSS
      W12258PM イーグル合体 U1198WBT ウルトラZ+ 271I2XVG 集光パネル
      RM426G95 エナジーチャージャー J3291HST ロクロウスペシャル K763M7Y8 イエティカスタム
      X15VX487 ジェットカスタム IN2IK3Q7 CASテュラン 0321DBIX レイヴェンカスタム

シミュレーションパート

  • ゾイドを移動させ、使用する武装を選んで相手ゾイドを攻撃、撃破する流れとなる。
    • 前シリーズがヘクス(六角)タイプであるのに対し、本作ではスクエア(正方形)タイプでシンプルになった。
    • 勝利条件は指定された機体の撃破や全滅が主となるが、指定された機体の特定地点到達や、相手ゾイドに隣接させるといった特殊なものがある。
    • 武装は格闘、射撃、マップ、EX攻撃と大きく分けて4種類ある。
      • 格闘は威力が高い。格闘に特化した設定のゾイドには、2マスからでも攻撃できる武装を持ったのもいる。
      • 射撃は間接攻撃が可能な兵装で、威力にはバラつきがある。格闘よりも高い威力を持つ兵装は位置固定状態でなければ使用できないものが多いが、威力や射程の低い兵装だとゾイドの移動後にそのまま間接攻撃ができるものが多い。この制約に当てはまらず、移動後も位置固定射撃武器が使用できるスキルを持つパイロットもいる。
      • マップ兵器はマップ上で指定した範囲にいるゾイドを攻撃する。着弾地点までの距離と攻撃範囲は完全に固定されており、上下左右の向きだけしか変えることができない。その代わり威力は非常に高く、相手の誘導と味方の退避をうまく行えば頼もしいものとなる。
      • EX攻撃はHPが一定以下となった状態(チャージ開始)で、自分のターンが回ったときに使用可能になる攻撃。大型ゾイドの最大HPと同じくらいの威力が設定されており、命中すれば多くのゾイドを1発で倒せる。使用後もHPが条件を満たしていればチャージを始め、自分のターンで再度使用可能になる。当然相手も使用してくるため、相手がチャージを始めたら早めに倒さないと手痛い反撃を受けることになる。内容はゾイドによって異なり、必殺の格闘技や、一斉発射、通常攻撃とMAP攻撃のどちらかを選べる強力な射撃兵装などがある。
    • 攻撃を仕掛けた場合は反撃を受けるか、不能の場合は防御や回避といった行動をとられる。
    • 戦闘は設定によって3Dと2Dで選ぶことができ、3Dの場合は3Dのゾイドがそれぞれ攻防を繰り広げることになる。
      • 戦闘画面では攻撃時、EX攻撃時、攻撃を受けるときにボイス付きでキャラクターが喋る。諸事情から一部は変更されているものの、主要の人物はオリジナルキャストのままである。バトストの人物にももちろん声が付いている。
      • 使用されているゾイドのモデルは『ZOIDS VS.』シリーズのものが流用されている。しかし、新規ゾイドも追加されているほか、必要に応じてSEやエフェクト等で補強しているため、全然気づかないことも。
      • キャラクターのボイスも同じく『ZOIDS VS.』シリーズのものが流用されている。しかし、一部のキャラクターには新録でセリフが追加されている。

評価点

登場ゾイドとキャラクターの種類

  • 150種類以上のゾイドと90人以上のキャラクターが登場する
    • モデルの流用やアニメベースという関係もあり、アニメ以前に発売された旧世代のゾイドは登場しないものの、それでも前シリーズの100体を大幅に上回る数である。
      • もともとアクションゲーム用のモデルであり、アニメに近い歩行SEが流れることもあって、格闘攻撃時は躍動感あるものとなっている。
      • これだけの数でありながらモデルの出来栄えは高く、パイプやキャップといった細かい部分も手を抜かずに再現できているところもポイント。
      • ほかにも「AMD2連装20mmビーム砲」や「AZハイデンシティビームキャノン」といったゾイドの各武装も、名称が省略されずに可能な限り用意されているのはファンにとっては嬉しい部分である。
    • キャラクターに関しても、流用とはいえボイス付きで約90人は、ゾイドシリーズでは本作だけである。
      • 本来ならモブと入れ替えられそうな「オコーネル」「クルーガー」といったアニメの脇役キャラが登場しているのもファンにとっては嬉しいところ。
      • なんと「スティンガー*5」まで登場する。アニメ最終回以降のミッションで、一部のアニメキャラのその後を見ることができる。
      • 攻撃を仕掛けた場合、一部アニメキャラとバトストキャラの間で会話が発生する。クロスオーバーを感じさせる嬉しい部分である。
      • おまけ程度だが、他にも「ゾイド新世紀スラッシュゼロ」「ゾイドフューザーズ」「ゾイドジェネシス」とすべてのゾイドアニメのキャラクターが登場する。
    • EX攻撃時はキャラクターのセリフとゾイドの咆哮、そこから繰り出す攻撃と、叩きだす大ダメージで気が狂うほどの爽快感がある。

