激突四駆バトル
【げきとつよんくばとる】
| ジャンル | カーアクション |  | 
| 対応機種 | ファミリーコンピュータ | 
| 発売元 | アイレム | 
| 開発元 | タムテックス | 
| 発売日 | 1989年11月17日 | 
| 定価 | 6,500円 | 
| プレイ人数 | 1人 | 
| 判定 | なし | 
| ポイント | ミニ四駆ブームに乗りつつも人気路線には乗らずパワースタイル ゲームシステムはシンプル且つビギナーにもやさしい
 ボリューム不足と難易度バランスはかなり極端
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| ミニ四駆シリーズ | 
 
概要
1989年にアイレムが発売したカーアクションゲーム。
9月にコナミから発売された『レーサーミニ四駆 ジャパンカップ』同様、ミニ四駆ブームに乗って発売されたゲームだが、それと違って田宮模型(現:タミヤ)の公認ではないので俗に言う「パチ四駆(ミニ四駆のパチモン)」である。
また、根本的にはスピードを競い合う上記作品とは異なり「激突」「バトル」とあるようにボディをぶつけ合って敵車を破壊していくゲーム性になっている。
言うまでもないが、当時終了間近ながらブームだったミニ四駆はステアリングなどなく直進しかできないので本作に登場しているマシンはレーサーミニ四駆モデル(パクリ)ながら中身は実車若しくはRCカーである。
内容
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箱庭のマップで四方八方から襲ってくる敵のマシンとボディをぶつけあって破壊、或いはそれにより弾き飛ばして壁にぶつけたりして破壊する文字通り「バトル」。
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全8ステージで、特定の台数を敵車を破壊することでステージクリアとなる。
 
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画面上部にレーダーがあり、後述のボーナスアイテムや敵車の位置などがひとめでわかる。
マシンについて
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Aボタンがアクセル、Bボタンがブレーキだが、Bボタンを押し続けていないと停止することはできない。
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方向は画面に準じて上下左右で進行方向を押すことで方向転換できる。
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進行方向と逆を押すことでUターンも可能だが、静止状態でないと若干惰性が働く。
 
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攻撃部分はマシンのフロントで、敵にぶつけることで撥ね飛ばし(どちらが飛ばされるかはその時点での勢い次第)、壁などにぶつけて破壊する。また壁などでも前からぶつかる分ではダメージを受けない。
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正面からぶつかれば撥ね飛ばし、壁などにぶつけて撃破する形になり、それ以外なら直接ダメージを与えて撃破する格好になる。
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自身の場合もフロント以外ならばダメージを受けることになる。例えば敵車に飛ばされたりオイルなどでスリップした状態で壁にぶつかった時などが該当する。
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敵は一度に4体まで出現。破壊するたびにどこからともなく湧いてきて、ステージごとに決められた規定数を撃破すればクリアとなる。
 
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上記の通り当時ブームだったレーサーミニ四駆をモデルにデザインされている。
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タイトル画面でも、新シャーシ第1号として一躍人気になった「アバンテJr.」そのもののマシンがでかでかと描かれている(ただし色は同じながらコクピット部分以外まったく無地)。
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マシンは名前も見た目も全て当時のレーサーミニ四駆がモデルで「バトルブーメラン」「バトルフォックス」など「○○Jr.」→「バトル○○」に変名しただけでそのまんまな名前をしている。
 更には「バトルエンペラー」などミニ四駆オリジナルマシンの代表格『ダッシュ!四駆郎』のマシンまで含まれている。
 
 
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残機はなくやられたらその場でゲームオーバーだが、コンティニューは無制限にできる。
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コンティニューすると得点はゼロリセット。
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最終面でコンティニューを繰り返すことで出現する隠しマシンが存在する。
 
アイテム
パワーアップ系
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ターボチャージャー
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サスペンション
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芝生の上を路面同様にスイスイ走れるようになる。
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一部のマシンには最初から装着されている。
 
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灯油缶
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スター
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一定時間無敵になり、接触しただけで敵を倒せるようになる。
 
ボーナス系
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フラッグ(1~4)
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書かれている数字の分だけ敵車の数を減らす(画面内の敵車にも直接影響)。
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取るとリザルト画面で書かれた数字*200の得点が入る。
 
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王冠
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敵車の数を5減らす(画面内の敵車にも直接影響)。
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実質「5」のフラッグだが、得点は2000点と一気に倍以上に跳ね上がる(「4」のフラッグは800点)。スコア狙いならなるべく王冠にしてから取りたい。
 
