暗闇の果てで君を待つ
【くらやみのはてできみをまつ】
| ジャンル | サバイバル・ラブADV |  | 
| 対応機種 | ニンテンドーDS | 
| 発売元 | D3パブリッシャー | 
| 開発元 | ウィッチクラフト | 
| 発売日 | 2009年10月22日 | 
| 定価 | 限定版:7,776円(税込) 通常版:5,616円(税込)
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| プレイ人数 | 1人 | 
| レーティング | CERO:B(12歳以上対象) | 
| 判定 | 良作 | 
| ポイント | 脱出ゲーム×乙女ゲーム 全編フルボイス
 ボリュームは薄め
 略称は「クラキミ」
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概要
「THE 裁判員」のウィッチクラフトが開発・D3パブリッシャーが発売した恋愛アドベンチャーゲーム。
所謂乙女ゲームの本作だが、ジャンルとしては珍しく脱出ゲームの要素が色濃いのが大きな特徴となっている。
キャッチコピーは『信じる
男性
と、生き残れ。』
ストーリー
金鳳学院高校に通う支倉深雪は、
秋季行事である林間学校で七霧岳に来ていた。
しかし体調不良により、バスでキャンプ地まで送られることになる。
バスに搭乗していたのは、生徒会長の葵水央、
自分を介抱してくれていた幼馴染の桜葉克己、
翌日の試合のために林間学校を抜けるテニス部の穂波陽介と秋山朋、
担任教師である高坂貴彦、教育実習生の神子元直樹、
羽生田商業高校の林間学校から抜け出してきた風野太郎。
目的地に向かうバスだったが、途中で事故に遭遇。
支倉たちは気を失ってしまう。
──目覚めると、見知らぬ廃校の教室に閉じ込められていた。
そこには『仮面の死神』と名乗る人物からの脅迫状があり、
指示に従わなければ死が訪れると書かれていた……
登場人物
    
    
        | + | 一部取扱説明書から引用 | 
支倉深雪(はせくらみゆき)
本作の主人公。プレイヤーによって名前変更可能。『仮面の死神』の想定外ながら廃校に閉じ込められてしまい、克己らと共に脱出を目指す。
葵水央(あおいみお) CV︰高橋広樹
葵財閥の次期総帥であり、金鳳学院高校の生徒会長。素直な性格で、物事には一生懸命のため、人から好かれることが多い。
桜葉克己(さくらばかつみ) CV:岩田光央
写真部に所属する幼馴染。両親は駅前で「さくらベーカリー」というパン屋を営んでいる。少し口は悪いが、明るく人当たりの良い性格。
風野太郎(かざのたろう) CV:藤原祐規
駄目な両親と難病の妹を持つ羽生田商業生。アフィリエイト料とWEB制作のアルバイトで一家の生計を担っている。形のないものを信じないリアリスト。
穂波陽介(ほなみようすけ) CV:斎賀みつき
日本人の父とイギリス人の母の間に生まれたハーフ。テニス部に所属し、秋山朋とダブルスを組んでいる。頭の回転が速く、他人の意図を推察することに長けている。
秋山朋(あきやまとも) CV:阪口周平
穂波と共にテニス部に在籍する寡黙なスポーツマン。真面目な性格で、冗談があまり通じないため友人は少ない。物事を力で解決しようとする癖がある。
高坂貴彦(こうさかたかひこ) CV:成田剣
化学を担当する高校教師。物腰は柔らかいが、教職に高いプライドを持っているため規則に厳しい。物事を冷静沈着に判断するが、ときどき逸れた答えを出してしまうことも。
神子元直樹(みこもとなおき) CV:川田紳司
化学を専攻する教育実習生。のんびり屋で楽天的な性格。危機感の薄さから、高坂を困らせることも多々ある。
綿貫聡(わたぬきあきら) CV:志村知幸
文章力と写真センスを兼ね備えた凄腕のルポライター。
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システム
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プレイヤーは「探索」「移動」「会話」「アイテム」の4つに分けられる「行動」コマンドを駆使して脱出を目指す。
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探索
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今いる場所をタップで調べることが出来る。これによってアイテムを入手したり、ヒントを得ることが脱出の鍵となる。
 
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移動
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下画面に表示された地図を元に場所を移動することが出来る。地図上にはどの部屋にどのキャラクターがいるのか表示される。
 