貴重な資料として

  • 大まかな流れは一致しているため、アニメやバトストを追いかけたい場合はとても役立つ。
    • アニメの場合は予備知識なしで全話を見てほしいところだが、67話もあり時間的にも予算的にも厳しい。バトストに至っては掲載物がそれぞれ分散しているため、どの話がどこにあるかも探すのは大変。このゲームをプレイするだけで、その多くを知ることができる。
    • ゾイド図鑑やキャラクター図鑑の機能もあり、モデルを眺めて細部を確認することも、原作ではどんなキャラクターなのかを確認することもできる。

シンプルなゲームシステム

  • スクエア(正方形)タイプのマップという作りもあり、シミュレーションRPGとしてはシンプルである。
    • 攻撃可能な相手にダメージを与えてHPを0にするだけで、じゃんけんのような三すくみの関係などは一切ない。戦略的には薄くなるかもしれないが、初心者やこの手のジャンルが苦手なプレイヤーには易しい部分である。
  • 序盤はこちら側のゾイドが強いので、戦いながらシステムを把握できるのもポイントである。
  • ゾイドのカスタマイズもパーツを2種類はめ込むだけなので簡単。

問題点

非常に悪いゲームバランス

  • ゲームバランスがかなり悪い。こちらが強いのはあくまで序盤だけの話であり、バトストルートを選んだ場合は特に難易度が高くなる。
    • 中でも相手ゾイドとのHPの格差がかなり酷いレベルであり、中盤からは当たり前のように万を超えるゾイドが増える。
      • こちらのゾイドのHPは 高くて 7000~9000程度で、万を超えるゾイドは1~2体ほど。しかも500~1000程度超えているだけである。特に最終ステージではその差が歴然となる。
+ 中盤から終盤のネタバレ
  • バトストルートではデスザウラー(7機)VSマッドサンダー(2機)の戦いも再現されている。
    • 荷電粒子砲を撃たないHP2万に近いデスザウラーとHP8000程度のマッドサンダー*6
  • アニメルートとバトストルートの分岐が終わった頃からセイスモサウルスが登場するようになる。こちらのゾイドでは届かない距離から攻撃をしてくるゾイドだが、そのHPはなんと2万以上。しかも初登場ステージではおまけ感覚でデスザウラーが出てくる。パスワードを使った目には目を戦術でないと苦しい戦いとなるだろう。
    • 荷電粒子を吸収する対セイスモサウルス用の凱龍輝も登場する。荷電粒子砲を撃たないセイスモとHP8000程度の凱龍輝…
+ バトストの最終回と最終ステージのネタバレ
  • 最終ステージにおいてラスボスのエナジーライガーに、味方のライガーゼロファルコンが奇襲するイベントがある。一瞬の隙をついて一撃でエナジーライガーを倒すというバトストの再現のようだが、このエナジーライガーのHPは2万以上(しかも護衛のライガーゼロ付き)。ライガーゼロファルコンのHPはせいぜい7000程度。
    • セイスモサウルスがうろついて本隊の位置は遠く、とるべき行動は性能を生かしてまず逃げることである。…なにをしたかったのだろうか。
  • 移動後に低威力の攻撃を繰り出す場合、相手から飛んでくるのは位置固定の高威力武器である。シミュレーションにありがちな守り優勢を地で行く状態になっている。
    • 普通に2000~3500程度のダメージでやり取りするため、頻繁に引っ込めないとすぐに蒸発する。
    • 攻撃後の反撃でダメージを残したまま相手のターンになった場合、生き残るために回避や防御に専念せざるを得ない場面も。ストレスにしかならない。
  • EX攻撃もHPの関係から相手はまだ安全なレベルでチャージが始まるが、こちら側は抱え死にしそうな程度にならないとチャージできない。
    • どちらかと言えば仕留め損ねた相手が使ってくるような攻撃となっている。
    • 荷電粒子砲といった本来はなんの制約もなく使用できる武装が、EX攻撃でしか使えないのも大きな不満となっている。
  • 縛りにしかならないパートナー値
    • 出撃させるパイロットに対して当然強いゾイドを選ばなくてはならない。しかし、実際には「このパイロットとゾイドは相性が悪くて乗せられない」という場面が多く、邪魔な要素でしかない。
      • 普段使っていないパイロットにいきなり強制出撃のスポットがあたり、ただでさえレベルが低いのにゾイドにも縛りがあるという非常に辛い状態に陥ることも。
      • 撃破すれば数値が上がるはずなのに、相性が悪い影響からか倒しても倒しても変化が見えないことも。しかも相性が普通以上であってもレギュラーメンバーレベルで使わないとMAXは難しい。
    • 前シリーズにおける訓練のような、ミッション中以外に戦闘ができる要素は一切ない。したがって、レベリングやパートナー値の上昇は全てミッションで完結させなければならない。弱いパイロットを育成するための弱い相手がいない。ある意味開始から詰将棋のような状態である。
    • このシステムだが無駄に再現度が高い。例えばアニメルートではバンがブレードライガーに乗り換えることになるが、バトストルートではブレードライガーに搭乗したバトストの人物が仲間になり、バンの乗り換えが発生しない。そのブレードライガーにバンを乗せようとすると、なんとパートナー値が激減*7する。
      • 嬉しさが感じられない原作再現であり、この手のキャラゲーとしてはお粗末であると評価せざるを得ない。

