Borderlands:The Pre-Sequel
【ぼうだあらんずざぷれしいくえる】
ジャンル
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FPS / 協力型シューティングRPG
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対応機種
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プレイステーション3 Xbox 360 Windows プレイステーション4 Xbox One Nintendo Switch
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発売元
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2K Games
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開発元
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2K Australia Gearbox Software
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発売日
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【PS3/360/Win】2014年10月14日 【PS4/One】2015年5月14日 【Switch】2020年5月29日
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定価
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5,000円
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プレイ人数
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1人
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レーティング
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CERO:D(17才以上対象) |
判定
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良作
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ポイント
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『2』と比較されがちなスピンオフ
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Borderlandsシリーズ 初代 (GOTY) / 2 (VR) / Legends / The Pre-Sequel / Tales / 3 / ワンダーランズ / New Tales
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概要
FPSとハックアンドスラッシュを組み合わせ、「ルーターシューター」というジャンルを生み出した『Borderlands』シリーズのスピンオフ。
本作の舞台はPandoraの月「Elpis」であり、初代と『Borderlands 2』の間に起こった出来事を描く。
ちなみに、本作は元々『2』の大型DLCとして企画されていたとのこと。
キャラクター
プレイヤーは主人公のHandsome Jackに雇われたという設定で、月面や宇宙ステーションを冒険していく。
途中『1』のメインキャラクターが登場し、プレイヤー達を助ける…といったストーリーが進んでいく。
Athena(クラス名:グラディエーター)
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本作の語り部。プレイアブルキャラの中で『1』絡みのバックストーリーが強いキャラ。
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アクションスキルは盾を構えて攻撃を吸収し、投げるというもの。スキルはショック属性関連が多い。
Wilhelm(クラス名:エンフォーサー)
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前作『2』で登場した中ボス。本作ではまだサイボーグ化しておらず人間らしい姿をしている。
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アクションスキルは2体のドローンを召喚する。スキルはドローンの強化および自分の強化が中心。スキルを進めていくとかなりタフに立ち回れるようになる。
Nisha(クラス名:ローブリンガー)
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前作『2』で登場した中ボス。
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アクションスキルは数秒間射撃能力強化+オートエイム状態になるというもの。スキルは無属性武器とピストルの強化が多い。スキルを進めていくと高い殲滅力を発揮する。
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日本語版声優は『2』から変更されている。
Claptrap(クラス名:フラグトラップ)
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『Borderlands』シリーズの顔とも言えるキャラ。本作ではプレイアブルに昇格した。
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ゲーム開始時このキャラを選ぼうとすると「本当にいいの?」としつこく聞いてくるなど固有のネタが多い。
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アクションスキルは戦況に応じて選ばれる能力が変わる。「VaultHunter.EXE」で、非常に強力なものや明らかにハズレのもの等、差が極端でギャンブル性が高い。
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その他のスキルもギャンブル性が高いものばかりで扱いづらいが、エクスプローシブ武器の強化など堅実なものを狙ってポイントを振っていくと無難な恩恵を受けることができる。
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また『1』や本作までは沢山いたClaptrap型ロボがなぜ『2』でこのClaptrap1台のみになってしまったのかという理由が、DLC4にて語られる。
Jack(Timothy)(クラス名:ドッペルゲンガー)
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DLCキャラ。前作『2』で登場した中ボス。主人公・Jackの影武者。本作では何故影武者になったのか経緯が語られる。
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アクションスキルは自分の分身を作成する。スキルはキルスキルが中心だが、最下層のスキルを取ると化けるというデザインになっている。