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会話
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同じ部屋にいる人物と会話が出来る。会話が終わったあとはコミュニケーションを取ることができ、キャラクターをタップすると場所や好感度によって反応が変わる。時にはヒントをくれることも。
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テキスト内では一部分が緑字で表示されることもあり、タップすることで詳しい話が聞ける。
 
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アイテム
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「探索」で入手したアイテムの一覧が下画面に表示される。対象のものを選び、そのまま「探索」の要領で使いたい場所をタップすることで使用することが出来る。
 
 
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メニュー画面ではセーブ・ロード・コンフィグが行える他、人物情報・メモ帳・地図が見られる。
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人物情報では簡易プロフィールと好感度を、メモ帳では現時点までの出来事がまとめられた主人公の手記を、地図では廃校の見取り図を確認することができる。
 
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STARTボタンでクイックセーブ、SELECTボタンでクイックロードが可能。
評価点
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乙女ゲーム×脱出ゲームという組み合わせ
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ただ斬新なだけではなく、命の危機が迫っている状況でパートナーとなるキャラクターと協力して脱出を目指すというシチュエーションがしっかりとマッチしている。
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命の危機から逃れ無事脱出した後の恋愛パートは大きな充足感を得られる。
 
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魅力的なキャラクター
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周りの男性陣の誰より率先して脱出へと動く主人公を始め、攻略対象となるキャラクターもそれぞれ隠された内面が丁寧に描かれていて好感が持てる。
 
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全編フルボイス
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プレイヤー自身である主人公以外のセリフは全て豪華声優陣によるフルボイス仕様。
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スペックのためか音質はあまりよくないが、充分に迫真の演技を味わえる。
 
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エンディングの豊富さ
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キャラクターによって違うものが楽しめる他、バッドエンドになってしまっても神子元先生の小話が聞ける。
 
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セーブファイルの多さ
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本作にはなんと18個用意されている。足りなくなって困ることはまずないだろう。
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またクイックセーブ・クイックロードの機能も地味に便利。
 
賛否両論点
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難易度の低さ
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好感度は当たり障りない選択肢を選べば順当に上がっていくため、意図的でない限り好感度が足りないということにはまずならない。
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謎解きもアイテムを駆使して状況を打開するのが大半で、頭を使う要素はほとんどない。
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描かれていなかったり無関係な所にあったりする必須アイテムは設置場所に訪れた際に光るため、アイテムを探すのに手間取ることもあまりない。
 
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乙女ゲームとしてとっつきやすい反面、やり込み要素を求めるゲーマーには向かない。
 
問題点
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ボリュームの薄さ
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1プレイあたり2~3時間で終わってしまい、ある程度のシナリオ・謎解きを把握した2周目以降は1時間ほどでクリア可能になってしまう。
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各キャラごとに違ったシナリオが用意されているとはいえ、本作はフルプライスソフトであるため物足りなく感じてしまう。
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おそらくそのために容量が多くならずフルボイスが実現出来ていると思われる。
 
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2周目以降の作業感
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脱出のためのルートは固定のため、周回するごとに同じ謎解きをさせられる。
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パートナーとして選んだキャラによって違った反応や展開を楽しめるとはいえ、基本の謎解きは変わらないためダレてしまう。
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テキストは早送り出来るが前述のテキスト内の緑字をタップしないとフラグが立たないため、トゥルーエンドを見るためには途中途中気を配らなければならない。
 
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選択キャラによって大きく異なるシナリオ展開
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攻略キャラクターによって事件の真相に触れるかどうかの差が激しく、特定の順番で遊んだか否かで後味が非常に変わる。
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ゲーム内に誘導などは一切なく、最初に選びがちであろう幼馴染の桜葉のルートは終盤に遊ぶことが好ましいため惜しい。
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もっとも、好みのキャラだけ攻略出来れば良いという人にはあまり関係ないかもしれないが。
 
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タッチパネルの反応の悪さ
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なぜか判定がかなりシビア。緑字をタップする際はセーブするなどして慎重に。
 
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セーブデータについて
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本作は中古対策のためか初期化が出来ず、CGなどを集め直すことは出来ない。
 
総評
魅力的なキャラクター揃いかつ丁寧なシナリオ構成で、ジャンルの物珍しさだけに留まらない良作。
ボリュームの薄さは目立つが、見方を変えれば短く纏まっていると言える。
2022年2月現在では1600円前後で購入出来るため、興味があれば手に取ってみるといいだろう。
最終更新:2022年04月30日 18:42