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これらは敵を破壊するに応じて出現・ランクアップする。出現すればレーダーに映るので、それを目当てに取りに行くことができる。
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ボーナス系のフラッグと王冠は敵も取ってくる。敵に取られてもダメージを受けたりするマイナスはない(瀕死の敵は回復する)が、取った方がトクなので速攻で取りに行く必要がある。ただし画面外にある状態では取られることはない。
 
ステージ構成
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道路
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芝生
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地面が安定していないため、マシンがガクガク揺れスピードが落ちる。サスペンションを取っていれば路面と同じように走れる。
 
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ガードレール
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主に外周部に使われており、コース壁のような役目になっている。
 
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岩・コンクリートの柱
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普通にぶつかる分にはガードレールと同じだが、撥ね飛ばしたマシンがぶつかると壊れることがある。
 
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オイルだまり
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この上を通過するとスリップしてスピンしてしまい、しばらくコントロールがきかなくなる。
 
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全8ステージ構成。
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マシンのラインナップは最初は「バトルブーメラン」「バトルフォックス」のみで、ステージをクリアするごとに増えていく。
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ステージ3.5.7の前には同じマップを使ってボーナスゲームがある。
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ボーナスゲームでは敵車は出現せず、単走でフラッグを取っていく。フラッグは全部で20本あり表示されているのは1本のみで取ると次が現れ、20本取り切ると更なるボーナス点が追加される。
 
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グラフィックやBGMは4パターンあり、それぞれ春夏秋冬をイメージしている。
 
その他
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タイトルでAとBを押しながらスタートを押すと難易度が落ちたイージーモードになる。
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一見裏技のように思えるが、説明書に書かれているので公式なものである。
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特徴としては下記の通り。
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CPUの攻撃ロジックがゆるくなっている。
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サスペンションアイテムが常時装備になっている。
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自機も敵もマシンのスピードが遅くなっている。
 
 
評価点
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操作が非常にスムーズで加速、減速はもちろんUターンまで瞬時にできる。
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RCや実車でも、これほどまで超強力なステアリングは不可能なレベル。
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そのため、あまり現実との整合性を考えない少年層からすれば非常に馴染みやすい操作性ではある。
 
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8方向へのスクロールは非常に高速かつ滑らかで、スピード感を楽しめる。
 
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マシンはクリアする毎に増えていき、カラーリングは10通りから自由に選べる。
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マシンのタイプとカラーリングで選択の幅が広いので、自分の好みを反映させやすい。
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ただ、マシンタイプはステージをクリアしていかないと増えていかないので不便に感じるかも。
 また、当時一番人気だったサンダードラゴンは半分近く進んだステージが4まで進まないと使えない。
 
 
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アイテムは少ないながら効果的なものばかりで、それぞれの強みが被らない。
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イージーモードが付いている。
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もちろん使うまでもなく、ステージ4ぐらいまではヌルすぎるほどだが、それが更に簡単になることで相当な年少層でも、クリアの達成感を味わうことができるため、入門用ゲームとして使い勝手はいい。
 
問題点
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ステージ進行による難易度上昇のバランスはかなり悪い。
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イージーモードに頼らずとも序盤の3ステージは簡単すぎて若干冗長に感じやすい。練習的なステージならステージ1だけでも充分だろう。
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急に牙をむくラストステージ。
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それまではとにかく難易度が低すぎて、かなりヌルく感じられるほどだが最終ステージとなるとオイルだらけでスリップしまくり、そこに敵車がガンガン集中攻撃してくるのでアッと言う間にやられてしまう。ラストだけこの急激な難易度上昇は極端すぎる。
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クリアするだけなら、橋の上など安全に戦えるある程度広い空間があるのでそこから動かずに敵を待ち構えればよい。あるいは障害物のない外周部を走って敵を引き付け、反転して撃破するという戦術も有効。
 
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そのため、適度な手応えを感じられるステージという点ではステージ5~7ぐらいしかない。
 
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マシンの性能を確認できない。
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それぞれに最高速やブレーキ性能、サスペンションの有無などの違いがあるが、数値でのステータス表示もないので実際に走らせてみないとわからず、その実感で比較するのも難しい。
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名前までレーサーミニ四駆ほぼそのままなことから(ただし英語表記が読めるかは微妙)リアルで自分が使っている愛車にこだわっていたら不利なマシンでの戦いを強いられていることも。
 
