Unpacking アンパッキング
【あんぱっきんぐ】
| ジャンル | パズル |  | 
| 対応機種 | Nintendo Switch Xbox One
 Windows (Microsoft Store/Steam)
 | 
| メディア | ダウンロード専売 | 
| 発売元 | Humble Games | 
| 開発元 | Witch Beam | 
| 発売日 | 2021年11月2日 | 
| 定価 | 【Switch】2,090円 【Steam】2,050円
 【MS Store】2,350円
 | 
| セーブデータ | 3個 | 
| レーティング | IARC:3+(3歳以上対象) | 
| 判定 | 良作 | 
| ポイント | 引越しを題材にしたパズル 生活感から物語を読み取る
 | 
 
概要
- 
オーストラリアのブリスベンを拠点としているインディデベロッパー、Witch Beamによる「引越しの荷解き」を題材にしたパズルゲーム。
- 
1人の少女が合計8回の引越しを経て大人になっていく様子を、「荷解き」を通して垣間見る。
特徴
- 
「引越しの荷解き」を題材にしたパズルゲーム。
 作中では明言されていないものの、配置ルールとして
 以下の3要素のルールが存在する。
- 
(1)「物理的に配置不可能」
- 
荷物の見た目通りであり、最初から開示されている。
- 
例:荷物に対して床面積が狭すぎる、棚板の高さが低すぎるなど。
 
- 
(2)「用途的に不適合」
- 
そのステージ中の段ボールを全て荷解きし終わると正誤情報が開示される。
- 
例:タンスに収納するべき衣服が、床に置かれている...など。
 
- 
(3)「心理的に触れられない/置きたくない」
- 
最初から設定されているが、自分から調べないと把握できない。
- 
例:引越す前にトラブルがあり、本来の場所に置きたくない...など。
 
 
- 
序盤は荷物も部屋数も少なく、上記(1)から(3)のどれも条件がゆるく簡単なものの、
 終盤は荷物も部屋数が増えるとともに同居人や戸棚の開閉など条件も増え、少々難易度が上がってくる。
- 
荷物を選択してもそれが何なのか表示されないため自分で推測して配置する必要がある。
評価点
- 
緻密で遊び心のあるドット絵。
- 
なにげない書籍の表紙やゲームソフトのパッケージに至るまで、あらゆる荷物が緻密に描き込まれている。
- 
1つの荷物に2~4パターンの向きが用意されており、前述の書籍やゲームソフトは表紙だけでなく背表紙・裏表紙まで描画されている。
 
- 
生活感にこだわった効果音・BGM。
- 
ドット絵同様に効果音も丁寧で、同じ荷物でも置く床面の材質など条件が違えば異なる音となり、ASMR的楽しさを与えてくれる。
- 
時代が進むごとに主人公の心情に合わせたカントリー系の穏やかなBGMが用意されている。
 
- 
無言の荷物が少女の人生を雄弁に語る。
- 
幼少から持ち続けている常連のぬいぐるみや親友からもらったグッズなど、ステージの前後関係で荷物のエピソードが想像できる。
- 
登場人物にイメージカラーがあり、なんとなく誰の荷物・誰の部屋なのかが察せられるようになっている。
- 
少女視点では順風満帆のはずのタイミングで「ある大事なアイテムを置く場所がない」という不穏な予兆が含まれているステージがあったりと、プレイヤー自らが荷解きをしている最中に少女の過去や未来に気付く場が設けられている。
 
- 
隠しギミックや実績も豊富。
- 
攻略に一切関係ないが、クリック(ジョイパッドならBボタン)すると反応するギミックが多々ある。
- 
特定の条件下でだけ動作する隠しギミックもあり。(例:周辺機器を揃えると、パソコンを起動できる)
- 
特定の組み合わせはシール(実績)が取得できる。(例:浴槽に家電製品を置くと感電注意のシール解禁)
 
- 
現実とリンクしたノスタルジー。
- 
パソコン(ブラウン管ディスプレイ→薄型液晶ディスプレイ)やゲーム機(GB→GCなど)など、年代を象徴する家具の変化が豊富。
- 
1990年前後に生まれたプレイヤー(発売年の2021年時点で30歳前後)に特に合致する内容が多い。
 
賛否両論点
- 
ボリュームは値段相応のミドルサイズ。
- 
プレイ時間はおおよそ3,4時間程度。クオリティが高かったからこそ、価格を上げてでももう少しボリュームが欲しかったという声も多い。
 
- 
パズル要素が簡単すぎる。
- 
雰囲気重視であるがゆえに、一般的な「謎解き」重視のパズルゲームに比べて難易度が低い。
- 
どこに置けばいいか分からない荷物があったとしても、手当たり次第に置いていけばいずれは正解するため、途中で詰まることはまずない。
 
問題点
- 
国籍・年代・性別の違いでそれが何か分かりづらい荷物がある。
- 
調理器具や寝室の土足文化など、日本人にあまり馴染みのない文化が一部あり、判別に困る時がある。
- 
ゲーム機など電子機器は現実でも様相の変化が激しく、特に若いプレイヤーには古い機器が判別できない。
- 
生理用品や化粧道具など、男性には馴染みのないアイテムも存在する。
 
- 
プレイヤーによっては作業感が強い。
- 
本作は最初から最後まで「ダンボール箱から荷物を取り出して所定の位置に配置する」ことの繰り返しである。
- 
特に後半のステージでは荷物の数が飛躍的に増えるため作業感に拍車がかかる。
- 
荷ほどきをしながら主人公の女性の人生に思いを馳せるという醍醐味は一応あるが、そういったことが苦手な人にとっては作業でしかない。
 
総評
「引越しの荷解きだけ」という珍しい題材のゲームである。
「段ボールを開けて、荷物を出して、収めるべき場所に収める」…表面上はただそれだけの作業だが、小物1つ1つに丁寧に作りこまれたグラフィック・サウンドがプレイヤーの没入感を深め、部屋や荷物からにじみ出る生活臭からひとつの物語が読み取れるようになっている。
パズルに生活感とノスタルジー、そして物語性をミックスすることにより「遊ぶ絵本」とでも呼ぶべき牧歌的な作品に仕上がっている。
余談
- 
本来であれば「荷物を正しい位置に配置する」というゲームなのだが、その逆である「すべての荷物を間違えた位置に配置する」ことでDARK STAR(黒い星)を得るというファクターが存在。
- 
本作に登場する豚やニワトリ家族等のぬいぐるみは公式からグッズ化されている。
最終更新:2024年05月19日 10:25