Aurelia(クラス名:バロネス)
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DLCキャラ。前作『2』で登場したSir Hammerockの姉。
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アクションスキルは敵に向けて氷を飛ばす。スキルはクリオ属性およびスナイパーライフルの強化が中心。
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また、アリストクラシーというスキルツリーはCO-OPプレイでないと効果を発揮しない能力ばかりで、ソロプレイではほぼ無意味。
システム
基本的なシステムは『Borderlands』と同じなので、そちらも参照のこと。
フィールド
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本作は月を舞台にしているため、低重力、酸素といった概念が導入された。
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空中にいる際、ブーストと急降下ができるようになった。急降下時地面に着地すると衝撃波が現れ、当たった敵はひるむ。これをスラムと呼ぶ。
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無酸素空間に入ると、徐々に酸素が減っていく。ブーストを使うとより酸素を消費する。酸素がゼロになると今度はHPが減っていく。
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酸素を補充するには屋内などの有酸素空間に入る、酸素が湧くポイントに入る、敵やオブジェクトからドロップする酸素ボトルを拾う、等の方法がある。
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また酸素を消費することでダウン中の味方を通常より素早く復帰させることができるようになった。
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スラムの威力と酸素の量は「O2キット」と呼ばれる装備品で決まる。このO2キットにはそれぞれ戦闘を補助する特殊能力があり、最高レアリティのレジェンダリも存在する。
エレメンタル属性
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前作『2』からスラグ属性が削除され、代わりに敵を氷漬けにするクリオ属性が追加された。
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凍結中は動きが止まるため攻撃の大チャンス。なおボスは凍結しない。
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また凍結中の敵をクリティカルヒットさせたりクリオ属性以外の武器で攻撃すると、ボーナスダメージが入る。
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それ以外は『1』『2』と同じだが、ファイヤー属性のみ無酸素空間では着火しないというペナルティが追加された。そのため本作のファイヤー属性はかなり扱いづらくなってしまっている。
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なお、コロッシブ属性も有効な敵が『2』より激減している。全体としてはショック属性の重要性が高くなっている。
新武器「レーザー」
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ビーム型、ブラスター型、レイルガン型等様々なタイプがあるのが特徴。
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高威力、高精度、高エレメンタル付与率等、本作でのアサルトライフルの立場が危うくなるほど総じて強力で扱いやすい。
評価点
マイルドになった難易度
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前作『2』に比べるとスラグ属性が削除されるなど調整が入ったため、ストーリーモード2~3周目の難易度はマイルドになっている。特にソロプレイがかなり遊びやすくなった。
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スラグ属性に加え、同じくゲームバランスへの悪影響も大きかったシールド「The Bee」も削除されたため、『1』『2』『3』と比較してもゲームバランスは非常に良好。
グラインダーの登場
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グラインダーという、素材となる武器・装備から別の武器・装備を精錬するシステムが追加された。今までかすかなドロップ率に頼っていたレジェンダリ装備が、何が出るかは運要素が強いとは言え確実に生成できるようになった。
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また、自販機で販売される装備の品質も大幅に向上し、ストーリー進行中でもレア~エピックの中高レアリティ品を揃えやすくなった。
割と好評なDLC4
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後述する本編のシナリオはイマイチなものの、最後にリリースされたDLC4のシナリオだけは好評。
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Claptrapの思考回路に潜入するという内容だが、ハチャメチャな演出やネタが多く、『1』と『2』を合わせたようなマップもあるなど手が込んでいる。
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挿入歌はわざわざ日本語吹替版が使用されている。
スキルポイント、スキルツリーの仕様改善
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Lv3からスキルポイントを獲得してアクションスキルを使えるようになり、最序盤のダルさが改善された。それに伴い、Lv50までに獲得できるポイント数も増えている。
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スキルツリーの4段目取得に必要なポイント割り当て数が16 → 12に減少。それに伴い5~6段目も取得しやすくなっている。
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さらに、ツリー下層のスキルの選択肢も増えているため、最下段取得に消去法的選択を迫られることは少なくなった。
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最大のLv70まで育てれば、なんと最下段スキル全部取りすらも可能。
賛否両論点
過激なローカライズ
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前作『2』で話題を呼んだネットミーム満載の独自ローカライズだが、本作でも健在。