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ステージ自体が少なくボリュームという観点では不足気味。
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8ステージ+ボーナスステージ3で全11ステージだが、実際ラストステージ以外はかなりヌルめな難易度で、ゲーム慣れした者にとってはほとんど手ごたえなく終わってしまう。
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実際1ステージに3分かからないようなバランスなので、手慣れた人からすればラストで苦戦してコンティニューをいくらかしたとしても初プレイで30分かからないことも珍しくない。
 
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感覚としてはファミコンなら大体1985年中期頃のゲーム程度のボリュームでしかない。
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上記の時代はハイスコア目指してのエンドレスな永久ループスタイルだったが、本作は普通に1ループすればクリア終了である。裏面やハードモードも存在しない。
 
 
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どちらが攻撃しているのかわからないことがある。
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特に最終面は、それまでよりも攻撃が執拗化し、攻撃しているはずが逆にやられていることも多々ある。
 
総評
操作自体は滑らかで非常にしやすく馴染みやすいため難しいことを考える必要がなく、特に予備知がなく始めてもバトルに集中しやすい点はアクションゲームとして好材料。さらにはイージーモードまで完備しているなど初心者にもやさしい。
当時のミニ四駆ユーザーは後述の通りスピードばかりを求める傾向にあり、ミニ四駆ブームに乗ったゲームと考えると少々的が外れている感は否めないが、ゲームシステムとしてはシンプルながら良好なもの。
それだけに難易度上昇バランスの悪さや、顕著なボリューム不足などといった詰めの甘さは勿体なさを感じてしまう部分である。
余談
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本来敵を現すのは「ENEMY」だが、本作では残り敵車の台数は「TEKI」とストレートすぎる表記。
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こういった部分は上記のイージーモードのように低年齢層への配慮の1つと取れるかもしれない。
 
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言うまでもないが当時ブームだったレーサーミニ四駆は、登坂力や牽引力よりもとにかくスピードを求めていた。そのため、本作のようなパワースタイルはむしろ流行の真逆である。特に当時はそれが顕著化した時期で本元の田宮模型自身も、それに合わせたモデルチェンジを行っていた。
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その一例が1988年12月の「アバンテJr.」で初導入されたスピード特化の新仕様シャーシであり、また人気漫画『ダッシュ!四駆郎』のマシンが当時次々とキット化されていた中で、1989年2月に発売された「2号・太陽(バーニングサン)」は原作ではパワータイプマシンなのにシャーシタイプこそ従来のままながらその流行に合わせてパワーギヤー(11.2:1)をオミットして、ハイスピードギヤー(5:1)を初期状態で同梱している。
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この傾向は後々まで変わることはなくレーサーミニ四駆は次々とスピード重視のモデルチェンジを繰り返し改良版の新シャーシが発売されながら、パワー特化のワイルドミニ四駆はほぼ放置状態で第2次ブームの1996年頃でも、昭和期のモデルがそのまま店頭に並んでいた。
 
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公認されたミニ四駆レースゲーム『レーサーミニ四駆 ジャパンカップ』との発売日の差は2ヶ月程度でしかなく、本作も元々はスピードレースゲームを目論んでいたが、上記作品が先行したため路線変更したとも考えられる。
 
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本作では『ダッシュ!四駆郎』に登場したマシンがゲーム中では勢揃いで登場しているが「4号・弾丸(キャノンボール)」「5号・DD(ダンシングドール)」は当時はまだキット化販売されていなかった(それが実現したは翌1990年)。
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そのため、本作はある意味で時代に先んじている。因みにコナミの『レーサーミニ四駆 ジャパンカップ』では、ダッシュ系マシンは既にキット化されている「3号・流星(シューテングスター)」までしか登場しない。
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その一方で、それ以外のマシンは前年までのラインナップにとどまっており1989年に発売された「バンキッシュ」「スコーチャー」「グラスホッパーII」(いずれも「Jr」が付く)「ライジングバード」などは出ていない。
 
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本作より約8年後の1997年には、ココナッツジャパン エンタテインメントよりプレイステーション向けに『激突!四駆バトル』という「!」をつけただけで同じタイトルの作品がリリースされたが、本作とは全くの無関係。
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というのもこちらは海外では『Test Drive:Off-Road』として販売されていたものを、日本向けにローカライズしたものなのである。これやこれ等、ローカライズの際にタイトルが大きく変更された作品は色々あるが、何故よりによって既存のタイトルに寄せて来たのかは謎である。
 
最終更新:2023年08月26日 17:10