その他の問題

  • 3Dバトルだとロードに6秒ほどかかりテンポが悪い。
    • このときのロード画面が、黒背景一色で画面端に「NOW LODING」と歯車のようなものが回っているだけ。BGMも停止した無音状態なので落差が激しい。
      • せめて3D戦闘時のBGMを先に流した状態でこの画面にしていれば、もう少し印象が変わっていたかもしれない。ちなみに前シリーズでは戦闘BGMを流した状態でロードしていたほか、HPが0になるまで殴り合いをするので回数も少ない。
    • 2Dバトルだとそのまま該当ゾイドの上に共通SEと結果が表示されるだけである。圧倒的に早いものの、せっかくのゾイドモデルもボイス付きキャラも意味がない。
  • 相手陣営ゾイドを中心にこちらが使えないゾイドが多い。
    • デスザウラーやダークスパイナーのほか、おまけ参戦アニメキャラの乗機など。
  • 周回プレイでゾイドやパイロットの引き継ぎができない
    • 一度クリアすると「ゾイドジェネシス」のゾイドとパイロット(2機2名)が最初から使えるだけである。
      • 一度手に入れたパーツの蓄積や、レベル、パートナー値を引き継いだパイロットとゾイドが自由枠で好きに使えていれば、本作の評価はもう少しだけ変わっていたかもしれない。
  • シナリオの再現不足
    • 登場するゾイドやキャラクターの関係から、正確に再現できていない部分もある。
      • 例えば冒頭のバンがガイサック(ゲーム未登場ゾイド)に襲われるシーン。アニメでは盗賊団のしたっぱが初ゾイドに浮かれての行為であり、それを遠くからほかのメンバーが冷ややかな目で見ているもの。ゲームではこのしたっぱの担当がなんとロッソ*8である。したっぱのかませくさいセリフも全く改変されていない。
      • バトスト側にありがちなのは、ストーリーの再現に必要なゾイドがゲーム未登場の場合、それをゲーム登場ゾイドに代行させるといったもの。いずれも知らなければ気にはならないが、ファンからは不満点となっている。