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しかし、淫夢語録まで使ってしまうのは完全にやりすぎと言わざるを得ない。もっとも、(日本の)ネットミームを語る上で淫夢語録は外せないのだが…。
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ちなみに、劇中「暗黒微笑(あんこくびしょう)」というセリフが出てくるが間違い。正しくは「ダークネススマイリング」である。
問題点
ボリューム不足
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これは前作『2』の異常なボリュームと比較して少ないだけであり、標準的なFPSやアクションRPGとして本作が特段不足していることはない。それでも『2』と比べられてボリューム不足と言われがち。
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前作からレイドボスの数がかなり減ってしまったのは確かにマイナス点だが、前作のレイドボスは攻略法も戦略もへったくれもないゴリ押し一辺倒がもっぱらという有様だったため、ソロプレイも考慮すれば本作のほうがマシと言えよう。
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ミッションの絶対数が減ってしまったため、レベル上げが多少辛くなったいう側面はある。しかし、3周目以降は自由にリセットして何周もできる仕様なためあまり気にならない。
代わり映えしない戦闘
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ザコ敵のモーションはほとんどが前作『2』の使いまわし。ブースト、スラムといった要素が追加されたものの、戦闘の味変になっているとは言い難い。
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『2』ベースなので『2』のテクニックや知識がそのまま通用する。良くも悪くも代わり映えしない。
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せっかく月面や宇宙を舞台にしているのに、空を飛ぶ敵がかなり少ない。飛んでいてもこちらへ一直線に向かってくるだけだったり、その場で浮いているだけだったりする。これは飛んでいる敵に攻撃を当てるのが難しいというゲームデザイン上の都合だと思われる。
後味の悪いシナリオ
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ストーリーを進めていくと、「殺した相手が実は善人だった」「無実の人間を仕方なく殺す」といった後味の悪い展開が続くため、無駄にゲンナリしてしまいがち。
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前作『2』はひたすらに世紀末でヒャッハーな世界観だったため、そういったことを気にしなくても良かった。主人公のJackが狂気に染まっていく様を描きたかったようだが、シリーズの世界観とあまりマッチしていない。
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翻訳の問題か主人公のJackやプレイアブルキャラ達も微妙に善人臭い言動を見せることが多く、悪に徹したいのかヒーローにしたいのかどっちつかずになってしまっている。
移動が面倒
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ブーストを考慮してか全体的にマップが広くなった。が、その割にファストトラベルポイントが少なく移動が面倒になってしまった。
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前作『2』では複数のファストトラベルポイントを備えたマップがあったが、本作には1つもない。前作の時点でもファストトラベルポイントがないマップがあるなど改善が求められていたのに、むしろ悪化してしまった。
保管できるアイテム量が足りない
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グラインダーの性質上、レジェンダリなどの高レアリティ品は不要でも手元に保管しておく必要があるのだが、インベントリと金庫の容量は『2』と同じ合計63個で全く足りていない。
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グラインダーの登場と自販機の品質向上によりお金を消費しやすいが、所持金の上限が$99,999,999に対して、Lv70時点でのレジェンダリ品の価格が1,000万~数千万と、物価と最大所持金額のバランスが取れていない。
DLC4について
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武器の試し撃ちができる射撃場が本編には存在せずDLC4のみ。
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ラスボスの第2形態が非常に手強い。弱めのレイドボス程度の強さがあり、他のストーリーボスと比べて相当的確に対処しないと詰む。
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レイドボスとは異なり、このボスを倒せないとストーリーをクリアできないため、あそこまで強くする必要があったのか疑問。
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ドロップは高品質なので対処に慣れれば周回可能だが、このボスの出現場所がファストトラベル地点からかなり遠いのが難点。
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仕様かバグか不明だが、ラスボス最終形態は撃破時にある条件を満たしていないと固有レジェンダリをドロップしない。
総評
非常に高評価の前作『2』をベースにしているだけあり、本作も十分なクオリティを持っていると言えよう。
が、なまじ『2』の出来が良すぎたため、何かと比較されて「凡作」との烙印を押されてしまいがちな不遇な作品である。
"本当の" 次回作『Borderlands 3』はスキルシステムなどに大幅な変更が入ったため、そういった意味でも『2』の続編は本作のほうが相応しいだろう。
『2』が気にいったのなら是非とも本作も購入していただきたい。
その後の展開
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2015年5月14日にPS4/Oneで発売された『ボーダーランズ ダブルデラックス コレクション』に本作のリマスター版が収録されている。
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さらに、2020年5月29日にSwitchで発売された『ボーダーランズ レジェンダリー コレクション』にも本作が収録されている。
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『3』のゲームシステムのいくつかは『2』ではなく本作がベースとなっている。
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一例として、『3』のプレイアブルキャラ「ゼイン」のスキルには、本作のWilhelmやJack(影武者)がベースと思われる部分が多数見受けられる。
最終更新:2024年06月22日 20:20