賛否両論点

  • ミッション毎のパイロット縛り
    • ミッションによっては必須のパイロットが設定されている。ストーリー上の整合性やミッション中のやりとりなどの理由と思われるが、パイロットのレベルやゾイドとの相性の問題から、それまでの進め方次第ではかなり苦しい戦いとなる。
      • クリア後の特典キャラはいつでも自由に参加させられるので、他のキャラもそれくらい自由にはできなかったのだろうか。
  • アニメとバトストのクロスオーバー
    • 同じ世界が舞台であるとはいえ、合体させるのはかなり難しいような内容となっている。そのため、無理や矛盾した場面が少なからず見られるようになり、クロスオーバーを喜ぶファン、どちらか片方に集中してほしいと思うファン、ゾイド以外のクロスオーバー作品を見習ってほしいと思うファンで分かれることになった。
      • ちなみにアニメでは冷戦終結後、共和国と帝国が共同で平和維持を目的とした特殊部隊を創設するほどの関係。バトストでは戦争の最中となっている。
      • 特にアニメルートとバトストルートの合流点で、アニメルートだと世界の平和を救って間もなく第三勢力が襲うという展開に。それに合わせて会話内容も若干変化する。
  • BGMのクオリティ
    • すべてオリジナルのBGMを使用している。クオリティとしては決して悪いものではない。しかし、アニメのBGMを使ってほしかったとか、前シリーズ*9と比べて劣化しているなど、観点の違いから評価が分かれている。
  • 不親切に感じる部分
    • たとえば移動後の攻撃を相手の射程外から仕掛けたい場面。相手の射程範囲がマップ上で見えず、武器一覧から射程を見て覚えておくか、反撃内容を見るかのどちらかになる。次に、こちらは相手の攻撃が届かない位置に移動して武器選択となるが、射程内に相手がいないものも含めて使える武器は全部表示されているため分かりにくい。
    • いきなり名前のある一般兵顔グラのキャラクターが、乗機として指定されたゾイドの内容に愚痴を言い始めた。と思ったら、しばらくして戦場でいろいろあったらしく、また同じゾイドに乗せてしてほしいと懇願してきた。
      • 実はこれもバトストのお話であり、格下のゾイドが格上のゾイドを相手に奮闘するといった内容で、最期はパイロットを守るように倒れるという感動のエピソードである。が、なんの前触れもなく突然始まるので、事前に知っていないと何なのかが分からない。しかもキャラクター間の会話だけで終わるので、ネームドキャラにいきなりモブキャラが話しかけてきたようにしか見えなくなっている。

総評

  • ゾイドについての貴重な資料としては大きく評価できる。アニメとバトストのお話をそこまで破綻させることなく再現した上で、知らないユーザーなら気にならない程度で融合できているのも大きなポイントである。特にゾイドファンは、アニメだけ見た、バトストだけ見た、ゲームだけなら、旧シリーズ(1983~)だけ、新シリーズ(2018~)だけとかなり分かれており、あらすじだけを知りたいと思っているファンにもおすすめできる。
  • 一方でシミュレーションRPGとしては、ゲームバランスを中心とした複数の問題点、不満点を抱えることとなってしまった。引き継ぎといった要素もなくテンポも遅いことから、何度もやりたいと思うのは正直難しい。リソースをうまく使えば大作になれたところを、「ゾイド新世紀スラッシュゼロ(16名)」「ゾイドフューザーズ(16名)」とはそれぞれ特別ステージで戦うだけにとどまっているのも残念な点である。難易度も高いのでこちらも1回きりで終わるのがほとんど。ストーリーを見るうえで障害にしかなっていないような状態だが、シナリオも小説をそのまま読んでいるような文章量なので、話にも興味がなければ面白いところがない。
  • このように、ゲームに対する目的で大きく評価が分かれる作品となってしまった。前シリーズという存在がある以上、どうしても比較は避けられず「劣化版PSゾイド」と称されることもしばしば。クソゲーとまではいかないが、良作と判定するのは難しい。是非とも次に期待したい。

余談

  • 攻略本は発売されなかった。
    • 攻略サイトも満遍なく情報が載っているようなものは見られず、各所に残ったパスワードによる戦力増強だけが唯一の手がかりである。
  • 2007年に同じくゾイドのシミュレーションゲームである『ゾイドオルタナティブ』が発売された。
    • 「2007年クソゲーオブザイヤー据置機部門次点」で、残念ながらあまりいい評価ではなかったようだ。

最終更新:2021年11月23日 20:09

*1 内容とシステムは別物でつながりはない。

*2 舞台や登場する陣営等はほぼ同じだが、双方はあくまでパラレルの関係にある。

*3 装甲の交換でゾイドの特性を変化させる機能

*4 ユニゾンは装備した上でミッション中に合体コマンドの使用

*5 数話のみ登場する強い印象を残すドSオネエ

*6 反荷電粒子シールドを搭載した対デスザウラー用ゾイド

*7 ブレードライガーはエースにしか乗りこなせないという設定がある

*8 盗賊団のリーダーであり、自分を負かしたバンの実力を認め、捕まるまでの間高笑いしながら見送るような人物。

*9 担当はノイジークローク